公開日:2022/02/01
更新日:2022/08/24

ファミリー・トレーニングとは?社員研修効果をより高める方法を解説

ファミリー・トレーニングとは?社員研修効果をより高める方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ファミリー・トレーニングとは、職場全体で行われる社員研修のことで、組織風土の改善や行動変容に大きな効果が期待できます。この記事では、ファミリー・トレーニングの概要や目的、具体的な進め方について詳しく解説します。

 

01ファミリー・トレーニングとは

ファミリー・トレーニングとは、職場全体または部門全体で行われる全員参加の研修のことです。従業員全員を大きな1つのファミリーに見立てる研修で、問題解決や職場改善について複数回に分けてディスカッションをします。 通常は外部講師を招いて、経営陣の考えている職場の問題点に焦点をあてて実施し、組織開発に活用するが一般的です。ファミリー・トレーニングは組織開発施策の一つで、職場ぐるみの訓練ともいわれています。 職場全体の一体感を形成するだけでなく何か1つのお題に関して考えることで、職場の風通しを良くする効果も期待できます。

 

02ファミリー・トレーニングの目的

ファミリー・トレーニングの目的には、組織風土の改善、従業員の業務に対する意識や勤務態度、部署間の交流強化が挙げられます。それぞれについて、詳しく解説します。

組織風土の改善

ファミリー・トレーニングを実践することで、会社の組織風土は大きく変化します。組織風土の改善が必要になっている会社は、社員間のコミュニケーションが不足していることが考えられます。また、それに伴い、業務上の連絡の不手際が発生するなどのヒューマンエラーが発生することもあるため組織風土の改善が求められます。 ファミリー・トレーニングは、このような状況下に陥っている会社の組織風土を変革し、新たな風通しの良い、一体感のある組織を作り上げていくのに効果が期待できます。

チームの行動変容に繋げる

ファミリー・トレーニングでは、研修中にグループディスカッションなどの意見のやり取りの場に身を置くことになります。そして各グループに振り分けられる社員は、部署や社歴、役職なども様々に分けられる場合が多くあるでしょう。 そのような環境下でのディスカッションは、自身に持っていなかった新たな考え方や行動例を学ぶ機会となり、チームに戻った際にその学びをチーム内でシェアすることによって、チームの行動指針などに変化をもたらすことが期待できます。このチームの行動変容は、ファミリー・トレーニングの大きな目的のひとつとなります。

組織にナナメの関係を作る

ひとつの課題を解決するために力を合わせてファミリー・トレーニングに取り組むことは、組織の中における先輩後輩のタテの関係、同僚や同期などとのヨコの関係以外に、これまで話す機会の無かった、他部署の社員との繋がりを生み出します。 このようなナナメの関係は、部署を横断するような大きなプロジェクトを動かしていく際にも効果を発揮します。プロジェクトチームを発足させる際に全員が見ず知らずの社員であるよりも、ファミリー・トレーニングを通じて関わりのある社員がいることで、親近感や仕事の取り掛かりのしやすさなどが大きく変わります。

 

03ファミリー・トレーニングの注意点

ファミリー・トレーニングの実施にはどのような注意点があるのでしょうか。より効果的に取り入れてくためのポイントをご紹介します。

上司が加わることで部下が萎縮して意見が出にくくなる

ファミリートレーニングには、直属の上司が参加していることも多く、ディスカッションに入る際など、直接的な関わりを行うときは、社員の1人として関わることを明確にし、上司としての意見を出さないようにすることが重要になります。 研修を進行させるにあたり、外部からの講師を入れたり他部署から第三者的なファシリテーターを呼んだりすることで、客観的な視点をもつ人物の手を借りるのが一般的です。 こうすることによって、参加するメンバーからの意見が出やすい環境を作ることが大切なのです。

参加する全社員の時間を拘束する

ファミリー・トレーニングの実施は全社員の時間を拘束するため、開催する人事側はある程度の準備と根回し、運営に際しての労力が必要となります。年始や年度初め、期別の会議の集まりを利用するなど、社員の負担感を少なくしつつ、運営できる方法として挙げられるでしょう。

 

04社員研修での活かし方

ファミリー・トレーニングを、社員研修で活かしていくためには、どのようにしていくのが良いのでしょうか。必要なキーワードは「学ぶ」「理解する」「行動する」の3点です。そして何より、研修に参加する社員のモチベーションを高める工夫が必要になります。

ファミリー・トレーニングについて学ぶ

まずはどの社員も、ファミリー・トレーニングがどのようなものなのかについて学ぶ機会を設けることが望ましいです。しかし、この時間だけを別途社員を集めて実施するのは現実的ではでいでしょう。そこで、動画などのICTツールを駆使し、社員の隙間時間を活用して学びを提供できる方法を検討するのが望ましいでしょう。また、その時間を社員のプライベート時間に頼るのではなく、業務量を調節して就業時間内に行える形にしなければなりません。

研修の場だけの関係にしない

ファミリー・トレーニングでは、部署や役職を超えた様々な社員が一堂に会して議論を深めていく研修になります。タテ・ヨコ・ナナメの関係をより深く、強固に形成していく研修の場ともなるため、研修後の組織風土にも影響を与える内容となります。 そのため、研修の場で話し合い、その後は関係のない元の関係性に戻ってしまうことは望ましくないでしょう。研修を実施する人事側としては、研修での学びから出来上がった人間関係をどのように会社の成長に活用していくのかを検討し、実行しなくてはなりません。例えば懇親会の開催などに費用を投じるなど、一定期間は、支援を続けることも方法の1つでしょう。

議論した内容には必ず決定を下し、行動に移す

ファミリー・トレーニングで議論され、決定された活動施策は必ず実行に移していくことが重要です。参加する社員のモチベーションを高める要因のひとつは「議論された内容、決定された内容を、しっかりと実行に移すことができている」という点です。 せっかく全員で話し合って決定しても、実際の業務に戻ったら少しも前に話が進まなかったという状況になってしまうと、ファミリー・トレーニングの時間そのものが無駄になりかねません。「何のための時間だったのだろう」と疑問も湧いてきてしまうことも考えられるため、議論した内容は確実に行動に移していくことで社員のモチベーションを保ち、会社内の組織風土も向上させていくことが重要です。

 

05ファミリー・トレーニングの進め方

ファミリー・トレーニングは、実際にどのように進めていくのでしょうか。ファミリー・トレーニングを行う方法には、「ブレーンストーミング」と「KJ法」があります。それぞれについて、解説します。

ブレーンストーミング

ブレーンストーミングは、グループの人員がそれぞれ、課題に対して考えていることをまずは全て出し合うことによって、共通点や相違点を見出していく方法です。 ブレーンストーミングのメリットは、お互いの考えていることを全て出しあった状態で議論を進められることです。 複数の社員が、課題に関して考えていることについて自由に意見を出し合うため、独創的なアイデアを引き出すことも可能になります。自由な雰囲気で実施することが大切で、結果として、参加した社員同士間の個人的なコミュニケーションが活発になり、交流も深くなったり、さらに参加社員にとっても視野を広げることきっかけになったりします。 ブレーンストーミングは様々な場面で、問題解決や思考発想などを拡げる手法として活用できるでしょう。

KJ法

KJ法とはブレインストーミングなどで大量に収集したデータや考え、意見を整理して分析し、その中から新たなアイデアを得るための発想方法のことです。 多くのデータを1枚ずつのカードに分け、グループ化を繰り返していくことで、問題解決の手掛かりや新たな発想が得られます。このKJ法は、東京工業大学名誉教授を務め、文化人類学者である川喜田二郎氏が考案したため、川喜田(Kawakita)二郎(Jiro)の頭文字から、KJ法と呼ばれています。「親和図法」とも呼ばれ、会社の中では品質管理のツールである「新QC7つ道具」の1つに数えられています。

アイデアをラベルに記載

KJ法の実施はまず「アイデアをラベルに記載」することから始めるのが良いでしょう。まずは与えられたテーマについて、ブレインストーミングした考えや意見、アイデアをラベルに記述し、単位化をすることから始めていくのがポイントです。 それらのカードを机上にならべ、重ならないようにバラバラに配置して見やすい状態にすることによって、ブレインストーミングされた考えや意見にはどのような新しい発想が隠れているのか、俯瞰的に見ることができます。そして整理した各ラベルに対して、その意見や考えの内容を一行で言い表す一行見出しをつけていきます。これによって、その考えや意見が何を伝えようとしているものなのかを、簡潔かつ明確にしていくことができるのです。付箋に書き出している場合は、ホワイトボードに貼り付ける方法も全員が見やすくなるためおすすめです。

アイデアのグルーピング

一行見出しをすべてのラベルにつけることができたら、全員で確認をしていきます。そして、似た内容や同じジャンルと考えられるラベルをグループとしてまとめていく作業に入ります。 どのグループにも属さないラベルが出てくる場合がありますが、それは別途その他グループを作ってまとめておくと良いでしょう。まずは一人ひとりの感性を大切にして振り分けていくのがポイントです。 どのグループに分けるかを迷い、判断がつかない場合は「要検討」のように後ほど検討しなければならないものとして分類しておきましょう。ある程度のグループ分けができたら、グループ内のラベルの一行見出しを見て、同じグループにした根拠や共通する特徴をチーム全体で考えます。 先ほど分類できなかったラベルがある場合は、この段階に入る前にチーム内で議論してグループ分けしましょう。その後、概念化した内容をタイトルとしてグループにそれぞれ記述していきます。KJ法では、各グループの共通点を見つけていきます。そして共通点を見つけたら更なるグループ化を行い、概念化を繰り返して、グループの数を減らしていきます。これを繰り返すとグループはだんだん大きくなっていき、一番大切としている概念が明らかになっていきます。

アイデアの図解化

グループの数が少なくなってきたたら、それぞれのグループをホワイトボードなどで一覧化します。そして、チーム全員でグループ同士の関係性を考え、意見を出し合います。このプロセスのことを川喜田二郎氏は、「A型図解化」と呼んでいます。 例えば、関連するグループを線で結び、結んだもの同士を矢印などの記号で結びます。これにより、グループ同士の内容の関係性を明確にすることができます。このA型図解化から考えられるメリットは、チームメンバーが出した意見や考えは全く異なるものではなく、多くの共通点で結ぶことができることに気が付くことができる点で、一体感を感じることに繋がります。

アイデアの文章化

各グループの関係性を図解することができ、十分に議論を尽くしたら、続いては図解化したグループ同士の関係性を文章にまとめていきます。この作業のことを川喜田二郎氏は、「B型文章化」と呼んでいます。 文章化するにあたって、論理的な文章が書けない場合や説明するのが難しいグループの場合は、まだ図解化が十分にできていない可能性が高いと考えます。うまく文章化できないときは、図解化の工程に戻り、議論を深めていきましょう。図解化と文章化を繰り返すことで、論理的な考え方へと繋がっていきます。


 

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06まとめ

KJ法とブレーンストーミングは、非常に相性が良く、ファミリー・トレーニングの手法として非常に秀逸だと考えられています。 ファミリー・トレーニングでは、参加社員が自由な発想で自らの意見や考え方を出し、新しいアイデアを生み出していくことが大切です。ファミリー・トレーニングを研修で実施することで、組織の一体感を醸成してみることをおすすめします。

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