公開日:2023/07/04
更新日:2023/07/06

データドリブン経営とは?メリットや実現方法から成功事例まで解説

データドリブン経営とは?メリットや実現方法から成功事例まで解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

IT化によって、データを活用した経営を行うことは特別なことではなくなってきました。そのなかでも、データドリブン経営と呼ばれるものが注目されています。どういったものなのか、実現方法や成功事例まで解説します。

 

01データドリブン経営とは

データドリブンとは、さまざまな意思決定を蓄積されたデータに基づいて行うことを意味しています。つまりわかりやすく言うと、データドリブン経営とは「データに基づいた決定を行う経営」のことを指します。データドリブン経営では、従来の「経営者の勘や経験」に頼るのではなく、収集し蓄積してきたデータから客観的な判断を行って決定を下していくという特徴があります。

DXとデータドリブン経営の関係

データドリブン経営とDXは切っても切れない関係にあります。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、企業活動の部分的・段階的、または全面的なデジタル化を行うことを示します。つまり企業はDX化によって、様々な企業活動をデータで捉えることができるようになるのです。

 

02なぜデータドリブン経営が求められているのか

ではなぜ近年、データドリブン経営を求める声が高まっているのでしょうか。 次の3点について、詳しく説明します。

  • ・デジタル技術の進歩
  • ・顧客ニーズの多様化
  • ・企業間競争の激化

デジタル技術の進歩

データドリブン経営が注目されている要因の一つは、これまではできなかったデータに基づく決定が、デジタル技術の進歩によって可能になったことが挙げられます。

デジタル技術の発展によって、例えばユーザーの製品利用状況や工場の製造ラインデータなど、データドリブン経営の根拠となる「データ」そのものの精度も高まってきました。 データドリブン経営は、経験や勘といった数値化できず再現性がないものではなく、データという客観的な情報を根拠にしています。

顧客ニーズの多様化

現代では顧客のニーズが多様化しており、サービスや商品を提供する企業としてはそれらを的確に読み解いたり、仮説を持って挑むことが必要となります。

これまでは年代や性別などの顧客属性でニーズを捉えたり顧客を分析することが主流でした。しかし現代では、情報社会への移行や社会的な価値観の問い直しを背景として、個々人の価値観やニーズが多様化していると言われています。 画一的に顧客を捉えることは難しく、多様化した顧客ニーズを把握したり、その仮説を立てるためにもデータ活用が推奨されています。ウェブを含めて様々な観点からデータを読み解き、顧客満足度の向上につなげることが求められているのです。

企業間競争の激化

企業間競争が激しくなっている環境も、データドリブン経営が求められる背景の一つです。現代ではグローバル化によって国外企業との競争が激しくなっていることに加え、技術進歩による新たなビジネスも多く誕生しています。 このような環境下で、企業が保有するデータは貴重な財産であると認識されるようになっています。データドリブン経営を行うことで、ライバルが多く変化が激しいビジネス環境においても、迅速な意思決定で変化に対応することができるのです。

 

03データドリブン経営のメリット

次にデータドリブン経営を取り入れる以下のメリットについて解説します。

  • ・迅速かつ事実に即した意思決定できる
  • ・データの可視化と自動化で生産性が向上する
  • ・失敗の要因特定や改善がしやすい

迅速かつ事実に即した意思決定できる

データドリブン経営のもっとも基本であり、有用であると考えられている点が、「経験や勘ではなく、データという事実に即した意思決定ができる」ということです。 明確な根拠があるため、どういった方針にするべきかという議論も簡略化でき、迅速に経営判断を行うことができるようになります。特に経営や意思決定において、業界に関わる年数や慣習によって、無意識に見逃していることもあるでしょう。そういった隠れた顧客のニーズやマーケットのチャンスについても、データに基づくことで根拠を持って意思決定することができます。

データの可視化と自動化で生産性が向上する

データドリブン経営が定着して進んでいけば、必要なデータが可視化され、なおかつ自動でデータを出力するような仕組みも作られるでしょう。 現状の整理やデータ取得の仕組み作りは労力を要する工程になることが多いものの、一度仕組みが出来てしまえば既存のデータから情報を読み解くという作業が効率化され、生産性の向上にもつながる可能性があります。また、可視化されたデータであれば様々な従業員が利用可能になるため、データを用いた改善活動が広がりやすくなるでしょう。

失敗の要因特定や改善がしやすい

データに基づいた意思決定を行ったとしても、必ず成功するというわけではありません。 しかし、勘や感覚で決定した場合と比べて、データに由来した意思決定のため、たとえ施策に失敗してもデータを方向転換の指標にすることができます。 仮に思い通りの結果とならずとも、元にしたデータと得られたデータを活用し、次回に活かすことができます。

 

04データドリブン経営を実現する方法

実際に経営に取り入れるにはどのような手順が必要なのでしょうか。確認していきましょう。

  • 1.データドリブン経営を取り入れる領域の決定
  • 2.データの収集とフォーマット化
  • 3.データの可視化
  • 4.データ分析
  • 5.分析結果を活用した施策の策定
  • 6.施策の実行と振り返り

データドリブン経営を取り入れる領域の決定

まず重要なのが、「どの領域をデータドリブンで意思決定するか」を決めることです。 データドリブンには、得意とする領域とそうでない領域があります。 データ化しやすい顧客行動や販売数などが数値として残る領域は得意ですが、感情の機微などが重要な領域はそれほど得意ではありません。 もし、デジタルが苦手とする領域をデータドリブンにしてしまうと、各種データの定義やデータの取り方の設計に大きな労力がかかるとともに、思った結果が得られない可能性もあります。そのため、領域の切り分けは慎重に行う必要があります。

データの収集とフォーマット化

領域を決めたら、データを収集していきます。意思決定の元になる重要なデータです。 既存のデータを活用したり、部署をまたいでデータを利用したりすることもあるでしょう。その際、どの部署でも使えるようにフォーマットを整えることも大切です。 関係する部署で話し合って、必要十分なデータフォーマットにできるようにしましょう。

データの可視化

データを収集したら、それを見やすいように可視化します。データを閲覧するためのダッシュボードを作成するなどし、グラフなどで一目で理解できるようにしておくのが理想です。 また、ダッシュボード化しきれていないデータについても、各部署で必要なデータにアクセスできるようにしておけば、閲覧した人が疑問に思ったことをすぐに調べることができます。

データ分析

データを確認しながら、各部署で分析していきます。 ここが非常に重要なパートです。現場の意見なども聞きながら、データから見えるユーザー行動や市場動向を探ります。またこの時は、最初に設定したデータ活用の目的を常に念頭におきながら分析を進めます。 データ分析をより簡易にするためのツールもあるため、必要に応じて利用を検討するとよいでしょう。

分析結果を活用した施策の策定

分析した結果から、どこにネックがあるのか、何をすれば改善するのかといった意見が生まれてくるでしょう。それらを精査し、実際に行う施策を策定していきます。 施策を策定する際には、実施した際のビジネスにおけるインパクトの強弱と、施策実施難易度でマトリクス図を描くのも効果的です。

施策の実行と振り返り

データドリブン経営では、実施した施策の振り返りも非常に重要です。成功したにせよ失敗したにせよ、貴重なデータが得られています。 ここで得られたデータを使って振り返りを行うことで、データに基づく意思決定の精度を上げていくのです。

 

05データドリブン経営を成功させるポイント

データドリブン経営を実現するためにはどうすれば良いのか、以下の成功させるポイントについて解説します。

  • ・DX人材の確保と育成
  • ・データドリブンを組織文化として根づかせる
  • ・スモールスタートで実施する
  • ・規制や消費者感情の変化にも対応する

DX人材の確保と育成

データドリブン経営とDXは切っても切れない関係にある、というのは冒頭でお話したとおりです。DXを行うためには、全社的に自社のデジタル状況を俯瞰し、横断的な対応ができる専門人材が必要となります。 一方、採用で確保することも可能ですが、DXは多くの企業が課題として抱えているため、DX人材の人材的価値が高騰しています。可能なら、自社のIT系の人材や部署を横断する推進チームを発足し、DX人材を教育、育成することも検討すると良いでしょう。eラーニングや研修を用いた事例もあるため、コンサルタントによる支援だけでなく、中期的に見たDX人材の育成についても検討してみることをおすすめします。

データドリブンを組織文化として根づかせる

データドリブン経営で重要なのは、経営陣だけでなく、全社的にデータドリブンの有用性や活用を根付かせることです。 一部のITに明るい部署だけが行うだけでは、データドリブン経営を実現することは難しいといえます。全社で同水準にデータの蓄積、活用の習慣が整っていなければ、意思決定をおこなってもそれを生かした改善ができないからです。そのため、組織文化として「データに基づいた決定を行うこと」を推進するようにしましょう。 定期的な啓発や周知、トップダウンまたはボトムアップで常に話題に出すこと、データ分析の研修を受講する機会を設ける、といった方法がおすすめです。

スモールスタートで実施する

データドリブン経営を開始するための大きな障害の一つに、扱うデータが膨大であることが挙げられます。データ整理などに時間をかけたり、全社の一斉DX化を待っていたりすると、なかなか開始することができません。 その場合、まずは相性が良い部署で始めてみることもよいでしょう。改善しながら可能な範囲で他部署へ展開するようにしていけば、組織文化としても広がりやすくなります。

規制や消費者感情の変化にも対応する

近年、消費者の個人情報利用や保護の観点から新たに規制がかかることも少なくありません。例えば、欧州では2018年にGDPR(EU一般データ保護規則)が施行され、欧州でビジネス展開する企業は対応を迫られました。そのほか、仮想通貨やAIのビジネス利用に関しても新たな規制などが整備されつつあります。 また、企業データへの不正アクセスや流出のニュースも後を絶たず、顧客も自身のデータ保護について敏感になっています。そのため、企業が自社のデータを活用しながら成長につなげるためには、適切なデータ取扱い基盤を作り顧客と適切なコミュニケーションをとることが求められます。


 

研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする


■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


Schoo_banner
 

06データドリブン経営の成功事例

では、実際に経営に取り入れて成功した企業はあるのでしょうか。成功事例を確認しておきましょう。

ワークマンの事例

ワークマンは元々作業服販売の大手でしたが、日用のアパレルにも事業を展開して大きく売り上げを伸ばしたことで著名な企業です。そしてその背景には、徹底したデータドリブン経営があると言われています。 ワークマンでは特定の専門職のみがデータ分析するのではなく、社員全員が日々の業務でデータに基づいた意思決定ができるような組織作りが行われています。この取り組みによって業務の効率化や意思決定の最適化が全社レベルで推進され、高成長の維持を実現しています。

味の素の事例

味の素は「食と健康の課題解決企業」となるため全社的にDX推進に力を入れている企業です。2023年度の経産省DX銘柄にも選定された他、2023年発表の決算では過去最高益を達成しています。 同社の具体的なデータ活用の例として、マーケティングへの活用が挙げられます。それまではマス向けのマーケティングを主軸としていましたが、SNSデータをはじめとしたデータ分析・活用によって、より個人の指向に合わせたパーソナライズドマーケティングに移行しました。

▶︎参考:DXで味の素社はどう変わる? 〜社会変革をリードする食品メーカーを目指して〜

 

07まとめ

ビジネス上のさまざま問題が発生し、状況が日々変わっている現代。複雑な変化に対応するためには、明確な経営判断と強固で信頼できる意思決定が重要となります。 データドリブン経営は、まさにそれらの要求に合致する手法なのではないでしょうか。 これを機に、自社のデータ活用状況を確認し、可能であればデータドリブンの手法を取り入れてみてください。

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
執筆した記事一覧へ

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ