主体性とは|自主性との違いや高める方法を紹介
多くの企業が社員の主体性を重要視しています。そもそも主体性とは何を意味するのでしょうか。この記事では、主体性のある社員とそうでない社員の特徴を比較しつつ、主体性のある社員を育てるために企業ができることについて解説します。
- 01.主体性とは
- 02.主体性と自主性の違い
- 03.主体性の言い換え・類語や対義語
- 04.主体性が求められている背景
- 05.主体性のある社員の特徴
- 06.主体性のない社員の特徴
- 07.主体性を発揮できない原因
- 08.社員の主体性を高める方法
- 09.主体性を高める|Schoo for Business
- 10.まとめ
01主体性とは
主体性とは、「自分なりに考え、自らの意思で行動に移し、自ら結果に責任を持つ姿勢や能力」のことです。
また、経済産業省は2006年に人生100年時代に必要な能力として、「社会人基礎力」を提唱しており、その中で主体性を必要な能力の1つとして取り上げ、「物事に進んで取り組む力」と定義しています。
▶︎参考:社会人基礎力|経済産業省
02主体性と自主性の違い
主体性の類義語として使用される言葉に、「自主性」があります。自主性とは、「すべきことを、他人から指図されたり、他人の力を借りたりせずに、自分から進んでやろうとする様子」のことです。
つまり、主体性には「自分なりに考える」という意味も内包されているが、自主性には「自分の意思や判断」が含まれていないという違いがあります。
03主体性の言い換え・類語や対義語
ビジネスにおいて使われる主体性の類語としては、当事者意識が当てはまります。他には、自責思考も主体性に近い意味です。一方で、主体性の対義語は、指示待ちや受動的が挙げられます。この章では、主体性の言い換え・類語や対義語を紹介します。
主体性の言い換え・類語
主体性の類語には、「当事者意識」や「自責思考」があります。いずれの言葉も、「自分なりに考えて、行動に移し、結果にも責任を持つ」という意味合いで共通しています。
主体性の対義語
主体性の対義語には、「指示待ち」や「受動的」があります。いずれの言葉も、「自分なりに考えず、他者からの指示がないと行動しない」という意味合いで共通しています。
04主体性が求められている背景
ビジネスにおいて主体性が求められているのには背景がいくつかあります。ここでは、主な背景について解説します。
VUCA時代に対応するため
VUCAとは、不確実性(Volatility)、不安定性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)を意味し、現代はVUCA時代と言われ、環境が急速に変化し、予測困難な状況が日常化しています。このような状況下では、主体性が重要となります。主体性とは、自ら考え行動する力であり、自律的に課題に取り組み、変化に対応する能力です。VUCA時代には、リーダーシップやイノベーションが求められるため、主体性を持つことが組織や個人の成果に直結します。
多様性が重要視されているなかで自己主張が必要であるため
多様性が組織や社会において重要視される中で、自己主張する能力が求められています。多様性は異なるバックグラウンドや考え方を持つ人々が集まることで生まれ、それによって創造性や柔軟性が向上します。しかし、多様性があるだけでは成果を生み出せません。自己主張が重要な理由は、自らの考えや価値を明確に表現し、他者との意見の違いを認識しながら、建設的な対話や共感を生み出すことができるからです。自己主張があることで、多様性がより活かされ、よりよい成果を生み出すことが可能となります。
05主体性のある社員の特徴
主体性のある社員の特徴として、以下の4つのポイントを挙げることができます。
- ・自身の言動に責任感がある
- ・能動的に行動する
- ・何事にも積極的に取り組む
- ・わからないことを知ろうとする
それぞれのポイントを詳しく解説します。
自身の言動に責任感がある
主体性のある社員は、自身の言動に責任感があります。物事の判断基準が、自身の価値観や信条とリンクしているのです。そのため、自身の言動による結果に対して、自責思考が働きます。 望ましい結果が得られない場合も、自らの責任と考え反省し、対策を考えるなど、失敗から学ぶ姿勢を取ります。
能動的に行動する
主体性のある社員は、能動的に行動します。細かい指示を受けるまで待つのではなく、自らやるべき仕事を探し出すことができます。問題意識や課題意識を持っているため、変化への「気づき」も早く、目標や課題を設定することに困ることはありません。
何事にも積極的に取り組む
何事にも積極的に取り組むことも、主体性のある社員の特徴です。知的好奇心が強く、求められている以上のことを行なう力があります。ビジネスパーソンとしての成長も早く、社員としての価値を高め、キャリアアップの道を自ら切り開くことができます。
わからないことを知ろうとする
主体性のある社員は、わからないことをそのまま放置することはしません。わからないことは自ら調査したり、上司や先輩社員に質問したりします。そして、思考力を働かせて理解したことを、次の行動に繋げることができます。
06主体性のない社員の特徴
主体性のない社員の特徴を詳しく解説します。
- ・言い訳が多い
- ・受動的に行動する
- ・言われた以上のことはしない
それぞれのポイントを詳しく解説します。
言い訳が多い
主体性のない社員の特徴のひとつは、言い訳が多いことです。言動の根底に自身の価値観や信念がないため、望ましくない結果は、指示した人や環境の責任だと思い込むのです。「こうするよう決められていたから」するのであって、状況の変化に対する対応力に欠けています。
受動的に行動する
主体性のない社員は、受動的に行動します。これはいわゆる「指示待ち人間」のことで、出社後に上司からの指示があるまで、動こうとはしません。「余計なことはしないほうがいい」「待つのも仕事のうち」などと、自身を正当化することもあります。
言われた以上のことはしない
言われたこと以上のことはしないのも、主体性のない社員の特徴です。想像力が欠如しており、指示の内容や目的を理解することができません。自身の能力に自信がないこともあり、責任を負うことを恐れる傾向にあります。言われたことを無難に成し遂げることに、全神経を集中させてしまうのです。
07主体性を発揮できない原因
組織や上司が原因で、本来は主体性があるにも関わらず、主体性を発揮できないという人もいます。この章では、主体性を発揮できない原因を紹介します。
失敗が許されない組織文化
失敗が許されない組織では、主体性が発揮されにくい傾向にあります。失敗が許されない組織とは、ミスが昇進に影響したり、変化を嫌う企業のことです。
このような組織では、挑戦が生まれず、事なかれ主義が蔓延します。その結果、主体性がある社員でも行動しないことが得になってしまい、主体性を発揮しなくなるのです。
周囲に協力者がいない
主体性を発揮するためには、自ら結果に責任を持たなければなりません。つまり、結果を出すために周囲の人に協力をしてもらうことが求められるケースがほとんどなのです。
そのため、周りの人間が事なかれ主義であったり、上司に言われたことしか行わない人であった場合、主体性を発揮しようとしても結果が伴わせるための行動が不十分になってしまうことが多いのです。
上司が主体性を許容しない
上司が部下の意見に耳を貸さず、部下のことを上司の決めたことを実施する部隊と考えている場合、主体性を発揮することは難しいです。
特に元エースプレイヤーだった管理職がこの傾向になることが多く、結果を出してきた自分の考えが正しいと思い込んでしまうのです。
08社員の主体性を高める方法
この章では、社員の主体性を高める方法を紹介します。
失敗を恐れずチャレンジできる環境を作る
社員の主体性を高めるためには、失敗を恐れずチャレンジできる環境を作ることが要です。そのためには、社員の意見や考えに耳を傾ける態度が必要です。「前例がない」という理由で却下するのではなく、目的達成にはさまざまな手段があるという柔軟な見方をするようにしましょう。 自身の意見が考慮されていることがわかれば、社員は活発にアイディアを出し合い、責任感を持って業務に取り組むようになるでしょう。
裁量を与える
主体性のある社員を育てるには、業務を任せて成功体験を積み重ねるようサポートすることも必要です。これは、仕事を丸投げするという意味ではなく、業務の一部を任せる、またはやり方を任せることです。上手くできたところはしっかりと褒めてください。 こうして成功体験を積み重ねることで、業務に対するモチベーションを高め、主体性を発揮しやすくなります。
コーチングで意見を引き出す
主体性を高めるためには、コーチングで社員の中にある考えを引き出すことも大事です。自分なりに考える癖がない人には、このコーチングが効果的な施策となります。
ただし、新入社員にコーチングをしても引き出しが少なく、何も考えが浮かんでこなかったり、的外れなことを言ってくるでしょう。そのため、フィードバックやティーチングとの使い分けには注意が必要です。
目標設定に主体的な行動を含める
社員に主体性を求めるのであれば、目標設定に含めるのが最も即効性があります。
定量で主体性は測定できないので、目標に対してのプロセスとして、主体性を持って施策を推進できたら加点のような形式にすると良いでしょう。
ポジティブフィードバックを心がける
ポジティブフィードバックとは、部下の言動・行動の良い面に注目し、前向きな言葉や表現で伝えるというフィードバック手法です。
部下が主体性を発揮したと感じたら、その結果の良し悪しにかかわらず、まずはポジティブな言葉でその主体性に関する行動や言動を褒めてあげましょう。その積み重ねが、部下の主体性を高めることにつながります。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
09主体性を高める|Schoo for Business
Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は4,000社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、自己内省から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,500本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
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大企業から中小企業まで幅広く導入
Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで幅広く導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
主体性向上に役立つSchooの講座を紹介
Schooは管理職に必要なマネジメントスキルや「1on1」で使えるコーチングスキルなど、汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、社員の主体性向上に役立つ授業を紹介いたします。
「1on1」に不可欠な心理的安全性と心理的柔軟性
終身雇用制度が崩壊しつつ、キャリアの積み上げ方にはその人それぞれの道があり十人いれば十人分の正解があると思います。
「人生100年時代」と耳が痛くなるほど聞きますが、結果的に健康で自由な選択肢のもと長期的に働ける時間が長くなるからこそ、「自分はどう生きたいか」という、自らの人生をご自身で選択し、デザインできる時代になりました。
だからこそ、迷い、戸惑い、わからなくなる方も多いと思います。
組織に属していても複業や起業やさまざまな働き方が考えられる時代になってきているので、求められる役割に応えることや仕事に追われることだけではなく、「自分」を起点としたキャリアデザインを一人ひとりがしていく必要があります。
と同時に、場所を選ばない働き方が浸透し対面よりもオンラインでの接点が多くなった時代に、従来のコミュニケーションスタイルではメンバーの状態を知ることや本音を引き出すことが難しいと感じています。
組織のリーダーやマネージャーは、相手としっかり向き合ってメンバーの成長のために一生懸命に伝えられることをできるだけたくさん伝えようとしているだけなのに、メンバーからの反応が薄かったり、納得のいかないような顔をされ、自分のマネジメントに自信がなくなったなどと感じてしまった経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
「1on1」では相手の状況や本音を聞き出すことと、目的を一緒に作り上げることが大事です。
そのベースに必要なのが、メンバーが話したいと思ってくれるような「心理的安全性」を築くことと、メンバーの意見を傾聴し考えを押し付けない「心理的柔軟性」を持つことです。
今回の授業では、「心理的安全性」と「心理的柔軟性」の2つのキーワードをもとに、どのような「1on1」が成果を最大化するために価値を発揮するのか、プロラグビーコーチで人材育成プロデューサーの二ノ丸さんからお話を伺います。
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プロラグビーコーチ/人材育成プロデューサー
ジャパンラグビートップリーグ(現:ジャパンラグビー リーグワン)のクボタスピアーズで選手生活を送り、2006年に引退。 引退後は、株式会社クボタにて法務部、広告宣伝部で従事。 2012年に日本ラグビーフットボール協会リソースコーチとなり、 U17/U18ラグビー日本代表コーチを歴任。2016年に人材育成プロデュース事業などを展開する「Work Life Brand」を設立し、代表に就任。
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ビジネスコーチング スキル・マインドセットと実践例
チームとして、成果をあげるためにはリーダー層がメンバーの主体性を育んでいく事が求められます。メンバー一人ひとりに主体的に行動してもらうために、1on1の実施が重要となっていますが、効果的な1on1を実施するために「コーチング」は必要不可欠です。この授業では、メンバー一人ひとりの力を最大限に引き出すリーダーになるために必要なスキル・マインドセットを学び、また実践例を通して実際のコーチングイメージを持ってもらうことで、現場でのコーチング実践ができるようになることをゴールとしています
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(株)ONDO 代表取締役
建材商社営業職、IT企業営業職を経て2005年独立。 専門はビジネスコーチングおよびファシリテーション。企業、大学、官公庁などで研修やワークショップなど、年間約200本の対話を通した学びの場づくりを行う。2015年及び2019年、優れた講義を実施する教員に贈られる「早稲田大学ティーチングアワード」を受賞。
ビジネスコーチング スキル・マインドセットと実践例を無料視聴する
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チームを導くリーダーの セルフコーチング
今回の授業では、組織づくりやメンバー育成においてコーチングを活かすメリットや考え方に着目します。 コーチングという言葉を知っている人は、自身の目指す方向性を確認し、職場で実践するためにどうするかを改めて考えるきっかけにしてください。 コーチングを初めて知る人は、ポイントを知り、チームづくり・組織づくりのヒントを持ち帰ってください。
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㈱LEBEN CAREER CEO ㈱MEXUS CCO
大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 コーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 株式会社MEXUSでは、CCOとしてパーソナルコーチングサービス『REEED』を企画運営。/div>
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10まとめ
企業を取り巻く環境が激変する中、主体性のある社員を育てることは、多くに企業にとって重要な課題になっています。前例のない事態に対処しなければならないのは、事業主や管理職だけではなく、現場最前線に立つ社員も同様だからです。 現時点で「主体性のない社員」であっても、企業の取り組み次第では、主体性を発揮できるようになる可能性があります。在籍する社員を貴重な人材と見なし、主体性を発揮しやすい組織づくりに取り組むことは、今からでも決して遅くありません。