スルースキルがビジネスシーンで重要な理由とは?高い人の特徴や身につけるためのポイントを解説
スルースキルは、仕事における人間関係を円滑にしたり、あらゆるストレスへ対処したりするためにも重要なスキルの1つです。その使い所は見極める必要はありますが、なぜビジネスパーソンにとって必要なのか、また上手く活用している人にはどのような特徴があるのかについて解説します。
- 01.スルースキルとは?
- 02.スルースキルが高い社員の特徴
- 03.スルースキルが低いことの課題
- 04.スルースキルを個人・組織に定着させる方法
- 05.まとめ
01スルースキルとは?
スルースキルとは、自分にとってストレスになる言動や状況を受け流すスキルを指します。ビジネスシーンにおいて、最もストレスに関わることの1つが「他者とのコミュニケーション」であるといえます。 仕事を進める中では、時に関係者から必要以上に強い言葉で叱責を受けたり、感情をぶつけられてしまったりすることもあるでしょう。そういった言葉を全て間に受けてしまっていると、ストレスが溜まりすぎてしまい、仕事だけでなく日常生活に支障をきたすことも現代では少なくありません。 ただし、他者からのフィードバックは成長に繋がる要素であるため、スルーすべきこと、取り入れるべきことを冷静に判断することが大切です。
社員の退職理由の中でも多いのは「人間関係」
社員の退職理由の中で「人間関係」は多くの割合を占めています。厚生労働省の資料によると、令和2年の退職理由の中では、「職場の人間関係が好まし くなかった」が男性は8.8%、女性は13.3%となっており、男性は3番目、女性は1番目に多い理由となっています。人間関係で悩む人が多い理由としては、解決が難しいことが挙げられるでしょう。「仕事ができない」などの悩みは自分がスキルアップすれば解決することが多い一方、人間関係の悩みは他者を変える必要があり、中々解決が難しいです。
「人間関係」で悩まないためにもスルースキルは重要
基本的に「他者を変える」というのは難しいです。ビジネスにおいても、相手を変えようと働きかけてもその効果は薄く、ストレスの解消につながらないケースは少なくありません。 そのため、他者を変えることよりも「他者を気にしないようにする」「自分の受け止め方を変える」方が確実に問題を解消できる手立てだと言えます。そのための適切なスルースキルを身につければ、その都度の人間関係やストレスでの悩みを溜め込まず、やるべき仕事に集中することができます。
02スルースキルが高い社員の特徴
スルースキルが高い社員には、以下のような特徴が共通して見られます。
- 1.ポジティブに物事を考えられる
- 2.人目を気にしない分集中力が高い
- 3.客観的に物事を捉えられる
1.ポジティブに物事を考えられる
スルースキルがある人は、物事をポジティブに捉えられる傾向があります。なぜならポジティブな人は例え人から厳しい意見や不快になる事を言われても、「次はきっと上手くいくだろう」や「いい意味にも捉えられる」と考え、深く思い悩むことをしないためです。反対にネガティブ思考が強い人は、否定的な発言を言われた際にその都度考え込んでしまい、目の前の仕事に集中できないということも少なくないでしょう。
2.人目を気にしない分集中力が高い
スルースキルが高い人は、集中力が高い傾向があります。他人から言われたことをいつまでも考え続けないため、目の前の仕事に集中することが可能です。反対にスルースキルがない人は、「あのときああしておけば良かった」など後悔ばかりを繰り返し、集中力が欠けてしまいミスをしてしまうことも増えます。
3.客観的に物事を捉えられる
スルースキルが高い人は、客観的に物事を捉えられる人であるとも言えます。他者から言われた内容で物事を判断せず、自分でデータを収集したり他の人の意見も聞いたりして、物事の正解・不正解を客観的に判断しようとします。例えば、顧客から「売上が伸びなかったのはあなたの会社の製品の品質が悪いせいだ」などと批判されても、売上が伸びない要因について各種要素を検証し、提供製品で改善できる範囲はどこまでか、より大きな問題はないのかを冷静に判断することができます。
03スルースキルが低いことの課題
社員のスキースキルが低いと、さまざまな面で問題が発生します。具体的には次の3つのような問題に直面する恐れがあります。これらを知ることで、社員のスキースキルを高めることの重要性が分かるでしょう。
- 1.仕事に集中できず生産性が下がってしまう
- 2.人目を気にして積極性がなくなってしまう
- 3.人間関係で悩み早期退職してしまう
1.仕事に集中できず生産性が下がってしまう
スルースキルが低いと、その都度上司や他人から言われたことに気を取られてしまい、目の前の仕事に集中できなくなってしまうことがあります。特にフィードバックや意見を多く受ける場合は、その中で優先度を付け、まず取り組むべきことから対応することが重要です。 スルースキルが低いと、全ての意見やフィードバックを精査せず、間に受けてしまい結果的に仕事の生産性が低下することにもつながってしまいます。
2.人目を気にして積極性がなくなってしまう
スルースキルがないと、人目を気にしてしまい仕事への積極性も失われてしまいます。他人から批判されることを恐れてしまい、積極的な発言ができなくなったり、新しい提案等も行わなくなってしまうのです。そうすると、消極的に仕事に取り組むことになってしまい、個人の成長が止まるだけでなく、場合によってはメンタル面への影響も出てしまうかもしれません。
3.人間関係で悩み早期退職してしまう
スルースキルがない人は人間関係で悩むことが増え、早期退職してしまう可能性もあります。冒頭で解説したように、退職理由に「人間関係」を挙げる人は多いです。社員が早期退職してしまうと、採用コスト・育成コストが無駄になってしまいます。そのため、人間関係による早期退職はできる限りゼロに近づけることが、人事部の役割と言えるでしょう。
04スルースキルを個人・組織に定着させる方法
スキースキルは単に個人のストレス対処法といった観点のみならず、使い所を間違わなければ社員の人間関係の悩みが解消され、さらには業務効率化や生産性アップにも繋がる可能性があります。正しいスキースキルを個人・組織に定着させるにはどうすれば良いのか、主な方法5つを解説します。
- 1.他人の意見を否定しない風土を作る
- 2.社内のコミュニケーションを活性化させる
- 3.失敗をポジティブに捉える文化を作る
- 4.マネジメント層のフィードバックの質を上げる
- 5.社員研修を活用する
1.他人の意見を否定しない風土を作る
まずは、他人の意見を否定しない風土を作ることが大切です。上司が部下の意見をすぐに否定すると、部下は消極的になってしまい余計に人目を気にしてしまいます。会議でもお互いの意見を否定しないような、組織の心理的安全性を高めるようにすると良いでしょう。
2.社内のコミュニケーションを活性化させる
社員の誰かが人間関係で悩んでいる場合、その人に声をかけ「何に悩んでいるのか」「解決するためにできることはないか」など打ち明けてもらうことが大切です。そのための具体策としては、1to1ミーティングやメンター制度を導入するのがおすすめです。 これらのミーティングでは、部下の仕事の悩みや課題を把握し、アドバイスによって解決を促す機会となります。また、他人の言動を深刻に受け止めすぎてしまうのは思考の癖や性格的要素も影響しているため、第三者が客観的に事実を整理することで、不必要に重く捉えすぎることが防止できるでしょう。
3.失敗をポジティブに捉える文化を作る
失敗をポジティブに捉える文化を作ることも大切です。仕事でのミスを批判し合うような雰囲気があると、攻撃的なコミュニケーションが増え、社員の挑戦心が薄れてしまいます。たとえ仕事で結果を出せなかったとしても、挑戦したこと自体を称賛し合う風土を作ることが大切です。また、クレド(社員の行動指針のこと)を導入し、挑戦することを会社側も推奨していることを示すのも効果的です。
4.マネジメント層のフィードバックの質を上げる
スルースキルは前提として、円滑な人間関係やコミュニケーションのやり方が成立していれば、そこまで発揮しなくても良いものとなります。そのため、社員がスルースキルがなければいけない状況を防止するという観点から、マネジメント層のフィードバックの質を上げることも考えてみると良いでしょう。 具体的には、短所よりも長所にフォーカスしたマネジメントを行うこと、伝え方を工夫することを考えてみると良いでしょう。管理職向けに部下との接し方に対する指針やグランドルールを設け、研修を実施することで、部署全体の育成やフィードバックの底上げに取り組むのも有効な方法です。
5.社員研修を活用する
社員の適切なスルースキルを高めるために、受け流しに必要なスキルについて社員研修を行うのも対策の一つです。例えば、「レジリエンス研修」「コミュニケーション研修」などは、他者の言動に適切に対処できるスキル向上に寄与します。 また、マネジメント層の指導の方法に課題があるようなケースでは、マネジメントや部下へのフィードバックに関する研修を行うのも役立つでしょう。
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05まとめ
スキースキルはネット上でよく使われる言葉ではあるものの、実はビジネスにおいても重要な能力の1つです。スキースキルを身につけることで、社内/社外の人間関係を円滑にすることができるうえに、人間関係で悩まされることが減り生産性向上にも繋がります。社員のスキースキルを高めたい場合、先ほどご紹介したポジティブシンキング研修やレジリエンス研修などを導入することをおすすめします。