公開日:2023/10/09
更新日:2023/10/12

自己組織化とは?ビジネスにおけるメリットや促進するためのポイントを解説

自己組織化とは?ビジネスにおけるメリットや促進するためのポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

従業員が自ら考えて行動を取れるようにするには、自己組織化に注目することが重要です。自己組織化はビジネスにおける重要な考え方であり、従業員が自己組織化を理解することで、組織全体の高い成長が見込めます。 本記事では、自己組織化の考え方やメリット、促進するためのポイントなど、企業で自己組織化を推進する際に知っておきたい知識を解説します。

 

01自己組織化とは

「自己組織化とは、システムが構造を追加・進化・修正させる現象を言います。自己組織化が起こる場面にはプラスの要素が働き、新しいアイディアが生まれたり能力が育ったりするのです。 自己組織化という言葉がどのように生まれたのか、またビジネスにおける自己組織化とはどのような状況を指すのか、具体的に解説します。

 

もともとは物理学や生物学における専門用語

自己組織化は、もともと物理学・化学・生物学・幾何学・情報科学などで広く使われている専門用語です。外部から手を加えなくとも、自律的に秩序が整い形成される状態を言います。 生物学で例を挙げると、DNAが新たな組み合わせや突然変異により進化を続けている現象は、自己組織化の分かりやすい事例です。また、技術の進歩に目を向けると、さまざまなアイディアや発明などに小さな変化が積み重なることで、市場や社会を革新的に変えるきっかけになっています。

ビジネスにおける自己組織化とは

自己組織化が起きる状態をビジネスに置き換えると、従業員一人ひとりが当事者であるという意識を持っている点が重要です。個々が自律的に行動している状態が持続できれば、企業側からルールを決めたり管理したりする必要はありません。 従来の企業組織は、特定の人物が意思決定した計画をそのまま実行することが効果的とされていました。しかし、従業員一人ひとりの意識が高まっている現代の企業組織では、細かく管理をするとかえって逆効果となる可能性があります。従業員の考えや行動力を尊重しながら、組織の利益になるよう行動できる状況を作り上げることで、変革を続ける理想的な組織が形成されます。

 

02自己組織化が注目を集める2つの理由

自己組織化の考え方が注目を集めるようになったのは、以下の2つの理由があるためです。いずれの理由も、時代の変化を象徴しており、変化に合わせたビジネスの展開に重要な要素となっています。それぞれの理由について、詳しく解説します。

  • 1.急速な変化が起こるVUCA時代に突入したから
  • 2.テレワークなど働き方の多様化が進んでいるから

1.急速な変化が起こるVUCA時代に突入したから

VUCAとは、以下の4つの頭文字からなる造語です。

  • ・V…Volatility(変動性)
  • ・U…Uncertainty(不確実性)
  • ・C…Complexity(複雑性)
  • ・A…Ambiguity(曖昧性)

元々は軍事用語として使われていましたが、2010年頃からビジネスシーンでも使われ始めました。特に注目を集めるきっかけとなったのは、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で使われた「VUCAworld」という言葉でした。 かつては、上層部など特定の人間が企業戦略を立てて、従業員はその戦略に従い実行していくケースが一般的でした。しかし、インターネットをはじめとするテクノロジーが劇的に発達したことで、社会やビジネスの流れが常に変化しています。情報量の増加や環境の急激な変化などにより、従来の方法では世間の流れに太刀打ちできなくなってきたのです。 外部環境の変化に適用するためには、中央集権型のシステムではなく、従業員が自ら判断し業務を遂行する姿勢が求められます。そのためには、自己組織化により従業員が当事者意識を持つことが必要です。

2.テレワークなど働き方の多様化が進んでいるから

働く時間や場所においても、テレワークの選択やフレックスタイム制の導入など多様化が進んでいます。特に、コロナ禍以降はテレワークが急速に普及し、従業員が自立的に業務を進める必要性に迫られました。 テレワークは、時間や場所に縛られず自分のペースで働ける一方、仕事に対して主体的に対応しなくてはなりません。それと同時に、組織として成果を出すためには、仕事に対して指示を待つばかりではなく、従業員の自律的な取り組みが鍵を握っています。 オフィスで仕事をする場合には、上司と部下が直接やり取りをし、仕事の進捗状況もすぐに把握できます。テレワークでは、上司が部下の進捗を逐一確認するのは難しいほか、周りの目が少ないと100%の力を発揮できない従業員もいます。自己組織化により、従業員が主体となって行動を起こす考え方は、働き方が多様化した現代において必要不可欠となっているのです。

 

03自己組織化における4つのメリット

企業で自己組織化を推進すると、企業にとって大きなメリットがあります。ここでは、主なメリットを4つ解説しますので、それぞれの内容について理解を深めましょう。

  • 1.意思決定のスピードが上がる
  • 2.外部環境の変化へ柔軟に対応しやすくなる
  • 3.業務へのモチベーションが高まる
  • 4.従業員一人ひとりの個性を活かしやすくなる

1.意思決定のスピードが上がる

自己組織化の大きなメリットは、意思決定のスピードが上がる点です。従来の組織では、事業内容などに変更が生じると、複数の部署や上司などから承認を得なくてはなりませんでした。自己組織化により承認を得る必要がなくなるため、現場ならではの目線で意思決定ができ、実行に移すまでのスピードが格段に上がります。 変化が著しい顧客のニーズに応えるには、対応の速さが重要なポイントとなります。意思決定が速くなると、顧客への良好な対応ができるようになり、組織としての評価も上がるでしょう。

2.外部環境の変化へ柔軟に対応しやすくなる

外部環境の複雑な変化により、情報数は格段に増加しています。企業のマネジメントシステムも複雑にならざるを得ない状況となっていますが、自己組織化により組織内での情報共有を行いやすくなるのです。 自己組織化型組織へと変革させると、業務の権限も分散できます。従業員が行動しやすい環境を作ることで、変化への柔軟な対応もしやすくなります。

3.業務へのモチベーションが高まる

従来型の企業組織では、上司からの指示に従い、正しく業務を遂行することが求められていました。これに対し、自己組織化では問題を自ら提起し解決できるようになり、当事者意識を持って仕事に取り組めます。 取り組んだ結果が、企業内で高く評価されると、達成感を持つことで高いモチベーションにつながります。自己肯定感やさらなる向上心が生まれるだけではなく、行動に責任感や主体性も伴うでしょう。

4.従業員一人ひとりの個性を活かしやすくなる

自己組織化では、従業員それぞれが業務に対する権限を持ちます。上司からの指示や同調圧力に影響を受けず、従業員個人の裁量で業務に取り組めるため、強み・個性・才能・考え方・スキルなどを業務へ存分に反映することが可能です。 企業組織では、上司の目を気にして自分の意見を出しにくい部下もいるかもしれませんが、自己組織化ではその心配はいりません。従業員個人の存在が尊重され、業務効率が高まります。

 

04自己組織化を促進する5つの方法

実際に、企業で自己組織化を促進するには、以下の5つの方法を取り入れると効果的です。

  • 1.現在の組織風土を分析して課題点を洗い出す
  • 2.従業員への研修にアクティブラーニングを取り入れる
  • 3.情報共有ツールを活用して目的意識を浸透させる
  • 4.1on1ミーティングを実施して心理的安全性を高める
  • 5.ストレッチ目標を設定して向上心を維持する

1.現在の組織風土を分析して課題点を洗い出す

まず、組織風土の現状を分析してみましょう。上司と従業員の間には、業務に対する認識の齟齬が多く見られ、自己組織化への変革が進まないケースもあります。 従業員のやる気が見られない、言われたことしかやらないなどと上司が思っていても、従業員には別の本音が隠れているのです。意見を言っても聞いてもらえない、改善を提案すると仕事が増えるなど、上司が従業員の自己組織化を妨げてしまう行動も少なくありません。 現状の分析により、自己組織化を進めるために必要な取り組みや人材育成の方法など、クリアすべき課題点が明確になってきます。組織や従業員に足りないものを見極めることで、今後の方向性も見えてくるでしょう。

2.従業員への研修にアクティブラーニングを取り入れる

アクティブラーニングとは、受講者が能動的に取り組む研修方法です。講義型では、講師が受講者へ一方的に話をしながら座学形式で進めますが、アクティブラーニングは受講者が積極的に発言します。研修にはグループワークが多く取り入れられ、ゲームやディスカッションなどを交えて全員参加型で行うのが特徴です。 アクティブラーニングの考え方は、自己組織化と同じものです。一方的に指示に従うのではなく、従業員が自ら課題を発見し解決する自発性を養います。

3.情報共有ツールを活用して目的意識を浸透させる

従業員が自己組織化の意義を理解し、主体的に行動するためには、企業が掲げる目標や目的を社内に周知し共有する必要があります。社内報や社内チャットなどの情報共有ツールを活用し、企業と従業員が目標や目的を共有することで、従業員に目的意識が芽生えます。 目的を明確にし業務に取り組めば、上司から指示を待つのではなく、自発的な行動が取りやすくなるのです。

4.1on1ミーティングを実施して心理的安全性を高める

1on1ミーティングは、評価面談や打ち合わせ・業務相談とはまったく異なる目的を持ったミーティングです。上司と部下が1対1で話をしますが、部下の話を中心に進めることが大きな特徴です。 仕事以外の内容をメインに話すことで、関係づくりや相互理解を促進を目的としており、頻度は週1回程度とかなり多くなっています。上司が先に話すのではなく、部下から話す点が重要です。 1on1ミーティングの実施により、お互いが本音や弱音を伝えると、相互理解が深まりコミュニケーションが活発にできるようになります。これが職場の心理的安全性を高めて、従業員の主体的な行動や積極的な発言を促す環境づくりにつながります。

5.ストレッチ目標を設定して向上心を維持する

ストレッチ目標とは、組織や従業員の現状よりも少し高い難度で設定する目標です。背伸びして初めて手が届くとの意味から、ストレッチという単語が含まれています。 自己組織化の実現には、従業員の自律的な行動に加え、業務に対する向上心が必要です。現状維持では成長が見込めないため、目標の設定は大きな効果が期待できます。企業側の目標ではなく、個人に合わせた目標設定が求められます。目標の難度をあまりにも高くしてしまうと、かえってモチベーションが下がってしまうため、少し高い難度で設定するのがおすすめです。


 

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05まとめ

本記事で紹介してきたように、自己組織化は現代のビジネススタイルに沿った取り組みです。企業と従業員の双方に大きなメリットがあり、多様な働き方に合わせて従業員のスキルを高めることができます。 自己組織化のメリットを活かし、高いパフォーマンスを実現するために、まずは自社の課題を洗い出してみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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