公開日:2023/07/07
更新日:2023/07/07

女性管理職を巡る昨今の状況とは?育成におけるポイントも解説

女性管理職を巡る昨今の状況とは?育成におけるポイントも解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

日本における女性管理職の比率は未だ低い状態にあり、キャリア支援が急務の課題となっています。当記事では、女性管理職を巡る昨今の状況や、女性管理職が少ない原因について解説します。女性管理職の育成におけるポイントについても触れていますので、担当者の方はぜひご一読ください。

 

01女性管理職を巡る昨今の状況について

女性の管理職を増やす取り組みは、国をあげて推進されており、1999年には「男女共同参画基本法」が施行されました。これにより、企業も女性管理職の登用を積極的に進めていますが、実際には目標である30%の水準に到達していないのが現状です。

管理職における女性の比率は10%程度

厚生労働省が発表した「令和3度雇用均等基本調査結果」によると、女性の管理職が占める割合は、部長職相当で 7.8%、課長職相当では10.7%にとどまることが分かりました。 女性管理職の比率が低い背景としては、「出産や育児などのライフステージの変化によって、役職者になるまでに退職してしまう場合が多い」ことや、「管理職の業務負担が過剰である」ことなどが考えられます。

▶︎引用元:「令和3年度雇用均等基本調査」|厚生労働省

参考:外国における女性管理職の現状

2019年3月に発表された国際労働機関の報告書によると、2018年時点の世界の女性管理職の比率の平均は、27.1%でした。この時点での日本の比率は、平均12%と大きく下回っており、主要7カ国中で最下位の結果となっています。 また、内閣府が発表している各国の女性管理職の比率においても、上場企業の役員比率が主要国より低い水準となっており、日本の女性管理職の少なさが浮き彫りとなっています。

▶︎引用元:「諸外国における企業役員の女性登用について」|内閣府男女共同参画局

 

02女性管理職が少ない原因

女性の管理職の割合は、全体の10%程度にとどまり、主要国に遅れを取っている状態であることが分かりました。それでは、女性の管理職がこれほどまでに少ない背景にはどのような理由があるのか解説します。

  • 1.仕事と家庭を両立できる環境の整備が遅れている
  • 2.女性管理職のロールモデルがまだ少ない

1.仕事と家庭を両立できる環境の整備が遅れている

女性は、結婚や出産などのライフステージの変化により、一時的に仕事ができない時期が訪れる人も多いものです。そのようななかで、女性が活躍できる場を増やすためには、仕事と家庭を両立できる環境を構築することが欠かせません。 しかし、現在多くの企業は、子育て中の女性が働きづらい環境という側面を捨てきれていません。子育てには多大な肉体的・精神的負担が伴うにもかかわらず、育児休暇を気兼ねなく取れる企業はごく少数なのです。このような理由から、女性が妊娠・出産を期に退職をしてしまうケースは後を断たず、問題視されています。

2.女性管理職のロールモデルがまだ少ない

女性管理職の前例が少ないことから、企業内にロールモデルやメンターが不在であることも、女性管理職が増えない一因です。実際に、女性管理職に興味はあるものの、不安が勝ってしまい、辞退してしまうケースは決して珍しくありません、 女性管理職を増やすためには、そのような不安にもしっかりと耳を傾け、支援体制を整えたうえで、女性管理職を登用することが重要です。ロールモデルを作ることで、女性管理職としての働き方が可視化しやすくなり、管理職への昇進を視野に入れたキャリアパスが描きやすくなります。

 

03女性管理職の登用が注目されている背景

女性管理職の登用が注目されている背景には、以下の3つが挙げられます。

  • 1.人口減少による労働力不足が深刻化している
  • 2.諸外国と比較して日本は女性管理職の育成が遅れている
  • 3.多様化する市場ニーズに対応するため

1.人口減少による労働力不足が深刻化している

人口減少が著しく加速している現代では、今後、労働力不足が大きな問題になることが予想されています。実際に、パーソル総合研究所が発表した「労働市場の未来推計 2030」によると、現状のまま2030年を迎えた場合、644万人の人手不足が起こることが分かりました。 しかし、仕事と家庭を両立できる環境が整備され、女性の25〜29歳時の労働力率が49歳まで維持された場合には、女性労働者の人口は102万人増えると予想されています。

▶︎引用元:「労働市場の未来推計 2030」|パーソル総合研究所

2.諸外国と比較して日本は女性管理職の育成が遅れている

より国際的な視点から、職場における女性管理職の割合を増やすべきだという意見もあります。 日本は諸外国と比べて、女性と男性の賃金の格差が大きいことが調査によって分かっています。性別によって、賃金に格差が生まれる理由のひとつとして考えられているのが、日本における女性管理職の少なさです。管理職の報酬は、一般的に高額であることから、女性と男性の平均的な収入差を広げる要因になっていると考えられています。このような現状を改善する目的でも、政府では女性管理職の増加を推進しています。

3.多様化しつつある市場ニーズに対応するため

市場の多様化するニーズへの対応といった側面からも、女性管理職の登用が強く求められています。現代は、IT技術の急速な発展により、新しいものやサービスが次々と生まれ、それに伴って市場のニーズも多様化しています。このような消費者の価値観の変化にも柔軟に対応するため、女性管理職ならではの新しい意見を取り入れることが有効と考えられているのです。

 

04女性管理職が増える企業へのメリット

それでは、女性の管理職が増えるメリットには以下が挙げられます。

  • 1.多様性を認め合う企業風土を醸成できる
  • 2.女性が働きやすい企業づくりにつながる
  • 3.企業の社会的評価が高まり売上アップを期待できる

1.多様性を認め合う企業風土を醸成できる

管理職が男性ばかりという企業では、集団浅慮(しゅうだんせんりょ)に陥る可能性があります。集団浅慮とは、集団で物事を決める際に、たとえそれが間違った意見だったとしても、全員が同じ意見であるという理由で正しいと思い込み、好ましくない結論を導き出してしまうことを言います。

また、例え別の意見を持った人がいても、大多数の意見に合わせてしまい、言いたいことが言えないまま終わってしまうケースも珍しくありません。管理職のほとんどが男性という組織ではこういった現象が起こりがちですが、そこに女性管理職が入ることで、新たな考えが生まれ、集団浅慮に陥る可能性を減らせます。

2.女性が働きやすい企業づくりにつながる

ライフステージの変化によって、仕事を続けようか迷う女性従業員は少なくありません。また、昇進の話があった際に、多忙な仕事をこなせるか悩む従業員もいるでしょう。そのような女性従業員にとって、現在進行形で活躍している女性管理職は、ロールモデルとなります。

また、女性管理職が増えると、女性ならではの悩みを踏まえたうえで、働きやすい制度を取り入れたり整備しやすくなったりします。これまで男性の上司には相談しづらかった悩みも相談しやすくなり、結果的に女性が働きやすい環境をつくりやすくなるのです。

3.企業の社会的評価が高まり売上アップを期待できる

女性の管理職比率を見ても分かる通り、女性の社会進出は徐々に進んではいるものの、活躍の場や相応の評価が与えられているとは言えません。 そのようななかで、女性が結婚・出産後も活躍しやすい労働環境を構築するなどして、実際に管理職に女性を多く登用している企業があれば、先進的な企業として多くの人に良い印象を与えます。 企業に対する社会的評価が高まれば、売上アップや採用時により良い人材を確保しやすくなるなどの効果が期待できます。

 

05女性管理職の育成に向けて取り組むべきこと

女性管理職を育成するためには、以下の2つのポイントに留意することが欠かせません

  • 1.働きやすい労働環境や制度の整備
  • 2.女性社員のキャリア形成支援
  • 3.人事評価制度を見直す

1.働きやすい労働環境や制度の整備

まずは、女性だけではなく、男性も含めてさまざまな立場の人が働きやすい環境整備を行うことが重要です。長時間労働や評価形態などの見直しを行い、従業員全員が働きやすい環境を構築しましょう。 例えば、女性管理職が出産・育児を行う際の、サポート体制などを明確にしておくと、キャリアパスが描きやすくなります。

2.女性社員のキャリア形成支援

女性社員が、キャリア形成について前向きに検討できるように、サポート体制を整えることもポイントです。例えば、今後のキャリアプランを面談などを通じて確認したり、スキルアップ研修を行ったりすることで、女性従業員が実際に管理職を目指しやすくなります。 また、働き方の変化があった場合でもワークライフバランスを保てるように、リモートワークや短時間勤務制度を導入し、キャリア形成しながら長く働ける職場環境を構築するのも良いでしょう。

3.人事評価制度を見直す

人事評価は、公正公平かつ誰もが納得できるような内容にすることが欠かせません。どのような働きをすることが、評価につながるのかを明らかにしましょう。 人事評価の評価基準が明確になっていない場合には、時短で働いている女性従業員に対して、勤務時間が短いという理由で偏見が加わった評価になってしまうことも考えられます。また、補助的業務というような曖昧な業務を与えるだけでは、何を目標に行動すれば評価につながるのかがわからなくなります。さらに、昇給・昇進の機会も、性別に関わらず公平であるかをチェックしましょう。


 

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06まとめ

女性管理職を増やすことは、女性従業員だけではなく、企業全体にとっても大きなメリットがあります。女性管理職を増やすためには、結婚や出産といったライフワークの変化があったときでも、女性が安心して働けるような環境を構築することが重要です。ぜひ、本記事を参考に女性管理職の育成に力を入れて取り組んでみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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