公開日:2023/05/16
更新日:2023/05/17

アントレプレナーシップとは?8つのスキルと育成方法も紹介

アントレプレナーシップとは?8つのスキルと育成方法も紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

アントレプレナーシップは、起業家に必要なあり方、即ち利益を生み出すために世の中の課題に対して新しい解を提示し、リスクを恐れずに立ち向かっていく精神・姿勢を示す言葉。本記事では、アントレプレナーシップに関するスキルや育成方法を紹介しています。社員のアントレプレナーシップ向上に向けて、本記事を参考にしてください。

 

01アントレプレナーシップとは

アントレプレナーシップとは、世の中の課題に対して新しい解決策(商品・サービス)を打ち出し、リスクを恐れずに立ち向かっていく精神・姿勢のことを指します。日本語では「起業家精神」と訳されることも多いため、起業家のみに求められる素質と思われますが、現代のビジネスパーソンにとっても重要な能力です。 アントレプレナーシップは、フランス語の「entreprendre(引き受ける)」が語源で、18世紀にフランスの経済学者リチャード・カンティロンの言葉に始まったとされています。そこからさまざまな学者が各々の解釈で定義をしています。

ヨーゼフ・シュンペーター(経済学者)
「企業リソースの新結合(イノベーション)を行う当事者」
イスラエル・カーズナー(経済学者)
「より収益性が高い領域へと経営リソースを移動させる存在」

このように単に「起業家精神」だけではなく、新たな事業やものごとを創造・追及する精神・姿勢として、企業成長のために現代における社員ひとりひとりに求められる重要な能力です。

新たなビジネスを積極的に創造する姿勢

アントレプレナーシップで重要なことは、自分がより良い社会に変革するリーダーとして、変化やリスクを恐れずに新たなビジネスを積極的に創造する姿勢です。 ここ数年、VUCA時代やビジネスのグローバル化に伴い、日本でもアントレプレナーシップが重要視されています。日本政府も国内のアントレプレナーシップ教育を推進する他、大学の経済学部や経営学部を中心に、アントレプレナーシップのコースが用意されるようになりました。

イントレプレナーとの違い

アントレプレナーに類似している言葉として、イントレプレナーがあります。どちらも重要な言葉であるため、2つの言葉の違いについて理解しておく必要があります。 イントレプレナーとは、「社内起業家」のことです。社員でありながら社内で新たなアイディアの創造や企業の一部門として、新製品やサービスの事業化・社内ベンチャーに調整する人です。社内起業では経営陣や部署間の調整・協力が必要不可欠となるため、調整力が一層求められるのが特徴です。 アントレプレナーとイントレプレナーは、新規事業を創造する点が共通していますが、イントレプレナーシップでは企業に属しながら事業創造を行います。企業内でアントレプレナーシップの育成を目的として、イントレプレナー制度を取り入れている企業も多く存在します。

 

02アントレプレナーシップが注目を集めている背景

アントレプレナーシップは新たなビジネスの創造や追及する姿勢として、昨今のビジネスパーソンにとって必要不可欠な能力です。それでは、なぜ最近になってアントレプレナーシップが注目を集めているのか解説していきます。注目を集めている代表的な背景として、下記の3点が挙げられます。

  • ・先行き不透明なVUCA時代であること
  • ・年功序列制度の崩壊と成果主義への移行
  • ・ビジネスのグローバル展開が急速に進んでいる

先行き不透明なVUCA時代であること

世界経済では、2010年以降に先行き不透明なVUCA時代に突入したと考えられています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。 その中で、企業は目まぐるしい社会変化に迅速に対応するため、ビジネス自体を柔軟に行っていく必要性に迫られています。そのため、新たな環境下でも自身で考えて、積極的に新規ビジネスにチャレンジして創造できるアントレプレナーシップを備えた人材が求められています。

年功序列制度の崩壊と成果主義への移行

アントレプレナーシップが注目される背景の1つに、年功序列制度の崩壊と成果主義への移行もあります。これまで日本の企業では、終身雇用を前提として、新卒時に入社した企業で働き続けて評価されるのが一般的でした。しかし、終身雇用や年功序列制度の崩壊とともに、転職が一般的となり、成果主義の評価制度の導入も加速化しています。 このような市場の流れの中で、企業としても指示を待って実行するだけではなく、リスクを恐れずに新たなものごとにチャレンジし、成果を残せる人材が求められるようになりました。

ビジネスのグローバル展開が急速に進んでいる

現在、ビジネス市場として日本国内だけではなく、より広い市場を求めて海外への進出が進んでいます。そして海外進出を成功させるためには、日本でのやり方をそのまま踏襲するのではなく、自社の強みを活かしながらエリア毎にビジネスの展開方法を調整する必要があります。 このような状況下で日本の企業が求めるのは、今後の社会の動きを見据えて、変化対応にチャレンジし続けられるアントレプレナーシップを持った人材です。

 

03アントレプレナーシップに関わる8つのスキル

アントレプレナーシップは、新たな事業を創り出す想像力やリスクを恐れず立ち向かう精神・姿勢と解説してきました。このような精神や姿勢を実現するには、いくつかのスキルが求められます。ここからはアントレプレナーシップに関わる8つのスキルについて、紹介します。

  • 1.メンバーをひとつの目標へ導く統率力
  • 2.前例のないアイデアを出せる創造力
  • 3.新しい物事を常に学び続けられる学習意欲
  • 4.多様な意見をまとめ上げる調整力
  • 5.メンバーの意見を引き出せる傾聴力
  • 6.社外で人脈を構築するフットワークの軽さ
  • 7.失敗やリスクを恐れないマインドセット
  • 8.粘り強く達成を目指す忍耐力

1.メンバーをひとつの目標へ導く統率力

統率力とはメンバーを巻き込みながら、ひとつの目標へ導く力のことです。新規事業は前例のないプロジェクトとなるため、先行きが読めず思い通りに進まないことも多いです。そのようなときにメンバーの意見をまとめながら、目標に向けて導いていく必要があります。そのため、新規事業では自身が目標を見失わずに、メンバーをまとめあげる統率力が求められます。

2.前例のないアイデアを出せる創造力

アントレプレナーシップには、既存の事業とは異なる新たなプロジェクトを進めることが求められます。そのため、過去に捉われず前例のないアイデアを出せる創造力が必要となります。 特に、世の中の動きが激しいVUCA時代の中で、固定概念に捉われていてはプロジェクトを成功に導くことは難しいです。このようにアントレプレナーシップには、これまでの非常識となる新たなアイデアを創造するスキルが求められます。

3.新しい物事を常に学び続けられる学習意欲

目まぐるしい変化を続ける社会情勢の中で事業を進めるには、常に最新の情報をキャッチアップすることが重要です。そのためアントレプレナーシップには、新しい物事にも抵抗なく、積極的に学び続けられる学習意欲が必要不可欠となります。また、事業の成功には失敗もあるため、その失敗をいかにして次につなげられるか、といった学びも重要です。

4.多様な意見をまとめ上げる調整力

課題に対して新しい解決策を打ち出す過程では、多くのステークホルダーを巻き込んで物事を進める必要があります。いかに能力の高い人材であっても一人で出来ることは限られており、より大きな成果を生み出すためにはチームとしての力を最大化させる必要があるためです。そのため、メンバーから出てくる多様な意見をまとめ上げる調整力も、アントレプレナーシップには必要不可欠なスキルといえます。

5.メンバーの意見を引き出せる傾聴力

アントレプレナーシップでは、それぞれのメンバーの意見を引き出せる傾聴力も重要なスキルです。VUCA時代に対応するためには、自身の意見で推し進めるトップダウンではなく、多種多様な意見を引き出すボトムアップの事業推進が必要です。メンバーが意見を言いやすいように、意見を肯定しながら耳を傾けていきます。そのように吸い上げた意見から、新たな事業のヒントが見つかる可能性もあります。

6.社外で人脈を構築するフットワークの軽さ

ビジネスを推進するうえで、人脈の構築は必要不可欠であり、新規事業においては特に重要といえます。新規事業は自分一人で進めることはできず、人脈を活用しながら実現していくものです。社外の人脈から情報をキャッチアップして、ビジネスが生まれることは多いです。そのため、新規事業においては、社外の人脈形成を積極的に行うフットワークの軽さが必要とされます。

7.失敗やリスクを恐れないマインドセット

アントレプレナーシップでは、新たな事業を創り出す想像力だけではなく、リスクを恐れず立ち向かう姿勢・精神も重要な要素です。新たな事業にチャレンジする際には、リスクはもちろん失敗も多く発生します。しかし、その失敗を恐れてチャレンジできなければ、事業を成功させられません。その都度失敗を次につなげる気持ちで、失敗を恐れないマインドセットが成功のカギを握ります。

8.粘り強く達成を目指す忍耐力

アントレプレナーシップでは、新規の事業の成功に向けた、粘り強く達成を目指す忍耐力も求められます。これまで解説した通り、新たな取り組みでは思い通りにいかないことや失敗は何度も起こります。そのとき、困難に立ち向かい、粘り強く諦めずに進めていくことで、目標は達成できます。

 

04アントレプレナーシップを育成する施策例

アントレプレナーシップを養う方法はいくつか存在します。ここではアントレプレナー育成の具体的な施策を4つ紹介します。

  • 1.失敗を責めないような社内風土や行動指針の醸成
  • 2.社内でビジネスプランコンテストを開催する
  • 3.従業員一人ひとりの仕事における裁量権を拡大する
  • 4.社員研修の活用

1.失敗を責めないような社内風土や行動指針の醸成

社員がアントレプレナーシップを持つためには、失敗を責めないような社内風土や行動指針の醸成が必要です。組織全体が既存の考え方から脱却できず、新しい取り組みに対して批判的な姿勢を取る社員が多い環境では、新規事業の推進を停滞させてしまいます。 例えば米国の大手化学メーカーである3Mでは、業務に関係ない自身の好きな研究に、勤務時間の15%を使えるルールがあります。さらに、失敗も許容される風土も強く、失敗から大人気ベストセラー商品につながっているものもあります。このように、社員のアントレプレナーシップの育成には、失敗を責めない新しいビジネスに挑戦しやすい環境づくりが重要です。

2.社内でビジネスプランコンテストを開催する

アントレプレナーシップを持った社員の育成施策として、社内でビジネスプランコンテストを開催する方法もあります。ビジネスプランコンテストは、社員がグループを組んで新規ビジネスを提案し、競い合う施策です。 ビジネスプランを考える際には、実際の事業と同じように、将来のビジョンだけではなく予算や利益など実現性も細かく考慮します。またコンテストで高い評価を受けて成功すれば、実際に事業化することもあります。 このような経験をすることで、仮に検討したビジネスプランを事業化できなくても、社員は、創造力や調整力、情報収集力のようなアントレプレナーシップに必要なスキルを学ぶことが可能です。

3.従業員一人ひとりの仕事における裁量権を拡大する

アントレプレナーシップでは、自身で考えて学習し、自発的に取り組む姿勢が重要です。そのため、従業員一人ひとりの仕事における裁量権を拡大することで、責任感を持たせて自身で進めさせることも有効です。裁量権を持たせることで、これまで受動的に仕事をしていた社員が、自分で考えて行動することを学べます。

4.社員研修の活用

社員へのアントレプレナーシップの育成方法としては、社員研修を実施することも有効です。研修では、アントレプレナーシップに必要な基礎的な知識から、実際の企画やプレゼンの実践まで、社員に身につけてほしいスキルをテーマとして扱います。 企業で働くビジネスパーソンにとって、起業は縁遠く感じることも多いでしょう。そのため、研修によって具体的なノウハウや実例を知ることで、実践にあたっての具体的なイメージをつけることが可能になります。


 

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05まとめ

将来の予測が難しく変化の激しい現代において、アントレプレナーシップはすべての社員に求められるスキルです。本記事では、アントレプレナーシップが必要とされる背景や関連するスキル、社員へのアントレプレナーシップの育成方法などを紹介しました。本記事を参考に、社員のアントレプレナーシップの向上を図りましょう。

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この記事を書いた人
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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