デジタライゼーションとは?DX推進に不可欠な従業員教育を解説

身の回りのあらゆるものがデジタル化される昨今、「デジタライゼーション」という言葉を耳にすることも多くなりました。 日本語に直訳すると「デジタル化」という意味になりますが、この言葉はもう少し深い意味をもつようです。 当記事では、DXにおけるデジタライゼーションの位置づけと、DX推進に不可欠な要素について解説します。
01デジタライゼーションとは
デジタライゼーション(Digitalization)とは、日本語の直訳では「デジタル化」という意味になります。しかし、実際には単なるデジタル化ではなく、デジタル化により新たな価値を生み出すことを指して使われる言葉です。 デジタライゼーションには3つの側面があります。
- ・既存の製品やサービスにデジタル技術を付加し、価値を高める
- ・デジタル化により業務改善を図る
- ・DXの前段階としての位置づけ
このようにデジタライゼーションは、デジタル化することで得られるメリットや価値までを含めたニュアンスで使われます。 また、デジタライゼーションは、DX推進の前段階の重要なステップと位置づけられているのです。
02デジタイゼーション・デジタルトランスフォーメーションとの違い
ここで混同しがちな用語を整理しておきましょう。よく似た言葉ですが、意味は異なります。 しかし、この3つの言葉はとても密接な関係にあるようです。 言葉の意味と、それぞれの関係について解説します。
デジタイゼーション
「デジタイゼーション」はこれまでアナログで行っていた業務を、「デジタルに置き換える」行為そのものを意味します。 例えば、紙の資料をPDFに電子化する、対面の会議をオンライン化するといったことがデジタイゼーションです。 デジタイゼーションは、デジタライゼーションのさらに前のステップといえるでしょう。
デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を用いて生み出した付加価値により、市場における競合優位性を獲得することです。 デジタル化の最終目標といっても良いでしょう。 このデジタルトランスフォーメーションの実現のために、前段階のデジタライゼーション・デジタイゼーションが必要になるのです。
03デジタライゼーションが必要な理由
企業において、デジタライゼーションが必要とされるのには、いくつか理由があります。 どのような背景があるのか、企業活動だけでなく、国が推進する外的な要因等も含めて解説します。
「2025年の崖」の存在
「2025年の崖」とは、企業がDXを推進できなかった場合、2025年以降の国内産業に1年間あたり、最大12兆円の経済損失を生じる可能性があるという政府の予測です。 デジタライゼーションに取り組めていない企業は、あと数年でこの12兆円の経済損失の一部を担うことになるわけです。 デジタライゼーションが進まないのは、既存システムとの兼ね合いや現場からの抵抗など、さまざまな理由があるのかもしれません。 しかし、そのような状態が続けば、大きなデメリットを被ることは避けられないでしょう。
DXを実現し競争力を獲得するため
DXを実現させることで、市場における優位性を確保できます。 DXの推進により、競合他社より優れた製品やサービスを展開し、あらたなビジネスモデルを構築しているかもしれません。 DX実現のためには、デジタイゼーション・デジタライゼーションが不可欠なステップです。競争力を強化するための取り組みとして、早急に手をつける必要があるのではないでしょうか。
ビジネスチャンス拡大のため
デジタライゼーションをきっかけに、自社の製品やサービスの価値が向上すれば、新たな市場を開拓するチャンスにつながるかもしれません。 また業務の効率化が実現すれば、リソースを新規事業に振り分けることもできます。 デジタライゼーションに取り組み、DXを推進することで新たなビジネスチャンスを得る可能性も高まるのです。
04デジタライゼーションがもたらすメリット
ここではデジタライゼーションが、事業活動にもたらすメリットを見ていきます。競争力強化に欠かせない取り組みであるため、どのようなメリットがあるのか理解しておきましょう。
新たな付加価値の創造
自社の主力製品の製造過程や、サービスの提供過程をデジタル化することで、これまでの事業活動に大きな変化をもたらします。 デジタライゼーションに取り組んだ結果、新たな付加価値を消費者に提供することにつながり、企業としての競争力は強化されるのです。
業務効率化
既存の業務をデジタル化するだけでも、業務効率化が図られコスト削減が実現できます。ヒューマンエラーによるミスも起きにくくなり、チェックコストも削減できるでしょう。 デジタライゼーションを推進することで、業務プロセスの見直しも図れます。さらに効率の良い事業運営が実現できるのではないでしょうか。
DXが推進される
デジタライゼーションの取り組みにより、DXが推進されることが何よりのメリットです。 将来にわたる競争優位性を確保するには、DXの推進が不可欠であることは先に述べました。 また、デジタライゼーションで現状を見直すことで、組織のあり方や業務プロセスの課題が発見でき、組織強化につながることも期待できるでしょう。
05デジタライゼーションの具体例
次に各業界や業務におけるデジタライゼーションの具体例について見ていきます。 デジタル化により、大幅な業務効率化や精度の向上が図られ、空いたリソースを有効活用できるようになります。DXの推進が期待される業界をピックアップしてご紹介します。
物流業界
物流業界では、送り状の発行や検品ピッキングなど、それぞれの業務プロセスで個別のシステムが導入されるケースが多くありました。しかも、システムの管理は連動しておらず、データの共有ができない状態でした。 デジタライゼーションにより、複数の業務をワークフローに落とし込むことで、最初に入力したデータで、配送完了までの一連の処理を管理できるようになります。 その結果、個別の荷物の状況がリアルタイムに把握できるようになり、業務効率化が推進されています。
経理業務
経理業務においてデジタル化以前は、伝票や領収書といった紙の帳票をエクセルで管理する手法が多かったようです。煩雑な手入力によるミスや、システム間でデータが流用できないといった問題もありました。 取引の発生から会計処理、決算までを一連の流れで自動処理するワークフローを構築することで、大幅な業務効率化が図られます。 手入力による手間とミスが削減されるだけでも、担当者はより付加価値の高い業務に専念できるようになるでしょう。
製造業
製造業では、製造工程をいくつかのポジションに分け、それぞれに機械化を図る企業が多かったようです。しかし、ポジションごとの管理では、製造中の情報を別の管理システムに入力するといった手間が発生していました。 各ポジションの機械をIoT化し、ネットワークでつなぐことで、すべての製造工程を常に可視化できるようになります。顧客からの受注単位で、製品が今どの段階にあるのかリアルタイムに把握でき、生産管理の精度が飛躍的に向上しました。
小売業
商品の発注は担当者の経験や勘で行われ、ときに過剰在庫や機会ロスが発生していました。 POSレジを導入することにより、詳細な販売データを蓄積できるようになります。 データを元に販売動向を分析すれば、商品ごとの売上予測が可能になります。 これに自動発注の仕組みを加えることで、より精度の高い商品管理が実現し、欠品や余剰在庫の発生は限りなく抑えられるでしょう。
06デジタライゼーションを推進するためのポイントとは
デジタライゼーションは、DX推進に欠かせないプロセスであり、企業の競争力強化には避けて通れない課題です。 しかし、業務のデジタル化は、従業員の理解を十分に得なくてはスムーズに進められません。従業員の理解を得るには、デジタル技術を導入したメリットを実感してもらうことがポイントとなります。
RPAの導入
RPAのような業務効率化ツールを導入することも効果的です。RPAとは、これまで人間が直接パソコン上で行っていた業務を、デジタルロボットが代替してくれるものです。 定型業務や繰り返し行うルーティン作業を自動化するため、手間が大幅に削減され、担当者もメリットを感じるでしょう。
IoTの導入
IoTの導入により、業務プロセスの管理を自動化することも効果的です。 製造業などでは、これまで複数の人員で行っていた製造工程の管理を少人数、もしくは無人でできるようになります。 人手不足の問題に悩まされている企業では、ワークライフバランスが充実するメリットを得られるでしょう。
07デジタルリテラシー向上のための従業員教育とは
デジタライゼーションを推進するには、現場の従業員の理解を得ることが大切です。 しかし、一部では、従来のやり方に固執しデジタル化に抵抗を示す人もいます。 特に幹部クラスのデジタルリテラシーが低い場合は、デジタル化の推進は難航するでしょう。 こうした状況を避けるために、デジタルリテラシー向上を目的とした従業員教育は不可欠です。デジタル関連の資格取得の推奨や定期的な研修の実施など、日頃からの取り組みが求められるでしょう。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

08Schoo for BusinessのDX研修
Schoo for Businessでは約7000本を超える数の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自律学習推進を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自律型学習にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自律型学習には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自律型学習の双方の効果を得ることができるのです。
SchooのDX研修カリキュラム
Schooの数多くの授業の中にはDXが学べる授業も多くあります。ここでは、SchooのDX研修カリキュラムを紹介します。
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DXを推進する上で、ベースとなるビジネススキルの習得を目的とした研修パッケージです。
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DX人材となるために必要な基礎的なスキルや知識を学ぶことができる研修パッケージです。
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インターネットの仕組みから、情報セキュリティに関する知識を習得することを目的としたパッケージです。
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ただ数値を見てボトルネックを発見するのではなく、課題の本質を見抜くという点に焦点を当てた研修パッケージです。
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与えられた課題に対してそのまま実行に移すのではなく、一歩引いた状態で“与えられた課題の目的・背景”=Whyを考えられる能力を養うことを目的としたパッケージです。
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問題解決を目的としたデータ分析の方法や批判的思考法を学び、デジタル技術を組み合わせながら課題解決をどのように実施していくかを導き出す能力を養うことができます。
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DXを推進する上でのデジタル技術の基礎を学ぶことができます。IoT導入の担当者やDX推進プロジェクト担当者におすすめの授業です。
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DXを進める上で欠かすことのできない顧客理解・インサイトの見つけ方を習得することを目的としています。
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DXのプロジェクトを実際に推進していく人におすすめの研修パッケージとなっています。
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DXは1人では実現できず、チームとして着実に前に進めていく必要があります。この研修パッケージでは、チームとして生産性高く、イノベーションを起こしていく方法を学ぶことができます。
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デジタライゼーションに留まらず、本質的なDXを推進したいという方におすすめの研修パッケージです。
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プロジェクトマネジメントに必要なスキル・知識を体系的に学べる授業をまとめました。PMだけでなくチーム全員で研修を受けておくと、それぞれの視座も上がり、さらにコミュニケーションが円滑になるかもしれません。
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「じゃらん」や「ホットペッパー」などの事例を用いて、CRMの基礎からデータ分析の方法まで学ぶことができる研修パッケージです。
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DXを用いた新事業創造や、事業戦略の立案についてを学ぶことができるパッケージ
3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
09まとめ
DXを推進し競争優位性を確保することは、企業の存続に欠かせない課題です。そして、デジタライゼーションは、DX推進に欠かせないプロセスです。 しかし、従業員のデジタルリテラシーが低い場合は、スムーズに進まないことも考えられます。対策は、まずはデジタル化のメリットを実感してもらうことです。 そのためには、デジタル技術への抵抗感を薄める、普段からの従業員教育が必要となるでしょう。
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経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。
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登壇者:金杉 祥平様経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)
2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。