公開日:2022/11/02
更新日:2023/01/31

プロセスマップとは?プロセスマップ作成の目的や作成手順を解説

プロセスマップとは?プロセスマップ作成の目的や作成手順を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織改編や業務改善などを行う際、実情が把握できていないということがあります。そのような場面で活用できるのが、プロセス全体を可視化する「プロセスマップ」です。本記事では、プロセスマップ作成の意味や目的、代表的な手法などについて紹介します。

 

01プロセスマップとは?

プロセスマップとは、あるプロセスの流れや手順を図式として可視化したもの、及びその手法のことです。一般的に、標準化されたルールやシンボルを用いて、プロセスの開始と終了の過程(手順、システム、意思決定など)を表現します。標準化したルールでプロセスを図式化することで、すべてのプロジェクトメンバーに対してプロセスを簡潔に伝えることが可能です。その結果、メンバー全員でボトルネックの特定やプロセスの改善に取り組めます。

業務フローとの関連性

業務フローとは、ひとつの業務の流れを図式化したものです。業務の内容や手順を正確に分かりやすく表現します。 一方で、プロセスマップはある業務プロセスの流れや手順を図式して可視化したもので、業務フローより大規模な業務の流れを表します。プロセスマップは組織全体の業務フローを関連付けて、全体の業務を階層的に図式化したものといえるでしょう。

ワークフローとの関連性

ワークフローは、業務フローと名称は異なりますが、大きな意味の違いはありません。ひとつの業務の内容や手順といった流れを図式化したものです。 そのため、ワークフローもプロセスマップを作成する際に関連付けされる、大切な構成要素となります。具体的には、受注、製造、販売のひとつひとつが業務フロー(ワークフロー)であり、一連の流れが業務プロセスと理解すると良いでしょう。

ロードマップとの関連性

ロードマップとは、プロジェクトの目標達成に向けて計画を立てるための工程表です。現状と目標のギャップから目標達成までの課題や行動目標を時系列やステップに分けて作成します。ロードマップの現状把握を行う際に、プロセスマップで全体のボトルネックとなる課題を抽出することで、目標達成に向けた効果的な行動目標を立てることが可能となります。

 

02プロセスマップを作成する目的

プロセスマップによって、プロジェクトを最初から最後まで視覚的に把握できれば、問題点や改善点をすばやく特定できます。ここでは、プロセスマップを作成する具体的な目的を、4つ解説します。

  • 1.業務手順や仕事の内容を可視化するため
  • 2.プロセスの細分化により課題を把握するため
  • 3.共通認識の醸成を図るため
  • 4.適材適所の人材配置で経営を効率化するため

ビジネスにおけるプロセスマップを活用する目的を、しっかりと理解しておきましょう。

1.業務手順や仕事の内容を可視化するため

プロセスマップを作成する大きな目的は、業務手順や仕事の内容を可視化することです。複雑なプロセスを決まったルールやシンボルで可視化することで、業務の流れや内容が明瞭に理解できるようになります。

これまで行っていたマニュアルなどの文字の羅列を読み解いたり、専門用語による複雑な説明を受けたりする必要がなくなります。また、業務プロセスを可視化することによって全体像を見渡せ、より広い視野で考えることが可能となるでしょう。

2.プロセスの細分化により課題を把握するため

プロセスマップを作成することによって、プロセスの細分化及びプロセス間の関係性も明確になります。プロセスの細分化により各プロセスの機能や役割がはっきりとして、課題を把握しやすくなります。また、細分化されたプロセスの関係性から、問題の因果関係が見えてきて、根本的な原因の特定につながります。その結果、原因となるプロセスにポイントを絞った効果的な対策を講じられるでしょう。

3.共通認識の醸成を図るため

プロセスマップによって業務手順や内容を可視化する目的として、共通認識の醸成を図ることもあります。これまで各部署の人がそれぞれのやり方や課題認識を持ちながら業務を行っていたとします。その結果、作業の重複や標準作業からの乖離など、さまざまな問題にもつながるでしょう。それらの作業や課題を可視化することで、共有の認識として捉えることが可能です。そのため、共通言語となるプロセスマップは、できるだけシンプルかつ正確に作成することが重要です。

4.適材適所の人材配置で経営を効率化するため

プロセスマップによるプロセスの細分化は、適材適所の人材配置で経営を効率化することにもつながります。大きく歴史の長い企業であればあるほど、プロセスは変わっても人材配置や組織構成が変わらず、プロセスと組織のギャップが生じることが多いものです。その結果、人員過剰の不要な組織が存在したり、人員不足で業務が回らなかったりする状況も発生します。現状のプロセスに即した組織・人員の配置をするためにも、プロセスを細分化して可視化するプロセスマップは有効です。

 

03プロセスマップの代表的な手法

プロセスマップを作成する際、用途に応じた作成手法や作成を助けてくれるツールがあります。次に、プロセスマップの代表的な手法や作成ツールを、5つ紹介します。

  • 1.ビジネスプロセスモデリング(BPMN)
  • 2.統一モデリング言語(UML)
  • 3.プロセスチャート
  • 4.産能大式フローチャート
  • 5.BPR+

それぞれの手法や作成ツールによって、特徴や用途はさまざまであるため、理解しておきましょう。

1.ビジネスプロセスモデリング(BPMN)

ビジネスプロセスモデリング(BPMN)は、ある業務における開始から終了までの一連のプロセスをモデル化するフローチャート手法です。具体的には、業務プロセスの完了までに要するステップや手順をフロー形式で図式化します。BPMNは、フローチャートの国際標準規格(ISO19510)となっているので、社内外、国内外問わず利用することが可能です。そのため、ビジネスアナリストや管理職、技術開発者、外部のコンサルタントなど、関係者すべてに伝わる標準化された共通言語となります。また、考え方もシンプルで分かりやすいうえに、実行するための補足言語なども生成可能であるため、関係者間のギャップも埋める役割も果たせるでしょう。

2.統一モデリング言語(UML)

統一モデリング言語 (UML) は、主にソフトウェアの設計・開発において用いられる、システム分析を視覚的に図式化したモデリング言語です。ビジネスユーザーをはじめ、ソフトウェア設計・開発に関わるあらゆるユーザーが理解できる共通言語として、用いられます。

特にシステムの構造や動作をオブジェクト指向で設計したり、分析したりするとき、視覚的に認知できるので、システムの全体把握に有効です。代表的な「シーケンス図」「クラス図」などを含む14種類の図が定義されており、システムのさまざまな側面を表現できます。

3.プロセスチャート

プロセスチャートとは、データやプロセスの流れを視覚的に捉えるため、図式化したものです。プロセスの開始地点から終了地点までの過程(行動や意思決定)を、標準化されたチャートを用いて作成します。行動や意思決定などで用いるチャートと異なり、一連の流れの互換性や非効率性などを明確にして、プロセスの簡略化に役立てられるでしょう。

4.産能大式フローチャート

産能大式フローチャートは、日本で一番歴史が古く、代表的な業務フローチャートの作図手法です。内部統制制度化以前の2008年までは、上場申請書類の業務フローを作成するのに欠かせない作成手法でした。帳票記号の書き方が特徴的であり、はじめてフローに出てくる帳票は大きな四角、2回目以降は短冊型など、書き方のルールが細かく設定されています。

そのため、最初はルールや記号を覚えるのが大変ですが、一度マスターすれば余計なコメントも不要となり、記号だけでフローチャート図の記載が可能です。利用されるシーンとしては、業務マニュアル及び改善、システム分析、事務フローなど、幅広く活用されています。その中でも細かなルールがあるため、粒度の細かい事務作業や手続きを表現するのに適しているといえるでしょう。

5.BPR+

BPR+は、業務情報の収集や業務フロー作成などのプロセスマッピングに活用できる、業務改善を加速させる業務可視化ツールです。サン・プラニング・システムズが提供しているビジネスプロセス製品であるiGrafx (アイグラフィックス) のアドオンツールとなっています。

初めての人でも直感的に扱える操作性と、細かな作業の効率化に役立つ補助機能によって、負荷の高い業務フロー作成を大幅に短縮可能です。また、作成した情報(作業毎の手順、帳票、システム、課題など)も一覧表として、出力・取込が可能なので、漏れなく効率的に作業を進められます。

 

04プロセスマップの効果的な作成手順

最後に、プロセスマップを効果的にするための作成手順を紹介します。効果的なプロセスマップとは、プロセスの始まりから終わりまでを概説して、すべてのプロジェクト関係者が簡単に理解できるものです。

  • 1.マップにするプロセスを決める
  • 2.関連性のある仕事をすべてピックアップする
  • 3.一連の流れを書き出す
  • 4.フローチャートを作成する
  • 5.チーム全員で最終確認をする
  • 6.改善すべき点や課題を分析する

上記の手順を参考として、シンプルかつ漏れのない、明瞭なプロセスマップを作成するよう心掛けましょう。

1.マップにするプロセスを決める

はじめに、マップの対象とするプロセスを決めます。プロセスを決定するにあたり、どのようなプロセスが行われているのかを、関連メンバーからヒアリングしましょう。その上で、新たなプロセスや改善プロセス、複雑なプロセスの効率化など、対象を決定します。

2.関連性のある仕事をすべてピックアップする

次にプロセス内の手順やシステムなど、関連性のある仕事をピックアップしていきます。プロセスマップは漏れなく表現することが重要なので、手順やシステム、帳票など関連するものは省略せずにすべて書き出してください。タスクを省略することで、問題点や改善を見落としたり、プロセスを正確に記載できなかったりする可能性があります。また、この段階ではタスクの順番は気にする必要はありません。

3.一連の流れを書き出す

関係性のある仕事のピックアップが完了したら、次に各タスクを並べ替えて一連の流れを書き出します。一連の流れを書き出す中でタスクの漏れに気づいたら、このステップで確認して完成するようにしましょう。各関連メンバーに確認しながら、時系列のねじれが生じないように開始から終了までのプロセスを作成することが大切です。また、複雑なプロセスの場合は、タスクに隠れた意図を記載して、全員が理解できるようにすると良いでしょう。

4.フローチャートを作成する

開始から終了までの一連の流れを作成したら、フローチャートを作成します。フローチャートを作成する際、各タスクとなる手順や使用する帳票などは、プロセスマッピングのシンボルで表現していきます。 

モデリング手法によって異なりますが、各タスクを細かく表現できるように、シンボルは約30種類以上あるので、作成する前に一度確認が必要です。モデリング手法に迷ってしまったら、まずは先ほど紹介した代表的なプロセスマップのモデルから、目的に応じたモデルを選ぶと良いでしょう。

5.チーム全員で最終確認をする

完成したプロセスマップは、プロセスに関連するメンバー全員で最終確認を行います。プロセスの中に誤りや見落とし、重複や曖昧なところがないのか、しっかりと確認しましょう。このとき、プロセスマップのモデリング手法についても、今回の用途に合っているか、合わせて確認します。

6.改善すべき点や課題を分析する

最後に、メンバー全員で完成したプロセスマップを分析ツールとして、改善すべき点や課題を分析していきます。組織間の連携が上手くいってなかったり、非効率だったりする箇所を特定します。改善の余地があるポイントに対しては、タスクの省略やシステムの変更など、関連するメンバーにとってより良いやり方となる対策の検討です。全員で議論を行ってプロセスの対策案が決まったら、プロセスマップに反映させて更新しましょう。

 

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  • 代表取締役社長

    1968年生まれ。1992年、東京大学電気電子工学科 卒業。 同年、日本電気株式会社(NEC)に入社。 大規模プロジェクトのシステムエンジニア、プロジェクトマネージャを経験。2008年から全社基幹システム改革プロジェクトでのBPM(ビジネスプロセスマネジメント)方法論の設計と展開の責任者。 2010年、ドイツでの世界大会「プロセス・ワールド」でアジア初の「ビジネスプロセスエクセレンス賞」 受賞。 2014年からは全社業務改革プロジェクトの中核として創立されたNECマネジメントパートナーに出向、業務改革体系の企画・設計・展開の責任者。 2019年、株式会社カレントカラーを設立。

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06まとめ

現在の変化の激しいビジネス環境下において、組織や業務も合わせて柔軟に見直しする必要があります。プロセスマップを使いこなすことで、現状のボトルネックとなる課題の特定を助け、柔軟な見直しに対応できます。 本記事では、プロセスマップの意味や目的、代表的な手法、効率的な作成手順などについて、紹介しました。本記事を参考に、利用する目的にあわせて最適なプロセスマップ手法を選択できるようになりましょう。

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