公開日:2023/05/12
更新日:2023/05/17

自発性とは?職場で発揮するメリットや社員の自発性を高める方法を解説

自発性とは?職場で発揮するメリットや社員の自発性を高める方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織が強くなるためには、自律型人材の育成が欠くことのできない時代へと変わりつつあります。あらゆる変化に柔軟かつスピーディーに対応するには、社員が自発性を発揮し、自身の頭で考えた行動が求められるためです。本記事では、社員の自発性が発揮されるメリットから、自発性を高める方法を解説します。

 

01ビジネスパーソンに求められる自発性とは

ビジネスパーソンに求められる自発性とは、細かい指示を受けなくとも自身の頭で考えて最適解を導き出し、行動に移せることを指します。 近年では、顧客や市場のニーズが細分化・複雑化するなか、統一したマニュアルでは対応できないケースが増えています。明確な答えや正解がないため、社員自身が受け身になるのではなく、自発的に課題解決に向けて働きかけることが求められるのです。 例えば、良品計画の中期経営計画(2022年8月期~24年8月期)で「全社員が自発的に活動する組織風土」作りが課題として挙げられているように、企業において経営及び人事戦略観点の重要なキーワードとして出現してきているのです。

▶︎参考:中期経営計画|良品計画

主体性との違い

「自発性」とは、他人から影響されず、自分の意志で物事を進めることを指します。他者からの働きかけに関係なく、「自分が必要だと思うから行動する」といった、強い意志によるものです。 これに対し「主体性」は、「自分を主体として考え動く性質」を指します。目的や目標を自分で判断して行動することを指し、自発性と比較すると「意志による行動」のニュアンスが少なくなります。

自主性との違い

「自主性」とは、「やるべきことを進んでやる」という意味で使われる言葉です。決められたことに対し、誰からの指示や命令を受けずとも、自ら進んで行動する状態を指します。自発性との違いは、「やるべきこと」が決まっている点にあります。自発性は、「やるべきこと」が決まっているわけではなく、自らの意志で「やるべきこと」を決めて行動するのです。

 

02社員の自発性を高めることが重要な理由

ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、社員それぞれが自発性を高めることが求められます。昨今は、VUCAと呼ばれる不確実な時代と言われており、組織が存続し成長していくには、あらゆる変化に迅速かつ柔軟に対応しなくてはなりません。 上司の指示を待つだけでなく、自らの意志で考え行動に移すことができる社員が増えれば、様々な変化へ対応することができます。自発性の高い社員が増えることは、個人の成長に寄与するだけでなく、変化に柔軟に対応できる強靭な組織へと成長することができるでしょう。

 

03社員の自発性が発揮されるメリット

社員が自発性を発揮することは、主に以下のようなメリットが期待できます。

  • 1:課題解決のスピードが早くなる
  • 2:業務全体の生産性が高まる
  • 3:新しいアイデアの発想力が高まる

多くの社員は細かい指示がなくとも、自身の頭で考え行動するためマネジメントの負担が軽減されます。その分、管理職は自分にしかできない重要な業務を優先できるなど、組織にとって好ましい状況となることが見込まれるでしょう。

課題解決のスピードが早くなる

社員が自発的に行動することにより、スピード感のある課題解決が可能になります。まず社員が自ら問題提起することで課題定義が早くなります。そして課題や問題に対応するにあたっても、その都度上司の指示や判断を仰ぐ必要がなくなるからです。上司は大まかな方針や指示を与えるだけで、社員が状況に応じ自発的に対応を考え課題解決にあたります。社員の自発性が高まることにより、状況変化に柔軟に対応できるようになるのです。

業務全体の生産性が高まる

社員の多くが自発的に業務を進める環境では、上司の指示を待つことなく適切に業務が進んでいきます。管理職が多忙な場合スムーズに指示が出ず、その間業務が停滞してしまうこともあるかもしれません。自発性を発揮した社員は、自らの意志で業務をコントロールし業務改善や効率化を進めるため、指示を待つことなく行動できます。その結果、組織全体の生産性が向上するのです。

新しいアイデアの発想力が高まる

多くの社員が自発的に業務に取り組むことで、新しいアイデアが出やすくなります。上司の指示のもと業務を行っているだけの場合、その指示の範囲内のアイデアしか生まれません。自発性を発揮した社員は、自分の意志や考えを仕事に反映させることができます。前例にとらわれないアイデアが出やすく、社員どうしが刺激しあうことで、アイデアの発想力が高まるでしょう。

 

04社員の自発性が発揮されないデメリット

社員が自発性を発揮しないと、中長期的には組織の停滞を招く要因となってしまいます。多くの社員は指示通りに業務を遂行するものの、改善や工夫が生まれにくくなるためです。想定される以下のデメリットについて解説します。

  • 1:指示待ちの人材が増える
  • 2:変化を嫌う風潮が生まれる
  • 3:セクショナリズムが起きてしまう

指示待ちの人材が増える

自発性を発揮しない社員は、常に上司からの指示がなければ動かない「指示待ち人間」になる恐れがあります。自分の意志を業務に反映させないため、上司の指示以上の仕事をすることはありません。管理職が常に部下をコントロールすることは困難です。指示待ちの時間は業務が停滞し、業務効率が低下してしまうでしょう。

変化を嫌う風潮が生まれる

「指示待ち人間」が増えた場合、変化を嫌う風潮に発展しがちなため注意が必要です。自発性がない社員は「指示されたことを指示どおりにやるだけ」という考えが根強く、自ら創意工夫をすることはありません。慣れた方法に固執しやすく、他者の工夫や改善提案に冷ややかな態度をとるようになるのです。

セクショナリズムが起きてしまう

自発性を欠き改善や工夫が敬遠される組織では、セクショナリズムが起きやすくなる傾向があります。多くの社員が変化を嫌うため、自部門の業務の進め方にこだわり、部門最適化のみを考えるようになります。社内の各部署で排他的な風潮が生まれ、連携が希薄になっていくのです。

 

05社員が自発性を発揮できない理由

社員が自発性を発揮できないことは、組織の側に原因があるかもしれません。上司と部下に信頼関係がなかったり、コミュニケーションの問題であったりと、会社が働きかけることで改善できるものもあります。社員が自発性を発揮できない理由を、以下に紹介します。

  • 1:心理的安全性が確保されていない
  • 2:仕事の指針や意義が浸透しきっていない
  • 3:外発的動機づけのみにフォーカスしている

心理的安全性が確保されていない

自発的な行動が賞賛されず、「出る杭は打たれる」といった風潮であれば、社員は自発性を発揮しにくくなります。こうした風潮は、心理的安全(組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語)が確保されていない組織で起こりがちです。義務的に業務をこなすようになり、目立った成果により注目されることを避ける傾向があらわれます。失敗を極端に恐れるため、自分に責任がおよぶ自発的な行動をしなくなるのです。

仕事の指針や意義が浸透しきっていない

仕事の指針や意義が浸透していない場合も、自発的な行動が起きにくくなります。業務の全体像や、その仕事が会社にどのように貢献しているかがわからない場合、担当する業務を淡々とこなすだけの受け身の業務姿勢となりがちです。創意工夫を考えることなく、与えられた作業を最小限の労力でこなすことだけを考えるようになってしまいます。全社としてのビジョン・ミッションに限らず、部内での行動指針の定義が必要です。

外発的動機づけのみにフォーカスしている

外発的動機付けのみにフォーカスしていることも、社員の自発性を阻害します。外発的動機付けとは、報酬や指示・命令、強制や義務を課すなどの外的刺激により、行動を促そうとするものです。外発的動機付けは持続が困難なことから、常に指示や命令を与え続けるようになってしまいます。その結果、社員の自発性を失わせてしまうのです。

 

06社員の自発性を高める方法

社員の自発性を高めるには、組織としてのマネジメントと、人材育成の取り組みの両面からアプローチすることで効果を得やすくなるでしょう。以下、5つの方法を解説します。

  • 1:心理的安全性を確保する
  • 2:組織目標とリンクした個人目標を設定してもらう
  • 3:結果だけでなく行動が評価される風土を醸成する
  • 4:自己啓発(SD)支援の制度を整える
  • 5:社員の自主学習やその機会を促す

心理的安全性を確保する

社員に自発性を求めるには、周囲からの反応に対し恐れたり不安を感じたりせずに、自らの意志で発言や行動ができる環境を整える必要があります。どのような発言でも拒絶されないことや、前向きな行動の結果の失敗であれば批判されないといった組織風土を醸成するとよいでしょう。こうした心理的安全性の高い状態を作り出すことが、自発的な行動や発言を促すのです。

組織目標とリンクした個人目標を設定してもらう

人事評価にMBO(目標管理制度)を導入し、組織目標とリンクした個人目標を設定してもらうことも有効です。組織目標と担当業務の関係性が理解でき、自分の仕事が会社の役に立っていることが実感できます。また、OKRの導入も効果的です。OKRでは高い目標を設定し、細かく進捗を確認しあうため、目標達成を意識した自発性の高い行動を促しやすくなります。

結果だけでなく行動が評価される風土を醸成する

心理的安全性を高めるには、結果だけでなく、前向きな行動が賞賛される風土を醸成する必要があります。結果に結びつかなくとも、自発性を発揮した行動や前向きな提案をする社員が評価される組織を目指すのです。こうした風潮が出来上がると、社員の多くは失敗を極端に恐れることなく、活き活きと自発性を発揮しはじめるでしょう。

自己啓発(SD)支援の制度を整える

人材育成の取り組みとして、自己啓発(SD)支援の制度を整えることも有効です。こうした仕組みを整えることで、学ぶ意欲の高い社員の向上心を掻き立て、自発的な学習を促す効果が期待できます。職種の専門性を深めたり、実務に関わる内容だけでなく、より多角的な視野を養えるような学びの機会を推奨すると良いでしょう。

社員の自主学習やその機会を促す

人材育成に注力する企業では、企業内大学を設立するなど、社員の自主学習を促す制度を設けているところもあります。企業内大学は一般的な研修と違い、学習意欲の高い社員が自発性を持って学ぶことを促す仕組みです。こうした教育制度を活用した社員は、専門的なノウハウを身に着け仕事に対する面白味を感じるようになります。より積極的で、自発性の高い業務行動をとるようになるでしょう。


 

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07まとめ

社員の自発性を高めるには、組織マネジメントと人材育成の両面からアプローチすることが求められるようです。心理的安全性が高い組織風土のなか、社員が学びを深め自信をつけることで自発的な業務行動が促されるのです。多くの社員が自発性を発揮すれば、変化に強い強靭な組織に生まれ変わることができます。ぜひ取り組みを検討してみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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