マルチタスク能力とは?マルチタスク能力を育成するメリットや注意点を解説
マルチタスク能力とは、複数のタスクを同時並行で行う能力のことです。当記事では、マルチタスク能力の概要やマルチタスク能力を育成するメリット、マルチタスク能力を育成する際の注意点について解説しています。人事育成担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.マルチタスク能力とは
- 02.マルチタスク能力を構成する3つのスキル
- 03.マルチタスク能力の育成による企業側のメリット
- 04.マルチタスク能力を育成する際の注意点
- 05.マルチタスク能力を育成する方法
- 06.まとめ
01マルチタスク能力とは
「マルチタスク能力」とは、複数の作業を同時にこなすことができる能力を指します。マルチタスク能力は、主に締め切りが決まっており、優先順位をつけて作業を進めていくことが求められる業務に必要と考えられています。
シングルタスクとの違い
マルチタスクの対義語に、「シングルタスク」があります。シングルタスクとは、1つの作業だけを集中して遂行することを指します。マルチタスクと比べて対応できるタスク数は減るものの、一つのことに集中して物事を進められるため、シングルタスクは頭を使う作業や集中力が求められる作業の効率化に役立ちます。
02マルチタスク能力を構成する3つのスキル
マルチタスク能力は、主に以下の3つのスキルによって構成されています。
- 1.業務の優先順位を適切に行うことができる
- 2.優先順位に基づいたスケジューリング能力
- 3.完璧主義を求めない遂行力
以下では、それぞれのスキルとマルチタスク能力の関連性について説明します。
1.業務の優先順位を適切に行うことができる
限られた時間を有効に使うためには、自身の業務を理解し、重要度に応じてタスクの優先順位を付けることが欠かせません。ただ目の前の仕事を手当たり次第にこなすだけでは、計画性がなく非効率になってしまいます。 また、優先順位を付けずに業務を進めていると、優先度の高い業務を後回しにしてしまい、周囲に迷惑をかけてしまうことも考えられます。業務を進める順番を明確にして時間を最大限に活用する能力は、マルチタスクを実行するために必要なスキルです。
2.優先順位に基づいたスケジューリング能力
マルチタスクで業務を進めるためには、優先順位に基づいてスケジュールを立てることもポイントです。マルチタスク能力の高い人は、自分の予定を確認して優先順位をつけて、各タスクに必要な時間を見積もることができます。また、予期せぬタスクが追加で発生する可能性も考慮しながら、スケジュール通りに進行するためにどこでマルチタスクが必要かを判断できます。
3.完璧主義を求めない遂行力
完璧主義な人は、臨機応変な対応が苦手な傾向にあるため、一度に複数のタスクをこなしていくマルチタスクには不向きです。マルチタスクでは遂行力が強く求められるため、完成度に拘りすぎず、それぞれの仕事を前にスピーディに前に進めるという考え方が必要です。
03マルチタスク能力の育成による企業側のメリット
マルチタスク能力を育成することにはどのようなメリットがあるのかを、詳しく見ていきます。
- 1.各個人や職場の生産性が高まる
- 2.プロジェクトや事業の全体像を把握できる
1.各個人や職場の生産性が高まる
生産性とは、投資した資源から生み出された成果の割合を表す指標です。マルチタスクは、同時進行で複数の業務を進めるため、どれか1つの業務が停滞してしまう心配がありません。突発的な依頼にも対応しやすいため、チーム内で仕事を振り分けしやすく、結果的に組織全体の生産性が高まるというメリットがあります。
2.プロジェクトや事業の全体像を把握できる
マルチタスクによって複数の仕事を手掛けることで、プロジェクトや事業の全体像を把握できるようになります。シングルタスクでは、1つの作業に集中しますが、マルチタスクでは、それぞれの仕事面から見える全体像や新たな気付きを得られることもあります。 そうして全容を把握していくと、より効率良く業務を遂行できるのです。
04マルチタスク能力を育成する際の注意点
マルチタスク能力を育成する際には、以下の注意点を留意することが重要です。
- 1.必ずしも全員がマルチタスクに向いているわけではない
- 2.精神的なプレッシャーを感じてストレスが溜まりやすくなる
- 3.業務内容によってはかえって生産性が低下するおそれも
- 4.キャパオーバーを起こさないよう全体のタスクを俯瞰することが重要
1.必ずしも全員がマルチタスクに向いているわけではない
マルチタスクには、向き不向きが存在します。マルチタスクに向いている人は、効率良く同時進行でさまざまな仕事を進められます。しかし、マルチタスクに向いていない人は、仕事の進行状況を把握できなかったり、予定通りに業務が進まずキャパシティオーバーになってしまったりするのです。 人によっては、マルチタスクよりもシングルタスクの方が効率良く仕事を進められることも考えられます。そのため、必ずしも全員がマルチタスク能力に向いているわけではないということを理解して、各自に合った仕事の進め方を取り入れましょう。
2.精神的なプレッシャーを感じてストレスが溜まりやすくなる
マルチタスクで業務を進めると、慌ただしさを感じることがあります。このような、「時間がない」「間に合わない」といった焦りは、脳に強いストレスを与えます。人によっては、精神的なプレッシャーを感じてストレスが溜まりやすくなってしまうでしょう。 やるべきことに常に追われている状態は脳へのストレスとなり、時間間隔を歪ませて更なる焦りを生じさせます。この、実態以上に時間が無いと感じさせ追い込まれた感覚になる現象は、「時間汚染」と呼ばれています。
3.業務内容によってはかえって生産性が低下するおそれも
いま行っている作業を切り替え、集中力を元に戻すまでには、およそ15分間の時間を要すると言われています。そのため、シングルタスクであれば1時間で完了した業務が、マルチタスクで進めた結果、2〜3時間かかってしまうことも考えられます。また、集中力をキープできず、生産性の低いダラダラとした状態になってしまう可能性も否定できません。
4.キャパオーバーを起こさないよう全体のタスクを俯瞰することが重要
シングルタスクは作業過程が単純なため、現在取り組んでいる作業をいつまでに終わらせることができるか検討しやすいものです。しかしマルチタスクでは、シングルタスクのような感覚で作業完了までの時間を見積もることができません。このような理由から、マルチタスクはシングルタスクに比べて、キャパオーバーを起こしやすくなります。 また、納期も同時並行して迫ってくるため、1つの作業が滞ってしまうと他の作業も滞り、全ての業務が停滞してしまう可能性もあります。キャパオーバーを起こさないためには、管理職が個々のタスク状況を適切に把握することが肝要です。
05マルチタスク能力を育成する方法
マルチタスク能力を構成する要素は、業務の優先順位をつけて、スケジューリングすることだと説明しました。しかし、マルチタスクが苦手な方でも、日々の習慣を少し変えるだけで、マルチタスクで業務を遂行できるようになります。ここでは、マルチタスク能力を育成する方法について紹介します。
- ・タスクの優先度・重要度を整理する習慣付けを行う
- ・スケジュールやタスクを見える化する
- ・タスク管理・時間術に関する研修を実施する
1.タスクの優先度・重要度を整理する習慣付けを行う
まずは、終わらせなければならないタスクの優先度・重要度を日々整理する習慣をつけましょう。優先順位を考えずに、先に発生したタスクから着手してしまうと、納期遅れが発生して周りに迷惑をかけてしまいます。
優先順位をつける方法としては、タスクの重要性と緊急性の二軸で分類することが挙げられます。つまり、タスクを「緊急かつ重要」・「緊急ではないが重要」・「緊急だが重要でない」・「緊急でもなく重要でもない」の4つのいずれかに分類し判断するのです。 人はつい、緊急度の高い仕事に振り回されがちです。しかし、実際にはパフォーマンスは重要度の高い仕事を沢山こなした方が上がりやすくなります。そのため、このマトリックスでタスクを整理し、重要ではない仕事はタスクを断ったり調整したりすることが大切です。
2.スケジュールやタスクを見える化する
スケジュールやタスクを見える化するのも有効な手の1つです。カレンダーやタスク管理ツールを使ってやるべきこと、計画を見える化すると、全体の予定を視覚的に把握することが出来るだけでなく、実際に計画通りに進められたかどうかの振り返りも出来るようになります。 また、マルチタスクの難しさは複数のタスクを処理するために頭の切り替えが必要な点にあります。そのため、予め複数タスクの進行を前提に予定を組むことで、対応漏れを防ぐだけでなく、それぞれのタスクに集中しやすい環境を作ることができます。
3.タスク管理・時間術に関する研修を実施する
タスク管理・時間術に関する研修を実施することも、1つの手です。研修では、業務のストレスや負荷をなくし、効率的にタスクをこなしていくための考え方と具体的な手段を学びます。特に、タスク管理に慣れていない社員や、管理体系が確立していない若手社員に有効な方法と言えるでしょう。
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06まとめ
マルチタスクとは、複数の業務を並行して進めるために、脳を何度も切り替えて実行する能力のことを言います。マルチタスク能力を身につけることで、「組織の生産性が高まる」「プロジェクトや事業の全体像を把握できるようになる」などのメリットがあります。しかし、マルチタスクには向き不向きがあるため、その人に適した仕事の進め方を取り入れることが重要です。ぜひ、当記事を参考に従業員のマルチタスク能力を育成してみてはいかがでしょうか。