更新日:2024/12/11

対話型組織開発とは|診断型組織開発との違いやメリット・対話を促す手法を解説

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対話型組織開発とは、組織開発の手法で「対話によって組織内の人材の関係性」を向上させ、組織をより良い方向へ導くことを目的としています。近年、従来の「診断型組織開発」から、「対話型組織開発」へ変化する潮流が見られています。不確実性を増すビジネス環境においては、所属する人材の関係性を向上させる重要性が認識されはじめたのでしょう。 この記事では、対話型組織開発と診断型組織開発の違いを明確にし、対話型組織開発のメリットや、組織内の対話を促す手法について解説します。

 

01対話型組織開発とは

対話型組織開発とは、「組織の利害関係者を一堂に会して大規模な対話を繰り返し、その関係性の変化から組織変容を導く組織開発の手法」のことです。

対話型組織開発は、組織間での意思統一がしやすく、変化へ柔軟に対応しやすいのが特徴です。急速に変化するビジネス環境やイノベーションが求められる状況で変革が継続しやすい組織が実現しやすいアプローチといえるでしょう。

▶︎参考:HRDとOD

 

02対話型組織開発と診断型組織開発の違い

診断型組織開発とは、「外部の専門家がサーベイやヒアリングなどの手法を用いて、現場を見える化して、そこで出てきた現実を、現場の人々に解釈・吟味してもらい、協働的に問題の解決に当たるという組織開発の手法」のことを指します。

対話型組織開発と診断型組織開発の違いは「パラダイム(物事の捉え方)」の側面で違いが顕著に現れます。診断型組織開発では、事実に対して、外部コンサルタントや管理職が主導で問題を分析・診断し、解決策を提示することでスピーディーな問題解決が可能です。

一方で、対話型組織開発では組織メンバー全員が主体的に対話を通じて課題を明らかにし、共に解決策を模索していくので、柔軟に対応できる点が優れています。

 

03対話型組織開発のメリット

ここまで対話型組織開発の特徴や診断型組織開発との違いを紹介しました。本章では対話型組織開発のメリットを紹介します。対話型組織開発のメリットには以下があります。

  • ・人事部と現場の協働につながる
  • ・実際に起きている課題が主題となる
  • ・組織内の関係性の質が高まる

対話型組織開発の最大のメリットは、組織内の関係性の向上が見込めることです。社員にとっては管理されるだけではなく、自分たちの思いを組織運営に反映できる機会となるため、組織に対する信頼度は高まります。対話のプロセスで、多くの社員が共通の意識をもつことにつながり、組織としての一体感を生み出すでしょう。

人事部と現場の協働につながる

対話型組織開発では、現場の声を直接反映させるため、人事部と現場の従業員が協力して課題に取り組むことが求められます。これにより、現場の実情に即した施策が立案されるだけでなく、人事部が持つ組織的な視点と現場が持つ具体的なニーズを掛け合わせることが可能です。この協働を通じて、より実効性の高い取り組みが生まれるとともに、部門間の連携や信頼関係の強化にもつながります。

実際に起きている課題が主題となる

対話型組織開発では、組織内で日々感じられている具体的な課題をメンバーの対話を通じて表面化し、解決のための取り組みを行います。抽象的な仮説ではなく、現場で共有される実際の問題が主題となるため、従業員にとって「他人事」ではなく「自分事」として捉えやすくなります。この結果、解決策の実行率が上がり、組織全体の変革が現実的で持続可能なものとなります。

組織内の関係性の質が高まる

対話型組織開発では、メンバーが互いの考えや感情を共有するプロセスを通じて、関係性の質が向上します。対話の中で相互理解が深まるだけでなく、心理的安全性も高まり、自由に意見交換ができる環境が整います。これにより、日常業務においてもスムーズなコミュニケーションが促進され、チームワークの質が向上し、結果として生産性や職場の満足度が高まります。

 

04対話型組織開発を成功させるポイント

対話型組織開発を成功させるには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。 対話型組織開発を成功させるためのポイントは以下の3点です。

  • ・対話に参加するメンバーの多様性を重視する
  • ・心理的安全性を確保する
  • ・共通の目的を明確にする

事前に組織の状態を把握することや、対話の機会を増やす取り組みなどが挙げられるでしょう。それぞれを具体的に解説します。

対話に参加するメンバーの多様性を重視する

対話型組織開発では、課題の発見や解決において多様な視点が重要です。異なる部門や職種、役職、さらには文化的背景を持つメンバーを対話に参加させることで、問題の全体像を把握しやすくなります。多様性のあるメンバーが集まることで、固定観念にとらわれない革新的なアイデアや幅広い視野からの提案が生まれる可能性が高まり、組織の変革を促進します。

心理的安全性を確保する

心理的安全性の確保は、対話型組織開発の成功において極めて重要です。心理的安全性が整備されることでメンバーは率直に自分の意見を述べ、課題に向き合うことが可能となります。リーダーやファシリテーターは、批判や否定的な態度を避けるだけでなく、全員が平等に発言できる場を提供することが求められます。これにより、組織全体の一体感が高まり、効果的な変革が可能となるのです。

共通の目的を明確にする

対話を成功させるには、共通の目的を設定し、参加者全員がその目的を共有していることが重要です。パーパスや企業理念、経営戦略などを目的として明確にすることで、議論の方向性がブレず、建設的な意見交換が可能となります。共通のゴールが明確であれば、各メンバーがその達成に向けて一丸となり、組織全体の結束力が高まります。


 

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05対話型組織開発の具体的な手法

組織内で対話を促すことは簡単ではなく、すぐに気兼ねのない対話が活発におこなわれるということはありません。そこで対話を促すフレームワークやワークショップを取り入れると良いでしょう。ここでは4つの手法を紹介します。

  • ・ワールドカフェ
  • ・AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
  • ・フューチャー・サーチ
  • ・オープンスペース・テクノロジー

フレームワークやワークショップでは、リラックスして発言しやすい雰囲気を作ることが重要です。メンバー間が対話しやすいようなテーマを用いることで雰囲気作りを行いましょう。

ワールドカフェ

ワールドカフェは、カフェでくつろいでいるときのような、リラックスした雰囲気のなかでおこなう会議です。

進め方

  • ・4~5人のグループを複数つくり、決められたテーマに沿って話し合う。
  • ・一定の時間が経過すると、グループ内の1人を残して、ほかのメンバーをシャッフル。
  • ・残ったメンバーは、これまでの話し合いの内容を新しいメンバーに共有し意見交換を続ける。
  • ・最初のグループに戻り、ほかのグループで話した内容を共有し意見をまとめる。
  • ・最後にグループごとの意見を発表し、全体での共有を図る。

少人数の話し合いのため、全員が話し合いに参加しやすいことがメリットです。リラックスした雰囲気から、斬新な意見が出やすいといった効果もあります。

AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)

AI(アプリシエイティブ。インクワイアリー)は、ポジティブな問いかけにより、個人や組織の強みを発見し、その強みを最大限に活かす仕組みを作り上げる手法です。

進め方

  • ・発見フェーズ:メンバーそれぞれの過去・現在・未来について話し合う
  • ・夢フェーズ :発見フェーズで出てきた「ありたい姿」を掘り下げる
  • ・設計フェーズ:「ありたい姿」実現のための手段・方法を計画する
  • ・実行フェーズ:計画をもとに実行に移すプロセス

ビジョンの共有やチーム学習に効果を発揮しやすい手法です。個人と組織の強みを再発見し、それを活かす方法を理解できます。

フューチャー・サーチ

フューチャー・サーチは、大人数の参加者が、3日間を費やす大がかりなワークショップです。利害の異なる関係者(64名が基本)を集め、解決が難しい課題を徹底して話し合うことで、組織の目指すべき未来を参加者全員で描いていきます。

進め方

  • ・過去の振り返り:参加者それぞれの年表を共同で作成
  • ・現在の探求:組織が抱える課題をマインドマップに落とし込み協議する
  • ・理想的な未来のシナリオを作成:「ありたい姿」「あるべき姿」を協議
  • ・コモン・グラウンドの明確化:共通の意図やルールを確認
  • ・アクションプランの作成:合意したコモングラウンドに基づき行動計画を立てる

利害の異なる大勢の関係者が集まることで、多様な意見に触れ新たな視点や気づきを得られます。3日間にわたり、密度の高い時間を共有することで、参加者の一体感を高める効果も期待できるでしょう。

オープンスペース・テクノロジー

オープンスペース・テクノロジーは、参加者がそれぞれ課題やアイデアを持ち寄り、話し合いのテーマを自主的に決めます。テーマは複数となるため、テーマごとにセッションを割り振り、参加者は各セッションを自由に行き来できます。

進め方

  • ・マーケットプレイス:参加者からテーマを集め整理し、セッションを振り分ける
  • ・セッション:テーマの提案者を中心に話し合いを進める。途中でほかのセッションに移ることも可
  • ・ハーベスト:話し合いから生まれた、気づきやアクションプランを全体で共有

参加者がテーマ設定から進行方法まで、すべてを決めるので当事者意識が高まります。自由にセッションを出入りできることで、心理的安全性の高い話し合いになり、納得感のある合意形成が可能です。

 

06まとめ

組織開発は、不確実性を増すビジネス環境において、欠くことのできない取り組みであるといえます。対話型・診断型、どちらの組織開発も長所・短所があり、うまく組み合わせることで効果を最大限に発揮できます。 いずれにせよ組織内の対話が増え、社員どうしの関係性が向上することは、組織の健全さを保つうえでも重要です。まずは、研修や会議の場で、対話を活性化するワークショップやフレームワークを実施してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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