公開日:2022/02/01
更新日:2022/09/21

動機付け理論とは?代表的な例とビジネスにおける活用方法を詳しく解説

動機付け理論とは?代表的な例とビジネスにおける活用方法を詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ビジネスの成果をより出しやすくするための考え方のひとつに、動機付け理論があります。動機付け理論はどのような時に活用され、またビジネスにおける、代表的な活用方法にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、動機付け理論の概要や、実際の活用例などを紹介し、動機付け理論について詳しく解説していきます。

 

01動機付け理論とは

動機付け理論とは、社員がモチベーション高く働き、成果を生み出すためのきっかけをつくる方法を考えるための理論で、モチベーション理論とも言われます。 動機を見つけることができれば、自分自身が目指す目標達成のために、努力を重ねていくことが可能になります。

やる気を出させるためのきっかけについて研究したもの

動機付け理論とは、自身の所属する組織のメンバーに対して「もっと成長意欲を持って業務に当たってほしい」や「自ら率先して新たなこと、大きなプロジェクトにチャレンジしてほしい」といった思いを持つ上司のために実践されてきた理論です。 「動機付け」は、大きなプロジェクトを任せる際の社員のやる気を上げるほか、採用活動においても有効です。それは候補者の入社動機を形成するのにも役立ち、会社への帰属意識、入社する意義を高める効果も発揮します。

機付け理論とコーチングとの違い

動機付け理論と間違われやすい考え方にコーチング理論が挙げられます。コーチングは、周囲からの影響ではなく「答えは自身の中にある」という内向的な考えに基づき、自らをサポートしてくれる人との信頼関係を軸にしたコミュニケーションを中心に展開します。 それをもとに、本人が目標や新たな選択肢やアイデアに自ら気付き、自発的に行動を起こすことを支援する方法です。 動機付け理論とコーチング理論は「相手に自らの行動を促す」という点で共通している点は多くありますが、活動を促すためのアプローチ方法が異なっています。動機付け理論は、上司が部下に対して行う、いわゆるマネジメントの範疇として実施されるケースが多いですが、自身で考えさせることを重視するコーチングは、時間をかけたコミュニケーションを実施していくことや、1on1といった定期的な面談を通じて継続的に行われることが特徴です。

 

02代表的な動機づけ理論の種類

それでは、動機付け理論にはどのような種類があるのでしょうか。一般的に動機付け理論は、その要因によって「外発的動機付け」と「内発的動機付け」に分けることができます。それぞれについて説明するとともに、ビジネスシーンにおけるメリット・デメリットを解説していきます。

外発的動機付け理論

外発的動機付け理論とは、外部から与えられる報酬による動機付けによって社員のモチベーションをあげたり、行動変容を促したりすることです。具体的には「給与アップ」「昇給」「仕事に対する賛辞」などが挙げられます。これらは全て自身が行うものではなく周囲から「評価」や「賛辞」といった形で、当事者に与えられるものです。 外発的動機付け理論のメリットは、「給与アップ」や「表彰」などの外部からのアプローチが可能である点です。人間の動機付けをするのに外部アプローチだけでは難しいことが多いのですが、職場環境や福利厚生を改善することは、多くの社員に対して満足度を高める成果をもたらし、仕事への意欲を高めることが期待できるのです。 また、仕事を「手段」と捉えていくのが外発的動機付け理論です。例えば「意欲はそんなに高くないが、周囲から仕事ができない人とは認識されたくない。だから人並みには働きたい」と感じている社員がいるとします。このような社員は、業務のフィードバックが公に行われることで「周囲から分かる形で褒められたい」「周囲からできないと思われたくない」と感じるようになり、業務遂行への意欲向上の動機となることが期待できます。 しかし、外発的動機付けの中でも、金銭的な報酬がもたらす効果には限界があることには注意が必要です。一定の基準を超えると人は金銭的報酬だけでは動機としての効果が薄れるという研究成果が出ています。また、外発的動機付けの手法は、後述する内発的動機付けの効果を薄れさせてしまう可能性も指摘されています。

内発的動機付け理論

内発的動機付け理論とは、自身の内側から湧き上がってくる仕事への興味や関心、そして仕事が楽しいと感じることによって動機付けされる理論です。 例えば、「大変な仕事だけれど、楽しいから残業も苦にならない」「仕事で疲れた週末でも、趣味のために早起きできる」といったように、仕事量や忙しさに関係なくモチベーションが高い状態になります。 一般的には「達成感」「充実感」「責任感」「自尊心」などが、内発的動機付けにおける要因になり得るとされています。つまり、個人が目の前にある自身の役割、仕事にどれだけのモチベーションを保てているのかが関係しています。 例えば、「競争のなかで成果を出す」ことが内発的動機付けの要因になった場合は、競うことが楽しさにつながります。しかし、別の仕事では「競争はしたくない。一緒に協力して達成感を味わいたい」と考え、ストレスを抱える可能性もあります。 内発的動機付け理論では、仕事そのものが行動の目的になります。そのため行動すること自体が当事者にとっての報酬といえます。難しい課題でも前向きに取り組み、成果につながることも多いです。しかし、金銭的な報酬による動機付けが大きな意味を持たないため、仕事への満足度について、当事者と定期的に確認する機会を設けるなどの進捗管理方法が、効果的であることが実証されています。

欲求5段階説|マズロー

アブラハム・マズローは、人間性心理学の生みの親ともいわれています。中でもマズローが提唱したモチベーション理論は「5段階欲求説」と呼ばれ、現代の企業運営にも活用されています。 この説は、ピラミッド型に構成された人間の5つの欲求を下段から順に満たしていくことで最高位である「自己実現」へと近づいていくと説いたものです。この5段階欲求説は、動機付け理論だけでなく、マーケティング理論など多くの分野で用いられており、5つの段階に分けられた欲求をモチベーションをアップするために活用されています。

目標設定理論|ロック

目標設定理論とは、1984年にエドウィン・ロックによって提唱された理論です。この理論は、定めた目標の内容によって社員のモチベーションが左右されることを論じていて、現在の職場では当たり前のように活用されています。 目標設定理論は、目標を設定するだけではモチベーションの向上効果が得られないことに着目し、自己効力感をいかに高めるかに対して目標設定することを重視します。この理論は、取り組む際に行動を明確に決めやすいメリットがあり、店舗などの現場で活用されやすい仕組みになっています。これらの要件に関する内容や数字を明確にすることで、困難でありながらも達成可能な目標を立てることが動機付けになります。

X理論・Y理論|マクレガー

X理論・Y理論とは、先述したマズローの「要求5段階説」に影響を受けマクレガーが提唱した理論です。マクレガーは自著「企業の人間的側面(1960年)」の中で、仕事嫌いで怠け者な部分をX・自己実現をしたいという部分をYというように分け、それぞれに対する管理者の行動様式を「X理論・Y理論」として提唱しました。 Xは人間のネガティブな部分、Yはポジティブな部分としてそれぞれに該当する人材へ最適の対応を取るべきだという考えで、例えばX要素が強く出る人材には賞罰がモチベーションコントロールに効果的であることを説いており、一方でY要素が強い人材であれば、自己実現するための自己管理能力を高める働きかけが効果的であるとしています。 企業としては、各従業員の目指すキャリアプランをしっかりと傾聴、すり合わせすることで効果があらわれると考えられます。

動機付け・衛生理論|ハーズバーク

動機付け・衛生理論とは、ピッツバーグで200人の技術者と経理担当者を対象にして行われた実証実験から生まれた理論です。提唱したフレデリック・ハーズバーグは、被験者に対して「仕事上、どんなことに対して幸福または満足を得たか」と「仕事上、どんなことに対して不幸や不満を得たか」という2点について質問を行うという極めてシンプルな実験を行いました。 その結果、仕事の内容に関する「動機付け要因」と、不満をもたらす「衛生要因」が挙げられることが分かりました。このことは、「仕事の内容からもたらされる満足感」と「仕事の環境からもたらされる不満」の2つの要因がモチベーションを決定付けるということを示しています。

期待理論|ブルーム

ブルームが基礎をつくった期待理論では、モチベーションの向上を図る側とモチベーションの向上を求められる側の関係が重要視されています。 これはモチベーションそのものに関する理論としてだけでなく、リーダーシップ論や組織マネジメント論としても活用価値があります。まずはじめに人の行動は、「努力」×「成果」×「魅力」の掛け合わせで変化するものであり、掛け合わせの大きさによって高いモチベーション効果を可能にするとされています。

 

03動機付けが活用できていないときの原因

動機付けが活用できていないと感じている場合、その原因は一体どこにあるのでしょうか。社員のモチベーションを上手く上げることができない時の対処法をご紹介します。

目標やゴールが具体的でない

まず、対象社員の目標やゴールが具体的に示されていることを確認するようにしましょう。会社の目標、部署の目標はしっかりと決められているが、個人の目標が明確に決まっていないことは意外に多い落とし穴です。目標やゴールを「状態」と「定量数値」で明確に示しておくと、振り返りも適宜行うことができます。まずはモチベーションが上がりきっていない社員の個人目標の練り直しから着手すると良いでしょう。

立場や能力に対して適切な目標設定ができていない

現在の役職などの立場や持っている能力に対して適切なレベルの目標設定となっていないときにもモチベーションは上がりにくいでしょう。簡単すぎる目標設定や、反対に高すぎて達成がほとんど不可能のような目標設定だと、モチベーションは下がりやすいでしょう。会社として出してほしい数字を示しつつ、自身はどこまで目標として達成できそうかという本人の考えや意見を取り入れた設定になっているかについて、確認するようにしましょう。

社内のコミュケーションが希薄になっている

そして、動機付けをより効果的にしていくために重要なのが社内のコミュニケーションです。誰しも一人で仕事をしていると周囲から認められず、悩みや不安をシェアすることも出来ないまま孤独な戦いになっていきます。日頃から円滑なコミュニケーションを心掛けるように職場の雰囲気を考えることが大切です。

 

04ビジネスにおける動機付け理論の活用方法

一般的に動機付け理論は何も特別な存在ではなく、日々のコミュニケーションの中で自然に取り入れられていくものです。仕事をしていく上で、動機づけ理論を上手に活用する方法について解説します。

適切なコミュニケーションでやる気を向上させる

普段から部下とのコミュニケーションに気を配っている上司は多いでしょう。しかし、「やる気を落とさないようにしよう」といった守りのコミュニケーションであることも少なくありません。優秀な上司は、常に部下を褒めるタイミングがいつ来るかを最優先に考えているものです。何か成功した際や、進捗が予定通り以上の時などは、手放しで褒めることが部下の承認欲求を満たし、次も頑張りたいという気持ちにさせるのです。

フィードバックの機会を設けて承認欲求を満たす

また、部下とのやり取りにはフィードバックの機会を定期的に設けることが大切です。このフィードバックの機会も、一方的に褒めたり評価を伝える場ではなく、双方のコミュニケーションの場として設定するのがおすすめの活用方法です。 部下は上司に話を聞いてもらいたい、相談したいと考えています。その気持ちをしっかりと汲み取った対応をすることが強い動機付けになるのです。

採用面接では意思決定において重視するものを聞く

新入社員を採用する際にも動機付け理論を応用していくことが大切です。入社後には戦力として戦っていく仲間になるので、どのような場面でモチベーションを上げているのか、特に自身が何かを意思決定する際に重視していることは何かを聞いておくことが大切です。


 

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05まとめ

部下のモチベーションを上げる動機付けの方法は、多岐に渡り正解はこれだと示すことは非常に難しいです。しかし、社員ひとりひとりに着目し対話を重ねていくことで社員ごとの正解が見つかります。動機付け理論を上手に活用し、社員がと成果を出せる職場環境、社内の仕組み作りを目指していくのが良いでしょう。

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    Zアカデミア学長 / 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長 / Voicyパーソナリティ

    日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてもリーダー開発に注力する。2021年4月に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)の学部長に就任。代表作に56万部超ベストセラー「1分で話せ」。ほか、「1行書くだけ日記」「FREE, FLAT, FUN」など。

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