公開日:2022/10/24
更新日:2023/02/02

ギャップイヤーとは?制度の意味からメリットまで詳しく解説

ギャップイヤーとは?制度の意味からメリットまで詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業の人事として仕事をしていると、ギャップイヤーを過ごした人と出会うことがあるかもしれません。この記事ではギャップイヤー制度の意味から、ギャップイヤーを過ごすメリットまで詳しく解説します。

 

01ギャップイヤーとは?

ギャップイヤーとは高校卒業から大学入学までの猶予期間を意味し、主に欧米の大学にて活用されています。ギャップイヤーは義務ではありませんが、その期間内に大学では得られない経験をすることが推奨されます。

大学が関与する場合としない場合の2種類があり、関与する場合は大学が企画したプログラムを選んで参加しますが、関与しない場合は学生が自主的に何をするのかを決めて活動するのです。

 

02ギャップイヤーの日本における現状

ギャップイヤーの日本における現状とは、どのようなものなのでしょうか。 その認知度と実際にある制度について深掘りしながら、解説します。

日本におけるギャップイヤーの認知度

2015年12月にEF留学総合研究所が自社のTwitterアカウントをフォローしている人を対象に行った調査によると、「ギャップイヤー」という言葉を聞いたことがある人は794名中20%にとどまりました。

また「ギャップイヤー」について説明できますかという質問に対し「説明できる」と回答した人は760名中14%だったのです。 このことから日本におけるギャップイヤーの認知度はかなり低いということがわかります。

▶︎参考:マイナビニュース「東大でも実施の「ギャップイヤー」、国内の認知度は20%に留まる」

日本の大学におけるギャップイヤー制度

2015年度に文部科学省では大学教育再生加速プログラム委員会において「大学教育再生加速プログラム」についての審査を行い、ギャップイヤーを行う12校の大学を重点的に支援すると決めました。

これによりギャップイヤー制度を導入した大学とその主な取り組みは次の通りです。

大学名 取り組みの概要
小樽商科大学 ・クォーター制の導入
・多様な長期学外学修プログラム(ブリッジプログラム)を実施
新潟大学 ・クォーター制の導入
・「地域」「産業界」「海外」における多様な学外学修プログラムを授業科目として単位化
神戸大学 ・クォーター制の導入
・国際的なフィールドにおいて多種多様な学外学修に取り組むプログラムを全学的に開発し「グローバルチャレンジ実習」として単位認定する
福岡女子大学 ・クォーター制の導入
・学びの気づき・習得・実践を支援する長期学外学修プログラムを導入
工学院大学 ・まず海を渡る「ハイブリッド留学プログラム」を独自開発し主体的な共同学修体験を積ませる
津田塾大学 ・学年歴の見直しとカリキュラム改善を行う
・学外学修センターを設置し学生が学外学修に取り組みやすい環境を整備する
文化学園大学 ・EBIT
・後期試験終了後(2月中旬)から春期休暇(3月中旬)までの1カ月あまりを「梅春学期」として新設
・梅春学期を中心として国内外での長期学外研修プログラムを導入する
武蔵野大学 ・全学4学期制導入とアクティブ・ラーニング(Teaching methodの改革)の、2つを軸に教育改革を加速させる
・長期学外学修プログラムは、産学協働で開発、改善を行う
東京工科大学 ・東京工科大学型コーオプ教育プログラム(学生の主体的学修を促すことを目的とした必修の教育プログラム)を実施する
浜松学院大学 ・8月および2月を「長期学外学修期間」とする
・地域課題をテーマにした長期フィールドスタディ・プログラム 「DiCoResプラス」を実施する
長崎短期大学 ・クォーター制の導入
宇部工業高等専門学校 ・学外学修のための導入教育として「地域教育」を履修した後に長期インターンシップ・海外体験プログラムに参加し、長期学外学修と地域教育の相乗効果をねらう

ギャップイヤーを学生が有意義に過ごすため、大学ごとにさまざまなプログラムや制度を準備しているのがわかります。

▶︎参考:文部科学省「平成27年度「大学教育再生加速プログラム」の選定状況について」

 

03ギャップイヤーの過ごし方

大学が関与しないギャップイヤーの場合、学生はそれぞれどのような過ごし方をするのでしょうか。

日本と海外にわけてご紹介します。

日本

2015年12月にEF留学総合研究所が自社のTwitterアカウントをフォローしている人を対象に行った調査によると、もしも大学卒業から入社までの期間が5ヵ月間あるとしたら何に取り組みたいかという質問に対し「海外留学」と回答した人が71%でした。

このことからギャップイヤー制度がもし日本にもっと浸透すれば、グローバル人材として活躍できる人が増えると予想されます。

▶︎参考:マイナビニュース「東大でも実施の「ギャップイヤー」、国内の認知度は20%に留まる」

海外

オーストラリアで行われた、ギャップイヤーでしたいことについて調査した研究によると、1位は海外旅行や留学で54%、2位は海外での就労で26%、3位がオーストラリアでの旅行と海外ボランティアが同率で23%でした。

この結果から、海外でも自分の住んでいる国以外の場所でさまざまな経験を積みたいと考えている学生が多いことがわかります。

▶︎参考:Global Mindset「ギャップイヤーとは?メリット【海外では40%の学生が取得を検討】」

 

04ギャップイヤーを取得した人材を企業が採用するメリット

ギャップイヤーを過ごした人材を企業が採用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。それぞれの詳細について解説します。

  • 1.入社後の離職率を抑えられる
  • 2.グローバル人材として活躍できる可能性がある
  • 3.課題解決に強い人材を採用できる

1.入社後の離職率を抑えられる

1987年から厚生労働省が毎年行っている新規学卒者の離職状況の調査結果によると、大学を卒業した人で3年以内に離職した人の割合は1987年では28.4%、2018年では31.2%で横ばいを続けています。

また2022年に新卒向け就職エージェントのcareer ticketが入社1年目の社員300名を対象に入社後の状況に関するアンケート調査を実施したところ、入社前後で仕事内容に関するギャップが「どちらかといえばあった」人が46.3%、「非常にあった」人が14.7%でした。これらのことから日本では新入社員が期待を持って企業に入社したにもかかわらず、入社前後で仕事内容にギャップを感じ、離職につながる現状が垣間見えます。

しかし、アメリカのギャップイヤー協会が公表している1997年から2006年までにギャップイヤーを経験した学生300人を対象に行った調査によると、ギャップイヤーを経験した学生のうち60%はギャップイヤーが自分のキャリア選択に影響を与えたと回答しています。

またギャップイヤーを経験した学生は、自分の選んだ仕事に満足している人が多いこともわかりました。 これらのことから、ギャップイヤーを経験した学生は自分に合った仕事を選ぶことができるため就職に対する満足度が高く、離職もしにくいことが予想されます。

▶︎参考:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」

▶︎参考:Leverages「新入社員の6割が入社後、『仕事内容』にギャップを感じている」

▶︎参考:アメリカギャップイヤー協会「ギャップイヤーの研究、データ、および利点」

2.グローバル人材として活躍できる可能性がある

2013年に公表された「ギャップイヤー白書2013」の中ではギャップイヤーの効用として、南アフリカの高度人材養成教育機関African Leadership Academy の「ギャップイヤー・プログラム」 に参加することで次のようなスキルが得られると紹介されています。

  • ・国際的視野
  • ・異文化コミュニケーション
  • ・言語能力

このことからギャップイヤーを経験することで、学生はグローバル人材として活躍するための基礎的な力を身に着けられると言えるでしょう。

3.課題解決に強い人材を採用できる

「ギャップイヤー・プログラム」 に参加すると他にも次のようなスキルが得られると紹介されています。

  • ・意志決定力
  • ・関係性構築力
  • ・問題解決力と独創性
  • ・組織力と責任力
  • ・チームワーク力と柔軟性

このことからギャップイヤーに参加した人は、周囲の人たちを巻き込みながら課題を解決できる能力が身に着くと言えるでしょう。

▶︎参考:ギャップイヤー・ジャパン「ギャップイヤー白書2013」

 

05企業としてギャップイヤーへの理解を深めるための方法

企業としてギャップイヤーへの理解を深めるためには、どのような取り組みをすればよいのでしょうか。効果的な2つの取り組みについて解説します。

  • 1.最新のギャップイヤーへの取り組みについて情報収集する
  • 2.ギャップイヤーについての研修や勉強会の実施

1.最新のギャップイヤーへの取り組みについて情報収集する

一般社団法人日本ワーキング・ホリデー協会のホームページではギャップイヤーの歴史から取り組み方まで、基本的な情報がわかりやすく掲載されています。またギャップイヤー・ジャパンの公式ホームページでは、今まで日本がどのようにギャップイヤーを推進してきたのかから個人のギャップイヤー体験談まで詳しく掲載されています。

このようなホームページを一例としてギャップイヤーについての情報を幅広く収集し、ギャップイヤーへの最新の取り組みを正しく理解することが大切です。

▶︎参考:一般社団法人日本ワーキング・ホリデー協会「ギャップイヤー」

▶︎参考:ギャップイヤー・ジャパン公式ホームページ

2.ギャップイヤーについての研修や勉強会の実施

情報がある程度収集できたら、社内でギャップイヤーについての研修や勉強会を実施するのもおすすめです。 これにより従業員がギャップイヤーを経験した新入社員を職場に迎え入れる際にどのような配慮をすればよいのか、またどのような教育に力を注げばよいのかが具体的にイメージできるようになるでしょう。


 

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06まとめ

ギャップイヤーとは高校卒業から大学入学までの猶予期間を意味し、義務ではありませんがその期間内に大学では得られない経験をすることが推奨されます。 より優秀な人材を採用するためにも、ぜひギャップイヤーについての理解を深めてみてください。

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