デジタライゼーションとは?DX推進に不可欠な従業員教育を解説
身の回りのあらゆるものがデジタル化される昨今、「デジタライゼーション」という言葉を耳にすることも多くなりました。 日本語に直訳すると「デジタル化」という意味になりますが、この言葉はもう少し深い意味をもつようです。 当記事では、DXにおけるデジタライゼーションの位置づけと、DX推進に不可欠な要素について解説します。
- 01.デジタライゼーションとは
- 02.デジタライゼーションが必要な理由
- 03.デジタライゼーションがもたらすメリット
- 04.デジタライゼーションの具体例
- 05.デジタライゼーションの進め方
- 06.デジタライゼーションを推進するためのポイント
- 07.Schoo for BusinessのDX研修
- 08.まとめ
01デジタライゼーションとは
デジタライゼーション(Digitalization)とは、日本語の直訳では「デジタル化」という意味になります。しかし、実際には単なるデジタル化ではなく、デジタル化により新たな価値を生み出すことを指して使われる言葉です。 デジタライゼーションには3つの側面があります。
- ・既存の製品やサービスにデジタル技術を付加し、価値を高める
- ・業務プロセスのデジタル化により業務改善を図る
- ・従来のITプラットフォームを整備する
このようにデジタライゼーションは、デジタル化することで得られるメリットや価値までを含めたニュアンスで使われます。 また、デジタライゼーションは、DX推進の前段階の重要なステップと位置づけられているのです。
デジタイゼーション・デジタルトランスフォーメーションとの違い
ここで混同しがちな用語を整理しておきましょう。よく似た言葉として、「デジタイゼーション」と「デジタルトランスフォーメーション」があります。それぞれ意味は異なりますが、「デジタイゼーション」と密接な関係にあります。 言葉の意味と、それぞれの関係について解説します。
デジタイゼーション
「デジタイゼーション」はこれまでアナログで行っていた業務を、「デジタルに置き換える」行為そのものを意味します。 例えば、紙の資料をPDFに電子化する、対面の会議をオンライン化するといったことがデジタイゼーションです。 デジタイゼーションは、デジタライゼーションのさらに前のステップといえるでしょう。
デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を用いて生み出した付加価値により、市場における競合優位性を獲得することです。 デジタル化の最終目標といっても良いでしょう。 このデジタルトランスフォーメーションの実現のために、前段階のデジタライゼーション・デジタイゼーションが必要になるのです。
02デジタライゼーションが必要な理由
企業において、デジタライゼーションが必要とされるのには、いくつか理由があります。 どのような背景があるのか、企業活動だけでなく、国が推進する外的な要因等も含めて解説します。
「2025年の崖」の存在
「2025年の崖」とは、企業がDXを推進できなかった場合、2025年以降の国内産業に1年間あたり、最大12兆円の経済損失を生じる可能性があるという政府の予測です。 デジタライゼーションに取り組めていない企業は、あと数年でこの12兆円の経済損失の一部を担うことになるわけです。 デジタライゼーションが進まないのは、既存システムとの兼ね合いや現場からの抵抗など、さまざまな理由があるのかもしれません。 しかし、そのような状態が続けば、大きなデメリットを被ることは避けられないでしょう。
DXを実現し競争力を獲得するため
DXを実現させることで、市場における優位性を確保できます。 DXの推進により、競合他社より優れた製品やサービスを展開し、あらたなビジネスモデルを構築しているかもしれません。 DX実現のためには、デジタイゼーション・デジタライゼーションが不可欠なステップです。競争力を強化するための取り組みとして、早急に手をつける必要があるのではないでしょうか。
ビジネスチャンス拡大のため
デジタライゼーションをきっかけに、自社の製品やサービスの価値が向上すれば、新たな市場を開拓するチャンスにつながるかもしれません。 また業務の効率化が実現すれば、リソースを新規事業に振り分けることもできます。 デジタライゼーションに取り組み、DXを推進することで新たなビジネスチャンスを得る可能性も高まるのです。
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03デジタライゼーションがもたらすメリット
ここではデジタライゼーションが、事業活動にもたらすメリットを見ていきます。競争力強化に欠かせない取り組みであるため、どのようなメリットがあるのか理解しておきましょう。
新たな付加価値の創造
自社の主力製品の製造過程や、サービスの提供過程をデジタル化することで、これまでの事業活動に大きな変化をもたらします。 デジタライゼーションに取り組んだ結果、新たな付加価値を消費者に提供することにつながり、企業としての競争力は強化されるのです。
業務効率化
既存の業務をデジタル化するだけでも、業務効率化が図られコスト削減が実現できます。ヒューマンエラーによるミスも起きにくくなり、チェックコストも削減できるでしょう。 デジタライゼーションを推進することで、業務プロセスの見直しも図れます。さらに効率の良い事業運営が実現できるのではないでしょうか。
DXが推進される
デジタライゼーションの取り組みにより、DXが推進されることが何よりのメリットです。 将来にわたる競争優位性を確保するには、DXの推進が不可欠であることは先に述べました。 また、デジタライゼーションで現状を見直すことで、組織のあり方や業務プロセスの課題が発見でき、組織強化につながることも期待できるでしょう。
04デジタライゼーションの具体例
デジタル化により、大幅な業務効率化や精度の向上が図られ、空いたリソースを有効活用できるようになります。ここでは業界や業務別でデジタライゼーションの具体例について見ていきます。
業界別の具体例
業界別のデジタライゼーションの具体例として、物流業界、製造業、小売業が挙げられます。それぞれについて、以下でご紹介します。
物流業界
物流業界では、送り状の発行や検品ピッキングなど、それぞれの業務プロセスで個別のシステムが導入されるケースが多くありました。しかも、システムの管理は連動しておらず、データの共有ができない状態でした。 デジタライゼーションにより、複数の業務をワークフローに落とし込むことで、最初に入力したデータで、配送完了までの一連の処理を管理できるようになります。 その結果、個別の荷物の状況がリアルタイムに把握できるようになり、業務効率化が推進されています。
製造業
製造業では、製造工程をいくつかのポジションに分け、それぞれに機械化を図る企業が多かったようです。しかし、ポジションごとの管理では、製造中の情報を別の管理システムに入力するといった手間が発生していました。 各ポジションの機械をIoT化し、ネットワークでつなぐことで、すべての製造工程を常に可視化できるようになります。顧客からの受注単位で、製品が今どの段階にあるのかリアルタイムに把握でき、生産管理の精度が飛躍的に向上しました。
小売業
商品の発注は担当者の経験や勘で行われ、ときに過剰在庫や機会ロスが発生していました。 POSレジを導入することにより、詳細な販売データを蓄積できるようになります。 データを元に販売動向を分析すれば、商品ごとの売上予測が可能になります。 これに自動発注の仕組みを加えることで、より精度の高い商品管理が実現し、欠品や余剰在庫の発生は限りなく抑えられるでしょう。
業種別の具体例
業種別のデジタライゼーションの具体例として、経理業務、契約締結業務が挙げられます。それぞれについて、以下でご紹介します。
経理業務
経理業務においてデジタル化以前は、伝票や領収書といった紙の帳票をエクセルで管理する手法が多かったようです。煩雑な手入力によるミスや、システム間でデータが流用できないといった問題もありました。 取引の発生から会計処理、決算までを一連の流れで自動処理するワークフローを構築することで、大幅な業務効率化が図られます。 手入力による手間とミスが削減されるだけでも、担当者はより付加価値の高い業務に専念できるようになるでしょう。
契約締結業務
契約の締結では、社印による押印なども含めて、原則書面でのやり取りが必要でした。しかし、法令で書面が要求されていないこと・要求されても電子化を認める別規定があるなど、一定の条件を満たせば、電子署名による電子締結が可能になりました。これにより、契約書を紙で保存する手間が省けたり、契約締結までのプロセスを効率化することができています。
05デジタライゼーションの進め方
デジタライゼーションを社内で浸透させるためには、大まかに以下のフローで進めていきます。
- ・業務プロセスの可視化
- ・デジタル化が必要な業務を洗い出す
- ・デジタル化の方法を検討する
- ・デジタル化の方法を実行・効果検証
業務プロセスの可視化
業務プロセスの可視化は、デジタライゼーションを進める上で重要なステップです。可視化されることで、現行の業務フローを明確に把握し、改善点を特定することができます。業務プロセスを可視化するためには、インタビューや観察を通じて関係者とのコミュニケーションを図り、フローチャートやプロセスマップを活用してプロセスを視覚的に表示します。
デジタル化が必要な業務を洗い出す
デジタル化には優先順位が必要です。デジタル化が必要な業務を洗い出すためには、業務プロセスの全体像を把握し、現行の課題や問題点を明確にします。次に、効率化や生産性向上、情報共有の必要性など、デジタル化によって得られるメリットを考慮しながら、デジタル化が最も効果的な業務領域を特定します。
デジタル化の方法を検討する
デジタル化の方法としては、IoTやRPAツールの導入などが挙げられます。デジタル化の方法を検討する際には、、目標や要件を明確に定義し、デジタル化の目的に合わせて最適な手法を選択します。システムの導入や既存システムの改良、外部ベンダーとの協力など、複数のアプローチも必要となってきます。また、コストやリソース、導入期間などの制約事項も考慮し、最適なデジタル化手法を選びます。
デジタル化の方法を実行・効果検証
デジタル化の方法を計画を立てて実行に移します。システム導入やプロセス改善のためのリソースや予算を確保し、関係者を巻き込んだチームを編成します。また、変更管理やトレーニング、コミュニケーションの強化など、デジタル化に伴う変化を管理・推進します。最後に、実施後の評価や改善策の検証を行うことが重要です。
06デジタライゼーションを推進するためのポイント
デジタライゼーションを社内で推進していくためには、どのようなポイントを抑えておくことが必要なのでしょうか。ここでは、2つのポイントについて解説します。
スモールスタートで開始する
デジタル化の方法を実行する際には、段階的なアプローチを取ることが重要です。大規模な一斉導入ではなく、一部の業務領域やプロセスから始め、結果を評価しながら徐々に拡大していく方法が効果的です。その中で、進捗や成果を定期的にモニタリングし、必要な修正や追加の改善を行うことも重要です。
従業員のデジタルリテラシーを向上させる
従業員のデジタルリテラシーの向上は、デジタライゼーションの成功にとって不可欠です。具体的には、デジタルツールやシステムの使用方法や基本的なスキルを学ぶための教育・トレーニングプログラムを導入、 デジタルに関する質問や問題に対して、専門的なサポート体制の整備などが挙げられます。また、デジタルリテラシーを向上させるためには、組織全体でのデジタル文化の醸成が必要です。上層部のリーダーシップや役員の関与、デジタルを活用した業務プロセスの成功事例の共有などを通じて、従業員がデジタルに積極的に関与する環境を作りましょう。
07Schoo for BusinessのDX研修
オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約8,500本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,500本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
DX研修では、診断結果から自動で学習内容を推奨してくれる機能だけでなく、実務で使えるスキルを身につける3ヶ月の学習プログラムまで用意しており、組織全体のDXスキルを底上げすることが可能です。
特長1. DXスキルを診断・結果に応じて学習のレコメンド
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特長2. 実践的なDXスキルが学べる
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08まとめ
DXを推進し競争優位性を確保することは、企業の存続に欠かせない課題です。そして、デジタライゼーションは、DX推進に欠かせないプロセスです。 しかし、従業員のデジタルリテラシーが低い場合は、スムーズに進まないことも考えられます。対策は、まずはデジタル化のメリットを実感してもらうことです。 そのためには、デジタル技術への抵抗感を薄める、普段からの従業員教育が必要となるでしょう。
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経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。
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登壇者:金杉 祥平様経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)
2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。