公開日:2021/05/31
更新日:2022/08/29

執行役員とは?取締役との違いや執行役員制度のメリット・デメリットを紹介

執行役員とは?取締役との違いや執行役員制度のメリット・デメリットを紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業に所属する「執行役員」とは、どんな立場なのでしょうか。本記事では、執行役員の持つ役割や比較される「取締役」との違いについて解説します。執行役員制度について理解し、自社の制度設計の参考にしてください。

 

01執行役員とは?

執行役員とは、どの様な立場で、どの様な役割はどのようなものでしょうか。会社法上での定義や執行役員制度の目的について解説していきます。改めて、執行役員に求められることについて整理していきましょう。

執行役員の会社法上の定義とは

執行役員は、「事業運営のトップを担う役職」と定義することができます。経営幹部の方針を事業運営の推進者として担当し事業の推進に責務を担います。会社法上で「役員」とは、「取締役」「監査役」「会計参与」を示しますが、役員とつく執行役員は会社法上の役員とは異なります。具体的には、経営の重厚事項を決定する権限は保有せず、会社経営に参画する位置づけではありません。会社法や商業登記法で執行役員は定義されておらず、法律上では「従業員」に該当します。法令上での定義がないため、執行役員の設置は会社ごとに任意での任命となります。

執行役員制度の導入目的とは

会社経営を行う経営陣は、「経営の意思決定」「会社の監督」「事業執行」を実施するため、業務が集中し多忙です。執行役員制度を導入し執行役員を任命すると、「経営の意思決定」「会社の監督」と「事業執行」を分担することができます。経営と事業遂行を別に行うことで、それぞれが職務遂行に集中できることも企業経営での負荷分散となります。特に取締役における事業負荷軽減は、意思決定機能への集中、強化につながるメリットは大きいと理解しておきましょう。

日本で執行役員制度が導入された背景

我が国の執行役員制度が展開されることにもっと影響を与えたのは1997年に実施されてソニーの執行役員制度です。当時、米国で広まったコーポレート・ガバナンスの仕組みを導入し経営強化を図りました。当時は、取締役の事業集中により事業遂行や管理力の強化が不十分だった問題点を改善する方法として注目を浴びました。ソニーによる執行役員制度は、取締役の事業から事業運営の執行機能のみを切り離し、新たな役職を設けることで、取締役は会社経営、執行役員は事業運営に専念できる体制を取る事を実現しています。これを発端に、国内での執行役員制度の導入が進み始めています。

 

02執行役員と取締役や執行役との違い

次に混同しやすい用語について解説していきます。「執行役員」「取締役」「執行役」の用語は混同しやすく、その違いについて整理しておくことが必要です。企業において、それぞれに求められる役割は異なる点などを解説していきましょう。

執行役員と取締役の違いとは

取締役とは、会社法(会社法第326条第1項)に定められる役員で、株式会社には必ず設定なければなりません。取締役は会社の代表を務める代表取締役など3名以上で開催される取締役会の構成員を総称する名称になります。取締役の選任は株主総会にて行われます。取締役は、経営方針などの重要な意思決定の責務を担っています。これに対して執行役員の選任は、会社の任意で実施され法的に定められておらず、取締役の意思決定に基づき事業運営を遂行する責務を担います。

執行役員と執行役との違いとは

次に、執行役員と執行役との違いについて解説していきます。執行役は、会社法(会社法第402条第1項)に定められており、指名委員会等設置会社のみに置かれる機関のことです。前述の取締役と同様に、法令で定められているかの点で執行役員とは異なります。執行役は執行役員と同じように取締役会の決定した経営方針や業務遂行に責務を持ちますが、扱われる立場に相違点があります。執行役員は、会社と雇用関係を持つ従業員に該当し、執行役は会社からの委任関係にある機関として扱われます。

 

03執行役員制度を導入する3つのメリット

次に執行役員制度を導入することで生じるメリットを3つご紹介します。執行役員制度を導入することで、企業においてはどのようなメリットが生じるのでしょうか。自社内に執行役員制度を導入する上で期待できる効果として確認していきましょう。

メリット1|取締役の負担軽減・業務の効率化

執行役員制度の導入により、取締役は「経営の意思決定」「会社の監督」、執行役員は「事業執行」に専念できる環境を構築することが可能となります。取締役が事業遂行まで行うことは負担が大きく、本来実施すべき経営の意思決定や会社の管理を行うことが遅くなります。経営の意思決定は、短期間で効果的な決定を行うことが必要であり、会社の管理は不正などを起こさないためにも必要です。このように、取締役と執行役員による分業は、非常に効果のある企業経営を実現していくことを理解しておきましょう。

メリット2|人材育成に役立つ

執行役員は、従業員であり若手の抜擢も可能なポジションです。責任あるポジションに若手を抜擢し活躍していくことは、人材育成の側面でも大きな効果を期待できます。抜擢人事がある企業においては、チャレンジ精神も生まれる可能性があり企業の活性化の一役を担います。将来的に取締役任命を期待できる人材の経験を積むのも最適な制度として導入も視野に入れ検討していきましょう。

メリット3|給与を経費にできる

執行役員は、会社法で定めている役員とは異なり従業員に分類されます。そのため、会計処理上の給与は経費として計上可能です。しかし、役員報酬については会計上に取り決めが行われており、処理上において一定の条件を満たすことが必要です。執行役員の給与は他の従業員と同じように給与処理が可能となるため、管理面での負荷も軽減可能になる点もメリットの1つと理解しておきましょう。

 

04執行役員制度を導入する2つのデメリット

次に、執行役員制度を導入するデメリットを2つご紹介します。前述のメリットと比較して自社において、メリット・デメリットのどちらの優先度が高いかにより執行役員制度の導入を決める必要があると理解して確認しておきましょう。

デメリット1|立場が不明瞭になりやすい

会社法上では役員に該当しない執行役員ですが、会社内においては経営層の一員として扱われることが多いため、執行役員制度の導入により役員が増員されると理解される場合も発生します。このため、他従業員から見た際には、立場の違いを理解しづらいケースも生まれる可能性があり注意が必要です。役員と執行役員との役割分担と責務の範囲を明確にしていき、周知をしておく必要がある点に注意しておきましょう。

デメリット2|意思決定のプロセスが複雑化や遅延の恐れも

デメリット1にご紹介している通り、実質的には役員の1人として扱われる執行役員については、業務や責務の範囲を明確にしておかなければなりません。明確な線引きができていない場合には、意思決定プロセスが複雑になる可能が生じていく点に注意が必要です。意思決定が複雑になると、判断のスピードダウンなど企業経営における課題になり対応することが遅れ企業損失を生じさせる可能性がある点に注意が必要です。

 

05執行役員の報酬と定年の扱いを解説

次に執行役員の報酬と定年の扱いについて解説していきます。執行役員の報酬や定年の扱いを理解しておかなければ、後々のトラブルを生じさせる可能性があります。執行役員を任命する際には、扱いに注意する必要がある事項ですので、ご紹介する内容をしっかりと理解して制度準備を行っておきましょう。

執行役員の報酬は給与扱い

前述でご紹介していますが、執行役員は従業員に分類され会社法で定められている役員とは異なります。このことから、執行役員の報酬は「給与」扱いとなります。役員報酬は、株主総会での決議が必要ですが、執行役員は従業員ですので報酬の変更なども取締役会で柔軟に決議できます。ただし、執行役員制度で問題になるのが「待遇は役員となる」という点です。通常は、就業規則などで報酬に関する取り決めが行われておりそれに準じた対応を行います。この際に注意が必要なのが、退職金の扱いです。所得税法基本通達30-2の2「使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金」が適用されるためです。執行役員制度を導入時には、報酬の取り扱いなどの法令を確認し準備をしておくことが必要だと理解しておきましょう。

・執行役員との契約は、委任契約又はこれに類するものであり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保障されているものではないこと

・執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものであり、執行役員は、その任務に反する行為又は執行役員に関する規程に反する行為により使用者に生じた損害について賠償する責任を負うこと

執行役員も一般的には定年退職の対象

役員においては、定年制度は適用されません。通常は企業が定めている任期を満了する際に再就任するかどうかで決まります。それに比べ、執行役員は従業員になるため一般的に定年退職の対象となります。ただし、企業により執行役員の任期などに定めを設けている場合は、その規定に準じる形となります。あくまで、執行役員の定年や任期は企業が決めることができると理解しておきましょう。
参照元:国税庁「所得税基本通達30-2の2及びその解説」


 

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06執行役員を設置する際の手順

この章では、執行役員を設置する際の手順を紹介します。

取締役会で選任する

執行役員は、基本的には取締役会決議で選任されることが多いです。執行役員は役員ではなく、会社法第362条第4項第3号によると「重要な使用人」に該当するケースが主であるためです。

執行役員規程の作成

執行役員は、会社法や商業登記法で定められている「役員」には該当しません。そのため、設置をする上で法的な手続きは求められません。一般的に執行役員は「従業員」に該当するため、「執行役員規程」は労働基準法に則って策定されます。そのため、既存の就業規則を執行役員にも適応するのかを思案し、「執行役員規程」を作成する必要があります。

報酬の決定

執行役員の報酬は、給与という扱いになります。金額は企業によってさまざまですが、一般的には現場の最高責任者を担うことが多く、部長よりもわずかに高い金額を設定することが多いです。

契約形態の確認

執行役員の契約形態は主に以下の2つがあります。

委任型

委任型は、会社が執行役員としての職務を委任する契約を結ぶ際に用いられます。委任型の特徴は、契約解除がいつでも可能な点です。そのため、会社の状況などによっては急に解除をされるということもあり得ます。一方で、委任型であれば執行役員は会社と対等の立場を契約上では得ることになります。そのため、上下関係を気にせず執行役員として、自分が思い描く業務遂行をしたい場合には、委任型が良いかもしれません。

雇用型

雇用型は、その名の通り会社と雇用関係を結ぶ契約形態になります。そのため、委任型と異なり、執行役員を解任されたとしても、雇用契約は残ります。一方で、委任型のような会社と対等な立場にはならず、会社に従う必要があります。取締役の意思決定に沿った職務を果たす必要があります。

選任辞令の交付

執行役員を取締役会で選任した後は、選任辞令を交付しましょう。 委任型では、辞令と同時に就任承諾書を作成し、執行役員の就任同意を書面で残すことが多いです。一方で、雇用型は、通常の役職変更のように辞令を出すことが一般的ですが、契約内容に同意したことを残しておくために、委任型と同様の手続きを行うケースも多いです。

 

07執行役員の解任手続き

この章では、執行役員の解任手続きについて紹介します。

執行役員の解任に至る主な理由

執行役員を解任する場合、主に以下のような理由が挙げられます。

  • 1. 執行役員規程への違反や不正
  • 2. 業務遂行が難しいと判断された
  • 3. 執行役員として適していない
  • 4. 就業規則上の懲戒条件に該当する

これらの条件の場合、執行役員の解任を取締役会で決議します。

解任の手続き

執行役員の解任には、主に以下のような手続きが必要です。

1.事実関係の調査

まず、執行役員が本当に解任に足る理由があるか、事実関係を調査しましょう。業務態度や遂行状況、不正の事実関係など、解任されるに足る正当な理由が見つからなければ解任することはできません。

取締役会での決議

事実関係を調査した上で、解任すべき理由が判明した場合は、取締役会を開いて解任を決議しましょう。

解任通知を出す

取締役会で解任の決議が完了した後は、解任通知を出します。委任型の契約形態の場合は、解任は自由に行えるため、解任すべき理由が確認できれば法的な問題は一切ないと言えるでしょう。また、雇用型の契約形態であった場合でも、雇用関係を残す場合は労働基準法に抵触することもないはずです。

執行役員を解雇する場合は注意が必要

執行役員の任を解任するだけではなく、解雇が必要な事案の場合には注意が必要です。その際は、以下の労働基準法で定められた条件を満たしているか確認しましょう。

  • 1. 解雇の30日前に予告を行う
  • 2. 解雇予告から解雇まで30日に満たない場合、不足日数分の給与の支払い
  • 3. 会社に与えた損害や本人の事情などを鑑みない一方的な解雇でないこと
  • 4. 社会通念上において解雇理由が不当でないかの精査

解雇は慎重に実施しなければ、不当解雇と言われる可能性もあるため、事実関係の調査や専門家の意見なども含めて、徹底的に調べてから決断をする方が良いでしょう。

 

08まとめ

本記事では、執行役員をテーマに役割の整理、執行役員制度導入におけるメリット、デメリットなどをご紹介しています。執行役員制度を導入することで、役員の業務負荷軽減などのメリットもありますが、制度導入における注意点も理解し制度導入を進めていきましょう。

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