公開日:2022/03/11
更新日:2022/09/21

実践共同体とは?組織の知識・技術力を高められる具体策を紹介

実践共同体とは?組織の知識・技術力を高められる具体策を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、企業経営における実践共同体の役割が重視されるようになってきています。そこで当記事では、実践共同体の概要や、企業が実践共同体をつくることのメリット、実践共同体を導入している企業事例を解説します。

 

01実践共同体とは?

実践共同体とは、企業などの組織の内外に作る「学びのコミュニティ」のことです。企業の公式の組織図とは別に、あるテーマや目的のために主体的にメンバーが集まった集団のことを指し、最も有名な例としては、「勉強会」や「研究会」などが挙げられます。

実践共同体で解決できる企業の課題

実践共同体で解決できる企業の課題には、「全社的な相互理解の促進」や、「組織の壁を超えた協業の生成」、「物事の変化に柔軟に対応できる自律型人材の育成」などが挙げられます。 実践共同体を通じて現場の知識を共有することで、メンバー間は課題に対するノウハウをより深く理解できるようになります。また、知識の共通の基盤を確立することで自発的な組織を生み出せるようになり、結果的に大幅な生産性の向上が見込めると考えられているのです。

 

02実践共同体の構造

実践共同体は必ず次のような3つの構造をもちます。反対にいえば、この構造を持たない共同体は、実践共同体ではありません。ここでは、実践共同体がもつ「領域」「コミュニティ」「実践」の、それぞれの特徴について説明します。

領域

実践共同体には、メンバーが相互に関心を寄せる特定の知識の領域があります。あるテーマや物事に対する共通の興味関心を持っており、それによって繋がっている集団であることから、領域は実践共同体の構造上、欠かせないものであるといえます。

コミュニティ

実践共同体には、ある「領域」についての考え方を共有しながら、その領域における問題を共に学び合い、解決していくコミュニティーがあります。そのため、共通する領域での興味や関心事に関して、会合やディスカッションなどの活動を通じて束ねられていることも特徴に挙げられます。信頼に基づく互恵的関係にあり、領域の物事に対して協働的に探求していく集団で、メンバー個々人の自発性が実践共同体の条件となります。

実践

実践共同体には、ある「領域」において、「コミュニティ」が実践的に生み出し、共有し、維持する特定の知識があります。また、参加者は実践者であるため、実践することそのものがコミュニティへの参加になります。そのため、実践共同体の価値を組織として価値に転換できるかどうかは、まず社内における見えない共同体を可視化することが非常に重要です。

 

03実践共同体をつくることのメリット

ここまでは、実践共同体の概要や、その構造について説明してきました。では、実践共同体をつくることで、企業はどのような恩恵を受けることができるのでしょうか。ここからは、実践共同体をつくることで得られるメリットを4つご紹介します。

助け合いの社内文化の醸成

実践共同体には、互いに助け合う文化を醸成する効果があります。実践共同体では、どうしたらもっと上手になれるか、どうすればもっと学びを深められるかを、メンバーが一丸となって考えます。その過程を経ることで、組織全体に普段の仕事でも協力し合おうという雰囲気、助け合いの精神が生まれるのです。

安心して失敗できる環境で学習できる

実践共同体には、往々にして「二次的意義」が生まれます。例えば、学習療法を学ぶうちに、他の技術や知識も学ぼう、あるいは今作業の現場で起きている問題を一緒に解決しようといったように、新たな目的を見出すことができます。 普段のビジネスシーンとは異なり、安心して失敗できる環境で学習を続けられることで、社員は新たな視点や考え方を養いやすくなり、自発的な考えや学びへの理解が深まります。

業務効率化のヒントを見つけられる

実践共同体では、「組織が望ましいと考えるのとは異なる見方・やり方・考え方」で物事に向き合うことがあります。このように、学びを深めるなかで、「組織はこうしなさいというが、本当はこのやり方のほうがいいのでは?」という発見が生まれるケースが決して少なくありません。これがイノベーションや業務効率化、組織の問題解決などにつながるケースも多く、回り回って組織やビジネスに変革を起こす可能性が高いのです。

社内人脈が広がり社内への帰属意識が高まる

さまざまな部門・階層からのメンバーが集うことで、新たな人的ネットワーク、新たなつながりがいくつもできるという点も実践共同体をつくることのメリットです。実践共同体に参加した従業員は、部署や職場の境界を越えやすくなり、互いに相談がしやすい環境を生み出せます。また、社内人脈が広がることで社内への帰属意識も高まり、組織力をさらに向上できる可能性が十分にあります。

 

04効果的な実践共同体の描き方

多くの実践共同体には決まったデザインというものがなく、いつの間にかできているという傾向があります。実践共同体には自然なライフサイクルがあり、コミュニティである必要性がなくなった時に終わりを迎えます。しかし現在では、実践共同体の有効性を維持し、改良するにはどのようにしたら良いかについての理論や研究が多く行われています。ここでは、効果的な実践共同体の描き方について詳しく解説します。

発展を狙った設計をする

まず重要なのが、そのコミュニティが無事発展していくことができるように、事前に設計を考えておくことです。その際には発展のコミュニティがうまくいくことを保証し、共通の関心領域から大きくぶれることなく、構成員の興味や関心を重視することが求められます

共同体内に公的な空間と私的な空間をつくる

公的な場での話し合いと同じように、より私的な個人またはグループでの活動を奨励することで、実践共同体は強化されます。例えば、個人単位で活動についてSNSで近況を公開することもあるでしょう。また、小規模なオンライン・コミュニティで生活区域や職場が近い者たち同士が非公式に対面で会う機会を設けようとするかもしれません。このように共同体内に公的な空間と私的な空間をつくることが、効果的な実践共同体作りに役立ちます。

業務中にはできない大胆な企画を取り入れる

共通の関心事や物事の捉え方に重点を置くだけでなく、話し合いや行動のために、大胆な視点や挑戦的な視点を取り入れることもおすすめです。参加者の探究心や好奇心をより追求できるよう、業務中にはできない大胆な企画を取り入れ、率先して参加できるような動機づけにつなげると良いでしょう。

具体的な行動目標を最後に決める

実践共同体では、参加者の時間的制約や興味関心が許す範囲の中で、参加者を定期的に結びつける活動や重点項目を決めておくことが求められます。そのため、活動時間や活動場所などをはじめとする具体的な行動目標を決定することも、実践共同体の運用に欠かせません。

 

05実践共同体を導入している企業事例

実践共同体を導入している国内企業はまだ少なく、具体的な活用方法がわからないという企業も少なくないことでしょう。そこでここからは、実践共同体を実際に導入している企業の事例を2つ紹介します。

富士ゼロックス

大手機械メーカーの富士ゼロックスは、新規ビジネス創出や社会課題解決などへの想いをもつ社員が、自ら手を挙げて具現化に向けて取り組む実践共同体の場「Virtua Hollywood platform(VHP)を設けました。 VHPの特徴としては、企業が打ち出した指針に沿って社員が活動するのではなく、社員が自発的に手を挙げ、自分の興味のあるテーマに取り組めることにあります。 これにより、メンバーの自発性や主体性を尊重しながら、組織から独立したチームとしてプロジェクトを実行することができています。 また、VHP参加者は、経営視点で新しい商品・サービスを生み出すための知見を深められ、さらに自己成長や働きがいを実感することができるようになったと話しています。

マッキンゼー

経営コンサルティング会社のマッキンゼーは社内の標語に「Don’t reinvent the wheel(自動車を発明しようとするな)」を掲げており、社内の知識を十分に生かすためのさまざまな取り組みを行っています。 具体的には、直近のプロジェクトや社内の研究活動の報告書などは、社内のPDネットというデータベースにまとめ、コンサルタントはそこからさまざまな事例やデータなどを収集・抽出・分析できる仕組みを作りました。 さらに、コンサルタント同士が直接連絡を取り合うためのネットワークも整備し、必要な情報について社内で知っている人がいたらすぐに相談できるデータベースも構築しました。 これにより、オンラインを活用しながら実際の文脈で役に立つナレッジを組織全体で共有できるようになり、より実践率の高い仕組みを構築することに成功しました。


 

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06まとめ

本記事では、実践共同体の概要やメリット、効果的な実践共同体の描き方について紹介しました。実践共同体はメンバーに心理的安全性をもたらし、自律的な学習への意欲を育成します。 ぜひ本記事を参考に、社内外で実践共同体を作り、より良い企業運営へとつなげてください。

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  • 登壇者:越川 慎司様
    株式会社クロスリバー 代表取締役

    ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。

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