アセッサーとは?導入の流れやメリット・デメリット、ポイントを解説

アセッサーとは、人事評価や査定を行う人のことを指します。元々は介護業界でよく使われる言葉ですが、近年は関連したアセスメントセンターなどが人事領域でも導入され、注目されています。本記事ではアセッサーとは何か、アセッサー導入の流れやメリット・デメリット、ポイントについて解説します。
- 01.アセッサーとは?
- 02.アセッサーを導入する流れ
- 03.アセッサーを導入するメリット
- 04.アセッサーを導入するデメリット
- 05.アセッサー導入を成功させるポイント
- 06.まとめ
01アセッサーとは?
アセッサー(assessor)とは、日本語で「評価や査定を行う人」という意味になります。人材の評価は上司が行うことが一般的ですが、アセッサーはマネジメントラインに関わらず「査定」を専門に担う役割で、それにより公平で客観的な評価を目指します。ビジネスにおいては管理職やマネジメント職の人を評価する立場として登用されることも多いです。また、介護業界でもアセッサーという言葉が多く使われています。会議業界では現場で働く介護職員のキャリアアップを推進するために、業務の状況を評価し、具体的なアドバイスを行う人を指します。最近では介護業界以外でもアセッサーを導入する企業が増えています。
アセスメントセンターとは?
アセスメントセンターとは、個人の能力や適性を査定するための手法で、具体的には研修や演習を用いてその中での行動から被評価者の査定が行われます。。客観的かつ公正な査定を行うための手法であり、主に部長や課長といったポジションの方を対象に行う場合が多いです。そして、アセスメントセンターで実際に評価を行うのがアセッサーです。アセスメントセンターは社内にアセッサーを設けて行う場合もありますが、アセッサーには専門的な知見が求められるため、アセスメントセンターは専門企業に委託することも多いです。
また、一口にアセスメントセンターといっても様々なやり方があります。対象者と面接を行ったり、対象者同士でグループディスカッションを行わせたり、簡単な演習を行わせたり、などが中心です。特に演習は管理職としての実践的なスキルを図ることができるため多く導入されています。
アセッサーの導入が注目されている理由
昨今、アセッサーの導入が注目され始めています。アセッサーはいわば人材評価のプロであり、客観的かつ多面的にその人材の査定を行えます。特にリーダーや管理職に求められる能力は複合的であり、適性や能力を正確に測定するのは難易度が高くなります。能力が不足している人材を重要プロジェクトのマネジメントに抜擢してしまうと、影響範囲も大きくなります。昨今、変化が激しい事業環境でスピーディにビジネスを展開していくために、適切な人材育成・配置を行う重要性は増しており、アセッサーの機能にも注目が集まっています。
02アセッサーを導入する流れ
アセッサーを導入し、実際に評価を行う流れは次の4つの流れに従って行われます。導入する流れを知ることで、アセッサーが企業にとってどのような役割を果たしてくれるかイメージしやすくなるでしょう。
- 1.評価項目を確定する
- 2.演習内容を決める
- 3.演習を実施する
- 4.結果の検証を行う
1.評価項目を確定する
まずは評価項目を設定する必要があります。評価項目はディメンションとも呼ばれており、アセスメントセンターを実施するうえで軸となるものです。どのような能力が求められるかは仕事内容によって異なります。例えばシステム開発担当者にはITスキルやロジカルシンキングが強く求められ、営業職ならセールストーク力、売上目標を達成させるための営業戦略の策定・実行が中心に求められます。世の中一般の職種に求められるスキルも加味しつつ、各部署やプロジェクトにおいてどのような能力が必要か明確にしておくことが重要でしょう。
2.演習内容を決める
続いて、評価項目に従って演習内容を決めます。アセスメントの演習内容の例としては、グループディスカッションやプレゼンテーションなどがあります。演習の具体的なタイムスケジュールも決めておくと良いでしょう。演習は管理業務に必要なスキルがより浮き彫りになりやすいものを選択する必要があります。また、極力公平性を持って評価できる演習であることも重要です。場合によっては複数の演習を組み合わせて行うことも必要かもしれません。
3.演習を実施する
続いて、演習を実際に行っていきます。ここで初めてアセッサーが評価を行います。アセッサーは演習内容をチェックし、評価項目に基づいて客観的に実力を判断します。評価内容および、個人個人の癖や言動などは報告書などにまとめて記載してくれます。
4.結果の検証を行う
演習終了後はアセッサーが結果の検証を行います。各社員の強み・弱みをフィードバックしてくれます。また、今後のスキルアップに向けたスキルアップガイドも作成してくれます。その後はアセッサーから得られた資料を元に上司と面談を行い、外部研修の実施などを検討したり、業務方法の改善方法を話し合ったりします。また、アセスメントセンターを管理職への昇格試験に活用する場合、アセッサーが誰が管理職にふさわしいのか候補を選択してくれます。以上がアセスメントセンターの基本的な流れとなります。
03アセッサーを導入するメリット
アセッサーを導入することは企業側・評価される側双方にメリットがあります。具体的には次の3つのメリットがあります。これら3つの事柄が課題と感じている場合は特に、アセッサー導入のメリットを享受することができます。
- 1.客観的評価が可能になる
- 2.評価される側の成長に繋がる
- 3.管理職選定の参考にできる
1.客観的評価が可能になる
外部のアセッサーに依頼することで、客観的評価が可能になります。直属の上司が評価を行う場合、どうしても先入観に引きづられてしまう場合があり、客観的な評価ができない恐れもあります。また、外部のアセッサーは評価のプロであり、各業務に一般的に必要なスキルを把握しているため、納得度の高い人材評価を行ってくれます。
2.評価される側の成長に繋がる
アセッサーを導入することで評価される側の成長に繋がるメリットもあります。アセッサーから得られたフィードバックを参考に、外部研修を選択したり自己学習を行ったりすることができます。また、自分の弱みを把握することで、苦手分野は頼るべき人に頼る選択も取れるようになります。会社の生産性アップを目指すうえで、従業員の弱点把握と克服は必要不可欠と言えます。
3.管理職選定の参考にできる
アセッサーからのフィードバックは管理職の選定の参考にもできます。マネジメント経験がない人を管理職に昇格させるか判断するのは難しいです。プレイヤーとして優秀でも管理職として優秀とは限りません。管理職の選定を自社で行うと、プレイヤーとして優秀だったことを重視しすぎてしまう可能性もあるでしょう。アセッサーに客観的に評価してもらうことで、管理職に適正かどうか判断できます。また、今後どのような活躍が見込まれるかも評価内容から予測することができ、適切な人材配置が行えるようになります。
04アセッサーを導入するデメリット
アセッサーを導入するデメリットについては、どのようなことが考えられるのでしょうか。デメリットは次の3つです。導入によっていくつかマイナス面の影響も考えられるため、そちらを踏まえたうえで検討・導入を進めると良いでしょう。
- 1.業務委託コストが発生する
- 2.演習のために時間を確保する必要がある
- 3.評価される側が納得するとは限らない
1.業務委託コストが発生する
外部のアセッサーに委託する場合、業務委託コストが発生します。評価される従業員数が多ければそれだけコストがかかります。コストが発生するからには「コストに見合うだけの成果を発揮する」という観点を持つことが大切です。導入前にどのような点を改善するのかなど、目的を明確にしておくことが重要と言えるでしょう。
2.演習のために時間を確保する必要がある
アセスメントセンターを行う場合、演習のために時間を確保する必要があります。一人ひとりのスキルを正確に判断するには、どうしても時間がかかります。また、評価項目を決めるための打ち合わせなどにも時間を取られることも留意する必要があるでしょう。
3.評価される側が納得するとは限らない
アセッサーに評価されるということに、必ずしも社員全員が納得するとは限りません。実際の現場についてよく知らない人に評価されることに不満を抱く方もいるかもしれません。アセッサーを導入する際は「外部の人に評価させることのメリット」をしっかり説明する必要があります。
05アセッサー導入を成功させるポイント
アセッサーをいきなり導入すると、戸惑う社員も多いことが想定されます。そのため、導入前に成功させるための2つのポイントをおさえておきましょう。
- 1.求めるスキルを明確化させる
- 2.アセッサーの必要性を社員に知らせる
1.求めるスキルを明確化させる
まずは各職種に求めるスキルを明確化させることが重要です。求めるスキルによって演習内容や評価項目が全く異なってくるためです。たとえば営業職にはコミュニケーションスキルやマーケティング能力、ストレス耐性など、求められるスキルは多々ありますが、それらが各キャリア段階においてどの程度重要か、5段階評価で星をつけていくと良いでしょう。
2.アセッサーの必要性を社員に知らせる
アセッサーを導入する前に「なぜ導入すべきなのか」を社員に周知することが重要です。社員の中には外部の専門家に評価されることに抵抗を抱く方もいます。評価に納得感がなくては、評価を参考にしてスキルアップや業務改善を行うモチベーションが沸かないでしょう。企業側だけでなく社員側にもアセッサー導入のメリットがあることを話すべきです。
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06まとめ
アセッサーを導入することで客観的に対象者のスキルレベルを判断でき、管理職に就くのに適しているかどうかなどの検討をすることが可能です。また、各社員の強み・弱みが可視化され今後のスキルアップにも役立つでしょう。アセッサー導入を行う場合、まずは各部署の対象者に求めるスキルを洗い出し、具体的な評価手法を検討していくことが肝心です。