公開日:2022/11/01
更新日:2023/01/31

リエンジニアリングとは?定義からメリットまで詳しく解説

リエンジニアリングとは?定義からメリットまで詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

経営者が行う施策の1つとしてリエンジニアリングという言葉をよく聞くけれど、どのようなことをするのかイメージがわかないという人も多いのではないでしょうか。 この記事ではリエンジニアリングの定義から行うメリットまで詳しく解説します。

 

01リエンジニアリングの定義とは?

リエンジニアリングはビジネスプロセス・リエンジニアリングとも呼ばれ、ビジネスの過程に目を向けて既存のルールを見直し、新たなルールを再構築することを指します。 1993年にアメリカのマサチューセッツ工科大学のマイケル・ハマー教授と経営コンサルタントのジェイムス・チャンピ―の著作「リエンジニアリング革命」により提唱されました。 この本の中でリエンジニアリングは「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネスプロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」と定義づけられています。 定義の中に含まれる「根本的」「抜本的」「劇的」「プロセス」というキーワードにはそれぞれ次のような意味があります。

キーワード 意味
根本的 ・企業における組織や業務の大元になる部分から見直すこと
抜本的 ・組織や業務において古くなった慣習や要素を捨てること
劇的 ・大きく改善すること
プロセス ・顧客にとって価値のあるアウトプットを生み出す過程

リエンジニアリングを成功させるためには、この4つのキーワードを含めた改革が必要です。

リエンジニアリングとリストラクチャリングの違い

リエンジニアリングとリストラクチャリングはどのような違いがあるのでしょうか。 リエンジニアリングとリストラクチャリングは共に経営の立て直しのための施策の1つですが、リストラクチャリングは企業の価値を高めることを目的に、企業の改革や事業の再構築に取り組むことを指します。

例えば企業に不採算事業があった場合、不採算になった原因を考え管理方法や業務プロセスを見直すのがリエンジニアリングで、その事業自体を整理するのがリストラクチャリングです。

リエンジニアリングと業務改善の違い

リエンジニアリングと業務改善では次のような違いがあります。

  目的 特徴 対象 推進手法 速度
リエンジニアリング ・企業における目標達成 ・抜本的に改善する ・プロセスそのものを見直すので企業活動全体やバリューチェーンに及ぶ ・トップダウン ・一気に進める
業務改善 ・業務の効率化
・生産性の向上
・部分的に改善する ・プロセスはそのままで業務フローや部門単位で見直す ・ボトムアップ ・少しずつ進める

業務改善が大きく業務を変革するものではないのに対し、リエンジニアリングは抜本的に業務の過程を見直すため、高度で専門的な知識が必要な場合が多く、外部の専門家への依頼が必要となる場合もあるでしょう。

 

02リエンジニアリングへの取り組みの現状

日本では、リエンジニアリングにどのように取り組んでいるのでしょうか。

2014年3月に株式会社日本能率協会コンサルティングが日本の国内企業89社を対象に行ったビジネスプロセス・リエンジニアリングに対する実態調査では、77%の企業がリエンジニアリングに取り組んでいると回答しました。 またリエンジニアリングに成功した企業へそのポイントをたずねた所、「トップの強いリーダーシップの発揮」が82%、「進捗管理や途中での成果確認などのプロジェクトマネジメント」が64%、「プロジェクトの目的やゴールの明確化、関係者への継続的な周知」が55%という結果だったのです。 このことから日本では既に多くの企業がリエンジニアリングに取り組み、成功している企業は経営層が積極的にリーダーシップを発揮し、適切なタイミングでプロジェクトマネジメントを行ってきたことがわかります。

▶︎参考:株式会社日本能率協会コンサルティング「BPR(業務の抜本的改革)に対する実態調査報告書」

 

03リエンジニアリングを行うメリット

リエンジニアリングを行うメリットとして、以下の5つを挙げることができます。 それぞれの詳細について解説します。

  • 1.生産性が向上する
  • 2.意志決定が早くなる
  • 3.業務の見える化ができる
  • 4.従業員満足度が向上する
  • 5.顧客満足度が向上する

1.生産性が向上する

リエンジニアリングでは組織全体で業務の過程を見直すことから、しなくてもよい分業や縦割り組織であることによって増えた余計な業務を見える化することができます。これにより日常業務が効率化するため、生産性を向上させることができるでしょう。

2.意思決定が早くなる

リエンジニアリングでは組織体制も見直されるため不要な部署、チーム、ポジションがなくなります。このことから組織の意志決定が早くなり、従業員のコミュニケーションの活性化にもつながるでしょう。

3.業務の見える化ができる

リエンジニアリングでは業務の過程を見える化するので、業務フローの最適化ができます。これにより新たな価値や付加価値を創出できるため、顧客に提供できる商品やサービスの品質が向上するでしょう。

4.従業員満足度が向上する

リエンジニアリングでは業務が効率化し生産性が向上するため、働き方改革の促進にもつながります。従業員のワークライフバランスを整え、多岐にわたる働き方を柔軟に受け入れられる組織作りができるでしょう。

5.顧客満足度が向上する

リエンジニアリングにより商品やサービスの質が高くなると、顧客満足度を向上させることができます。顧客満足度を高めることでリピートしてくれる顧客も増え、企業としての成果がさらに上がりやすくなるでしょう。

 

04リエンジニアリングの5つのステップ

リエンジニアリングは、どのような段階を踏んで進めれば良いのでしょうか。以下では、具体的な5つのステップにわけて解説します。

  • 1.検討
  • 2.分析
  • 3.設計
  • 4.実施
  • 5.モニタリング・評価

1.検討

検討の段階では次の2つのことを行います。

検討の段階ですること 概要
目的と目標の設定 ・経営層、階層の異なる従業員に改善点をヒアリングする
・内容をまとめて目的や目標を設定する
対象とする業務範囲の設定 ・対象とする業務や範囲・単位を明確にする

リエンジニアリングを成功させるためには、対象とする業務範囲をなるべく具体的に設定することが大切です。

2.分析

現状の業務における課題を分析し、改善方法を検討する段階です。この時業務フローを作成し、業務量を可視化してみることと、業務の分担や役割を決定することが重要だと言えるでしょう。

3.設計

現状の業務における課題の改善に向けた戦略や方針を決める段階です。課題には優先順位をつけ、改善効果の高いことからそれにかかるコスト・労力も含めて検討し、業務プロセスを新しく設計していきます。この時にアウトソーシングできる業務がないかも同時に検討するようにしましょう。

4.実施

新しく設計した業務プロセスを実行する段階です。実施の前にはリエンジニアリングの必要性や目的を経営層から従業員にわかりやすく、丁寧に説明しましょう。大がかりな改革になるので中間目標などを定め、途中で効果を見直しながら進めていくことが大切です。

5.モニタリング・評価

新しく導入した業務プロセスに問題はないかモニタリングを行い、効果を測定します。問題があれば検討の段階に戻って原因が何かを見つけ、修正します。問題やリエンジニアリングの効果は各部門で共有することが大切です。

▶︎参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の国の行政組織への導入に関する調査研究」

 

05リエンジニアリングに用いるツールと手法

リエンジニアリングに用いるツールや手法には、どのようなものがあるのでしょうか。 ツール、手法は複数あるため、以下でその特徴に触れながら解説します。

ツール

リエンジニアリングに主に使用されるツールは次の通りです。

ツールの名前 概要
BSC ・バランススコアカードのことで、「財務」「顧客価値」「業務プロセス」「(人材の)学習・育成」の4項目から企業の業績を定義、マネジメントすることで経営状態を管理する
ERP ・財務や人事・顧客情報など企業の業務をサポートするシステムで、統合業務ソフトとも言われる
プロセスマッピング ・ワークフローやプロセスを図示することでプロセスマップ(フローチャート、プロセスフローチャート、ワークフローダイアグラム)を作成する

リエンジニアリングでは「分析」「実施」の段階でよく使われますが、他の企業活動でも使用されることがあるのを覚えておきましょう。

手法

リエンジニアリングに主に使用される手法は次の通りです。

手法の名前 概要
ABC分析 ・パレートの法則(80:20の法則)に基づいた分析手法で、複数のデータを重要度に基づいて分析していく方法
BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング) ・アウトソーシングの1つで、自社の業務プロセスを一括して外部の専門企業に委託する経営手法
シェアードサービス ・複数のグループ企業や事業部を持つ企業が、それぞれの間接部門(総務・経理・人事・法務など)を1ヵ所に集約すること
ナレッジ・マネジメント ・従業員が持つノウハウや経験、企業が持つ情報や知識を組織全体で蓄積・共有して、企業全体の生産性や市場での競争力、企業価値を高めていく手法
ベンチマーキング ・企業が商品やサービス、事業、組織、プロセスなどを他社の優れた事例と比較・分析し改善点を見出す手法

リエンジニアリングをするにあたって必ず全ての手法を用いなければならないということではなく、自社に合った手法を用いるのが望ましいことを覚えておきましょう。

 

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  • 代表取締役社長

    1968年生まれ。1992年、東京大学電気電子工学科 卒業。 同年、日本電気株式会社(NEC)に入社。 大規模プロジェクトのシステムエンジニア、プロジェクトマネージャを経験。2008年から全社基幹システム改革プロジェクトでのBPM(ビジネスプロセスマネジメント)方法論の設計と展開の責任者。 2010年、ドイツでの世界大会「プロセス・ワールド」でアジア初の「ビジネスプロセスエクセレンス賞」 受賞。 2014年からは全社業務改革プロジェクトの中核として創立されたNECマネジメントパートナーに出向、業務改革体系の企画・設計・展開の責任者。 2019年、株式会社カレントカラーを設立。

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07まとめ

リエンジニアリングはビジネスプロセス・リエンジニアリングとも呼ばれ、ビジネスの過程に目を向けて既存のルールを見直し、新たなルールを再構築することを指しますが、生産性の向上、従業員満足度や顧客満足度の向上などさまざまなメリットがあります。 リエンジニアリングについて理解を深め、自社に合った形で改革を進めてみてください。

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