開拓者精神とは?ビジネスに活かす方法や育成方法について解説
先行きが見えない現代において、既存の方法をなぞるだけではなく新しいことに挑戦する開拓者精神が重要であるといわれる場面が多くなりました。開拓者精神をいかにビジネスに活かすか、そしてどう身につけるかについて解説していきます。
- 01.開拓者精神とは
- 02.なぜ開拓者精神がビジネス現場で求められるのか
- 03.開拓者精神を形作る個々の能力
- 04.従業員に開拓者精神を身につけてもらう方法
- 05.まとめ
01開拓者精神とは
開拓者精神の「開拓」とは、未開の地に踏み込んで生活基盤をゼロから築き上げ、街や都市を作り上げていくことを意味する言葉です。これらはアメリカの開拓時代にその生活の中で培われた気質を踏まえ、フロンティアスピリットとも呼ばれることもあります。 ここから転じて、開拓者精神とは新しさを恐れず取り入れる先進性や未知の領域に挑戦する勇敢な心、積極的な活動力、既存の権威ではなく能力を評価する姿勢などを表す言葉として使用されます。いずれもビジネスで重要な姿勢であることから、人材に求めるスタンスとしても重視されています。
02なぜ開拓者精神がビジネス現場で求められるのか
現代は変化が激しくかつ見通しを立てにくいことから、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の頭文字をとってVUCAの時代であるといわれています。多くの企業にとって環境変化への対応が緊急度の高い課題となっており、このことからビジネスシーンにおける開拓者精神はますます重視されるようになっています。
1. 社会情勢の変化
開拓者精神が求められる変化の一つとして、社会情勢の変化が挙げられます。 例えば、近年では新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、私達の生活様式やワークスタイルも大きく影響を受けました。それまでなかなか進む気配がなかった在宅ワークを中心とした働き方改革も、必要に迫られてこの数年で一気に推し進められました。また直近では、新型コロナウイルス感染症は完全に収束したわけではありませんが、通常の経済活動を取り戻すに伴ってハイブリットワークを検討し、新しい働き方を模索する企業も少なくありません。
その他、LGBTQをはじめとした多様性に対する関心の高まりや、地球温暖化など持続可能性に対する問題意識など、企業が向き合うべき課題はより複雑になっているように見えます。 このような変化が激しい環境において先行きが見えない事態を切り開くためには、既存の状態を当たり前として現状維持を考えるのではなく、常に新しい状態に適応していくという意識が必要でしょう。その際に開拓者精神の恐れず進んでいく精神が重要となるのです。
2. 技術の急速な進歩
また近年はIT技術の進化によって、既存のビジネススキームや製品開発のあり方が変わったり、技術による効率化で人々の働き方も大きな影響を受けてきました。直近では、Chat GPTの登場によって新しいビジネスが多く誕生したり、業務におけるAI活用がこれまでになく注目を集めています。
こういった事態に対処していくには、単に柔軟性というよりも、開拓者精神の中で語られる「先進性を取り入れる気概」が必要となってきます。 近年のAIの進化は、あらゆる仕事を効率化するチャンスがありながらも、多くの人の仕事を代替する可能性も含んでいます。今までの働き方や常識では対処できない事象に対して、多くの人はその不安から積極的な活用を試みないかもしれません。
しかし、慢性的な人手不足や経済状況を鑑みると、「この技術がどう活用ができるのか」、「新しく何ができるのか」を考えることが求められています。こうした技術の進化やパラダイムチェンジは今後も起こりうると考えられるため、その環境に順応し競争力を高めていくには開拓者精神を持つことが何より重要です。
03開拓者精神を形作る個々の能力
開拓者精神とひとことで言っても、それを形作るのはさまざまな能力です。開拓者精神を細分化して、どういった能力や考え方からなっているのかを見ていきましょう。
- ・挑戦心
- ・意欲的な活動力
- ・自助意識
- ・能力主義
1.挑戦心
開拓者精神を語るうえで最も重要な要素の一つが、挑戦心です。未知の領域へ恐れず進んでいく、まさに「開拓」を象徴するような能力です。 現代のビジネス現場においては、既存の方法論が通用しなくなっているばかりか、新しく生まれたIT技術やAIに既存の仕組みが取って代わられる可能性があります。 そんな中で頼りになるのが、新しい手法や分野、場合によっては新規事業などに挑戦していく気概です。
2.意欲的な活動力
何事においても意欲をもって、「自分事」として取り組むことは重要です。そのような意欲的な活動力も開拓者精神の要素の一つです。新しいことに挑む際にはどうしても二の足を踏んでしまうのは仕方がないことです。前例がないことを行うには、身体的だけでなく精神的な負担も大きくなるでしょう。そういった重圧を跳ねのけ、挑戦しつづけるためには活動力は必要なのです。
3.自助意識
開拓者精神の原義に立ち換えると、自助意識が大きな意味をもっていたことが分かります。 祖国を離れ既存のインフラがない状態で開拓を行うためには、強固なコミュニティーを形成してお互いを助け合うことはもちろん、自分の身を自分で守ることがいかに重要だったか、想像に難くないでしょう。 自助意識とは、自立精神や自主性と言い換えることもできます。前述した通り、昨今のビジネス環境の特徴として変化スピードの速さが挙げられます。そのような環境下で成果を出し成長を続けていくためには、従業員自らが自主性をもって業務に取り組んでいくことが重要となるでしょう。
4.能力主義
開拓者精神には、ある意味では個人主義の側面があり、その面が強調されているのが能力主義です。既存の権威や肩書ではなく、何ができるかという能力によって評価するというものです。 日本特有の終身雇用型の雇用は崩壊して久しく、1人が複数社での勤務を経験することが増えました。それに伴い、年齢ではなく何が出来るのかによって人材を評価する傾向も強まっています。
04従業員に開拓者精神を身につけてもらう方法
開拓者精神を構成する挑戦心・活動力・自助意識は、特定の企業や職種に依存しないポータブルスキルであるともいえます。このようなポータブルスキルを社員に発揮してもらうためには、以下のような方法が有効とされています。
- ・挑戦機会を多く与える
- ・従業員評価指標において挑戦を評価する
- ・組織のクレドに組み込む
- ・イノベーション創出を目的とした研修を実施する
1.挑戦機会を多く与える
開拓者精神を身につけてもらう方法の一つとして、部下を率いたりプロジェクトを動かしたりするなどの挑戦の機会を設けることが重要です。リーダーシップに限らず、自身が考案した取り組みに挑戦させるといった取り組みでも良いでしょう。 いきなり重要な役職に抜擢することは難しいため、まずは部署内チームのリーダーや小規模なプロジェクトの責任者など、小さな挑戦機会を細かく与えるのが効果的です。
2.従業員評価指標において挑戦を評価する
近年では、活躍している従業員の特徴を言語化し項目に落とし込んだコンピテンシー評価などの手法が活用される機会があります。 そのため、個人が設定する目標の評価軸に、「挑戦すること」に関する内容を盛り込むのも良いでしょう。これらは定量目標ではなく、定性目標として設定することをおすすめします。
定性目標であれば従業員も気軽に取り組みやすいため、これから開拓者精神を浸透させるうえでは有効な取り組みといえるでしょう。さらに挑戦することを推奨し、定期的な人事評価で言及することで、チームや社内に挑戦する文化や空気を作ることができます。
3.組織のクレドに組み込む
組織のクレドの中に、「開拓者精神をもつこと」を盛り込むという手法もあります。多くの企業で、ミッションやビジョンとは別に、より細かくマインドや行動について定義したクレドやコアバリューを社内に提示したり、周知したりしています。
ビジョンは会社としてあるべき姿、目指す姿であることから、従業員はそこから具体的なアクションまで導き出すことは難しいかもしれません。そのため、クレドやコアバリューのように「どのような行動やマインドを推奨しているのか」がわかりやすく提示されていれば、従業員も理解しやすく、行動に移しやすくなるでしょう。 チームや部署で最もクレドやコアバリューを体現しているメンバーがいれば、定期的にロールモデルとして掲げたり、採用広報に活用したり、表彰するといった取り組みも合わせて行うと効果的です。
4.イノベーション創出を目的とした研修を実施する
社員研修や講座を活用し、新しいものを生み出したり挑戦することの方法論や考え方を学んでもらうことも施策の一つです。例えば、自社の事業アセットをもとに新規事業発案を行うようなワークショップを行ったり、新規事業開発やイノベーション創出に関する理論を学ぶことなどが挙げられます。。まずはワークショップや研修などで新規性のある仕事への取り組み素地を身につけることで、ビジネス現場でも行動に移しやすくなります。
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05まとめ
昔から、ビジネス現場ではある程度「開拓者精神が必要である」と言われてきました。しかし、近年ほど切実に開拓者精神が求められる状況も今までになかったのではないでしょうか。 これからの社会において、もはや開拓者精神は一部の優秀層がもつものではなく、誰もが一般的に備えている必須スキルになっていくかもしれません。 このVUCAの時代を乗り切るため、ぜひ開拓者精神を身につけてみてください。