公開日:2023/09/15
更新日:2023/10/13

組織学習とは?企業にもたらすメリットや実酢する上でのポイントを解説

組織学習とは?企業にもたらすメリットや実酢する上でのポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

「組織学習」とは、個人の学習を組織の成果につなげるアプローチ方法です。 本記事では、組織学習の概要や2つのサイクル、組織学習のメリットについて解説します。組織学習のポイントについても触れていますので、企業の育成担当者の方はぜひ参考にしてください。

 

01組織学習とは

組織学習とは、「個人の経験や知識が積み重なることで個人の能力が高まり、個人の能力が高まることで、組織行動に変革が生じ、変革により組織環境が変わることで、再び個人の経験や知識に影響を及ぼす」という一連のサイクルです。 学習は、個人のみならず組織で行われることによって、社会変化に対応しやすくなり、企業としての成長につながります。1990年代以降、アメリカのシステム科学者ピーター・センゲ氏が提唱する「学習する組織」の台頭以降、関心を持たれるようになりました。

組織学習では、学びをもとに、組織のルーティンが変化する様子をもって、組織学習が行われたとみなされます。 組織のルーティンとは、タスクなどを遂行するために組織のなかで繰り返し用いられている、仕事に関する進め方のことです。これらには、ルールやマニュアルなどの明示的なものだけではなく、組織文化などの共通認識として共有されているものも含まれています。 複雑化し続ける現代のビジネス環境のなかで、企業として成長し続けていくためには、個人の成長・変化のみならず、組織での成長・変化が必要不可欠です。

一人ひとりの学びが組織の行動を変容させるサイクル

組織学習は、「個人の経験や知識が積み重なることで個人の能力が高まり、個人の能力が高まることで、組織行動に変革が生じ、変革により組織環境が変わることで、再び個人の経験や知識に影響を及ぼす」といった、一連のサイクルにより生み出されています。つまり、一人ひとりの学びが組織の行動を変容させるサイクルということです。

組織学習は、以下の4つのフェーズから成ると考えられています。

  • ・知識の獲得
  • ・情報の移転
  • ・情報の解釈
  • ・組織の記憶

このサイクルを繰り返すことによって、組織ルーティンを変化させていくことが、組織学習だと言えます。

ナレッジマネジメントとの違い

組織学習と類似した概念に、「ナレッジマネジメント」があります。ナレッジマネジメントとは、企業が保有している知識や情報と、個人が持っている経験やノウハウなどの知的資産を共有して、独創的な仕事につなげることを目指す管理手法です。 組織全体で知識やノウハウを共有する仕組みを作ることで、知識やスキルの継承を確実かつ短期化・高密度化することが主な目的です。 また、ナレッジマネジメントは、個人の思考が重視され奨励される環境を醸成することで、集合的かつ複合的な知識によって、組織が成功することを可能にします。

 

02組織学習の2つのサイクル

組織学習には、「シングルループ学習」と「ダブルループ学習」の2つの学習サイクルが存在します。「ダブルループ学習」で取得した仕組みを「シングルループ学習」で補強していくような、両者が併存している状態が良いと考えられています。以下では、組織学習の2つのサイクルをそれぞれ詳しく見ていきます。

  • 1.シングルループ学習
  • 2.ダブルループ学習

1.シングルループ学習

「シングルループ学習」とは、過去の成功体験に基づいて、問題解決を図ろうとする考え方です。すでに備えている考え方や行動の枠組みに従って問題解決を図り、より効果の高いプロセスを構築していきます。 シングルループ学習は、事業モデルが確立し、業績を拡大させていく際に良く見られる学習モデルです。「行動→結果」の2点のみを行き来するため、シングルループと呼ばれています。

2.ダブルループ学習

「ダブルループ学習」とは、ある問題の前提条件そのものを疑い、常に起動修正しながら学習成果を高めていく手法です。 既存の枠組みを捨てて、新しい考え方や行動の枠組みを取り入れることで、新たな事業やプロセスを確立していきます。「第二の創業期」と呼ばれる事業フェーズで必要とされる考え方で、これまでの成功体験における固定観念を自ら見直し、外部から新しい知識や枠組みを習得するモデルです。 「行動→結果→固定観念を見直して学び直す」の3点を行き来するため、ダブルループと呼ばれています。

 

03組織学習の4つのメリット

組織学習を活用することで、離職率が低下したり、イノベーションが誕生したりといったメリットを期待できます。ここでは、組織学習を活用することで、企業にどのようなメリットを期待できるのか、詳しく見ていきます。

  • 1.エンゲージメント向上によって離職率を下げる
  • 2.イノベーションが生まれる
  • 3.強い組織を作れる
  • 4.チーム内のコミュニケーションが活発になる

1.エンゲージメント向上によって離職率を下げる

組織学習によって、現状の仕事のやり方や既存の制度などが変わることで、従業員のエンゲージメントの向上に期待ができます。エンゲージメントの向上は、離職率の低下にも大きく寄与するでしょう。 離職率が低い企業では、従業員が労働環境に満足している状態であると判断できます。そのような状態では、従業員はストレスなく仕事に取り組めるため、業務効率の大幅なアップが見込めます。さらに、従業員一人ひとりの業務効率が上がれば、組織全体の生産性も向上し、企業としてのパワーを強化できるはずです。

2.イノベーションが生まれる

組織学習におけるダブルループ学習では、行動の結果を振り返るだけではなく、既存の概念や価値観を置いて、外部から新たな考え方や枠組みを取り入れます。 具体的には、競合他社のビジネスモデルを学んだり、自社の状態を分析することで、客観的に見つめ直したりといった行動が挙げられるでしょう。これにより、企業経営において必要不可欠と考えられているイノベーションを生み出すことが容易になります。特に、近年はVUCA時代に突入していると言われており、企業経営では、より一層イノベーションを促すための取り組みが重要視されるでしょう。

3.強い組織を作れる

強い組織とは、的確なビジョンに基づき、効果的なコミュニケーションや変化への適応力、イノベーションとステークホルダー関係を重視し、組織の目標に向けて一丸となって動ける組織のことを言います。 組織全体の目標と目的を正しく理解していなければ、従業員のグループが協働することは不可能です。企業が最大限成果を上げるためには、組織全体のグループやチームが、必要な情報に適切なタイミングでアクセスする必要があります。組織学習を通じて知識の共有を行うことにより、全ての従業員が一貫してシンクロナイズしていることが保証され、重要な革新を実現できる可能性が高まるでしょう。

4.チーム内のコミュニケーションが活発になる

組織内のメンバー全員が同じ目標を持ち、共通のゴールを目指すことができれば、個人では到底成し得なかった大きな成果を挙げることや、より短期間での成功を実現できる可能性が高まります。 また、組織学習では、組織全体を変容しようとする力が働くため、自然とチーム内のコミュニケーションが活発になり、メンバー同士の絆も深まります。さらに、個人のアイディアが真意に受け止められてフィードバックが与えられると、従業員は自信を持てるようになり、自社に貢献する意欲が高まります。

 

04組織学習のポイント

組織学習にはさまざまなメリットが存在していますが、組織学習の有効性を最大限に発揮するためにはどのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。それでは、組織学習のメリットを高めるために注意すべきポイントを解説していきます。

  • 1.個人が持つ権限委譲を拡大させる
  • 2.成果主義とプロセス主義の両方を評価制度に取り入れる
  • 3.外部の成功事例を積極的に学ばせる

1.個人が持つ権限委譲を拡大させる

企業における権限委譲とは、上司が持っている業務権限の一部を、部下に与えることを言います。権限を一部与えることで、与えられた部下には、自らの裁量で業務を遂行してもらう考え方を含みます。 権限委譲は、委譲された従業員の自主性を高めつつ、さらに組織全体のパフォーマンスを向上させることを目的としています。あくまでも、人材育成を目的に行われるものであり、部下に業務を丸投げすることではありません。

権限委譲のメリットには、上司は部下に仕事を任せることで、自身の工数を大幅に削減できることが挙げられます。これにより、経営戦略や新たなプロジェクトの立案など、本来取り組むべき業務に専念できるようになり、組織全体の生産性を向上させることができます。 また、部下に権限を持たせることで、クレームが発生した際にも、現場で解決できるシーンが増えることもメリットです。例え、上司に指示や判断を仰いだ場合と同じ解決方法であったとしても、対応がスピーディーになる分、顧客満足度を底上げしやすくなります。

2.成果主義とプロセス主義の両方を評価制度に取り入れる

業務フロー厳守を基本とする過程主義は、どのように業務フローの改善や効率化を図るかを職務の課題として捉えることから、シングルループ学習につながりやすい傾向にあります。 しかし、過程よりも成果を重んじる成果主義であれば、どのように成果につなげていくかを、あらゆる角度から検証し、熟考するため、ダブルループ学習につながりやすいといえます。このことから、成果主義とプロセス主義の両方を評価制度に取り入れるなど、評価制度を見直すことで、日常の組織学習をある程度コントロールすることができるといえるでしょう。

3.外部の成功事例を積極的に学ばせる

急激に変化する市場や競合がある場合、シングルループ学習よりもダブルループ学習が強く求められます。いかにして外部環境の理解を促し、ダブルループ学習意欲を高めていくかが、組織の成長の鍵を握っているといえます。 また、外部からもたらされた情報は、組織内を変えるきっかけとなり得ます。そのため、研修などを通じて、積極的に外部の成功事例を学ばせると良いでしょう。


 

研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする


■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


Schoo_banner
 

05まとめ

本記事は、組織学習の概要や組織学習の2つのサイクル、組織学習のメリットなどについてお伝えしました。 組織学習は、個人の学習を組織の成果につなげることです。組織学習は、組織の存続と成長の原動力になり得る、重要なアプローチです。日々目まぐるしく変化する昨今のビジネス環境に適応していかなければ、組織は存続できません。反対に、組織学習を通じて、従業員に能動的な働きかけを行うことで、エンゲージメントの向上やイノベーションの創造が期待できます。 ぜひ本記事を参考に組織学習に関する知見を深めて、より良い企業運営へとつなげてください。

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
執筆した記事一覧へ

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ