自分ごと化とは?従業員にオーナーシップを持たせるためのポイントや事例を解説

自分ごと化とは、従業員が企業の目標や課題に対して当事者意識を持って物事に取り組むことを指します。当記事では、自分ごと化の概要やその重要性、従業員にオーナーシップを持たせるためのポイントについて解説します。人事・育成担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.自分ごと化とは
- 02.従業員が仕事を自分ごと化するメリットとは
- 03.自分ごと化させるためのポイント
- 04.自分ごと化を重要視する企業の事例
- 05.まとめ
01自分ごと化とは
「自分ごと化」とは、組織の一員として働く従業員が、企業の目標や課題を自分自身の問題として捉え当事者意識を持ち、主体的に取り組むことを言います。自分ごと化は、従業員のモチベーションや生産性の向上、チームの結束力強化につながると考えられています。
仕事におけるオーナーシップとは
「オーナーシップ」とは、オーナーの責任や所有意識を持つことを意味します。仕事におけるオーナーシップとは、自身が担当する業務やプロジェクトに対して、オーナーとしての責任感や所有意識を持つことを指します。 つまり、自分がやるべき仕事について、自ら考えて主体的に行動することが求められるのです。このようなオーナーシップを持った従業員が多く存在する組織は、成果を上げやすく、市場における競争力を高めることができます。
02従業員が仕事を自分ごと化するメリットとは
従業員が自分自身の仕事を自らの問題として捉えて、責任感を持って取り組む「自分ごと化」が実現することで、企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。以下では、従業員が仕事を自分ごと化するメリットについて解説します。
- 1:人材の成長スピードが高まる
- 2:内発的な動機付けを促すことができる
- 3:仕事の生産性が高まる
人材の成長スピードが高まる
従業員が自分ごと化で物事を考えることによって、人材の成長スピードが加速します。また、自ら考えて行動することで、問題解決能力や判断力、リーダーシップ力なども同時に養われます。さらに、自分ごと化を通じて得たスキルや経験は、他のプロジェクトや業務にも応用することができるため、全体としての人材の成長スピードを高めることにもつながります。
内発的な動機付けを促すことができる
自分ごと化によって、内発的な動機付けを促すことができる点もメリットです。上司からの指示や報酬といった外発的な要因ではなく、自分自身の意欲や価値観といった内発的な動機に基づいて仕事に取り組めれば、持続的かつ積極的な発展が期待できます。 また、自分ごと化によって自己実現や成長を実感することができるため、達成感や自信にもつながります。内発的な動機付けが促されることで、業務に対する熱意や責任感が高まり、結果的に生産性や業績の向上にも大きく寄与します。
仕事の生産性が高まる
従業員一人ひとりが担当業務に強い関心を持ち、主体的に取り組むことで、効率的かつスピーディーな仕事が実現します。また、自分ごと化することで、自ら考え、行動する力が身につくため、自己成長も促進されます。 自己成長が促されれば、スキルも向上するため、業務においても高度なパフォーマンスが発揮されるようになります。このように、従業員が自分ごと化することで、仕事の生産性が高まるのです。
03自分ごと化させるためのポイント
自分ごと化が成功すると、従業員は単なる仕事としてではなく、自分自身の成長や企業の成功につながる重要な取り組みとして捉えられるようになります。企業にとっても、従業員のモチベーションや生産性の向上につながるため、自分ごと化の促進は重要な取り組みと言えるでしょう。従業員の自分ごと化を促すためには、以下のようなポイントが挙げられます。
- ・定性・定量目標を具体的に設定する
- ・他部署や別の職種との交流・意見交換の場を設ける
- ・リフレクションの機会を設ける
- ・意思決定や責任を持つ機会を作る
- ・マネジメント層にコーチング研修を行う
定性・定量目標を具体的に設定する
従業員の自分ごと化を促進するためには、具体的な目標を設定することが重要です。特に、目標は定性的なものだけでなく、定量的な形として設定することがポイントです。 定量的な目標を設定することで、従業員は自分自身の業績を具体的な数字で測ることができます。この際、目標達成のために必要なアクションや期限を明確にすることで、目標を効率よく達成できるでしょう。 また、定性的な目標についても同時に設定することで、従業員は自分の役割や責任を明確に理解し、目標達成に向けてスキルを発揮することができます。定性的な目標は、従業員の自己成長にもつながるため、熟考したうえで検討しましょう。 さらに、目標の設定には、従業員自身が意見を出すことも肝要です。なぜなら、従業員自身が目標を設定することで、その目標に対する自己評価や責任感を高められるためです。
他部署や別の職種との交流・意見交換の場を設ける
自分ごと化を促進するためには、従業員が自分の業務に限定されず、他部署や別の職種との交流や意見交換を行うことも欠かせません。このような場を設けることで、従業員は自分自身の業務についてより深く理解し、新たな視点やアイデアを得ることができます。さらに、これらの場を通じて、従業員は業務内容や企業全体のビジョン・戦略について深く理解できるでしょう。
リフレクションの機会を設ける
リフレクションとは内省のことであり、ビジネスにおいては自分自身の仕事の状況や進め方を振り返り、次のアクションにつなげていく事を意味します。 自分ごと化を促進するためには、従業員が自己の成長や業務内容について内省する機会を設けることも有効です。リフレクションの機会を設けることで、従業員は自分自身の業務や成長について今一度振り返ることができて、更なる成長に向けたアクションプランを策定できます。 リフレクション方法には、さまざまなものありますが、なかでも効果的なのが「1on1」や「メンター制度」です。1on1では、上司と個別に話し合うことで自己の成長や課題、業務についての改善点などを共有することができます。 またメンター制度では、従業員が自己の成長に向けたアドバイスや指導を受けられます。従業員自身が、定期的に自己の業務や成長について振り返る時間を設けましょう。
意思決定や責任を持つ機会を作る
意思決定や責任を持つ機会を設けることで、従業員の自己成長や組織成長に対する意欲を高められます。 意思決定や責任を持つ機会としては、「プロジェクトリーダー」や「チームリーダー」などの役職を与えることが挙げられます。これらの役職に就くことで、従業員は現状の能力を試すことができて、今後の自己成長に向けたアクションプランを計画できます。
マネジメント層にコーチング研修を行う
マネジメント層を対象のコーチング研修を実施することもひとつの手です。コーチングとは、自己の強みや課題を自覚し、自己成長を促進するための手法です。マネジメント層がコーチング研修を受けることで、各々がまとめるメンバーに対して適切な質問を投げかけられるようになります。これにより、従業員が自己の成長について考える機会を提供しやすくなり、自分ごと化を促進できます。
04自分ごと化を重要視する企業の事例
「自分ごと化」を重要視する企業は年々増えており、従業員の自己実現を支援するために、さまざまな取り組みが行われています。今回は、なかでも代表的な「味の素株式会社」と「リコー株式会社」の2社の取り組み事例について紹介します。ぜひ、自社の施策を検討する際の参考にしてください。
味の素株式企業
味の素株式会社では、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組みを行っています。この取り組みは、「ASV(Ajinomoto Group Shared Value)」と称されて、現在も経営の基本方針の一環となっています。 また、味の素株式会社では、従業員一人ひとりが常に自己成長を意識して働けるよう、自分ごと化を実践しています。実際に、食品開発担当者は、「良い商品を開発するだけでなく、自身の仕事が日本中の食卓とつながっていることへの責任を感じ、新しい価値を生み出していきたい」と話しています。このように、従業員がASVの考え方と重要性を理解し、自分ごと化することで、企業にも社会にも貢献しているのです。
▶︎引用:「自分の仕事が日本中の食卓と繋がっていることを感じます」~ "私が語るASV" Vol.1 |味の素株式会社」
リコージャパン株式会社
リコージャパン株式会社では、働き方改革やSDGsを促進するために、従業員一人ひとりが「自分ごと」として取り組むことを重要視しています。 具体的には、SDGsの取り組みを促進するために、2018年からSDGsキーパーソン制度を導入しました。本制度では、全国の支社や部門の数百人をキーパーソンとして登録し、社内で勉強会を開くなどの啓発活動を実施しています。 また社内に限らず、地域・社会に対しても自社の実践事例などの取り組みを紹介しています。自分ごと化をただ指針として掲げるだけではなく、さまざま活動を積み重ねることによって重要性を体現しているのです。
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・自己啓発への活用方法 など

05まとめ
「自分ごと化」をすると、業務に対して自分事として捉え、自ら主体的に行動を起こせるようになります。 従業員の自分ごと化が促進されると、組織全体の生産性を大きく向上できるため、企業運営においては欠かせない要素と言えるでしょう。実際に、現在は多くの企業が自分ごと化を重視し、従業員の自己実現を支援するための取り組みを行っています。従業員のモチベーションや業績アップにつなげるためにも、ぜひ自分ごと化に関する知見を深めてみてはいかがでしょうか。