自分ごと化とは|できない理由や当事者意識を育むためのポイントを紹介

自分ごと化とは、従業員が企業の目標や課題に対して当事者意識を持って物事に取り組むことを指します。当記事では、自分ごと化の概要やその重要性、従業員にオーナーシップを持たせるためのポイントについて解説します。人事・育成担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.自分ごと化とは
- 02.自分ごと化の言い換え
- 03.自分ごと化のメリット
- 04.自分ごと化できない5つの理由
- 05.自分ごと化させるためのポイント
- 06.コーチング研修|Schoo for Business
- 07.まとめ
01自分ごと化とは
自分ごと化とは、組織や社会、チームで直面する課題や目標を他人事ではなく、自分自身の課題として主体的に捉え、行動する姿勢を指します。 単に与えられたタスクをこなすのではなく、自分の役割や影響範囲を超えて問題や状況を理解し、その解決に積極的に関与しようとする意識が重要です。
たとえば、業績目標や社会課題など一見自分に直接関係がないと感じる事柄でも、「自分の行動が結果に繋がる」という認識を持つことで、より積極的で責任ある態度が生まれます。自分ごと化は、個人のモチベーション向上や成果の最大化だけでなく、組織全体の一体感や生産性を高める効果があり、現代の働き方やリーダーシップにおいて重要な要素とされています。
02自分ごと化の言い換え
自分ごと化と同じような意味の言葉には以下が挙げられます。
- 1:当事者意識
- 2:責任感
- 3:主体性
これらの表現は、自分自身が課題や状況に関わっていると感じ、それに対して能動的に行動する態度を指します。それぞれニュアンスや使用場面に若干の違いがありますが、「自分ごと化」と同様の意味で用いられます。
当事者意識
当事者意識とは物事に対して「自分の責任」と捉え、主体的に働きかけをしようとする意識のことです。 誰かがやってくれるだろう、自分とは関係ないといった「他人事」ではなく、「自分のこと」として問題や課題に取り組む姿勢です。この意識を持つことで、自分の行動が状況に影響を与えるという自覚が生まれ、課題解決に向けた積極的な姿勢が育まれます。
▶︎当事者意識とは?組織強化に不可欠な従業員の当事者意識について解説
責任感
責任感とは、自身の役割や任務を全うしようとする気持ちのことです。責任感を強く持つ人材は、仕事を途中で投げ出すことなく最後までやり遂げます。責任感は単なる義務感とは異なり、自発的な行動に繋がるもので組織の目標達成に対し、指示を待つのではなく、自ら率先して行動する姿勢が例として挙げられます。
主体性
主体性とは、「自分なりに考え、自らの意思で行動に移し、自ら結果に責任を持つ姿勢や能力」のことです。主体性を発揮する人は、自分の役割を理解しつつ、新たなアイデアや行動を生み出します。たとえば、プロジェクトでの課題を見つけた際に、解決策を考え提案するなど、自ら動く姿勢が主体性の具体例です。
03自分ごと化のメリット
従業員が自身の仕事を自分ごと化するメリットには以下があります。
- 1:成長速度の向上
- 2:モチベーションの持続
- 3:生産性の向上
- 4:従業員エンゲージメントの向上
自分ごと化によって、従業員の成長速度が向上したり、モチベーションへの影響があります。これらのメリットは個人だけでなく組織にとってもメリットがあり生産性の向上や従業員エンゲージメントの向上に繋がります。それぞれを具体的に紹介します。
成長速度の向上
従業員が自分ごと化で物事を考えることによって、人材の成長スピードが加速します。また、自ら考えて行動することで、問題解決能力や判断力、リーダーシップ力なども同時に養われます。さらに、自分ごと化を通じて得たスキルや経験は、他のプロジェクトや業務にも応用することができるため、全体としての人材の成長スピードを高めることにもつながります。
モチベーションの持続
自分ごと化によって、内発的な動機付けを促すことができる点もメリットです。上司からの指示や報酬といった外発的な要因ではなく、自分自身の意欲や価値観といった内発的な動機に基づいて仕事に取り組めれば、持続的かつ積極的な発展が期待できます。 また、自分ごと化によって自己実現や成長を実感することができるため、達成感や自信にもつながります。内発的な動機付けが促されることで、業務に対する熱意や責任感が高まり、結果的に生産性や業績の向上にも大きく寄与します。
生産性の向上
従業員一人ひとりが担当業務に強い関心を持ち、主体的に取り組むことで、効率的かつスピーディーな仕事が実現します。また、自分ごと化することで、自ら考え、行動する力が身につくため、自己成長も促進されます。自分の役割や目標に責任を持つ意識が高まると、業務に対する真剣さや集中力が増し、効率的な働き方が可能となります。また、課題や目標を自分事として捉える従業員は、問題解決に向けた創意工夫を行い、リソースの有効活用や無駄の削減に繋がります。結果として、チーム全体の成果も高まります。
従業員エンゲージメントの向上
自分ごと化は、従業員が組織の目標やビジョンを自分の目標とリンクさせるきっかけを作り、エンゲージメントを向上させます。これにより、会社への愛着や信頼が深まり、チームや同僚との連携が強化されます。また、自分の行動が会社全体にどのような影響を与えるかを理解することで、職場での一体感が増し、離職率の低下や職場環境の改善にも繋がります。
04自分ごと化できない5つの理由
ここまで自分ごと化によるメリットなどを解説しましたが、自分ごと化できない理由にはどんなものがあるでしょうか。自分ごと化できない理由として以下の5つがあります。
- 1:目的や目標が明確になっていない
- 2:保守的な組織文化
- 3:他責思考
- 4:余裕がない
- 5:受け身な姿勢
自分ごとができない理由には組織文化が保守的といった組織側の問題や、従業員の考え方や受け身の姿勢などが挙げられます。また、具体的な目標や目的がない場合にも自分ごとが難しくなります。
目的や目標が明確になっていない
自分ごと化が難しい理由の一つは、従業員が何を達成すべきかが明確でない場合です。目的や目標が曖昧だと、業務の意義や重要性を理解できず、課題に対する主体的な関与が薄れます。その結果、自ら行動する意欲が湧かず、業務が単なる作業と感じられるようになります。
保守的な組織文化
変化を避ける保守的な組織文化も、自分ごと化を阻害します。革新や個人の主体性を重視しない環境では、従業員が新しい挑戦や創意工夫を行う意欲が低下します。このような文化では、失敗への恐れや他者からの評価への過敏さが強まり、主体的な行動が抑制されます。
他責思考
他責思考とは、問題や課題の原因を他人や外部環境に求める考え方です。この思考を持つ従業員は、課題に向き合う責任を回避し、解決に向けた行動を取らなくなります。結果として、自分ごととして捉える意識が薄れ、業務への積極的な関与が難しくなります。
余裕がない
業務量が過多であったり、精神的・時間的余裕がない場合、自分ごと化に必要な思考や行動に取り組む余力が失われます。目の前のタスクをこなすことで精一杯な状況では、長期的な視野で課題を考えたり、主体的に関与する余地が減ります。
受け身な姿勢
受け身な姿勢の従業員は、指示待ちの状態に陥りやすく、自ら課題を見つけて解決しようとする意識が低下します。この姿勢が続くと、業務に対する責任感や創造性が欠如し、自分ごと化の意識が育たないままになります。組織として主体性を育む仕組みが必要です。
05自分ごと化させるためのポイント
従業員に対して自分ごと化させるためには5つのポイントがあります。
- ・定性・定量目標を具体的に設定する
- ・他部署や別の職種との交流・意見交換の場を設ける
- ・リフレクションの機会を設ける
- ・意思決定や責任を持つ機会を作る
- ・マネジメント層にコーチング研修を行う
自分ごと化させるためには、明確な目標を設定したり、社員同士の交流の機会を設けることが重要です。また、自分自身を見つめ直す機会を提供することで次のアクションを促すことも有効です。
定性・定量目標を具体的に設定する
従業員の自分ごと化を促進するためには、具体的な目標を設定することが重要です。特に、目標は定性的なものだけでなく、定量的な形として設定することがポイントです。 定量的な目標を設定することで、従業員は自分自身の業績を具体的な数字で測ることができます。
また、定性的な目標についても同時に設定することで、従業員は自分の役割や責任を明確に理解し、目標達成に向けてスキルを発揮することができます。定性的な目標は、従業員の自己成長にもつながるため、熟考したうえで検討しましょう。
他部署や別の職種との交流・意見交換の場を設ける
自分ごと化を促進するためには、従業員が自分の業務に限定されず、他部署や別の職種との交流や意見交換を行うことも欠かせません。このような場を設けることで、従業員は自分自身の業務についてより深く理解し、新たな視点やアイデアを得ることができます。さらに、これらの場を通じて、従業員は業務内容や企業全体のビジョン・戦略について深く理解できるでしょう。
リフレクションの機会を設ける
リフレクションとは内省のことで、ビジネスにおいては自分自身の仕事の状況や進め方を振り返り、次のアクションにつなげていく事を意味します。
自分ごと化を促進するためには、従業員が自己の成長や業務内容について内省する機会を設けることも有効です。「1on1」や「メンター制度」などの方法によってリフレクションの機会を設けることで、従業員は自分自身の業務や成長について今一度振り返ることができて、更なる成長に向けたアクションプランを策定できます。
意思決定や責任を持つ機会を作る
意思決定や責任を持つ機会を設けることで、従業員の自己成長や組織成長に対する意欲を高められます。 意思決定や責任を持つ機会としては、「プロジェクトリーダー」や「チームリーダー」などの役職を与えることが挙げられます。これらの役職に就くことで、従業員は現状の能力を試すことができて、今後の自己成長に向けたアクションプランを計画できます。
マネジメント層にコーチング研修を行う
マネジメント層を対象のコーチング研修を実施することもひとつの手です。コーチングとは、自己の強みや課題を自覚し、自己成長を促進するための手法です。マネジメント層がコーチング研修を受けることで、各々がまとめるメンバーに対して適切な質問を投げかけられるようになります。これにより、従業員が自己の成長について考える機会を提供しやすくなり、自分ごと化を促進できます。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

06コーチング研修|Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。コーチング研修はもちろんのこと、新入社員研修・管理職研修からDX研修まで幅広いコンテンツで全ての研修を支援できるのが強みです。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schooのコーチング研修の特長は、コーチングの正しい知識はもちろんのこと、傾聴や対話などコーチングに求められるスキルに関してのコンテンツも充実しているという点にあります。
また、Schooはeラーニングによる研修受講となるので、社員1人ひとりが好きな時間や場所、タイミングで研修を受講することができるので、研修受講に時間を割くことが難しい社員が多かったり、リモートワークを導入している企業や多拠点展開している企業におすすめです。
大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
コーチング研修のカリキュラム例
この章では、Schooが保有する9,000の授業の中から、コーチング研修におすすめの授業を3つ紹介します。
コーチング 目標設定のための4ステップ
第1回 | コーチング 目標設定のための4ステップ |
時間 | 50分 |
研修内容 |
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この授業では、「コーチング」をテーマにGrowモデルのフレームワークを通し、部下の意欲や能力を引き出すために大切な考え方や適切な目標設定の手法について学ぶことができます。
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㈱LEBEN CAREER CEO
秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
組織を育てるリーダーのコーチング思考と対話法
第1回 | チームを導くリーダーのセルフコーチング |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | メンバーを導くコーチングの聴き方 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第3回 | 動機づけを促すコーチングの技術 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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この授業では、組織づくりやメンバーとの関わりに着目し、実践できる考え方と対話法を解説します。全3回(合計3時間)で、コーチングスキルの一部を紹介しながら、ビジネスの場で活かしていくためのポイントをお伝えします。
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㈱LEBEN CAREER CEO
秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
チームと共に成長するリーダーのコーチング実践法
第1回 | コーチという姿で、メンバーと関わる |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | コーチングを活かした、メンバーとの関わり方 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第3回 | チーム運営に活かす、グループコーチングの視点 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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この授業では、チーム運営にコーチングを取り入れる際のポイントや、個々のメンバーとの関わり方、チーム全体に対しての関わり方などを学ぶことができます。
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㈱LEBEN CAREER CEO
秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
07まとめ
「自分ごと化」をすると、業務に対して自分事として捉え、自ら主体的に行動を起こせるようになります。 従業員の自分ごと化が促進されると、組織全体の生産性を大きく向上できるため、企業運営においては欠かせない要素と言えるでしょう。実際に、現在は多くの企業が自分ごと化を重視し、従業員の自己実現を支援するための取り組みを行っています。従業員のモチベーションや業績アップにつなげるためにも、ぜひ自分ごと化に関する知見を深めてみてはいかがでしょうか。