公開日:2022/03/11
更新日:2022/09/21

ジョブ・シェアリングとは?求められる背景と有効な導入方法を紹介

ジョブ・シェアリングとは?求められる背景と有効な導入方法を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業の新たな雇用形態としてジョブ・シェアリングへの注目が高まっています。本記事では、ジョブ・シェアリングの概要や、求められる背景、また有効な導入方法について解説します。これからジョブ・シェアリングを導入したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

 

01ジョブ・シェアリングとは

「ジョブ・シェアリング」とは、通常フルタイム勤務者一人で担当する職務を二人以上が組になって分担し、評価・処遇もセットで受ける働き方です。日本での事例はまだ少ないものの、欧米では多様な働き方のひとつとして広く認知されています。

ワークシェアリングとの違い

「ワークシェアリング」とは、仕事を分け合うことで、労働者一人あたりの負担を減らし、雇用を生み出すことを目的に行われる手法です。ジョブシェアリングは、ワークシェアリングに内包される考え方とされています。 ワークシェアリングには、労働者の雇用を守るために各従業員の労働時間を短縮する「雇用維持型」と、短時間勤務を組み合わせてより多くの雇用を作り出し、多様な人材を確保する「雇用創出型」の2種類があります。このうちジョブシェアリングは後者に該当します。

 

02ジョブ・シェアリングにおける労働条件

今後、同一労働同一賃金が義務づけられるとはいえ、安易にジョブ・シェアリングを導入することは賃金格差や待遇格差を生み出しかねません。正社員とアルバイトの格差を是正することは、ジョブ・シェアリングを導入する際の必須条件といえます。トラブルを事前に防ぐためにも、ここでジョブ・シェアリングをおける労働条件を確認しておきましょう。

賃金

ジョブ・シェアリング適用期間中の賃金については、賃金の性格を考慮しつつ、取り扱いを検討する必要があります。基本給については、制度適用者が勤務していない時間分をカットする事例が多いものです。 一方、成果に応じて支給されている賞与等については、成果をもって判断し、必ずしもカットしないという方針も考えられます。その他、家族、通勤などの手当がある場合は、支給の目的に照らして、それぞれの取り扱いを検討してみてください。

評価

ジョブ・シェアリングは、厳密には評価についても二人セットで受けるという働き方と定義されています。ただし、現実的にはペア二人の間の業務配分が偏ってしまう可能性もあります。そのため、実際の評価をどのように行うかは、担当者間で十分に検討する必要があります。

福利厚生

企業が従業員やその家族の健康や生活を向上させるために実施する施策である福利厚生については、各企業間で取り扱いが異なります。通常のフルタイム勤務者とジョブ・シェアリング利用者で、異なる取り扱いをすべきものがあるかどうか、あらかじめ整理しておきましょう。

社会保険

社会保険の適用は、原則として雇用関係と所定労働時間によって、区分されます。なお、正社員が一時的に労働時間を短縮する場合にも、被用者保険の適用から外されることはありません。雇用保険は、以下の2つの要件を満たせば全ての従業員に適用されます。 ・1年以上の雇用継続見込みがある ・1週間の所定労働時間が20時間以上

 

03ジョブ・シェアリングのメリット

ここまでは、ジョブ・シェアリングの概要や、その労働条件について説明してきました。 ジョブ・シェアリングの導入は、従業員だけではなく、企業にもあらゆるメリットをもたらせます。ここでは、ジョブ・シェアリングの実施によって得られるメリットを、企業側と従業員側の双方から解説します。

雇用の確保

求職者にとっては、ジョブ・シェアリングによって新しい仕事に就く機会が増えます。また、いま現在雇用されている従業員にとっては、労働時間は短縮されるものの、雇用は維持されるため、働き続けることができます。働く場所を確保できるということは、従業員にとっての何よりのメリットといえます。

労働時間の短縮

従業員数を増やして、一人ひとりの業務量を減らすことにより、長時間労働などのハードワークが改善されます。また、業務の整理を行って無駄な業務・会議などを減らすことで、効率を考えた職場環境の改善を行うことも可能です。

労働時間の短縮

ジョブ・シェアリングを導入することで、従業員一人あたりの業務量が減るため、各人が本当に重要な業務に集中できるようになり、生産性の向上にも期待ができます。さらに、従来であれば深夜残業や休日出勤をして取り組んできた仕事も、ジョブ・シェアリングによってスリム化されるため、人件費や光熱費などのコストカットにも効果的です。

従業員のストレスの軽減

労働者一人ひとりの「労働時間短縮」を実行し、従業員の精神的負担が軽減されると、気持ちに余裕ができ、仕事に対する意欲向上が期待できます。また、労働時間の短縮によりプライベートの時間が増えるため、モチベーションのアップにもつながります。

 

04ジョブ・シェアリングのデメリット

さまざまなメリットを得られるジョブ・シェアリングですが、導入にあたっては少なからずデメリットも存在します。ジョブ・シェアリングのデメリットについて理解が深まっていないまま導入を進めても期待通りの効果が得難いものです。ここからはジョブ・シェアリングのデメリットについて理解を深めておきましょう。

制度の再整備

多様な就業形態を取り入れる場合、社内の制度を再整備する必要があります。さらに、給与形態を変更しなければならない場合もあるため、あらゆる決定・実行に時間と手間がかかります。特に人事・経理担当者には、大きな負担が発生すると考えられます。

給与の減額

労働者の負担が減り、勤務時間が短くなることで、必然的に従業員が得られる給与は減額します。給与の減少については、従業員が強い抵抗を示す可能性がありますが、その分スキルアップの研修費用を会社が負担したり、副業を許可したりすることでカバーできるかもしれません。

給与計算の手間が増大する

給与計算は制度や雇用者数によって、計算方法が大きく変わる可能性があります。そのため、給与計算の手間が増大するケースは決して珍しくありません。「給与計算の方法が変更される」「労働者が増えるため、給与計算のボリューム自体が増える」などにより、従来以上に手間がかかる作業になることは、企業にとってのデメリットといえるでしょう。

 

05ジョブ・シェアリングを上手に取り入れる方法

ジョブ・シェアリングが近年注目されている理由やメリット・デメリットを理解しても、導入方法がわからないという人も多いのではないでしょうか。ここからは、ジョブ・シェアリングの具体的な導入ステップについて見ていきましょう。

ジョブ・シェアリングの運用マニュアルを作成する

ジョブ・シェアリング導入に向けて、責任者、運用方法、制度や福利厚生、教育制度など、これまでと変更になる点を整理し、従業員に共有するためのマニュアルを作成しましょう。マニュアルとともに、ジョブ・シェアリング導入の目的や背景、導入によって得られるメリットなどもきちんと説明することで、従業員の理解を得やすくなります。

ジョブ・シェアリングする業務を明確化する

ジョブ・シェアリングは、すべての業務に取り入れるわけではありません。なぜならば、プロフェッショナルな仕事や、一人で行ったほうが効率の良い業務なども存在するためです。複数人で分担することができそうな業務、誰がやっても同じクオリティを出せそうな均一化された業務などを洗い出し、ジョブ・シェアリングする業務を明確化します。

助成金をうまく利用する

日本ではジョブ・シェアリングを運用する企業に対し、国から助成金を受け取ることができます。ジョブ・シェアリングに関わる助成金は以下の2つです。 「時間外労働等改善助成金」 時間外労働改善助成金は、働き方改革に取り組む中小企業や小規模事業者が対象の助成金です。取り組む内容によって5つの助成コースに分かれ、適用条件もコースによって異なるため、詳しくは厚生労働省のホームページを参考にしてください。 「雇用調整助成金」 雇用調整助成金は、景気変動などの経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた企業が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成するものです。 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。

適切な評価を行う

ジョブ・シェアリングの運用がスタートしたら、定期的に導入効果を測定することも忘れてはなりません。振り返りを行うことで、更にスムーズに効果的に運用をしていくための改善点を見つけ、ブラッシュアップしていけるはずです。


 

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06まとめ

今後も少子高齢化が進めば、国内での経済活動は小さくなり、業績悪化の企業増につながる可能性が高いことが予想されています。こうした背景から、ジョブ・シェアリングを導入する企業はますます増えることでしょう。会社・従業員を守るためにも、ぜひ本記事を参考に、ジョブ・シェアリングを活用していただけると幸いです。

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    法政大学キャリアデザイン学部 教授

    一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数

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