公開日:2022/10/05
更新日:2023/02/02

エニアグラムをビジネスで活用する方法

エニアグラムをビジネスで活用する方法 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、注目を集めているエニアグラムですが、性格診断としてユニークな特徴があります。一般的な性格診断のように1つ1つの側面について測定するのではなく、診断を受けた人の人間性の全体像を知ることができます。その有効性により、エニアグラムはビジネスやコーチング、教育などさまざまな場面で使われるようになりました。 この記事では、エニアグラムとは何か、ということとともに、どのように生かせるのかを解説します。

 

01エニアグラムとは

エニアグラムとは、「円」「正三角形」「変六角形」の3つの要素で構成された幾何学図形(円周の上に9つの点を打って線でつないだもの)を指します。この図形をシンボルとして発展させた性格類型論が「エニアグラム」です。エニアグラムでは人間の性格を9つのタイプに分けて、その相互関係を図形の上に落とし込んで説明しています。

人間の性格をタイプ別に分けるというと、「外交的/内向的」「積極的/消極的」などのように特性因子を数量的に把握し、客観化したものを思い浮かべるかもしれません。しかし、エニアグラムでは9つのタイプごとに感情や行動のパターンなどをまとめて、人間の特性を網羅的に捉えていくのが特徴です。

エニアグラムは、自己や他者を理解するツールになります。ビジネスの場では、社員が自己理解を深めることで成長の後押しをしたり、管理職が部下のタイプを把握することでマネジメントに生かすなど、幅広く用いられています。

エニアグラムの起源

エニアグラムという言葉は、ギリシャ語からきています。「9」という意味をもつ「エニア(ennéa)」と、「図形」という意味をもつ「グラム(grámma)」の合成語で、「9つの点をもつ図形」を意味するのが「エニアグラム」です。

ギリシャ哲学にルーツがあるとされるエニアグラムですが、1960年代にエニアグラムの性格論は作られました。その後、アメリカを中心に広まり、心理学や精神医学の分野で研究されて理論を発展させています。

日本では1980年代後半に紹介され、1997年に出版された「9つの性格」はベストセラーになりました。現在は世界中に普及し、ビジネスや教育、コーチングなどさまざまな分野で活用されています。

エニアグラムの診断方法

グループワークを通してエニアグラムのタイプを診断するのが本来の方法です。グループワークの中で自分と他者との共通点や相違点を確認しながら、自己理解へとつなげます。インターネット上には多くのエニアグラム診断がありますが、こうしたオンライン診断は信頼性に乏しいと専門家から批判されることも少なくありません。

診断テストとしては、 「リソ=ハドソン式エニアグラム性格タイプ診断(RHETI)」が第三者機関による検証を受けた唯一のものとなります。しかし、この診断も絶対的なものではなく、結果は目安とされています。

9つの性格タイプ

前述したとおり、エニアグラムでは9つに性格のタイプを分けています。それぞれタイプごとに大きな違いはありますが、どのタイプが優れていてどのタイプが劣っているということはありません。それぞれの「違い」を把握することが、自己理解や相互理解の手助となるのです。

タイプ1:改革する人

タイプ1は、高い理想を持ち、その実現へ向けて努力をする完璧主義者です。一度決めたことは、困難なことがあっても乗り越えて実現していきます。その一方で、理想を追い求めすぎるあまり心身に負担をかけることも多いです。他者に助けを求めることが苦手なため、仕事を一人で抱えがちになってしまいます。

また、正直で公平公正な性格のため、他者から信頼を得ています。職業では、営業が適職です。顧客の信頼を勝ちとり、良好な関係を築くことができるでしょう。

タイプ2:人を助ける人

親切で困っている人を見過ごすことができないタイプ2は、自分のスキルや人脈を使って相手を助けようとします。優しい人柄で他者に対して寛容的です。

一緒にいる人の感情に敏感で、相手が自分に求めていることを理解することが得意です。そのため、初対面の人と接することに対して抵抗がなく、すぐに打ち解けることができます。組織の中ではメンバー同士のコミュニケーションがうまくいくように、潤滑油のような役割を担うことも多いです。

タイプ3:達成する人

タイプ1と同様に高い理想をもち、目標を達成する力があります。しかし、タイプ1が完璧さを求めるのに対して、タイプ3は結果を得ることを重視しています。また、タイプ1が一人で仕事をこなそうとするのに対して、タイプ3はまわりを巻き込んで動かしていくことができます。

成果を出すことに重きをおき、周囲を動かしていけるため、組織のリーダーになることも多いです。一方で成果を出さない人を切り捨てたり、自分の成果のためには人を道具のように扱うという欠点もあります。

タイプ4:個性的な人

感受性が豊かで、他者の心の機微に敏感です。いわゆる芸術家肌で個性を重んじます。好き嫌いがはっきりしていて、平凡で単調な仕事をすることが苦手です。人から押し付けられた仕事も自分が気に入らないと投げ出してしまうこともあります。しかし、興味や関心があることについては突き詰めていくため、知識が豊富で、その道の専門家になりえます。

多くの人と一緒にいることは嫌いですが、親しくなった人とは深い付き合いをしていけるでしょう。

タイプ5:調べる人

行動する前に情報収集し、分析してから動き出します。研究者のように自分が興味を持ったことは掘り下げて知識を習得していきますが、他者と共有することに意識は向きません。

結果よりプロセスを重視するため、自分が分析した内容を他者が利用して成功したとしても関心がありません。観察者のように俯瞰的に物事を見れるため、トップの参謀役などに向いています。

タイプ6:忠実な人

誠実でまじめな性格を持ち、周囲の人とうまくやろうとするタイプです。規律や規範に重きを置き、組織のルールに忠実に動こうとします。ルールを守る姿勢は、社員の模範となるでしょう。

しかし、失敗を恐れるゆえに、自分の判断ではなく組織のルールなど自分の外にあるものに依存しがちです。また、安全志向で慎重に考えすぎるあまり判断が遅れる傾向もあります。

タイプ7:熱中する人

人生を楽しみたいという欲望のままに、自分の興味があればすぐに行動するアクティブな人です。そのため、さまざまなことにチャレンジするので知識や経験が豊富で、聡明さがあります。

困難なことがあっても明るく振るまい、逆境でも前向きな気持ちにさせるムードメーカーです。一方で楽観主義が行き過ぎて問題を先延ばしにして、周囲が気づいたときには取り返しがつかない状態になっていることもありがちです。

タイプ8:挑戦する人

周囲に遠慮せず、はっきりものをいう自己主張が激しいタイプです。他者に支配されることをおそれており、自分の力を信じて道を切り開いていきます。その圧倒的な力は、周囲の人たちに大きな影響を及ぼします。

情に厚く自分を頼ってくる人には手を貸しますが、逆に自分を攻撃する人に対しては徹底的に抗戦します。

タイプ9:平和をもたらす人

穏やかで安定感があり、自分も他者も信じる寛容な心の持ち主です。争いを嫌って平和を望みます。落ち着いた人柄のため、周囲も安心して話しかけたり、相談したりすることができます。

気持ちの起伏がなくて表情が乏しいため、無気力と誤解されがちです。しかし実際は、想像力が豊かで創造的な仕事を成し遂げます。

9つのタイプを補完するもの

エニアグラムの9つのタイプは、一人ひとりが該当するタイプにピッタリと当てはまっているわけではありません。当然のことながら、一人ひとり違う性格をしており、その違いを生み出しているのがウイングと本能のバリエーションです。

ウイング

ウイングとは、エニアグラムの診断で9つのタイプに分かれた後の、それぞれ隣の要素のことです。隣以外の要素がウイングになることはありません。

たとえば、「タイプ1:改革する人」のウイングは「タイプ9:平和をもたらす人」または「タイプ2:人を助ける人」になります。タイプ1の人は、ウイングであるタイプ9またはタイプ2のどちらかの要素の方に向いているといわれています。ウイングがタイプ9とタイプ2の両方に向いていることはなく、必ず1つが選ばれています。

9つの性格タイプ×両隣の2つのウイングで、全18パターンに分かれます。ウイングが、どれだけ大きく影響を与えているかが性格の特徴となるのです。

本能のバリエーション

9つの基本タイプとは別に、3つの「本能」があります。つまり、9×3で27の性格のバリエーションがあるのです。本能とは、人間が生きていくうえでの根源的なエネルギーです。

本能は、動物と同じように生存に必要なもので、以下の3つになります。

  • ・自己保存的本能:生存や安全さなどを求める本能
  • ・性的本能:特定の個人との繋がりを求める本能
  • ・社会的本能:多くの人との繋がりを求める本能

誰もが3つの本能を備えていますが、どの本能が強く表れているか、その強さの順番が一人ひとりの個性に影響を与えています。また、その優位な本能が個人の興味関心などの特徴に表れます。

  • ・自己保存的本能が優位:効率性を重視する、お金の管理をちゃんとしたい
  • ・性的本能:集中すると他のことが見えなくなる、好きな人とは強い絆を結びたい
  • ・社会的本能:場の空気を読む、自分が属する組織に貢献したい
 

02エニアグラムの活用

ビジネスにおいてエニアグラムを活用することで、いろいろな効用を得ることができます。ここからは、エニアグラムがどういうふうに使えるかを見ていきましょう。

採用活動

同じタイプばかりが集まった組織というのは1つの視点しかないために、組織として欠けている観点ができてしまいます。そのため、往々にしてうまくいかなくなるものです。組織のメンバーを検討するときに、いろいろなタイプの人を集めるといいでしょう。

人材育成

個人の特性にあわせて育成できているか?そのことは、社員の育成において大きな影響があります。エニアグラムを使うことで、社員一人ひとりが何を目指した方がうまくいくのか、何に取り組んだら能力を伸ばすことができるのかが、分かることでしょう。

組織運営

上司が部下の性格や特徴が分からずに、うまくマネジメントできないという場面が起きてしまいがちです。エニアグラムを使えば、部下の性格や強み/弱みや、行動パターンなどを把握することができます。

チームビルディング

チームメンバーでエニアグラムの結果を見せあうことで、お互いのことを深く知ることができます。それはコミュニケーションをとるときに生かされ、信頼関係を構築することができるでしょう。


 

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03まとめ

ここまで見てきたようにエニアグラムによるタイプの把握は、自己理解や他者理解を促進します。そのことは、自分自身を成長させるためには何が必要なのか、どういう方向に向かえば自分の特性を生かせるかが分かり、人生を豊かにするでしょう。

また、周囲の人のタイプを知ることは、お互いが気持ちよく過ごしていくための手助けとなります。どのように働きかければ物事がうまく進むようになるか考えることができ、組織力の教科に繋がります。

人間関係に悩んでいる人や、どうかかわるのが相手とって良い結果を生むか分からない人は、エニアグラムを使ってみるのも1つの方法です。

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