デジタルリテラシーとは|意味や重要性、高める方法を解説

デジタルリテラシーは、現代社会においてますます重要性を増しているスキルの一つです。この記事では、デジタルリテラシーの定義、ITリテラシーとの違い、デジタルリテラシーが求められる背景、高める方法、そして低いデジタルリテラシーのデメリットについて詳しく解説します。
- 01.デジタルリテラシーとは
- 02.ITリテラシーとの違い
- 03.デジタルリテラシーが求められる背景
- 04.デジタルリテラシーを高めるメリット
- 05.デジタルリテラシーが低いことのデメリット
- 06.社内のデジタルリテラシーを高める方法
- 07.デジタルリテラシーを高める際の注意点
- 08.まとめ
01デジタルリテラシーとは
デジタルリテラシーとは、デジタル技術やデバイスを使用し、情報を適切に理解し、生産的に活用できるスキルのことを指します。具体的には、インターネットやコンピュータ、スマートフォンなどのデバイスを操作する基本スキルに加え、情報を正確に検索し、評価し、活用する能力が含まれます。また、オンラインでの安全性やプライバシーを守る意識、SNSやメールなどのデジタルコミュニケーションツールを適切に使う力も重要な要素です。
さらに、デジタルリテラシーは単なる技術スキルに留まらず、倫理的な判断力やクリティカルシンキング、問題解決能力とも密接に関連しています。例えば、フェイクニュースや誤情報を見極めたり、他者とのオンラインでのやりとりを適切に行ったりする能力が含まれます。このスキルは、個人の成長やキャリアの向上だけでなく、デジタル社会での健全な参加や組織の効率的な運営にも大きく貢献します。
02ITリテラシーとの違い
デジタルリテラシーは、ITリテラシーを含みながらも、さらに広範な概念です。デジタル技術を使って情報を収集、評価、活用し、オンラインでの安全性を確保したり、倫理的な判断を下したりする能力を含みます。また、SNSやメールでのコミュニケーション能力、デジタルコンテンツの制作、クリティカルシンキングもその範疇です。
つまり、ITリテラシーが「技術的スキル」に焦点を当てるのに対し、デジタルリテラシーは「情報の活用と社会的文脈での適応力」に重きを置くという点で異なります。
03デジタルリテラシーが求められる背景
デジタルリテラシーがますます求められる背景にはいくつかの要因があります。
- ・デジタルデバイスが急速に普及した
- ・少子高齢化による生産性の向上が不可欠になった
- ・働き方改革とDX化のニーズが増加した
デジタルデバイスが急速に普及した
近年、スマートフォン、タブレット、パソコンなどのデジタルデバイスが急速に普及しました。これらのデバイスは、私たちの日常生活や仕事において欠かせない存在となりました。例えば、スマートフォンを使って簡単に情報を検索したり、タブレットを使ってオンラインで学習したりすることができます。また、パソコンを活用して仕事を効率的に進めたり、クリエイティブな活動を行ったりすることもできるでしょう。 デジタルデバイスを効果的に活用するためには、デジタルリテラシー(デジタル技術を理解し、活用する能力)が必要です。例えば、デバイスの基本的な操作方法を理解することや、インターネットを安全に利用するためのセキュリティの知識を持つことが重要です。また、情報の信頼性を判断する能力や、デジタルツールを使って情報を整理・分析するスキルも求められます。 デジタルデバイスの普及は今後も進み続けることが予想されるでしょう。そのため、私たちはデジタルリテラシーを継続的に学び、成長していく必要があります。デジタルデバイスを上手に活用することで、より便利で効率的な生活や仕事が実現できるでしょう。
少子高齢化による生産性の向上が不可欠になった
日本を含む多くの国々で少子高齢化が進行しており、これによって労働力の減少や社会保障負担の増加などの懸念が生じています。そのため、生産性の向上がますます重要な課題となっています。デジタルツールを活用することで、業務の効率化や労働力の補完が可能となり、生産性向上に大きく寄与することが期待されるでしょう。 例えば、オンライン会議やテレワークなどのリモートワーキング環境の整備によって、時間や場所にとらわれることなく業務を遂行することができます。また、AIや自動化技術の導入によって、繰り返しの作業やルーティンの処理などを効率化し、人間の労力をより高度な業務に集中させることができるでしょう。さらに、データ分析や予測モデルの活用によって、効果的な意思決定を支援することも可能です。これらの取り組みによって、少子高齢化による生産性の低下を防ぎ、持続可能な社会の実現に向けた一歩を踏み出すことができます。
働き方改革とDX化のニーズが増加した
現在、働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)が企業や組織においてますます注目され、求められています。これらの変革を実現するためには、従業員が高度なデジタルリテラシーを持つことが不可欠です。しかし、総務省のデータによれば、デジタル化の推進においてリテラシーの不足が深刻な課題として浮き彫りにされています。 従って、組織がデジタルトランスフォーメーションを成功させるためには、従業員のデジタルリテラシーを向上させるための取り組みが必要です。具体的な対策としては、従業員に対するデジタル教育やトレーニングプログラムの導入、デジタルリテラシーの向上を促すポリシーの策定などが挙げられます。
04デジタルリテラシーを高めるメリット
デジタルリテラシーを高めることには多くのメリットがあります。
- ・業務の効率化
- ・デジタルトランスフォーメーションの促進
- ・情報へのアクセスや学習の機会の向上
業務の効率化
デジタルリテラシーを持つ従業員は、デジタルツールを効果的に利用できるため、業務の効率化を図ることができます。例えば、タスクの自動化により、従業員は時間を節約することなどが挙げられるでしょう。さらに、データの効率的な管理により、従業員は迅速に必要な情報にアクセスすることができます。これにより、業務の生産性が向上し、組織全体の業績に寄与することができるでしょう。
デジタルトランスフォーメーションの促進
デジタルトランスフォーメーションの促進は、組織内のデジタルリテラシーを高めることによって実現されます。デジタルリテラシーが高まるほど、新たなテクノロジーの導入やプロセスの最適化など、デジタルトランスフォーメーションに必要な変革が円滑に進行しやすくなるものです。 デジタルリテラシーの向上によって、組織はより効率的かつ効果的なビジネスプラクティスを実現することができます。さらに、デジタルトランスフォーメーションによって得られる利益や成果も大幅に向上することが期待できるでしょう。
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情報へのアクセスや学習の機会の向上
デジタルリテラシーが高い人は、インターネットを利用して情報収集やオンライン学習が簡単にできるため、さまざまな知識やスキルを身につける機会が増えます。例えば、オンラインコースやウェブサイトを通じて新しい分野にアクセスすることができるでしょう。また、ウェブ上の情報を活用して自己学習を行うこともできます。 これにより、個人の成長や学習の幅を広げることができます。さらに、デジタルリテラシーの向上により、情報を正しく評価する能力や情報の信頼性を判断する力も高めることができるでしょう。デジタルリテラシーの重要性はますます増しており、情報社会において成功するためには不可欠なスキルとなっています。
05デジタルリテラシーが低いことのデメリット
一方で、デジタルリテラシーが低い場合には様々なデメリットが考えられます。
- ・生産性の低下
- ・企業の競争力が落ちる
- ・情報漏洩やインシデント発生の懸念
- ・多様な働き方の実現ができない
- ・企業のイメージダウンにつながる
生産性の低下
デジタルツールを適切に利用できない場合、業務の効率が低下し、生産性が損なわれる可能性があります。手作業や繰り返し作業が増えることにより、時間の無駄が生じ、結果として業務の成果が低下してしまうのです。例えば、ツールを使わずに手作業で行う作業は手間がかかり、ミスが生じる可能性があるでしょう。また、同じ作業を繰り返し行う場合には、時間の浪費につながります。 さらに、デジタルツールを使えないことによって、情報の共有やコミュニケーションにも制約が生じる可能性も考えられるでしょう。例えば、デジタルツールを使わずに情報を共有する場合、メールや紙の文書を使って情報を伝える必要があります。これにより、情報の伝達速度が遅くなり、意思決定やタスクの進行に支障をきたす可能性があります。
企業の競争力が落ちる
デジタルリテラシーが低い組織は、競争力を維持するのが難しくなります。 市場の変化に対応できず、競合他社に遅れを取る可能性が高まってしまうでしょう。特にこれまでDX化が進められていない業界については、今後の人口減少社会でますます推進されることが予想されます。 そのため、どのような業界でもDXが推進されることを念頭に置いておく必要があるでしょう。
情報漏洩やインシデント発生の懸念
デジタルセキュリティに関する知識やスキルが不足していると、情報漏洩やセキュリティインシデントのリスクが増加してしまうでしょう。組織の機密情報や顧客データの漏洩は大きな問題となり得ます。 不適切なセキュリティ対策は、組織にとって深刻な脅威となります。情報漏洩やセキュリティインシデントが発生すると、信頼性や信用性が損なわれる可能性が非常に高いです。組織は、デジタルセキュリティに関する知識やスキルを向上させる必要があります。
多様な働き方の実現ができない
リモートワークの導入や柔軟な働き方を実現するためには、デジタルリテラシーが必要です。デジタルリテラシーとは、デジタルツールやテクノロジーを適切に活用する能力のことを指します。例えば、ビデオ会議ツールを使って遠隔地のチームメンバーと円滑にコミュニケーションを取るためには、デジタルリテラシーが必要となります。 また、共有ドキュメントやプロジェクト管理ツールを使って効果的に協力するためにも、デジタルリテラシーが欠かせません。デジタルツールを活用したコミュニケーションや協力ができない場合、多様な働き方の実現が困難となります。つまり、デジタルリテラシーはリモートワークや柔軟な働き方において非常に重要なスキルといえるでしょう。
企業のイメージダウンにつながる
デジタルリテラシーが低いことは、外部から「時代に遅れた企業」と見なされる要因になりかねません。顧客や取引先は、企業のデジタル対応力を重要な評価基準とすることが多く、不十分な対応は信頼低下につながります。また、情報漏洩やシステム障害が発生すれば、ニュースやSNSを通じてネガティブな印象が広まり、企業ブランドのイメージが損なわれます。特に、デジタル化を重視する若い世代の顧客や取引先には、競合他社に流れる結果を招きかねません。こうしたリスクを避け、企業の信頼とブランド価値を守るためには、社員全体のデジタルリテラシー向上が重要です。
06社内のデジタルリテラシーを高める方法
デジタルリテラシーを高めるために、組織内で以下の方法を検討しましょう。
- ・デジタルリテラシーの指針を取り決める
- ・デジタルスキルのナレッジシェアをおこなう
- ・デジタルスキルに関わる資格の取得を推奨する
- ・リテラシーの理解度チェックを定期的におこなう
- ・デジタル・ITリテラシー研修の実施
デジタルリテラシーの指針を取り決める
まず、デジタルリテラシーの指針を策定しましょう。デジタルリテラシーの基準や、各職種に求めるレベルなどを明確に定義し、全従業員に周知・浸透させることが重要です。また、デジタルリテラシーの指針の策定には、従業員の意見を取り入れることも必要となります。従業員からのフィードバックやアイデアを反映させることで、より具体的かつ実現可能な指針を作成することができます。
デジタルスキルのナレッジシェアをおこなう
組織内でデジタルスキルに関する知識を共有しましょう。社内グループウェアなどを活用して、スキルやリテラシーに関するナレッジを蓄積し、誰でもアクセスできる状態にします。これにより、従業員間での情報共有を円滑に行うことができます。 また、定期的なトレーニングやワークショップを開催することで、従業員のデジタルスキルを向上させる取り組みも重要です。さらに、外部の専門家を招いてセミナーや講演を行うことで、より幅広い知識や最新のトレンドについて学ぶ機会を提供します。
デジタルスキルに関わる資格の取得を推奨する
デジタルリテラシーを向上させるために、関連する資格取得を強く奨励します。例えば、セキュリティに関する資格やデジタルマーケティングの資格、ウェブデザインの資格など、様々な資格が考えられます。資格取得はスキル向上に大いに貢献し、専門知識の習得や実践的なスキルの獲得につながるでしょう。さらに、資格取得によって自信を得ることもできます。また、資格取得は就職やキャリアアップの機会を広げることもでき、自己成長の道を切り拓く一助となります。
リテラシーの理解度チェックを定期的におこなう
デジタルリテラシーの理解度を定期的にチェックしましょう。特にセキュリティに関するチェックは非常に重要です。情報システム部門を中心に定期的な呼びかけを行い、セキュリティの更新やテストを実施し、組織全体でセキュリティ意識を高めましょう。 また、セキュリティ対策のためにセキュリティポリシーの策定や従業員への教育プログラムの実施の検討も必要です。さらに、外部のセキュリティ専門家との協力や定期的なセキュリティオーディットの実施も考えてみましょう。これらの取り組みによって、組織のセキュリティレベルを向上させ、情報資産の保護を確実に行うことが重要です。
デジタル・ITリテラシー研修の実施
デジタルリテラシーを向上させるための研修プログラムを実施しましょう。組織内のトレーナーまたは外部の専門家を招いて、デジタルスキルのトレーニングを提供します。継続的な研修プログラムを設けることで、従業員のスキル向上を支援します。研修プログラムの成果を評価するために、従業員の実践的なプロジェクトへの参加を促すこともおすすめです。これにより、従業員は習得したスキルを実際の業務に活かす機会を得ることができます。
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07デジタルリテラシーを高める際の注意点
デジタルリテラシーを高める際の注意点として、「自社での育成はコストや時間がかかる」「組織体制に変化を加える必要がある」といったものが挙げられます。社内のデジタルリテラシーを高める場合は、これらを考慮していく必要があります。ここでは、それぞれについて解説していきます。
自社での育成はコストや時間がかかる
デジタルリテラシーを高める取り組みを自社内で実施する場合、大きなコストと時間が必要です。社員に必要なスキルを正確に把握し、それに応じた研修プログラムを設計するには、専門知識を持つ人材の確保や外部講師の採用が必要です。また、研修を実施する期間中は、通常業務の生産性が一時的に低下するリスクもあります。さらに、社員が新たなスキルを身に付けるためには、継続的なサポートや実践の機会が求められ、単発の研修では効果が限定的です。加えて、急速に進化するデジタル技術に対応するためには、定期的に内容を更新する必要があり、そのたびに追加のコストが発生します。このように、自社で育成を行う場合、短期的な投資効果は見えにくく、長期的な視点で計画を立てる必要があります。そのため、外部の研修機関やオンライン学習ツールの活用も併せて検討すると効果的です。
組織体制に変化を加える必要がある
デジタルリテラシーを高めるには、単なるスキル研修だけでなく、組織全体の体制や文化にも変化を加える必要があります。まず、既存の業務プロセスやルールを見直し、デジタル技術を活用しやすい仕組みに変更する必要があります。例えば、紙ベースの業務からデジタル化への移行や、データ共有のルール整備などが挙げられます。また、従業員が新たなスキルを活かせる環境を整えるためには、リーダーシップ層の意識改革も重要です。トップダウンでデジタル化の重要性を示し、現場の実践をサポートする体制を構築することが求められます。さらに、デジタル技術を導入する際には、社員間でのスキル格差が広がる可能性があるため、個々の能力に応じたサポートが必要です。このように、デジタルリテラシー向上は組織文化や体制に影響を及ぼし、計画的かつ包括的なアプローチが不可欠です。
08まとめ
この記事では、デジタルリテラシーの定義や重要性、高める方法について解説しました。デジタルリテラシーは、デジタル技術やデバイスを使って情報を適切に理解し、生産的に活用するスキルです。デジタルリテラシーを高めることで、業務の効率化やデジタルトランスフォーメーションの促進、情報へのアクセスや学習の機会の向上などのメリットがあります。 一方、デジタルリテラシーが低い場合には、生産性の低下や競争力の低下、情報漏洩やインシデント発生の懸念、多様な働き方の実現の困難などのデメリットが考えられます。 デジタルリテラシーを高めるためには、デジタルリテラシーの指針の策定、デジタルスキルのナレッジシェア、関連する資格の取得の奨励、リテラシーの理解度チェックの実施、デジタル・ITリテラシー研修の実施などの方法があります。組織全体でデジタルリテラシーの向上に取り組むことで、持続可能な成功を実現することができます。 デジタルリテラシーを高め、未来に向けた準備を進めましょう。