更新日:2025/09/08

自己申告制度とは|メリット・デメリットを詳しく紹介

自己申告制度とは|メリット・デメリットを詳しく紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

従業員が人事制度を積極的に活用するためのきっかけとして、自己申告制度は多くの企業で導入されています。しかし、自己申告制度のメリットはある程度誰もが理解しやすい一方で、導入後に効果的に制度を運用できているのか、不安に感じている人は多いのではないでしょうか? そこで今回は、自己申告制度を効果的に運用するためのポイントをご紹介します。

 

01自己申告制度とは?

自己申告制度とは、従業員が異動や転籍、今後のキャリアの方向性などを企業に申告できる仕組みです。単なる異動希望だけでなく、将来的なキャリアプランやこれまでの業務実績を伝える手段としても利用されます。近年では約8割の企業が導入しているとされ、従業員の意向を直接把握できる制度として注目されています。

人事部門は従業員の申告を参考にしながら、組織設計や人員配置を検討します。ただし、申告内容が必ず反映されるわけではなく、あくまでも参考情報として扱われる点が特徴です。そのため、従業員は自らの意見を伝える場として積極的に活用する一方、過度な期待を持たないことも重要です。

 

02自己申告制度の目的

自己申告制度は、単に従業員の希望を集める仕組みではありません。キャリア開発を後押しし、エンゲージメントを高め、公平な評価につなげ、最適な人材配置を実現するための重要な制度です。ここでは、代表的な目的を4つに分けて紹介します。

従業員のキャリア開発支援

自己申告制度は、従業員に自らのキャリアを考える機会を与えます。制度を通じてキャリアプランを申告することで、従業員は自身の方向性を整理し、企業側もその意向を把握できます。これにより、従業員は主体的に成長を意識でき、企業は適切な研修や配置を通じてキャリア形成を支援することが可能になります。

エンゲージメント向上

従業員の意見や希望を制度として受け止める姿勢は、組織への信頼感を高めます。自らのキャリアに企業が関心を寄せてくれることで、従業員は安心感を持ち、業務へのモチベーションも高まります。こうしたプロセスはエンゲージメント向上に直結し、定着率の改善にもつながります。

公平な人事評価

自己申告制度では、従業員が自身の業務実績や取り組み姿勢を申告できます。これにより、上司や人事部門は一方的な評価に頼らず、本人の自己評価も参考にした多面的な人事評価が可能となります。従業員にとっても評価基準が透明化され、公平感のある評価制度として受け入れやすくなります。

適切な人材配置

従業員の希望や強みを把握することで、企業はより適材適所な人員配置を行えます。本人のキャリア志向や得意分野を反映する配置は、業務効率の向上だけでなく、離職防止にも効果的です。企業戦略と従業員のキャリアを両立させるために、自己申告制度は有効な手段といえます。

 

03自己申告制度のメリット

自己申告制度は、組織の状況に合わせた柔軟な運用が可能であり、従業員と企業の認識の違いを把握するきっかけにもなります。さらに、従業員の離職率低下や主体的なキャリア形成を後押しする効果も期待できます。ここでは主なメリットを4つ紹介します。

組織課題に合わせて運用しやすい

自己申告制度は、運用方法を企業ごとに調整できる柔軟性があります。例えば、キャリア意向の確認を年1回に設定する、あるいは特定部門に限定して運用するなど、組織の課題に応じた形で導入可能です。そのため、制度の硬直化を防ぎつつ、現場のニーズに即した活用ができます。

従業員と会社の認識齟齬を把握できる

従業員が希望するキャリアと企業が期待する役割には、しばしばズレが生じます。自己申告制度を通じてその齟齬を把握できれば、配置転換や研修内容の改善につなげられます。早期にギャップを明らかにすることで、従業員の不満を未然に防ぐ効果もあります。

離職率が低下する

自己申告制度は従業員の声を受け止める仕組みとして機能します。希望や意向が無視されないという安心感があることで、従業員は長期的に働く意欲を持ちやすくなります。結果として、企業に対する定着率が高まり、離職率低下にも寄与します。

主体的なキャリア形成に繋がる

従業員が自分のキャリアを考えるきっかけとして制度を活用できる点も大きな利点です。定期的にキャリアの意向を申告することで、自身の強みや課題を整理しやすくなります。これにより、主体的な学びやスキル習得につながり、成長意欲を高める効果があります。

 

04自己申告制度のデメリット

一方で、自己申告制度には注意点も存在します。従業員の不満を助長する可能性や、制度自体が十分に利用されないリスク、人事や管理職の業務量が増加する点などです。導入時はこれらの課題を理解し、適切に対応する必要があります。

従業員の不満につながる可能性もある

自己申告内容が必ずしも人事に反映されるとは限りません。そのため、従業員が「申告しても無意味だ」と感じると不満や不信感につながる恐れがあります。制度の意義を明確にし、活用方法をきちんと説明することで誤解を防ぐことが重要です。

制度が利用されない

従業員がキャリアについて考える習慣を持っていなければ、制度を活用する場面が生まれません。また、制度の存在が十分に周知されていない場合も利用率は低下します。従業員が気軽に利用できるよう、制度の位置づけやメリットを継続的に伝えることが求められます。

人事・管理職の業務量が増える

自己申告制度を導入すると、申告内容の取りまとめや面談の実施など、人事部門や管理職の業務が増加します。運用体制が整っていない場合、制度が負担になりかねません。効率的な仕組みを整備し、業務量を適切に管理することが欠かせません。

 

05自己申告制度の運用フロー

自己申告制度は、書類の配布から提出、面談、配置決定、フィードバック、振り返りという6つのステップで進められます。従業員の意向を丁寧に確認し、人事が取りまとめて最終的な配置に反映する流れです。制度の効果を高めるためには、実施後のフィードバックや運用全体の見直しを行い、次回に改善点を活かすことが重要です。

1.自己申告用の書類を従業員に配布

まず、自己申告用の書類を従業員に配布します。在宅勤務などの環境を考慮し、プライバシー保護の観点からもオンラインで完結できる仕組みを準備することがおすすめです。

2.従業員から自己申告用の書類を提出してもらう

配布後、必要事項を記入した自己申告用の書類を従業員に提出してもらいます。この際、希望を持つ従業員のみを対象にするのか、全員を対象にするのかで運用フローが変わるため、十分な検討が必要です。

3.面談実施

従業員が提出した内容をもとに、人事部門や部門長が面談を実施します。面談の目的は従業員の希望を明確にし、企業としての対応を判断することです。面談相手は従業員の状況に応じて柔軟に設定しましょう。

4.取りまとめと人員配置の決定

面談後は、人事が従業員の意向を取りまとめます。その上で関係部署と調整を行い、最終的な配置を決定します。ここでの透明性や一貫性が、従業員の信頼を得るために重要です。

5.フィードバック面談の実施

人員配置を決定した後は、従業員に内容を通知するためフィードバック面談を行います。希望が叶った場合もそうでない場合も、その理由を丁寧に説明することでモチベーション維持につながります。

6.自己申告制度の振り返り

1〜5のプロセスが完了した後、人事側で制度全体の振り返りを行います。対象者や実施時期、面談の流れが適切であったかを検証し、次回の改善に活かすことが重要です。

 

06自己申告制度の企業事例

自己申告制度は、多くの大手企業で導入され、従業員のキャリア形成を支援する仕組みとして活用されています。旭化成では公募人事制度や留学支援、花王では能力開発支援、キリンではチャレンジ支援やキャリア形成支援、サントリーでは自己申告制度や社内公募制度を組み合わせた運用が行われています。それぞれの取り組みを見ていきましょう。

旭化成株式会社

旭化成では、社員の主体的なキャリア形成を後押しするために、公募人事制度と公募留学制度を導入しています。公募人事制度では、社員が自ら希望する部署に応募し、事業会社や職種を超えたキャリアアップが可能です。公募留学制度は、個人応募や上司推薦による指名留学などのコースがあり、原則1年間、学費や生活費の一部を会社が負担します。

▶︎参考リンク:旭化成株式会社 人材育成制度

花王株式会社

花王では「能力・キャリア開発支援(SeEDS)」を設け、社員が自身のキャリアを主体的に描ける仕組みを整えています。この制度を通じて、社員は異動の希望や挑戦したい職務、勤務地などを会社に申告できます。さらに、キャリアコーディネーターやキャリアパートナーが配置され、上長以外にも相談できる体制が整っています。

▶︎参考リンク:花王株式会社 サステナビリティレポート

キリンホールディングス

キリンは「人間性の尊重」を人事理念に掲げ、社員の挑戦とキャリア形成を積極的に支援しています。チャレンジ支援としては、異動希望を叶える社内公募や、海外トレーニー制度、副業支援など多様な取り組みがあります。またキャリア形成支援として、キャリアダイアログやセミナーを通じ、社員が専門性を磨ける環境を提供しています。

▶︎参考リンク:キリンホールディングス キャリア形成支援

サントリー

サントリーでは、年1回の自己申告制度に加え、特定要員を公募する社内公募制度や、1年間の育成プログラム「キャリアチャレンジ制度」を導入しています。また、全社員対象の自己申告や社員意識調査を実施し、従業員の意識を把握しながらキャリア形成を支援しています。これらの取り組みは、社員の自律的な成長を促進する仕組みとして機能しています。

▶︎参考リンク:サントリー CSR報告書

 

07キャリア研修|Schoo for Business

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08まとめ

自己申告制度は、従業員が希望のキャリアを企業へ申告するためのものではなく、従業員自身も、企業も中長期でキャリア形成を行うために有効な制度です。

自己申告制度は組織や業務にも関わる部分が多いため、簡単に制度を導入し、運用するのは難しいかもしれません。しかし、自己申告制度を上手く活用することができれば、企業内で長期的に活躍してくれる人材を獲得することができます。

人材獲得や人材活躍に課題を抱えている場合には、自己申告制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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