公開日:2020/04/29
更新日:2022/06/13

リカレント教育とは?企業の導入例やおすすめの実施方法を解説

リカレント教育とは?企業の導入例やおすすめの実施方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

リカレント教育という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。 近年、このリカレント教育が日本でも注目を集めています。 しかし、リカレント教育とは具体的にどういったものなのか、イメージのつかない人も多くいることと思います。 そこでこの記事ではリカレント教育とはどのようなものなのか、その効果や実際の導入例などを詳しく紹介しています。 ぜひご覧になってください。

 

01リカレント教育とは?

リカレント教育とは、学校教育の後も生涯的に学び続けていくための教育です。リカレント教育を行うことで、その時代に合った知識やスキルをアップデートしていくことができます。学校を卒業し就職しても、自分が身につけたい知識や能力について学びつづけることで人生の可能性を広げることができます。近年は、これまでの研修の形式をアップデートした企業も多く、リカレント教育を受けやすい環境が整ってきています。

生涯学習とリカレント教育の違い

リカレント教育と似たワードとして「生涯教育」があります。 リカレント教育と生涯教育はどちらも年齢を重ねても学び続けるという点で共通した意味の言葉です。しかし、学び続ける目的に違いがあります。 生涯教育の目的は日常の暮らしを豊かにしていくことにありますが、リカレント教育の目的はより具体的なものです。例えば出世して満足度の高いキャリアを積むことや、転職することなどが挙げられます。学習の内容も生涯教育には趣味やスポーツなどがありますが、リカレント教育は諸資格やビジネススキルなど、仕事に関するものが中心です。 しかし海外では生涯教育を生涯的に働くための学習と捉えており、リカレント教育とほぼ同一のものと認識されることも多いです。

なぜリカレント教育は進まないのか

リカレント教育は注目度が高まっている一方で、日本では未だ普及していない企業も多くあるのが現状です。この背景には日本の就労制度が関係していると考えられます。これまでの日本では長期雇用が一般的であり、学習のためにキャリアを中断するのはイレギュラーでした。そのためリカレント教育を行っても実質的にはキャリアアップに繋がらず、社内で業務をこなし続けた方がキャリアアップには有効だという考えが浸透しているのです。また、学習のために中断したキャリアを再開する際にも復職のための制度が不十分でした。復帰できるか不確実な中で学習のためにキャリアを中断する人は少なく、これらのことからリカレント教育はなかなか普及していません。 このように日本では普及しづらいリカレント教育ですが、技術革新や市場の流動化が進む今、社内学習だけでは不十分な部分を補うことのできる教育方法として注目されています。日本で普及を促していくためにも、政府は諸制度の整備や補助金制度を設けるなどの取り組みをおこなっています。

 

02リカレント教育への注目が高まる背景

リカレント教育は近年注目を集めている教育法の一つです。ここでは、日本においてリカレント教育への注目が高まっている理由について解説します。リカレント教育が注目を集めている理由として社会の変化があります。具体的にどのような変化が社会に起きていて、どのようにリカレント教育と関わっているのかについて理解しましょう。リカレント教育への注目が高まっている背景は以下の3つです。

  • 1.技術革新による社会の変化(Society 5.0)
  • 2.年功序列・終身雇用制の変化
  • 3.ライフステージの変化

1.技術革新による社会の変化(Society 5.0)

まず挙げられる社会の変化として、Spciety5.0など技術革新が進んだ点が挙げられます。Society 5.0とは技術革新によって現実空間とオンライン空間を融合させつなぎ合わせることで、経済成長や課題解決を図ることのできる社会のことです。「Society 5.0」の5.0とは狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続いて発展していく新たな社会という意味合いを持っています。このSociety 5.0は、2030年ごろ起こると予測されている「第4次産業革命」に続いて到来すると言われています。このような変化に向けて新たな能力や知識の獲得が必要な今、リカレント教育への注目度が高まっているのです。

▶︎参考文献:内閣府「society5.0とは」

2.年功序列・終身雇用制の変化

これまでの日本では年功序列制や終身雇用制が一般的でしたが、これらが変化していっていることもリカレント教育への関心を高めてる理由の1つです。長期的な雇用が当たり前だった時代が変わり、雇用が流動化し転職も一般化しています。このような変化の中で新たなスキル獲得への意識が高まり、優秀な人材こそキャリアアップを目的として転職することも増えてきました。それに伴い企業側も、教育制度を充実させて学びの場を提供することが求められています。社員にとっても企業にとってもリカレント教育を含む教育制度の整備が必要とされているのです。

3.ライフステージの変化

ライフステージにも変化が起き、教育の重要度が高まっています。従来の日本人の基本的なライフステージは、「教育を受け学ぶ時期」「仕事をする時期」「引退後」の3つで構成されていました。しかし現在は人生100年時代になり、生涯的に現役で働いたり活発に生活したりといったライフスタイルに変化しました。「引退後」の時期に突入するまでに「学び直し」「キャリアチェンジ」といった段階が加わったことで、リカレント教育の需要が高まっているのです。

 

03リカレント教育のメリット

ここではリカレント教育を行うことによる企業側のメリットについて解説します。リカレント教育によって社員の知識やスキルが高まることはもちろん、企業側にもプラスの影響が多くあります。リカレント教育のメリットは主に以下の2つです。

  • 1.業務効率が向上する
  • 2.人手不足が解消できる

1.業務効率が向上する

企業がリカレント教育を導入することで得られるメリットの一つに、業務効率の向上があります。 ビジネス環境の変化が大きい昨今、DX化の推進などによっていかに業務効率を上げ、生産性を高めていくかは重要な課題の一つとなっています。リカレント教育によってデジタルスキルを社員が学べる機会を充実させることで、組織全体でDX化を実現し業務の効率を上げることができます。

2.人手不足が解消できる

リカレント教育を行うことで社員一人一人の能力が高まり、生産性が上がることで人手不足を解消することができます。労働人口が減少している今、人材不足や人材確保の課題を抱える企業も多くあります。このような課題を解決していくためには社内人材の持っている能力を最大限に高めていく必要があります。リカレント教育を通して社員のスキルアップを図ることで限られた社員数で幅広い業務を行うことができるようになり、人手不足の解消につながります。

 

04リカレント教育のデメリット

ここではリカレント教育を導入することによる企業側のデメリットについて解説します。リカレント教育には先程解説したように多くのメリットがありますが、デメリットもしっかりと理解した上で自社に合った形で取り入れていくことが大切です。リカレント教育のデメリットは主に以下の2つです。

  • 1.費用の負担がかかる
  • 2.教育環境やシステムの整備が必要

1.費用の負担がかかる

企業でリカレント教育を導入する際には様々な経費が必要です。教育を受ける社員の学費や社内設備の準備費など、企業側が用意しなければなりません。また、リカレント教育を導入しても即効的な効果検証は難しいのが現状です。そのため。ある程度長期的な目線で投資する必要があります。

2.教育環境やシステムの整備が必要

リカレント教育を取り入れる際には充実した教育環境や社内システムの整備が必要です。個人のスキルアップのために、社員のニーズに沿った学習資料を準備することが大切です。また、学習カリキュラムが整っていても社員に時間的余裕がなければ学習を進めることができません。フレックスタイム制や時短勤務などを積極的に導入し社員が働きながら学ぶことのできる時間を確保する必要があります。

 

05社会人がリカレント教育で学ぶべき内容

ここでは社会人のリカレント教育で学ぶべき内容について解説します。働きながら学習することも多い社会人は学習に使える時間も限られています。社会人が学ぶべき内容に焦点を絞ってリカレント教育を行うことでより効果的に学習することができます。社会人がリカレント教育で学ぶべき内容は以下の5つです。

  • 1.ビジネス基礎力
  • 2.デジタルリテラシー
  • 3. AI時代の人間力
  • 4.リベラルアーツ
  • 5.デザイン力

1.ビジネス基礎力

ビジネス基礎力を身につけることで現場で必要不可欠なスキルを習得することができます。デジタルツールの活用方法や企画書の作成方法、ロジカルシンキングについてなど日常の業務で必ず使えるスキルについて学び、幅広いビジネスシーンで活かしていきましょう。

2.デジタルリテラシー

DX化が進む現在の社会においてデジタルリテラシーの習得は非常に大切です。ITツールの基本的な使い方を学ぶことはもちろん、ネット上の情報を適切に取捨選択していく能力が求められます。

3.AI時代の人間力

社会全体のデジタル化が進み、仕事においてAIの領域が広がっている今だからこそ、代替不可能な人間力が求められています。創造力やコミュニケーション能力、論理的思考力など人間だからこそのスキルを高めていくことが大切です。

4.リベラルアーツ

ビジネスに直結したスキルや知識だけにとらわれず一般教養を深めることで、新たなアイデアや発想を広げるための土台を作ることができます。数学や歴史など特定分野の知識だけでなく広い視野を持って学ぶことが大切です。

5.デザイン力

デザイン力を養うことで新たなアイデアを形にすることが可能になります。身につけたデザイン力を他のスキルと併用することで様々な課題を解決したり、これまでにない発想を実現することができます。

 

06企業におけるリカレント教育の手法

ここでは企業におけるリカレント教育の手法について解説します。実際にリカレント教育を導入するには、いくつか準備が必要です。具体的にどのような手順で行うべきなのかを理解し、効率的にリカレント教育を導入しましょう。リカレント教育の手法は以下の3つです。

  • 1.社員の学習環境を整備する
  • 2.適切な評価制度を整える
  • 3.対象や目的ごとに定義を明確にする

1.社員の学習環境を整備する

まず行うのは社員の学習環境の整備です。具体的な整備方法としては以下の3つが挙げられます。

  • 学習ツールの導入
  • 柔軟な勤務形態の導入
  • 受講費用の補助

学習ツールの導入

Schooの授業例

▲学習ツール「Schoo for Business」の授業一例

学習教材を提供している外部企業などのツールを利用することで、社内で学習教材や内容を全て用意するよりも簡単に学習教材を確保することができます。また、様々あるツールから自社に合ったものを選ぶことができるのも利点です。Schoo for Businessの提供するオンライン学習サービスでは定額で6,200本の授業を自由に受けることができます。また、取り扱いたい内容に応じてコンテンツを選び、自社だけのカリキュラムを組むこともできます。 1ID 1,500円で受け放題6,200本のコンテンツから独自にカリキュラムを組むことも可能です。

▶︎schooのオンライン学習ツールについて詳しく見る

柔軟な勤務形態の導入

社員が働くことと両立して学習するためには、学習時間を確保しやすくする必要があります。フレックス制や時短勤務などを取り入れることによって社員が時間的余裕を作れるような環境を整えることが大切です。

受講費用の補助

リカレント教育を社員が受けるには受講費用がかかります。費用は受講方法や機関などにより様々ですが、ある程度の費用負担やサポート体制を充実させることで受講を促進することができます。

2.適切な評価制度を整える

リカレント教育をしっかり実施するには、その成果を制度として正当に評価できる必要があります。その後の仕事や人事評価に教育の成果を反映していける制度を整備していきましょう。

3.対象や目的ごとに定義を明確にする

リカレント教育を実際に行う前に、実施の対象とその目的を明確化しましょう。対象や目的に応じてニーズに適した内容の学習を行っていく必要があります。例えば特定の業務を行う社員を対象とする場合、その業務に直結したスキルや知識を学習内容に盛り込むことで効率的に学習することができます。一方で管理職や中堅社員を対象とする場合には将来的なキャリアパスを見越した発展的な知識やスキルを学んでいく必要があります。このように、教育の目的や対象に合わせて柔軟に学習内容を調整することが大切です。

 

07リカレント教育の事例

ここでは実際にリカレント教育を実施している事例について紹介します。近年、大学などと企業が行う産学連携でのリカレント教育が実施されています。例えば早稲田大学では「スマートエスイー」と呼ばれるビジネスの応用を体系的に学習できる機会が設けられました。AIやビッグデータについて受講期間の半年で総合的に学ぶことができます。このような形式のリカレント教育では、大学などの研究機関が持っている研究結果やノウハウを民間企業の社員が吸収できるという利点があります。

▶︎参考文献:「リカレント教育について」

 

08リカレント教育における支援制度

ここでは、リカレント教育に関する既存の支援制度について紹介します。これらの支援制度を有効活用することで少ない負担でリカレント教育を受けることができます。リカレント教育における支援制度は以下の4つです。

▶︎参考文献:厚生労働省「リカレント教育について」

  • 1.教育訓練給付金
  • 2.キャリアコンサルティング
  • 3.公的職業訓練(ハロートレーニング)
  • 4.高等職業訓練促進給付金

1.教育訓練給付金

教育訓練給付金は、対象となっている講座を修了した際に受講費用の20~70%を受け取ることができるというものです。教育訓練の内容に伴って給付される金額が異なります。

2.キャリアコンサルティング

キャリアコンサルティングとは、労働者のキャリアや職業生活に関して相談に乗り、アドバイスや指導を行うことです。キャリアコンサルティングを適宜受けることで、社員が自身の今後のキャリアやパフォーマンスの向上に必要なスキルについて改めて認識することができます。

3.公的職業訓練(ハロートレーニング)

公的職業訓練(ハロートレーニング)では、希望している職業で必要とされているスキルや知識を無料で学ぶことができます。雇用保険の対象外であっても一定の条件を満たしていれば訓練を受けることが可能です。

4.高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金とは、ひとり親の人が国家資格や民間の諸資格の勉強をする際に受け取ることのできる給付金です。看護師などの国家資格はもちろん、LPI認定資格などのデジタル分野における民間資格も対象となっています。


 

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09まとめ

リカレント教育を含む「学び直し」の概念について、日本ではまだ浸透しきっていない部分が多くあります。転職やキャリアアップのために新たな知識やスキルを身につけることももちろん重要ですが、生涯的に主体的に働いていくために、リカレント教育を通して幅広く知見を深めていくことが大切です。また社員が働きながら学んでいくには、企業側の率先した環境整備が欠かせません。労働形態の多様化や復職支援の充実を積極的に促すことで、リカレント教育を社内に普及させ、学習効果を得ることができます。

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