公開日:2022/03/11
更新日:2024/03/28

インフォーマル組織とは?結束力を高める組織作りの方法を解説

インフォーマル組織とは?結束力を高める組織作りの方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

会社を分析する際には、体制やルールなど公的な機能に着目することが多いですが、日々社員が業務する中では、明文化されていない様々なやり取りが発生しています。その一概念として「インフォーマル組織」という考え方があります。

 

01インフォーマル組織とは

インフォーマル組織とは、部署・事業場といった会社の制度上の統制に基づく組織(「フォーマル組織」)と対比して用いられる用語で、自然発生的に形成される人間関係やグループを表現するものです。 例えば、よく飲みに行く仲間のような緩い人間関係はイメージしやすいかと思いますが、名称や会則を持つ社内クラブのような組織についても、自然発生的にグループが形成されるという点では、インフォーマル組織に分類できます。

 

02インフォーマル組織が注目される背景

昨今、この「インフォーマル組織」、あるいは、その組織内で行われている非公式なコミュニケーションに注目が集まっています。理由は、コロナウィルス感染症の流行です。 テレワークの増加により、今までオフィスで行われていた対面コミュニケーションが減り、趣味や会食等の仕事外で非公式に集まる機会が少なくなりました。こうした非公式な接触はフォーマル組織の活動を補完する重要な役割を持っていましたが、それが失われてしまったのです。

 

03インフォーマル組織のメリット

注目をされているインフォーマル組織を導入することで、組織にはどのようなメリットがあるのでしょうか。社内のゆるいつながりから、その自主性を尊重することによる効能は多くあります。どのようなメリットが想定されるのか、確認していきましょう。

社内の風通しが良くなる

インフォーマル組織により、日々のやり取りが円滑になります。理由は、一緒に仕事を行う仲間の性格をより深く知れるからです。また、小さなトラブル報告などのホウレンソウ(報告・連絡・相談)も漏れなく行われるようになります。わざわざ上司に相談しなくてもと思うタイミングでも、日ごろからコミュニケーションが取れていると、しっかり行われるようになり、あとから実は大きなトラブルの種だったということがなくなります。

新しい人間関係の構築

インフォーマル組織は通常の組織編成では、つながらないような人たちを結びつけることができます。結果、複数の部署で共同して、課題を解決したり、勉強会をしたりというきっかけになります。例えば、社内の部活動では活動中や打ち上げなど、必ず会話の場があり、そこでは必ず仕事の話が出てくるものです。こうした機会は、それらの課題を共有する場になります。

業務効率の改善

普段は知らない同僚の為人をインフォーマル組織を通じて知ってもらうことで、会社に対する好印象を持ってもらい、業務へのモチベーションアップ・業務効率の改善につなげることができます。 実際、MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏は自身の研究から、「関係の質」が「結果の質」につながる「成功の循環」というモデルを提唱しています。

従業員の悩みが解消される

インフォーマル組織は、社員の悩みを解消することに寄与します。普段、平常業務に取り組んでいるなかでは、悩み事は、なかなか同僚には打ち明けられないものですが、インフォーマル組織を通じて、そうした気持ちを吸収することができます。 よくある悩みとしては、転職や家庭事情がありますが、転職であれば異動の検討、家庭事情であれば働き方の変更など、企業側の努力で解消・緩和することができる可能性があります。また、リモートワークが増える昨今、特に一人暮らしをしている社員のメンタルケアは重要な課題となっていますが、その課題にも寄与するはずです。

新しいアイデアの創出につながる

インフォーマル組織は、新しいアイデア創出に必要なプレッシャーのない環境を生み出すのに一役買います。業務上の信頼関係というのは平常業務を通じて培われるものですが、インフォーマル組織も補完的な役割を担うからです。日々の会議等でアイデアを求めていても出てこない場合、アイスブレイクをしたり、議論のルールを決めたりすることも大切ですが、本当に組織に信頼関係があるのか見直してみることも大切です。

 

04インフォーマル組織のデメリット

インフォーマル組織を実践することによって、従業員の自主性を重んじたメリットがうまれる反面、それに伴うデメリットが生じることも少なくありません。どういったデメリットが想定されるのか、確認していきましょう。

仕事に集中しづらくなることも

他者のモチベーションを下げる発言や、個人を攻撃する発言が蔓延し始めると集団全体のモラルが下がり、業務効率が低下する場合があります。インフォーマル組織は、同じ会社内ということもあり、愚痴の吐き出し先になりやすいためです。うまく機能しているときには、良いアドバイスをもらえたり、気持ちの整理ができたり、プラスに働くこともありますので、両側面を押さえるようにしましょう。

上下関係の激化

実際の組織の序列とは関係のないところで生まれる上下関係は、業務の妨げになることがあります。例えば、管理部門に所属している方は経験があるかもしれませんが、仲が良いことを盾に、社内ルールや締切から外れた申請を無理やり通そうとする社員がいるかもしれません。属人的にならない業務設計を心がけましょう。

個人の意見が尊重されにくい

インフォーマル組織では、同調圧力が働きやすく、時に個人の意見が軽視されがちです。なぜなら、そもそも会社の同僚という集団が、そのミッションや文化を共有するが故に、同質性の高い集団であり、その中で自発的に似たような嗜好によって形成されるインフォーマル組織は、より同質性の高い集団になるからです。極端な場合には、ハラスメントにつながる危険性もありますので注意してください。

 

05社内におけるインフォーマル組織の事例

社内におけるインフォーマル組織にはどのようなものがあるのでしょうか。どのような活動や取り組みがあるのか、その例をいくつか挙げて確認してきましょう。

雑談

雑談は非公式なコミュニケーション手段として、代表的なものになります。「組織」として形成されているわけではありませんが、自発的に形成されるものとして、インフォーマル組織とみなすことができます。 社内における雑談は、固定的なメンバーとのやり取りになりがちです。それを防ぐため、フリーアドレス(個人占有のデスクを設定せず、日ごとに社員が自由に作業場所を決める仕組み)を取り入れる、雑談用のスペースを用意するといった施策があり得ます。

社内クラブ活動・部活

社内のクラブ活動もインフォーマル組織の一形態です。趣味を軸に集まる組織ですので、多様性を持った組織になりやすく、新しいアイデアの源泉となります。しかしながら、普段業務をしているなかで、自然発生的に形成されるのが難しい組織でもあります。 会社として奨励したい場合には、部費の一部を援助したり、社内のポータルサイトで紹介したりするなどの施策も一例です。

飲み会・食事会

飲み会・食事会もインフォーマル組織のひとつです。こういう場では、社員の本音が出やすくなり、社員の悩みを受け止める機能として期待できます。普段は気の合う上司・仲間と行くことが一般的ですが、部署の活性化のために、会社として頻度・金額を決めて、懇親会費用を援助するような会社もあります。

 

06インフォーマル組織を効果的に取り入れるポイント

インフォーマル組織の導入にはメリットだけでなく、デメリットが生じる可能性があるため、その効果を発揮するためには運営するうえでいくつかポイントがあります。それぞれを確認していきましょう。

フォーマルとインフォーマルを使い分ける

フォーマルなコミュニケーションとインフォーマルなコミュニケーションを使いわけましょう。特に、業務を監督する管理職はついつい業務上の命令に関するやり取り(フォーマル)に注力しがちです。インフォーマルなコミュニケーションは、部下の仕事で困っていることや悩みをキャッチする機会でもありますので、そういったコミュニケーションが取れていない社員がいないか、定期的に振り返ってみましょう。

従業員が情報を発信できる場を作る

勉強会や社内SNS等、社員がラフに情報を発信できる場を作ることも大切です。特に、若手の社員は普段自身の意見を発信しづらい傾向にありますが、こうした場においては率直な意見を期待できます。既にこういう場があるのに、参加者が少ないといった場合には、こうした若手の社員も巻き込みながら場を作るとうまくいくことがあります。

オフィスの設計を工夫する

オフィスの設計を工夫し、会話が発生しやすい場を設計することで、社員のインフォーマルなコミュニケーションを促進することができます。 コロナウィルス感染症の影響でリモートワークが増えるなか、出社社員数の減少が進み、オフィスの縮小・移転が検討されやすいアジェンダとなっています。結果、オフィスの機能を見直す会社が増え、従来の「仕事をするための場所」から「創造的な発想を生み出すための基地」という役割がより重視されるようになってきています。


 

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07まとめ

コロナウイルス感染症の影響で、インフォーマル組織の機能は以前に比べて弱まっています。これを代替するために、意識的に社員同士の接触回数を増やしたり、代替するメディアを用意するなど、会社ごとに様々な施策が試みられ始めたばかりです。インフォーマル組織の果たしてきた役割を押さえたうえで、それを提供する場をどのように再構成するのかぜひ検討してみてください。

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    株式会社ZOZO 技術本部 技術戦略部 組織開発ブロック ブロック長 / 組織開発アドバイザー STANDBY 代表

    1998年に大学卒業後、味の素株式会社に入社し、営業マーケティングに従事。2006年にヤフー株式会社へ転職し、新規ビジネス開発・サービス企画のリリースを経験するかたわらで各種組織活性プロジェクトを推進。2016年に希望して人事部門に異動後、全社の人材開発・組織開発を担当。1on1ミーティングをはじめとしたピープルマネジメントツールの推進や管理職のマネジメント支援と並行して、現場の組織課題解決をサポート。2019年に個人での組織開発アドバイザリー事業と組織開発エバンジェリストとしての情報発信を開始。2020年に株式会社ZOZOテクノロジーズ(現・株式会社ZOZO)へ転職し、現在は全社およびクリエイター部門の人事企画・人材開発・組織開発に携わっている。

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