公開日:2022/03/11
更新日:2022/08/29

バリュー評価とは?導入のメリットや企業事例を紹介

バリュー評価とは?導入のメリットや企業事例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

バリュー評価とは、従業員の行動を、企業の行動規範に照らして評価する人事評価手法です。本記事では、バリュー評価の定義や特徴、メリットや注意点を解説しています。また、実際の導入事例も紹介しているため、人事担当者はぜひ参考にしてください。

 

01バリュー評価とは

バリュー評価とは、企業が設定する「バリュー」をどの程度達成できたかという基準で評価を行う人事評価手法です。ここでいうバリューとは、企業の経営方針に基づいて従業員に求められる価値観や行動規範のことです。 従来の日本企業では、勤続年数が重視される年功序列制度や業務成績で評価を行う成果主義が採用されてきました。しかし、バリュー評価はこれらの評価姿勢とは全く異なる、新しい概念です。

コンピテンシー評価との違い

バリュー評価と類似した言葉に、コンピテンシー評価があります。コンピテンシー評価とは、社内で好業績を収めている従業員を「コンピテンシー」という名のモデルに設定し、コンピテンシーのような行動が取れているかどうかを基準とする手法です。 一方で、バリュー評価は企業のバリューに適合した行動が取れているかどうかを基準とします。そのため、バリュー評価とコンピテンシー評価は基準となる対象が異なります。

バリュー評価が注目される背景

バリュー評価は比較的新しい概念ですが、人事評価制度の一環として採用する企業が増えてきています。バリュー評価が注目を集める背景には、企業を取り巻く社会情勢の変化が存在します。 昨今においては、SNSの普及による顧客ニーズの多様化が、マーケットを急速かつ流動的に変化させています。このような状況では、急速に変化する社会情勢に柔軟に対応し、戦略的に新たな商品を開発していく姿勢が必要です。 企業の価値観を従業員が正しく理解できれば、全従業員が同じ方向を向いて、急速に変化する社会情勢に対応していく社内風土が醸成されると期待されます。そのための手段としてバリュー評価が有効であると考えられ、最近では注目が高まっているのです。

 

02バリュー評価の特徴

ここまでバリュー評価の概念を解説してきましたが、さらに理解を深めるため、バリュー評価の特徴を詳しく紹介します。バリュー評価に存在する「相対評価」「多面評価」「情意評価」の特徴について、解説していきます。

相対評価

バリューという概念には、営業成績のように定量的な判断基準が存在しません。そのため、絶対評価ではなく相対評価を行う特徴があります。バリュー評価では、他の従業員と比較して、どれだけバリューに沿った行動や業務が行えたかの観点で評価します。 定量的な判断基準が存在しないバリュー評価ですが、評価内容に説得力を持たせるためには企業独自のバリュー点数化といった工夫が効果的です。

多面評価

多面評価とは、評価者がひとりに限られず、上司や同僚、部下など複数の人物が評価を行う手法のことです。バリュー評価は明確な判断基準が存在しないため、公平かつ客観的な評価をするには、複数の評価者を設定する必要があります。 多面評価の採用によって、数値的な評価だけではなく、従業員一人ひとりの具体的な行動実績や成長課題が本人にフィードバックされる点が特徴です。その結果、従業員は自らの行動を客観的に振り返る貴重な機会を獲得できます。

情意評価

バリュー評価は、業績や能力ではなく、仕事に対する姿勢や意欲を評価する情意評価のひとつです。 企業は利益向上という最終的な目標があるため、仕事への姿勢だけではなく、従業員の業績や能力も重視する必要があります。そのため、バリュー評価は情意評価の一環として採用されていて、業績や能力への評価は別途行われるケースが多くなっています。

 

03バリュー評価のメリット

バリュー評価には、従来の人事評価制度にはないような画期的な魅力が存在します。バリュー評価の導入によって、従業員と企業側の双方にさまざまなメリットがもたらされるのです。 ここでは、バリュー評価の導入で期待されるメリットについて見ていきます。

労使間での価値観のミスマッチを防ぐ

バリュー評価では、企業が重視する価値観を明確にします。そのため、従業員が企業のバリューを正しく理解できて、労使間での価値観のミスマッチの防止につながるのです。 こうしたミスマッチの防止によって、自社のバリューを理解した人材の採用が実現し、入社後に価値観の不一致で転職してしまうリスクを減らせます。また、従業員が企業のバリューを正しく理解できれば、従業員同士の連帯感が向上して社内の雰囲気が良好になると期待できます。

組織力が強化される

組織力とは、ひとつの組織として団結し、同じ方向を向いて協力し合う力です。バリューへの正しい理解で従業員同士の足並みや方向性が揃えば、自社の組織力は大幅に強化されます。 その結果、従業員同士で協力し合って自発的に事業を進めるようになり、生産性向上がもたらされるはずです。組織力は企業の利益を大きく左右する要素であるため、大きなメリットであると言えます。

離職率が低下する

人材不足が問題となる昨今では、いかに従業員のエンゲージメントを高めて離職率を下げるかが、すべての企業の急務であると言えます。 ここまで説明した「労使間での価値観の一致」や「組織力の強化」は、従業員の自社への帰属意識を高める副次的効果をもたらします。従業員のエンゲージメントが向上すれば、自社への愛着が湧いて離職率が低下すると期待できるのです。

 

04バリュー評価の注意点

さまざまなメリットが存在するバリュー評価ですが、導入時にはいくつかのポイントに注意する必要があります。相対評価や多面評価というバリュー評価の特徴を踏まえたうえで、導入時に気をつけるべき点や対策の例を詳しく紹介していきます。

複数人の評価者を設定する

バリュー評価は、客観的に行える業績や能力の評価とは異なり、主観的な評価になりやすい傾向があります。そのため、ひとりの評価者による評価だけでは、従業員からの納得が得られず、バリュー評価導入による成果が十分に得られないおそれがあるのです。 バリュー評価の実施時には、上司や同僚、部下など幅広い立場の従業員に評価を依頼するようにしてください。

評価基準を明確にする

バリュー評価は数値での明確な評価基準がないため、評価者によって評価内容が大きく左右するおそれがあります。できるだけ公平な評価をするためには、バリューの項目ごとに5段階評価を行うなど、ある程度数値化した評価基準を設定するのがおすすめです。

従業員にバリューを正しく理解してもらう

バリュー評価の導入における最大の目的は、従業員へのバリューの浸透です。そのため、バリューの設定理由や背景、バリュー達成のメリットなど、バリューを取り巻く事柄をしっかり説明する場を設けてください。 こうした内容を従業員に正しく理解してもらうことで、従業員一人ひとりがバリューに沿った行動を自発的に行うようになります。

 

05バリュー評価の導入事例

バリュー評価は、現在大手企業からベンチャー企業までさまざまな企業で導入が広がっています。ここでは、バリュー評価を取り入れている企業について、企業ごとの工夫や実施内容の事例、導入の成果を解説していきます。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は、「課題解決」「フォーカス」「爆速」「ワイルド」の4点をバリューに設定してバリュー評価を行っています。評価項目は合計10個で、それぞれのバリューごとに2個ずつ、役職独自の項目が2個です。バリューを記載したカードを全従業員に配布したり、評価項目を絞り込んだりといった工夫で、バリューへの正しい理解を得ています。

ワイジェイカード株式会社

ワイジェイカード株式会社はヤフー株式会社の子会社で、親会社と同様にバリュー評価を導入しています。同社では定性的なバリュー評価に加えて、定量的な業績評価を取り入れて、これら2つを評価軸としています。バリュー評価の導入の結果、従業員におけるバリューへの理解度が大幅に向上しました。

Chatwork株式会社

Chatwork株式会社は、バリュー評価とOKRの組み合わせに成功した企業です。 OKRとは、企業全体の達成目標と成果を設定したうえで、チームや従業員個人の目標と成果に細分化していく目標管理手法です。同社では、「OKRを通してバリュー達成のためにどれだけ行動したか」という点を評価手法に盛り込み、コアバリューとOKRの相乗効果を生み出しました。

株式会社10X

株式会社10Xは、バリューの発揮度に合わせて従業員のグレードを設定し、給与を変動させる仕組みを取っている企業です。人事評価制度は、バリューの体現度向上のためのフィードバックの機会と考え、年に2回の面談を実施しています。 こうした本格的な導入の結果、従業員は日々バリューを意識するようになって、バリューが最も明確な基準として運用されています。


 

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06まとめ

急激に変化する昨今のマーケットに対応するためには、全従業員が企業のバリューを正しく理解して、同じ方向を向いて業務に取り組む必要があります。効果的にバリューを浸透させるためには、従業員の評価や処遇とバリューを関連付けて、バリューへの関心を高める方法が効果的です。 しかし、バリュー評価には情意評価であるが故のデメリットも存在しており、既存の人事評価制度との併用や組み合わせがおすすめです。企業全体の足並みを揃えて組織力を強化したい、バリューを従業員に浸透させたいと考える方は、バリュー評価の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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