公開日:2020/08/19
更新日:2023/11/26

自律型人材とは|育成方法やメリット・デメリットを解説

自律型人材とは|育成方法やメリット・デメリットを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

変化が早く複雑さも増している現代社会において、重要度が高まっているのが自律型人材の育成です。この記事では自律型人材を育成することのメリットやデメリット、育成方法について解説します。

 

01自律型人材とは

自律型人材の特徴

自律型人材とは、自ら学び成長することで主体的にキャリアを形成し、能動的に業務を遂行できる人材のことを指します。

自律型人材の定義は明確には決まっておらず、各研究者でも定義は異なります。例えば、中山・湯川(2007)は自律型人材を「必要な課題を理解したうえで、自らが行うべき課題を設定し、解決策を見つけ出し、行動を起こして課題を達成することができる人材」と定義しています。一方で、大嶋(2008)は「自ら明確なキャリア志向を持って自律的に学び続け、成果に結び付ける能力をもつ人材」と定義しています。

いずれの定義も社員の主体性を重視するという点で共通していますが、前者は業務遂行のみ、後者はキャリアや成長という要素も含めて、自律型人材と定義しています。どちらも誤りではありませんが、人材流動性の高まっている社会背景を考えると、後者のキャリア自律の側面も含めた定義が実態に即していると思われます。

また、自律型人材を語る上で、自律と自立の双方が使われているケースが見受けられます。しかし、これらの言葉の意味合いは異なるので注意しましょう。自律とは、自らが立てたルールに従って行動することを意味します。一方で、自立は他者に縛られず独立している様を表した言葉です。自律型人材は主体的に働くことのできる人材として使われることが多いので、前者の「自律」が適していると言えます。

▶︎参考:湯川恵子・中山雅之|自律型人材を活かす組織に関する一考察--パーソナリティに着目したマルチリーダーシップの提案

▶︎参考:大嶋淳俊|企業における自律型人材育成プラットフォームの構築に関する一考察

 

02自律型人材が求められている背景

自律型人材が求められている背景について、Zアカデミア学長/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長の伊藤羊一氏は「"タテの社会"から"ヨコの社会"への変化が要因」と述べています。

この章では、Schoo主催のウェビナーにて、伊藤羊一氏が講演した内容をもとに、経済と組織という2つの観点から自律型人材が求められている背景を紹介します。

経済・社会の変化

高度経済成長期はモノを作るのが大事でした。車がないから車を作るといったように正解があり、それを大量生産する時代であったように思えます。今は、大量生産も求められていますがコトの消費へと、つまりは意味を求める社会に変わりつつあります。

そして、昔はより良いものを作るという「改善」が重要でしたが、今は新しい価値を「創造」することが求められています。そして、この創造は固定された枠組みから生まれにくく、個人の発想や専門性が鍵となります。このような経済的な背景からも自律型人材を社会で増やしていかなければいけないという気運が高まっているのです。

組織・コミュニケーションの変化

前述したように「創造」が重視されたことにより、組織やコミュニケーションも変化してきています。高度経済成長期はヒエラルキー、いわゆる年功序列でした。しかし、上司の言うことを聞くのが部下の仕事といったような価値観では、個人の創造性が活かされるはずもないので、フラットな組織・コミュニケーションへと変化してきているのです。

また、創造を大事にするために、これまでのような画一性ではなくD&Iが求められています。多様性を重んじることによって、個人の創造性を最大限発揮してもらうことが組織の成長には欠かせなくなってきていると認識が変わってきているのです。そのため上位下達のコミュニケーションから1on1という対話へという潮流となっています。


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自律性を持った人材を育てる「自律型組織」についてのウェビナーアーカイブです。トップダウンの統率による組織に限界を感じ、ボトムアップで社員が自律的に動けるよう組織開発を行う企業が増えています。Zホールディングスにて次世代リーダー開発を担う伊藤羊一氏をお招きし、現代に適応した自律型の組織の作り方についてお話いただきます。

  • 登壇者:伊藤 羊一 様
    Zアカデミア学長 / 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長 / Voicyパーソナリティ

    日本興業銀行、プラスを経て2015年よりヤフー。現在Zアカデミア学長としてZホールディングス全体の次世代リーダー開発を行う。またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてもリーダー開発に注力する。2021年4月に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)の学部長に就任。代表作に56万部超ベストセラー「1分で話せ」。ほか、「1行書くだけ日記」「FREE, FLAT, FUN」など。

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03自律型人材に必要なスキル

自律型人材を「自ら学び成長することで主体的にキャリアを形成し、能動的に業務を遂行できる人材」と定義した場合、以下のようなスキルが必要といえるでしょう。

  • 1:戦略的学習力
  • 2:課題発見力
  • 3:業務遂行能力

キャリア自律の側面で戦略的学習力を、能動的な業務遂行の観点で課題発見力と業務遂行能力を挙げています。この章で、それぞれのスキルに対して詳しく紹介します。

戦略的学習力

戦略的学習力(Learning Strategies)とは、「新しいことを学ぶ際に、状況に応じて最適な学習内容や方法を選択・実践できる力」のことです。自分に最適な学習内容や方法について分析する力、効率的な学習内容や方法を選択する力、学び続ける力を合わせて、戦略的学習力と言います。

戦略的学習力は、マイケル・オズボーン教授が2107年に発表した「THE FUTURE OF SKILLS EMPLOYMENT IN 2030」という論文で、2030年に最も必要になるスキルと掲げられたことで注目を集めました。AIが普及し、ますます変化の速い時代になる中で、この戦略的学習力は自律型人材に必要不可欠なスキルと言えるでしょう。

▶︎参考:THE FUTURE OF SKILLS EMPLOYMENT IN 2030

課題発見力

能動的に業務を遂行するためには、自ら課題を発見する能力が欠かせません。現状に満足せず、改善できる点を自ら分析し、発見する力を持っていれば、自身で仕事を作ることができます。

この課題発見力の中には、仮説思考やデータ分析力、クリティカルシンキングも含まれます。仮説を立て、膨大なデータを分析する能力や、批判的な思考を持ち、現状を疑う能力によって、本当に解くべき課題を見つける力が養われます。

業務遂行能力

課題を発見しても、それを解決する能力がなければ意味がありません。そのため、自律型人材には業務遂行能力も求められます。

また、課題の大きさによっては周囲を巻き込む力であったり、プロジェクトマネジメント能力も必要です。1人で解決できない課題に対して、周囲の人を巻き込み、同じ目標に向かって一緒に進んでもらう能力がなければ、解決できる課題は限定的なものとなってしまいます。

業務遂行能力は、一朝一夕に身につくものではありません。業務を通じた経験であったり、年齢を重ねることで得られる信頼などの蓄積も必要になります。そのため、まずは目前の業務に対して真摯に向き合い、自身のできることを増やすことが重要です。

 

04自律型人材が活躍する組織

組織文化や体制によって、自律型人材が活躍できる環境か変わります。この章では、自律型人材が活きるためには、どのような組織であるべきか紹介します。

ホラクラシー組織

ホラクラシー組織とは役職や上下関係が存在しない新しい組織運営方法です。 2007年にアメリカのソフトウェア会社であるTernary Softwareの創業者、ブライアン・J・ロバートソンにより提唱されました。 ホラクラシー組織は次の3つの特徴を持ちます。

  • 1.肩書や職種、上下関係ではなく、役割による組織化をする
  • 2.意思決定は同じロール(役割)に所属するメンバーで行う
  • 3.情報はメンバー全てに共有される

これらのことからホラクラシー組織では、所属するメンバー全員が対等な関係・立場にあり、自律的に組織を作り上げていく必要があるとわかります。

ティール組織

ティール組織とは、企業内における全ての組織メンバーが目的実現に向けて自律的に工夫し、意思決定していく新しい組織モデルのことです。ティール組織には、従来のピラミッド型組織のような指揮命令系統が存在しません。 ティール組織は2014年、フレデリック・ラルーの著書「Reinventing Organizations」によって提唱されました。 著書内でフレデリック・ラルーは「旧来のマネジメント手法は成果が上がっており正解だと思われているが、実は組織に悪影響を与える可能性をはらんでいる」との指摘を行い、これが注目され、ティール組織という概念が広く知られるようになりました。

 

05自律型人材を育成するメリット

自律型人材を育成すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットを事前に確認し、より効果的な人材育成を目指しましょう。

スピード感を持って業務を進められる

「上司からの指示がないと行動できない」という状態だと、普段と異なる業務が生じた際や新たな業務に取り掛かる際に、環境の変化に適応しながら業務を進めることができず、スピードは落ちてしまいます。
もちろん未経験の業務を全て自分で考えて行うというのは難しい話です。しかし自ら考え行動できる人材であれば、自分なりに考え予測したり行動したりすることができるため、業務をより効率的に進めることができます。

仕事の効率化ができる

慣例に従って仕事をしていたら、いつの間にか今必要ない業務がどんどん増えていた、ということはよくある話です。それは自分たちが目指すべき目標や、目標に対する1つ1つの業務の意味などを押さえることなく、ただ目の前の仕事をこなしてしまっている時によく起こりがちです。
一方、自律型人材であれば状況に応じて自ら考え選択していくことができるので、本当に必要な業務に注力して効率的に仕事を進めることができます

働き方が変わってもしっかり成果を出せる

テレワークの普及やフレックスタイム制の導入など、働き方改革が進んでいます。しかしそれらの働き方の中でよくあるお悩みが、同じ時間にオフィスに集まり仕事をするという働き方に比べて働いている様子や過程が見えにくくなっており、チームマネジメントが難しいということです。
そのように働き方が変わっても、規範に従ってきちんと業務を遂行して結果を出すことができるため、自律型人材の需要はより高まっています。

 

06自律型人材を育成するデメリット

自律型人材の育成には、デメリットもあります。

まず、自律型人材は市場価値が高く、キャリアも会社に依存していないので、選ばれる会社でない限り、人材の流出はやむを得ません。

次に、自律型人材は一朝一夕では育成できないという点です。研修体系や人事評価の見直しなど様々な角度からアプローチしなければ、自律型人材を育成することは難しく、組織が一丸となって本気で取り組まなければなりません。

この章では、これらの自律型人材を育成するデメリットについて紹介します。

優秀な人材の流出につながる

パーソル総合研究所の調査によると、キャリア自律度は転職意向と相関がないという結果となっています。一方で、市場価値が高いほど転職意向は高い関係があるという結果も出ています。

つまり、自律型人材を市場が求めれば求めるほど、市場価値が高まり、育成しても社外に流出してしまう可能性も高まるということです。

そのため、自律型人材を育成すると同時に、社員から選ばれる会社になる必要があります。働き方に自由を与えたり、魅力的な事業を創出したりと、社員の市場価値が高まっても、自社を選んでくれるような会社である努力が求められるのです。

▶︎参考:パーソル総合研究所|従業員のキャリア自律に関する定量調査

組織全体で取り組む必要がある

自律型人材の育成は、組織全体で取り組む必要性があります。キャリア研修をやったり、学習環境を与えたりするだけでは自律型人材は育成できません。

人事制度を見直したり、管理職に正しい1on1のやり方やフィードバックのスキルを身につけてもらったり、自由に学べる環境を与えたりと、包括的な施策が求められ、人事部だけでなく現場の管理職も巻き込み、組織全体で自律型人材を育成するという目的に向かわなければなりません。

 

そして、この取り組みは時に痛みも伴います。主体性を損ねるような管理職を降格させたり、早期退職を促したりといった厳しい判断が求められることもあるでしょう。そのため、自律型人材の育成は経営課題として進めていく方が達成確率が高いと言えます。

 

07自律型人材の育成方法

自律型人材はどのように育成すればいいのかと悩む方も少なくないと思われます。しかし、この悩みは当然です。自律型人材の育成は、あくまでも個人の主体性を育むということなので、何か特定のスキルや知見を身につけることがゴールではないからです。自律型人材の育成について、この記事では過去・現在・未来という整理で紹介します。

自律型人材を育成するためには、過去を見つめ、自らの軸(譲れない想い)を知ることから始めましょう。そして、どうなりたいかの未来を見定めるためにキャリアの選択肢を拡げるための支援をする必要があります。どうなりたいかの未来が決まれば、その未来に向けてマネジメントが導いてあげるコーチングが重要になります。

では、過去を振り返ったり、未来のキャリアを思考したり、現在を支援するために人材開発・組織開発の担当者として何をすべきなのかを、この章では紹介します。

内省を促すことで軸を見つける

自律型人材を育成するには、まず過去を振り返る内省を伴走しましょう。過去を振り返ることで、自身が抱いている譲れない想いや自分の思考の軸になっているものに気づく可能性があります。この軸が自らのリーダーシップを最大限引き出すWill(未来)に直結することもあります。

しかし、なかなか内省をしても「譲れない想いを見つけられない」・「環境が影響する流れのままに生きてきた」という人も多いでしょう。むしろ、ほとんどの人は譲れない想いなど無いかもしれません。そのような場合は、自身の強み・好きなことは何かを内省してもらうと良いです。この際に注意すべき点は好きなことを動詞であげてもらうことです。

例えば、「サッカーが好き」という回答がきた場合は名詞なので、サッカーの何が好きなのかを深ぼる手伝いをしてあげましょう。「サッカーをするのが好き」でも浅く、「サッカーの戦略を立てるのが好き」という具体まで落とし込むことがゴールです。この好きなことを見出せると、戦略を立てるような仕事が自身が熱中できると内省することができるのです。好きこそ物の上手なれと言いますが、自身が好きなことを仕事にする方が成長速度は圧倒的に速く、パフォーマンスも上がります。成果を出すことで自律・主体性も高まるので、まずは軸・強みを見つける内省の機会を人事から与えてあげましょう。

キャリアの選択肢を拡げる機会を作る

過去を振り返り、自身の軸であったり、強みを見つけても、将来どのようになりたいか(Will)を明確に描ける人は少ないでしょう。特に新入社員や若手社員は会社によって職種が決まり、自分の意思とは関係なく仕事が決まっていることも多いはずです。そして、大企業になればなるほど他部署のことは見えにくくなるので、自分がどのようなキャリアを歩みたいかを考える選択肢すら制限されてしまっています。

そのため、キャリアの選択肢を拡げるための機会を意図的に作ることが重要です。例えば、eラーニングのような学習環境を提供して、興味のあるものを自由に視聴してもらったり、社外の人と関わり学ぶ越境学習プログラムを導入したり、他部署の人と関わるようなランチ補助制度なども効果的かもしれません。

このような取り組みを実施したとしても、全ての社員がどのようなキャリアを歩みたいかを見つけられるとは限らないということは念頭に入れておく必要があります。さもすれば、「あなたのWillはなんですか?」と詰問するようなWillハラスメントが蔓延し、メンバーも何か答えなければならないと適当なWillを組織に伝えかねません。この状態になってしまうと、組織としてもメンバーとしても損をすることになるので、前提としてWillが見つからなくても全然構わないというスタンスで、見つけるまで対話を続けていくという心構えが求められます。

キャリアデザインを描く支援をする

将来目指すべきキャリアに向かって、どのようなステップを踏む必要があるのかを、自らデザインする支援をしてあげましょう。キャリアデザインを描く段階で、明確なキャリアビジョンがなくても構いません。例えば、「30歳の段階でいくら給料が貰えていると嬉しい?」・「将来設計として結婚や子供は欲しい?」など、プライベートな部分からできる範囲で具現化していくのも1つの手です。

このように対話の中で、朧げに描いている将来設計を言語化してあげる手伝いをすることで、「じゃあ、30歳までに結婚して子供を作っている状態を目指すなら、36歳くらいまでには管理職になって700万円貰えている状態を目指そうか」といったように、仮置きでもキャリアデザインを具体化させるためのゴールを置くことができます。そしてゴールを設定することで、現在とのスキルや経験の差分を把握でき、自ら何を学びどのような経験が必要なのかを理解する一助となるはずです。

また、このキャリアデザインは定期的に見直すという前提であることが重要です。自分の軸やWillを見つけることができた。自身のプライベートに関する意識が変わった。このような変化を定期的にキャッチアップしながら、キャリアデザインもあっっぷグレードしていく必要があるためです。

経験資源を配分する

描いたキャリアデザインに対して、実際の業務と乖離が起こってしまうと意味がありません。例えば、今期はプロジェクトマネジメントができるようになることが目標と掲げても、プロジェクトを任せられなければ学んだことが実践できず、ただ知識だけが溜まって、数ヶ月後には知識も消えていく恐れもあります。

そのため、メンバーにどのような経験を与えるかを管理職はデザインする必要があります。また現在の業務で与えられない経験は、上司が率先して新たに創ってあげなければなりません。この経験資源の配分・創出こそが、マネジメントに求められる重要なスキルとも言えるでしょう。

1on1ミーティングでメンバーを支援する

どのようなキャリアステップを踏むのかを明確にできれば、マネジメントがそれを達成できるために導いてあげる必要があります。そのために、1on1ミーティングを活用すると良いでしょう。1on1は多くの企業で導入されていますが、業務に関する報告の場になってしまっているケースが多いでしょう。1on1は部下のための時間という意識を持ち、業務に関する報告は別の機会で設けるようにしなければなりません。

描いたキャリアデザインを実行できているのか、何が阻害要因になっているのか、現在の業務で何に困っているのかなど、基本的にはメンバーの話を聞く場という意識のもと、上司は聞き役に徹しましょう。そして、コーチングで常に自らの中にある答えを引き出してあげる手伝いをして、自律できるようなサポートを行う必要があります。

しかし、1on1のやり方がわからないという管理職も多くいるのが事実です。これは1on1は最近になって出てきた組織開発・人材開発の手法なので、現在の管理職が1on1で育成された経験がないことが大きな要因と思われます。そのため、管理職研修で1on1の目的や具体的な方法、必要なスキルを学んでもらうことも人事としては並行して実施しなければなりません。

自律学習の環境を用意する

キャリアデザインを描くことによって、未来とのギャップを意識するようになると自ら学び始める人も中にはいます。学びへの熱量が上がった段階で、組織としてどれだけ背中を押すことができるのかが自律を促すためには欠かせない要素となります。オンライン学習や外部セミナーへの参加、書籍購入制度や企業内大学など自律学習の環境を整えることで、学びへの熱量を見逃さない仕掛けを組織に用意しておくのです。

学習環境が充実していることで、社員としては投資されているという感覚になり、従業員エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。しかし、学ばない人に学習環境を与えてもコストが無駄になるという懸念もあります。この懸念を解決するためには、既存の育成施策にも併せてしまうのが良いでしょう。例えばオンライン学習サービスであれば、研修としての利用もしつつ、自律学習としても活用できるといった両刀でコストを無駄にしないという解決策もあります。


 

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08自律型人材を育成するための3つのポイント

自律型人材の育成におけるポイントは以下の3つが挙げられます。

  • 考える時間を与える
  • 会社への理解を深める
  • 社員が自発的に学ぶ環境を整える

それぞれどういうことが大切なのか、ここで詳しく解説します。

考える時間を与える

業務を任せる際、常に手取り足取り教えていては自分で考える機会が作ることができず、指示待ち人間になってしまいます。
業務の進め方やどのよう行動していくべきかを、一度自分の頭で考えるように習慣づけていきましょう

また、ただ考えて終わりでは意味がありません。自分なりの考えをまとめてもらった後に共有の場を作り、改善点やよかった点をしっかりフィードバックするようにしましょう。
それにより考え方を身につけることができ、自ら行動できるようになっていきます。

会社への理解を深める

自ら考え行動できることだけでは自立型人材とは言えません。会社の方針に沿って、変化に適応しながら結果を出すべく行動できる人材を育成していく必要があります
そのために不可欠なのが、会社ミッションや経営戦略への深い理解です。ミッションは会社の軸となり、経営戦略は企業の方針を指し示しています。組織がどこに向かおうとしていて、自分たちは何を目指しているのかがわからないと、どれだけ自律的な人材でも正しい判断を下していくことができません。

軸となるものを起点に、臨機応変に対応していけるような環境づくりが大切です。
そのためにはミッションや経営戦略に対する今の業務との関連性や、今後の展開について経営層や上司の話を聞いたり、社員それぞれが自らの言葉で話したりする機会を作っていく必要があります。

社員が自発的に学ぶ環境を整える

変化のスピードが加速している現代社会において、適切な判断をしていくためには、情報収集を怠らず、日々スキルをアップデートしていくことが不可欠です。
そのためには、社員一人ひとりが自発的に学ぶことのできる環境づくりをしていくことも重要です。
自律型人材の育成に必要な基本スキルは研修で身につけていくことができますが、日々の情報収集やスキルのアップデートのためには社員が自発的に学べるようなサポート環境を整えていきましょう

例えば、外部セミナーへの参加や書籍購入時の費用の補助、定額制のオンライン学習サービスの導入などが挙げられます。
自発的にスキルを伸ばそうとしている社員の歩みを止めないような環境作りも、人材育成を成功させる上で重要となってきます。

 

09自律型人材の育成を推進する企業事例

自律型人材の育成は簡単ではありません。しかし、人的資本経営が注目を集め、VUCAへの対応が迫れる中、これを推進している企業も増えてきています。

この章では、自律型人材の育成を推進してる企業事例を紹介します。

リコージャパン株式会社

リコージャパン株式会社は、自律型人材の育成を推進している企業の代表例と言って良いでしょう。

同社は、複雑で高度な課題に対応する人財を育成するため、社員が自身の成長に向かって、意欲をもって自発的に学んでいく「自律的な成長」を基本方針に掲げています。

この方針に沿って、プロフェッショナル認定制度や学びのポータルサイトの開設、社員を表彰する様々なAWARDといった施策を展開しているという点が、リコージャパン株式会社の特長です。

▶︎参考:リコージャパン株式会社|人財開発

旭化成株式会社

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日本を代表する総合化学メーカーの旭化成株式会社は、2022年春に発表した中期経営計画で、HRの方針として「終身成長」を掲げたことを契機に自己啓発に注力し始めました。「終身成長」とは、社員一人ひとりが自分の人生の目的をもち、自律的にキャリアを考えて成長し続けることを意味し、それを会社が支援するという方針を立てたのです。

このような背景を受けて、仲間と学び自らを高めていくための取り組みとして、自社内の学びのプラットフォーム「CLAP(Co-Learning Adventure Place)」を開始しました。自律的なキャリア形成を目指して幅広い分野を学べる学習プラットフォームとして弊社Schoo for Businessを含めた社内外の学習コンテンツを搭載し、コース化して提供できるツールです。

この取り組みの特筆すべき点は、約2万人の全社員へIDを付与した点にあります。eラーニングを活用した自己啓発は、公募で希望者のみにIDを付与するケースが多いですが、旭化成株式会社は全社員にIDを付与して、誰しもがいつでも自由に学べる環境を整えたのです。希望者だけに留まらず全社員にIDを付与し、会社として社員の成長を支援するという経営やHRの意志を示し、大々的に自己啓発を推奨したことが成功のポイントです。

旭化成株式会社の事例をさらに読む

サントリーホールディングス株式会社

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サントリーホールディングス株式会社には、「寺子屋」という社内だけの学びのプラットフォームがあります。寺子屋は全社員がアクセスでき、社員が自発的に開催した勉強会であったり、Schoo for Businessのような外部コンテンツが受講できるプラットフォームとなっています。

この「寺子屋」の特筆すべき点は、社員が自主的に勉強会やイベントを開催し、学びによって社員同士の繋がりを増やしている点にあります。もちろん、「寺子屋」が開始した直後は社員の利用率も低く、愚直にお知らせを出したり、社内で発信力の強い人に登壇してもらう勉強会を人事主導で企画するなど、苦労の連続だったそうです。

コロナを契機に自宅勤務になったことで利用者が伸び始め、次第に自主的なイベントや勉強会の開催が増えていきました。今では、社員による社員のための学びのプラットフォームとしてSUNTORYの人材開発・組織開発を支えている重要な施策の1つとなっています。

SUNTORYの事例をさらに読む

株式会社ポーラ

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国内有数の化粧品メーカーである株式会社ポーラは、会社の中長期計画を受けて、不足しているスキルや知識が多くあることに気づき、人材育成の強化に踏み切りました。

株式会社ポーラの「人材成長プログラム」では、まずは社員一人ひとりが自分を知り、どうなりたいかのビジョンを描き、その実現に向けて学び、得た能力を活かすという「知る」「描く」「学ぶ」「活かす」の4つのフェーズがあります。この「学ぶ」の部分で、Schoo for Businessを公募の自己啓発施策として活用いただいています。

その結果、「Schooを導入してくれてありがとう」とか「毎日楽しく勉強してるよ」といった声が人事部門に届き、会社の雰囲気も変わってきていると感じ始めていただいております。日頃の業務だけでも手一杯で、なかなか自分の領域を広げられないという課題を感じていた社員が、「Schoo楽しいんだよね」と学んでいたり、上司とのコミュニケーションのきっかけにもなっているとのことです。

株式会社ポーラの事例をさらに読む

 

10自律型人材の育成ならSchoo for Business

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オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約8,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。キャリア研修によるマインドセットの変革だけでなく、自律的な学習を通じて、社員の主体的なキャリア形成を支援することができます。

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Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,500社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

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11まとめ

自律型人材とは自ら考えながら主体的に仕事を進めていくことができる人のことを指します。しかし、より細かな自律型人材の定義や必要スキルは企業のミッションや方向性によっても異なってきます。
自律型人材の育成を進める際には、自社として育成すべき人材について定義をした上で、必要なスキルに落とし込んでいくことが必要です。
スキルアップについての目標設定を定め、研修によるインプットと普段の業務の中でのアウトプットで効率的に人材育成を行っていきましょう。

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