スキルマップとは|作り方やテンプレートを紹介

従業員ひとり一人のスキルを可視化する際に用いられる「スキルマップ」。どのように作成し、また活用するメリット・デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。本記事では、企業内でスキルマップを作成することになった際、どのように作成したら良いのか、その手順や作成方法についてご紹介します。
- 01.スキルマップとは
- 02.スキルマップを導入する目的
- 03.スキルマップを導入するメリット
- 04.スキルマップの作り方
- 05.スキルマップの作成に使えるテンプレート
- 06.スキルマップが適している業界
- 07.スキルマップを作るときの注意点
- 08.オンライン研修|Schoo for Business
- 09.まとめ
01スキルマップとは

スキルマップとは、業務に必要なスキルが一覧化され、それぞれの社員がどの程度のスキルを保有しているかを可視化できる表のことです。
スキルマップは企業によって呼び方が変わり、スキルマトリクスや力量表・力量管理表・技能マップなどと呼ばれています、また、海外ではSkills Matrixと呼ばれることが多いです。
02スキルマップを導入する目的
スキルマップは、適切な人材配置や人材育成の効率化を目的に導入されることが多いです。
人事異動の際に、誰がどのようなスキルを保有しているのかは非常に有意義なデータとなります。また、自身のスキルレベルが数値化されることによって、社員も自分自身でどのようなスキルを伸ばす必要があるのかを自覚することができるようになります。
社内のスキルを可視化
スキルマップを作成することで、社員がどのようなスキルを持っているのか、組織内に必要なスキルを持った人が何人いるのかなどを把握することができるようになります。
また、不足しているスキルの洗い出しを簡易化することも可能です。もし、特定の従業員だけしか取得していないスキルがあった場合、その従業員が急病や退職といった事態に見舞われた場合、企業で対応しきれないリスクがあります。そのようなリスクマネジメントにもスキルマップは役立ちます。
従業員のモチベーションアップ
スキルマップを社員に共有することによって、自身に求められているスキルが明確になります。さらに、他のメンバーのスキルの保有状況を確認することで競争心が刺激されるなど、社員の成長意欲やモチベーションの向上を期待できます。
社員一人ひとりのスキルが高まることで、質の高い仕事が効率よくスムーズに行えるだけではなく、仕事に対する意識改革のきっかけになるはずです。このような効果を生み出すためには、スキルマップは自社の共有サーバーを経由して、社員がいつでも閲覧可能な状態にしておきましょう。また、個別面談の際に見せる方法もおすすめです。
社内の適切な人材配置に活躍する
スキルマップにより社員のスキルを正確に把握することで、適材適所な人員配置や、客観的で公正的な人事評価ができるようになるなど、社内の人事業務にも役立ちます。いま身につけているスキルだけでなく、不足しているスキルも可視化することで、今後の教育方針が決めやすくなり、人材育成ツールとしての活用も期待できます。
03スキルマップを導入するメリット
スキルマップの導入には多くのメリットがあります。それぞれのポイントについては以下の通りです。
- ・スキルを可視化できる
- ・適材適所の配置が可能になる
- ・社員のモチベーションを向上させる
- ・評価やフィードバックが明確になる
- ・採用基準が一元化される
上記のように、スキルマップの導入は組織の様々な面で大きなメリットをもたらし、社員一人ひとりの成長と組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。ここではそれぞれについて具体的に解説していきます。
スキルを可視化できる
スキルマップを導入することで、社員一人ひとりが持っているスキルや能力を一覧として可視化できます。これにより、誰がどのようなスキルを持っているのかを一目で把握でき、組織全体のスキルの強みや弱点を明確にすることができます。
適材適所の配置が可能になる
スキルマップを活用することで、各社員のスキルセットに基づいて適切な役割やプロジェクトに配置することが容易になります。これにより、個々の能力を最大限に発揮させることができ、組織全体の効率と生産性を向上させることができます。
社員のモチベーションを向上させる
スキルマップを使って社員が自分のスキルの進捗状況や不足しているスキルを把握することができるため、自分の成長が明確に見えるようになります。これにより、自己成長に対するモチベーションが高まり、積極的にスキルアップを目指す姿勢が促進されます。
評価やフィードバックが明確になる
スキルマップを活用することで、社員のスキルや業績に対する評価が客観的かつ明確になります。これにより、公平な評価が可能となり、フィードバックも具体的で効果的なものになります。結果として、社員の信頼感や納得感が向上します。
採用基準が一元化される
スキルマップを基に採用基準を設定することで、求めるスキルや能力が明確化されます。これにより、採用プロセスが一貫性を持ち、適切な人材を効率的に採用することができます。また、新入社員のスキルを早期に把握し、適切な育成プランを立てることが可能になります。
04スキルマップの作り方

スキルマップはそれぞれの企業や職場に適したものを作成する必要があります。作成方法については 専門的な知識や技術は必要なく、基本的な作成方法さえ理解していれば、作成はさほど難しいものではありません。ここではスキルマップ作成時に役立つ代表的なポイントを、8つ紹介していきます。
1.目的の明確化
まず、スキルマップを作成する目的を明確にします。例えば、組織のスキルの可視化、適材適所の配置、社員の育成プラン作成、採用基準の設定など、目的によってスキルマップの内容や使い方が変わるため、具体的な目標を設定します。
2.スキルの洗い出し
次に、組織や業務に必要なスキルを洗い出します。これには、各職種や役割に求められるスキルをリストアップし、どのスキルが重要であるかを確認することが含まれます。現行の職務内容や将来の目標に基づいて、必要なスキルを網羅的にリストアップします。
3.スキルマップのフォーマットを決める
スキルを洗い出したら、スキルマップのフォーマットを決定します。フォーマットには、スキルを表現するための表形式、グラフ形式、またはソフトウェアツールの使用などがあります。一般的にはExcelシートを使用するケースが多いものですが、最近は無料でダウンロードできるテンプレートも多く流通していて、手軽に作成することができます。さまざまなフォーマットを比較して、自社に最適なものを選ぶようにしてください。フォーマットは、情報がわかりやすく、使いやすいものであることが重要です。
4.スキルの体系を決める
フォーマットが決定したら、従業員に見出すスキルの内容を明確に分類する必要があります。社員に求めるスキルの内容がきちんと定まっていなければ、後々のスキル管理の効果が薄れてしまいます。そのため、スキルの体系決めは、まさにスキルマップ作成の肝になるプロセスといえるのです。 縦軸に業務内容と必要能力・資格など、横軸に従業員名を配し、そのクロスしたところにスキルの達成度合いを表します。スキルの評価項目は、最終目標のスキルを習得するまでの流れとなる項目を、段階的に設定するといいでしょう。
5.スキル項目の階層を決定する
スキル項目を階層化し、各スキルのレベルや深さを決定します。例えば、初心者レベルから専門家レベルまで、スキルの段階を設定することで、スキルの成長過程や習得度を把握しやすくします。
6.評価基準を決める
スキルの体系が決まったら、次にスキルマップでの評価基準を設けることが重要です。評価基準については、「できる/できない」だけではなく、「どの程度できるのか」を目安にした習熟度で評価するといいでしょう。 習熟度の評価は、業務を行ううえで「一人でできる/補助が必要」といった形で、状態を詳細にすることで、スキルマップ上に人的コストが可視化されます。
7.スキルマップの作成

前述のステップに基づいて、実際にスキルマップを作成します。洗い出したスキル、決定した体系、階層、評価基準を反映させて、フォーマットにスキルマップを落とし込みます。作成後は、内容が正確であるか、目的に沿っているかを確認します。
8.スキルマップを運用・評価する
スキルマップを実際に運用し、効果を評価します。スキルマップを使用して社員のスキルを管理し、定期的に見直しや更新を行います。運用中に得られるフィードバックや結果を基に、スキルマップの改善や調整を行い、目的に合った効果的な運用を実現します。
05スキルマップの作成に使えるテンプレート
スキルマップのテンプレートとして、厚生労働省が公開している「職業能力評価シート」を紹介いたします。導入・活用マニュアルも併せてダウンロードすることができるので、自社にまだスキルマップがないという方は、ぜひこちらを利用してみてください。
スキルマップのダウンロード方法
職業能力評価シートは、厚生労働省の「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード」というページにてダウンロードすることが可能です。また、職業能力評価シートのダウンロード用のファイルは以下の3つに分かれています。
- ・表紙(使用方法を記載)
- ・評価シート(本体)
- ・サブツール(評価シート(本体)の具体的な知識や能力を記載)
▶︎参考:厚生労働省|キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード
業種別・スキルマップのテンプレート
厚生労働省のサイトでは、下記16種類の業種別スキルマップテンプレートが用意されています。
- ・事務系職種
- ・エステティック業
- ・警備業
- ・葬祭業
- ・ディスプレイ業
- ・外食産業
- ・フィットネス産業
- ・卸売業
- ・在宅介護業
- ・スーパーマーケット業
- ・電気通信工事業
- ・ホテル業
- ・ビルメンテナンス業
- ・アパレル業
- ・ねじ製造業
- ・旅館業
自社に適した形式のテンプレートを選択し、まずはスキルの洗い出しから始めてみましょう。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

06スキルマップが適している業界
導入することで、さまざまなメリットが得られるスキルマップ。では実際にスキルマップの導入が適している業界はどこなのでしょうか。ここからは、現在とりわけ導入が進んでいる、ふたつの業界を紹介します。
製造業
業種別に見ていくと、製造業はあらゆる業種のなかでも、最もスキルマップの導入が進んでいる業種といえます。ISO9001の力量管理や顧客企業からの要請に対応するために、従業員のスキルを一覧で確認することができるスキルマップは、製造業に適しているツールといえるでしょう。
IT業界
最近のトレンドとして、IT業界でもスキルマップの導入企業が増加しています。専門性と技術力のどちらも必要とされるIT業界では、組織が持つスキルを可視化することでパフォーマンスの向上が計れることから、スキルマップが重宝されています。新しいものを積極的に取り入れる傾向があるIT業界にとって、スキルマップは肯定的に捉えられているようです。
07スキルマップを作るときの注意点
あらゆるメリットが感じられるスキルマップですが、明確な目的やルールがなければ、有効に活用することができません。ここではスキルマップを運用する際の、主な注意点を紹介します。
評価後のアクションを考えておく
スキルマップは、ただ作成しただけでは意味がありません。スキルマップで評価した後は、基準に満たないスキルを身につけるために、何らかのアクションを起こさなければいけません。セミナーや研修内容の見直し、個人の目標の再設定など、評価の結果に合わせて適切な施策を検討するようにしてください。
定期的に更新する
スキルマップは業務内容・人員配置の変更や、社内の組織構造の変化などに合わせて定期的にブラッシュアップや更新業務を行いましょう。更新頻度としては、1か月を目安として、スキル習得に必要な期間を考慮して行うようにしてください。また、社会的に大きな変化のあったタイミングでの見直しも効果的です。
評価者の選定は慎重に
スキルマップは評価基準のズレ防止や公平性を保つために、評価者を上司もしくは教育担当者に設定します。この際、スキルマップをどれだけしっかりと設定したとしても、評価者が適切に評価項目や基準を理解し、判断できていなければ意味がありません。 制度に沿った評価を行うためには、評価者としてふさわしい能力や知識、さらには経験を備えた人物をなるべく複数選定して、適切な評価を実施するようにしてください。
08オンライン研修|Schoo for Business

Schoo for Businessでは、約9,000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。新入社員研修や管理職研修はもちろんのこと、コンプライアンアンス研修や情報セキュリティ研修なども実施可能です。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessの資料をダウンロードする
大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
09まとめ
今回はスキルマップを導入するメリットや作成・導入にあたってのポイントについて紹介しました。 スキルマップは、非常に汎用性が高いツールであり、あらゆる業務に取り入れることができ、上手に活用することで、企業の弱み・強みを把握することができます。また、社員のモチベーション向上や不足しているスキルの教育計画など、人材教育面でもフレキシブルにも役立ちます。計画的な人材育成ツールとして、ぜひスキルマップの導入を検討してみてはいかがでしょうか。