公開日:2023/05/15
更新日:2023/05/17

好奇心とは?ビジネスにおける重要性と組織での高め方を解説

好奇心とは?ビジネスにおける重要性と組織での高め方を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

この記事では、好奇心の重要性や組織での高め方について、ビジネスパーソンの方々にとって役立つ情報を提供します。従業員の能力開発に取り入れることができるアイデアや、組織内での好奇心を高めるための具体的な方法など、実践的なアドバイスをご紹介していきます。

 

01好奇心とは

好奇心とは、心理学の観点から見ると、知的好奇心・対人好奇心・知覚的好奇心などいくつかに分類される概念です。そして一般的に好奇心として扱われるのは、知識や情報の取得など知的情報に関する探索行動の動機づけとしての「知的好奇心」がほとんどです。 近年、「好奇心」という言葉は、日常生活だけでなくビジネスにおいても重視されています。企業において、従業員の能力開発や創造性の向上を目的とした研修やトレーニングが注目されていますが、従業員の創造性を発揮するうえでも好奇心は重要な要素となります。

コンセプチュアルスキルの1つ

知識や情報の取得など知的情報に関する探索行動の動機づけとして、「知的好奇心」が主に扱われます。そしてビジネスにおける好奇心は、コンセプチュアルスキルのひとつとして位置づけられます。 コンセプチュアルスキルとは、業界や社会全体の動向を把握し、状況を理解する能力をさします。そのため、好奇心を持つことは、新しいアイデアを生み出すだけではなく、ビジネスチャンスを見逃さないために重要です。 近年、企業においては、従業員のコンセプチュアルスキルを高めるために、研修やトレーニングが導入されています。具体的には、業界動向に関する情報収集の方法や、分析手法などを学ぶプログラムが多数存在しています。 また、個人レベルでも、自己学習や情報収集を積極的に行うことが重要です。社会や業界全体のトレンドを追いかけることで、ビジネスにおけるチャンスを逃さず、自身のスキルアップにつなげることができます。

探究心との違い

好奇心と似た言葉に「探究心」があります。探究とは物事の意義や本質を深く探り究めることであり、つまり探究心とは物事について深い理解や知見を得ようとする気持ちを意味します。 探求心も好奇心も、物事に興味を持つ点で共通しています。探究心は、ある特定のテーマに対して深く掘り下げ、詳しく知ることに重点が置かれた概念です。一方で、好奇心は広範囲に渡って知識や情報を得ることに焦点を当てて使用されることが多い言葉です。 尚、心理学の観点では次の章で記載の通り、「好奇心」の中に「特定のテーマについて深く探究すること」も含まれており、文脈によって両者は同義で使われることもあります。

 

02好奇心(知的好奇心)の主な種類

知的好奇心は、拡散的好奇心と特殊的好奇心の2つに分類されます。次で詳しく説明します。

  • 1:拡散的好奇心
  • 2:特殊的好奇心

▶︎参考:知的好奇心尺度の作成(教育心理学研究 63 (4), 412-425)

1.拡散的好奇心

拡散的好奇心とは、簡単に言うと「新しいこと・未知のものに対する知的好奇心」のことです。特定の分野に限定されず、あらゆるトピックや問題に対して適用されます。 拡散的好奇心が高い人は、新しい経験を求めたり、他に取り組んだ人がいない物事にチャレンジすることを好んだりする傾向があります。ビジネスシーンに置き換えると、新しいツールや技術が登場した際にいち早くその内容を吸収し実践していく人や、社内で誰もチャレンジしたことがない新しい施策や事業に率先して前向きに取り組める人材だと言えるでしょう。

2.特殊的好奇心

特殊的好奇心とは、ひとつの物事を深く掘り下げ突き詰めていく心であり、前述した探求心とほぼ同じ意味を持っています。 自分が好きな分野について、深く掘り下げて学ぶことが好きな人は、特殊的好奇心を持っていると言えます。また、ある分野についての専門知識習得により、新しい発見やアイデアを生み出すことが可能です。 研究者や技術者などの専門家は特に、このような好奇心を持っている傾向がみられます。従業員の特殊的好奇心を伸ばす機会を作ることが、企業の成長に向けた有益な手段となるでしょう。

 

03ビジネスにおける好奇心の重要性

従業員が好奇心を持つことの意味は、単にスキルアップやチームの生産性という観点だけではありません。社会的な背景を踏まえて、以下の観点からその重要性について解説します。

  • 1:学び直しの重要性が高まっている
  • 2:企業と人材それぞれがVUCAの時代に対応するため

学び直しの重要性が高まっている

現代社会において、学び直しの重要性がますます高まっています。これは、人生100年時代と呼ばれるなかで、一度学んだ知識やスキルだけでは、長期的なキャリアの成功や幸福な生活を送ることが難しくなってきているためです。 新しいキャリアにチャレンジしたいと思った場合、まず自分自身が興味を持つ分野について積極的に学び、自己成長を目指すことが必要です。そして、その知識やスキルを活かし、新しい分野にチャレンジすることで、自己実現や幸福感を得られるだけではなく、長期的なキャリアの成功や生涯学習の継続ができるようになります。これらを目指して学び直しを行うためには、好奇心を持つことが重要なのです。

企業と人材それぞれがVUCAの時代に対応するため

現代社会は、VUCA《変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)》の時代とも言われています。企業や人材がこれに対応することが求められており、それぞれが適切な対策を講じる必要があります。 VUCAの時代において好奇心が必要とされるのは、現在持っている価値観やスキルに固執せず、新たな知識やスキルを習得する姿勢が重要であるためです。この取り組みで、自身の成長を目指し、社会の変化に素早く対応できるようになります。 具体的に必要とされるスキルには、学習意欲・柔軟性・協調性・コミュニケーション能力などが挙げられます。VUCAの時代に対応するためには、これらのスキルを駆使しながら、変化に敏感に対応することが求められます。まずは従業員が自分自身の成長に積極的に取り組むような環境を整えることが重要でしょう。

 

04好奇心が高い人材の特徴とは

好奇心が高い人材は、変化の激しい環境で活躍することができるうえ、革新的なアイデアを生み出して組織に新たな刺激を与えることができます。以下の4つの特長について、さらに詳しく解説します。

  • 1:さまざまな分野からキャッチアップしている
  • 2:常に全体像や目的を把握しようとする
  • 3:物事に対して常に能動的に取り組む
  • 4:自己成長のサイクルを回せる

さまざまな分野からキャッチアップしている

好奇心の強い人は、さまざまな分野から情報を収集し、知識やアイデアを豊富に持っています。これは、ビジネスにおいて非常に重要な要素であり、企業にとっても有益な資産となります。 現在、常に新しい技術やトレンドが生まれ、市場環境も変化しています。このような状況下での新しい情報のキャッチアップは非常に難しいですが、好奇心が旺盛な人は、さまざまな分野から情報を集めることを得意としているため、広い視野を持つことができます。

常に全体像や目的を把握しようとする

好奇心が旺盛な人は、常に新しい課題や疑問を追い求めています。そしてこの姿勢はビジネスにおいても重要な役割を果たします。 例えば、どのような市場ニーズがあるのか、競合他社はどのような戦略をとっているのか、自社の強みは何かなど、ビジネスにおいては様々な観点から情報収集や考察を行う必要があります。これらは複雑な考察になることも多いですが、好奇心旺盛な人は前向きに思考を進めることができるのです。 また好奇心が旺盛な人は、深い洞察力を持っています。何が本当に問題であるのか・本質なのかを見極めることで、効果的な戦略の立案や問題解決につながります。

物事に対して常に能動的に取り組む

好奇心が旺盛な人は、未知の物事に対して理解を深めたいという気持ちを強く持っています。そのため自分から質問したり、行動に移したりすることで、常に能動的に取り組む傾向があります。 このような人材は、周りを巻き込む力にも強く、チームの好奇心も向上させることが期待できるでしょう。

自己成長のサイクルを回せる

仕事をするうえで、自ら課題を定義・行動し成長のサイクルを回すことはとても重要です。知的好奇心が強い人は、自らの課題や深めたいテーマに対し書籍や記事を積極的に読んだり、外部講演会に参加したりすることで、新しい知識や情報を取り入れる行動を多くとります。そして、そのインプットを自分なりに整理し、アウトプットとして仕事に活かしていくことで、新たな知見を身につけて成長のサイクルを回していくことができるのです。

 

05従業員の好奇心を促進する方法とは

従業員の好奇心を促進するためには、それに適した環境を整えることが求められます。どのような方法が有効であるのか、以下の4点について解説します。

  • 1:好奇心を社内やチームの行動指針として掲げる
  • 2:他部署とのプロジェクトやジョブローテーションの実施
  • 3:自己啓発(SD)など自発的な学びの機会を作る
  • 4:マインドセット研修の実施

好奇心を社内やチームの行動指針として掲げる

好奇心やそれが体現された行動を社内の信条として周知することは、チーム全体の創造性やイノベーションに繋がる重要な要素です。好奇心を大切にする文化を作り上げることで、チームメンバーは常に新しいアイデアを考えて、試行錯誤をすることができます。また、メンバー間で創発的な行動を賞賛できれば、次のアクションにもつながりやすくなります。これらの行動は問題解決にも紐づいて、企業の業績向上が期待できます。

他部署とのプロジェクトやジョブローテーションの実施

新しい知識や経験を得ることは、知的好奇心を高めることにつながります。その観点から、他部署とのプロジェクトで普段とは異なるメンバーと接する機会を作ったり、ジョブローテーションによって業務の幅を広げたりすることも打ち手の一つとなります。 他部署とのプロジェクトを通じて、従業員は異なるノウハウを持つメンバーとの交流ができるだけではなく、他部署の知見を吸収することもできます。これにより、従業員は自分の視野を広げ、新しい知識やスキルを習得できるのです。 同様に、ジョブローテーションも従業員の好奇心を刺激する機会になり得ます。ジョブローテーションにより、従業員は異なる部署で働くことができ、新しいスキルや知識を習得することができます。さらに、ジョブローテーションは従業員の視野を広げて、企業全体のビジネスの流れを理解できるようになります。

自己啓発(SD)など自発的な学びの機会を作る

好奇心を高めるためには、学び・深めたいテーマと出会ったり、実際に探究することによる成長実感が得られることが大切です。しかしパーソル総合研究所が実施した「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」によると、勤務先以外での学習・自己啓発を行っていない日本人の割合は52.6%であり、諸外国と較べて自己研鑽意欲が低いことが指摘されています。 そのため、従業員が自分自身を成長させて、企業全体の成長に貢献するためには、自発的な学びの機会を作ることが必要でしょう。具体的には、自己啓発(SD)などのトレーニングやセミナーなど、自分自身を向上させるための機会を提供することが考えられます。 企業が、従業員に対して自己啓発の場を設けるのは、思考力の向上や精神面での成長を目的としているためです。これらの取り組みにより、ビジネスシーンにおいて成果を発揮できるようになります。

▶︎参考:考:グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)

マインドセット研修の実施

好奇心を持つことは、イノベーションやクリエイティブなアイデアを生み出すために不可欠な要素です。好奇心がある人材を育成するためには、マインドセット研修の実施も必要です。 好奇心といった意識や素養を育成するには、単にテクニックや手法を学ぶだけでは不足してしまいます。マインドセット研修は、受講者自身の考え方や心構えを変えて、より前向きな行動を促すことを目的としています。研修を実施することで、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢や、自己成長のために積極的に学び続ける姿勢を育成すると効果的です。


 

研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする


■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


Schoo_banner
 

06まとめ

従業員に好奇心を持たせることは、企業の成長に直結しますが、好奇心を持つことは簡単ではありません。組織の中で好奇心を高めるためには、従業員に対して積極的な支援を行う必要があります。組織において好奇心を高めることは、単に従業員のモチベーションを上げるだけではなく、企業の成長に直結する重要な課題です。企業が従業員に対して積極的に支援を行い、マインドセット研修などを実施することで、好奇心を持ち続ける従業員を育成していきましょう。

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
執筆した記事一覧へ

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ