リスクマネジメント研修とは?企業に必要な理由や実施の流れを解説

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リスクマネジメント研修とは、情報漏洩・コンプライアンス違反・自然災害・人的ミスなど、企業活動におけるさまざまなリスクに備えるために、従業員に必要な知識や対応力を身につけさせる研修を指し、企業の危機回避と被害最小化を目指します。この記事では、リスクマネジメント研修のポイントや実施までのステップ、プログラム例を解説します。

 

01そもそもリスクとは?

リスクとは

▶︎引用:管理職のためのリスクマネジメント

リスクとは「不確実性」、すなわち「未来に起こるかもしれないこと」を意味する言葉です。一般的に「リスク」の言葉からはネガティブな影響をイメージしやすいですが、必ずしもそうではなく、ポジティブな影響も含みます。

実際に、国際標準化機構が定めるリスクマネジメントの国際規格(ISO31000)においても、リスクは「目的に対する不確かさの影響」と定義され、単に好ましくない影響だけでなく、予想外に好ましい影響も含むとされています。

企業における具体的例で考えると、情報漏洩、コンプライアンス違反、自然災害、などはネガティブな影響が予想されます。一方で市場環境の変化や金融リスクはネガティブな影響以外にもビジネスチャンスにつながるなど、ポジティブに働く可能性もあります。

 

02リスクマネジメントとは?

リスクマネジメントとは

▶︎引用:管理職のためのリスクマネジメント

リスクマネジメントとは、リスクを組織的に管理する活動のことです。これは、ネガティブリスクに対しては損失の回避または低減を図り、ポジティブリスクは積極的に活用して好機にするプロセスを指します。

業務のアウトソーシング化やサイバー犯罪の増加など、新たなリスクが顕在化している現代において、企業が積極的にリスクマネジメントを行うことが求められています。予防と対策の両面からリスクを管理する一連の流れが、リスクマネジメントの本質と言えます。

リスクマネジメントの目的

リスクマネジメントの軸は前述の通り、経済活動で生じる恐れのある損失を回避・低減すること、好機を捉えて活用することの2点です。またこれは、事業を継続・拡大できる環境を保全するために行われます。

つまりリスクマネジメントには、(1)不測の事態に対しても企業活動を継続すること、(2)予測できる事態に備え経営を安定化・健全化させること、(3)変化の波に乗り企業価値と競争力を向上させること、(4)それらを叶える組織風土を醸成すること、の4つの目的があると言えるでしょう。変化の激しい現代の経営環境において、リスクマネジメントは単なる管理手法ではなく、企業の持続的な成長を支える重要な経営戦略の一環となっているのです。

 

03企業のリスクマネジメント研修の目的と研修のポイント

企業のリスクマネジメント研修は、企業を取り巻く多様なリスクを管理し、事業の安定と継続を確保するために不可欠です。ここでは、この研修の主要な目的と、実践的なリスクマネジメント能力を養うためのポイントを解説します。

目的1:組織における損失を未然に防ぐ

リスクマネジメント研修の第一の目的は、組織における損失を未然に防ぐことです。企業活動において起こり得るリスクは多種多様であり、日常業務の中にも数多くのリスクが存在します。そのため組織における損失を未然に防ぐには、社員が「会社が守るべき資産は何か」「そのために定められたルールは何か」を正しく理解する必要があります。

そのため研修においては、具体的なリスク事例とルールの共有を行うのが大切です。加えて、それぞれのルールがなぜ存在するのかの背景を、腹落ちさせるようにしましょう。

目的2:組織リスクに気づき、実践に移せるようにする

リスクマネジメント研修の第二の目的は、組織リスクに気づき、それを実践に移せるようにすることです。目的1で得た知識を基盤とし、従業員一人ひとりが自律的にリスクを発見し、行動できるようになることを目指す、より実践的なステップです。

この目的を達するためには、まず自部門や業務に潜む具体的なリスクを網羅的に洗い出せる力が必要です。研修ではケーススタディやディスカッションなど、自ら考える内容を取り入れるとよいでしょう。加えて、リスクが顕在化したときのリスク評価方法、社内での報告・連絡・相談のフローなども明確に提示し、グレーゾーンや新たなリスクに対して、従業員自身の頭で考え、主体的に行動することを目指します。

 

04リスクマネジメント研修の実施ステップ

リスクマネジメント研修の実施ステップ

リスクマネジメント研修を行うには、まずリスクの洗い出し、対策の優先順位づけ、目標・対象者の設定、実施手法・内容選定を行います。その後、研修の実施・評価を行い、今後の改善に役立てます。ここでは実施までのステップについての内容と重要視すべきポイントも併せて解説します。

①リスクを洗い出す

リスクマネジメント研修では、自社に当てはまるリスクを特定するワークを通じて、受講者が職場に潜む問題やトラブルを認識し、その予防策を考える基礎を築くことが必要です。

そのため、最初のステップは、企業を取り巻くリスクを洗い出し、何に対して備える必要があるのかの解像度を高めます。この段階では、見逃しを防ぐために、現場担当者や複数部門を巻き込んで多角的な視点で洗い出すことが重要です。主観だけでなく、客観的なデータや記録も参考にすることで、網羅性の高いリスクの一覧が作成できます。

②対策の優先順位をつける

洗い出したリスクに対して、発生頻度と影響度の観点から評価を行い、優先順位を明確にします。全てのリスクに同時に対応するのは非現実的なため、限られたリソースをどこに集中すべきかを判断していきます。

この段階では、影響度と発生確率の2軸で評価を行い、優先的に対策すべきリスクを明確にします。たとえば「影響は大きいが発生頻度は低い」リスクと、「頻度は高いが影響は小さい」リスクでは対応のアプローチが異なります。この段階では、限られたリソースを最も効果的に活用するため、対応の緊急性と重要性を見極めた判断が重要です。

③目標と対象者を設定する

リスクマネジメント研修を実施するにあたり、明確な目標と適切な対象者の設定が不可欠です。対象者は、管理職やリーダーだけでなく、社員一人ひとりにリスク意識を浸透させることが望ましいです。

特に管理職は、自身が管理するチームや部署が関わるリスクについて、より具体的な初期対応やリスク管理方法を考えてもらう必要があります。受講生には、リスクを未然に防ぎ、万一発生した場合の被害を最小限に抑えるための対策を学ぶという明確な目標を共有することがポイントです。

④実施手法と研修内容を決める

目標と対象者が定まったら、具体的な研修の実施手法と内容を決定します。ワークやケーススタディを多用し、受講者が実践的な知識とスキルを身につけ、予防と対策の両面からリスクを管理できるようになることがポイントです。

また、研修内容としては、リスクマネジメントの基礎知識に加え、労務管理、情報管理、ハラスメント対策など、企業に合わせた具体的な予防・対応方法を盛り込みます。

⑤研修を実施・評価する

最後に、策定した研修計画を実行し、その効果を評価することが重要です。研修を実施した後は、受講者の理解度や実践への意欲、そして実際の業務におけるリスク対応の変化などを振り返り、評価を行います。

評価が思わしくない点や、研修を通して新たに判明した課題については、継続的に改善策を検討し、次のリスク対策や研修プログラムに反映させることが推奨されます。


 

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05Schooのリスクマネジメント研修のプログラム例

Schooのリスクマネジメント研修プログラムは、リスクマネジメントの基本と仕組み、労務管理、ID管理、社内セキュリティ・情報管理といった多岐にわたる内容を学ぶことができます。ぜひ、研修の内容を検討するうえでの参考にしてみてください。

第1回 リスクマネジメントの基本と仕組み
時間 60分×1コマ
研修内容
  • ・ISO活用による組織のリスク対応
  • ・あなたのリスクマネジメントの傾向
  • ・日常管理でよくある問題への対応
第2回 労務管理のリスクマネジメント
時間 60分×1コマ
研修内容
  • ・ハラスメントによるうつ病防止の職場づくり
  • ・コンプライアンス(法令順守)からリスクマネジメントへ
  • ・ヒトは費用がかかるが最大の資産
 

06リスクマネジメント研修の受講者の声

前述したSchooのリスクマネジメント研修を実際に受講された受講者の声をここでご紹介します。

受講者の声① リスクマネジメントの重要性について理解を深めることができた。予想の重要性を痛感しました。
受講者の声② 自分自身もハラスメントは経験したことがあります。当時はまだまだ法整備がなされていなく対処の方法がなかったが、時代は進んでいることが理解できました。
受講者の声③ 攻撃的な言動、態度をとってくる人間関係にどのように対処していけば良いのかわからなかったが、今回の授業で初めて指針が理解できました。実際に行動に移すのは難しいが、学べて良かったです。

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  • 株式会社マネジメント21 代表取締役

    1972年早稲田大学法学部卒業。 San Francisco State College, Madrid University留学。米国と欧州にそれぞれ2年間 生活して交友と見聞を広める。 商社、メーカーなどでプロジェクトマネジャーなどを経験。「中小企業診断士」取得を機にコンサルティング・ファームで活動する機会を得る。伊藤忠ビジネスコンサルティング(株)の組織戦略推進部長を経て、1996年(社)中部産業連盟(トヨタグループ200社余などが会員企業)に入職し東京本部プロジェクト開発室長を歴任。 2010年1月に(株)マネジメント21を設立、代表取締役になる。 製造業、商社、販売業、損保代理店などの多数の国内外企業で、コンサルティング指導および教育研修をする。
 

07リスクマネジメント研修に関するよくある質問

ここでは、リスクマネジメント研修に関するよくあるご質問と回答を紹介します。

質問:リスクマネジメント研修では何をする?

回答:リスクマネジメント研修では、職場に潜む多くのトラブルや問題点を認識し、その予防策と万が一発生した際の適切な対応方法を身につけます。企業を取り巻く環境で発生する可能性があるリスクを把握し、それらを最小限に抑えるための対策を事前に考えることが主な目的です。研修全体を通して、リスクを管理する手法を学び、日頃からリスクに関する意識を高め、発生時の被害を最小限に抑える能力を養います。

質問:リスクマネジメントの身近な例とは?

回答:リスクマネジメントの身近な例としては、自然災害(地震・津波・異常気象)に備えて生産拠点を分散させること、また、火災や就業中の交通事故、停電、断水などの事故・故障に対して防火扉やスプリンクラーを設置するといった対策が挙げられます。これらは、企業が直面しうるハザードリスクに対する具体的な予防策の一部です。

質問:リスクマネジメント研修の手法は?

回答:リスクマネジメント研修では、まずは社員がリスクについて正しく理解していること、そしてインプットした内容を基に正しい行動が取れるようになることが大切です。そのため一つの手法に固執するのではなく、研修の目的やテーマ、対象者に応じて手法を柔軟に組み合わせることが重要です。具体的にはインプットをeラーニングで行い、その後集合研修にてグループワークやディスカッション等のアウトプット形式の演習を取り入れることなどが考えられます。


 

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08まとめ

リスクマネジメント研修は、情報漏洩や災害などの企業リスクに備え、その知識や対応力を従業員に習得させ、危機回避と被害最小化、好機活用を目指すものです。リスクマネジメント研修の実施にあたっては、リスクの洗い出しから開始し、研修後の評価をもとに改善していくことが推奨されます。また、研修の内容は対象者に合わせて変更することが重要です。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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