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働き方改革における残業時間上限とは? 残業削減に向けた企業の取り組みについて解説

公開日:2021/07/07
更新日:2021/07/28
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働き方改革における残業時間上限とは? 残業削減に向けた企業の取り組みについて解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

2019年4月1日に施行された「働き方改革関連法」により時間外労働の上限規制が導入されました。企業における労務管理の重要性はこれまで以上に高まり、さまざまな施策が必要になってきています。当記事では法改正による残業規制と、残業削減に向け企業が行うべき取り組みについて解説します。

 

働き方改革関連法

2018年6月に成立し2019年4月より順次施行されている「働き方改革関連法」はこれまでの労働者の働き方を画期的に「改革」するものとなりました。具体的には次の3つのポイントにおいて大きく見直されています。 ・時間外労働の上限規制 ・年5日の年次有給休暇の確実な取得 ・同一労働同一賃金 この法律が成立した背景には、長時間労働の常態化に起因する過労死や過労自殺の増加が社会問題として取り上げられたことが挙げられます。これまでの日本企業で「当たり前」とされていた働き方が疑問視されるようになったといえるでしょう。
参考:働き方改革特設サイト支援のご案内/厚生労働省

法定労働時間と時間外労働

労働基準法において、労働者は「1日に8時間、週に40時間」を超えて労働させてはならないと規定されています。(事業場の種別と規模によっては週44時間の特例あり)これが「法定労働時間」です。つまり法律上、労働者を働かせても良い時間の上限ということです。この時間内にすべて業務が完了できれば良いのですが、業務が終わらなければ「時間外労働(残業)」が発生します。時間外労働は自由に行わせてはならず、以下のような手続きが必要になります。

時間外労働協定(36協定)

労働者に法定労働時間を超えて労働させるには、企業と労働者の代表(労働組合等)が時間外労働や休日労働について労使協定を定める必要があります。これを「時間外労働協定」といいます。この協定を定め、行政官庁に届け出をして初めて時間外労働が可能となります。この時間外労働協定の規定は労働基準法の第36条に定められていることから、通称「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

 

法改正による時間外労働の上限規制

法改正以前は36協定(特別条項付き)を締結していれば、事実上法律の規制なく時間外労働が可能な状況でした。このことが過労死や過労自殺の根本的な原因であるとされ、時間外労働の上限と罰則が設けられることになりました。

規制適用後の時間外労働の上限は

法改正後は、36協定を届け出ている事業所においては原則として以下を上限に時間外労働が可能となります。 ・月45時間 ・年360時間 「臨時的な特別の事情」があり労使の合意(特別条項付き36協定の締結)がある場合でも、以下のように制限されるようになりました。改正前はこの部分に事実上法規制がかかっていない状態でした。法改正後においては以下の上限が設けられています。 原則である「月45時間」を超えて良いのは6カ月までとされました。

  • ・年720時間
  • ・複数月(6カ月上限)の平均80時間以内(休日労働含む)
  • ・月100時間未満(休日労働含む)

つまり「過労死ライン」を超えて労働させることを、法律で明確に禁止したことになります。


参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説/厚生労働省

罰則

法改正の前は、上記の基準を超えて労働させても行政指導の対象になるだけで罰則はありませんでした。法改正により明確に規制されたことで罰則も明示されました。違反した場合、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則を科すことが可能となります。

 

長時間の残業がもたらす害

長時間の残業が常態化すると、確実に従業員の心身への負担となります。1カ月の時間外労働が100時間を超える、もしくは複数月の平均が80時間を超える場合は「過重労働」とされ、心身へのリスクが加速度的に高まるとされています。これがいわゆる「過労死ライン」と呼ばれる所以です。具体的には以下のような害をもたらします。

過労死や過労による事故

過重労働はさまざまな健康障害の原因となり、最悪の場合は「過労死」に至ります。過労死には至らずとも、長時間の労働による睡眠不足から注意散漫となり自動車運転中の事故や、労働災害発生の危険性を高めます。

健康障害

過重労働は脳・心臓血管の疾病の発症に深く関連するとされ、脳梗塞や脳出血、心臓においては心筋梗塞の発症リスクを高めます。脳・心臓の疾患は、いずれにしても最悪の場合は命に関わり、幸い命をとりとめたとしても深刻な後遺症が残る可能性があります。

メンタル不全

過重労働は体の健康障害だけでなく、精神にも悪影響を及ぼします。長時間労働による疲労やストレスが蓄積すると、「うつ病」などの精神疾患の原因となり「過労自殺」と呼ばれる最悪の事態を招くこともあります。

ワークライフバランスの悪化

長時間の残業はワークライフバランスを極端に悪化させます。帰宅は深夜になり休日も出勤という状況が長く続くと、自宅で過ごす時間は睡眠時間の確保にあてられ、余暇を楽しむことができなくなります。ストレスが蓄積し前述の精神疾患の原因となりえます。

 

働き方改革が従業員のモチベーションを下げることも

働き方改革の推進により時間外労働が削減されると、健康へのリスクが減り、従業員のワークライフバランスが整い、余暇の活動が充実するなど良い面ばかりが強調されます。健康を害するほどの長時間労働は直ちに是正されるべきですが、働き方改革の推進により別の問題も生じてきているようです。

収入への影響

働き方改革が推進され時間外労働の削減が進むのは歓迎すべきことです。しかし別の問題も発生しており、その最たる例が収入の悪化です。これまで残業することで時間外手当によって収入を増やしていた人が、時間外手当が無くなり収入が減少するという問題です。子育て世代や住宅ローンを抱える世帯では生活費が不足する事態も考えられます。これにより転職の検討や勤務時間外のアルバイトを余儀なくされ、働く意欲を低下させる現象も起きているようです。

管理職の負担増

時間外手当が発生しない管理職(管理監督者)にしわ寄せがきている可能性も指摘されています。従業員の残業時間を減らしたことで勤務時間は減っているにも関わらず、業務量は減らない場合が考えられます。その際、部下に残業させないために消化しきれない業務を管理職自身が残業してこなしたり、自宅にもちかえるなどして対応するケースがあります。事実上、これまで部下が残業して処理していた仕事を、管理職がすべて引き受けている格好です。通常の管理業務に加えて、これまで以上の負担となり管理職の健康に危険が及ぶ恐れがあります。

 

企業としての時間外労働削減の取り組みとは

働き方改革の推進により新たな問題が生じてきている可能性については前述したとおりです。ですが、それを理由に時間外労働削減に着手しないわけにはいきません。特に、慢性的に時間外労働が発生している企業においては、従業員の健康面への配慮から、早急に労働時間の改善が図られるべきです。時間外労働削減のために企業として取り組むべきことについて解説していきます。

勤怠管理の見直し

まずは、現状の勤怠管理のあり方が適切であるかの見直しから始めます。正確かつ客観的な方法で勤務時間が記録されているかを確認します。具体的には出退勤の時刻と休憩時間が1分単位で正確に記録できる仕組みが必要となります。可能であれば勤怠管理システムを導入し、各従業員の労働時間をリアルタイムで把握することが望ましいといえます。月中の進捗を把握することで、超過傾向にある従業員には注意を促すなど対策が打てるようになります。

業務の再構築

やみくもに残業を減らすというだけでは問題の解決には至りません。業務量が減らないまま残業を削減すると、サービス残業の温床になるといった新たな問題の火種になります。現状の業務を検証し、再構築を図ることが必要となります。重複している業務や廃止してもいい業務がないか一つひとつ検証し、効率化を図りましょう。業務再構築の後に時間外労働の削減に着手しなければ、結局別の問題を生みかねないのです。

人員体制の見直し

業務の効率化を図ったとしても成果が上がらない場合は、人員体制を根本的に見直す必要があるかもしれません。そもそも人手不足なのか、配置に偏りがないか、特定の部署や人に業務が集中していないかなどを検証していきます。人手不足であれば人員を補充して早期に育成していく必要があるでしょう。それ以外の問題であれば従業員の適性を把握し、最も効率良く業務が遂行できるように配置転換するなど、人員体制の最適化を図る必要があります。

強制的な取り組み

会社としての強制的な取り組みを実施することも有効な手段となります。例えば特定の曜日は一切残業してはならないとする「ノー残業デー」や、残業するためには上長の許可を必要とする「残業許可制」などを会社のルールとして取り入れ、残業の削減に取り組む方法です。ほかにも、残業の発生状況を人事評価の評価項目とすることも、自主的な残業削減につながる一つの方法です。 その場合、サービス残業をしていないか、自宅にもちかえって仕事をしていないか、などをチェックする、あるいは禁止する取り組みも併用しましょう。

従業員の意識改革

時間外労働の削減においてもっとも重要なのが、従業員の意識改革であるといえます。例えば、長時間労働を美徳とする古い考えが残る職場であったり、上司が残っているから帰りにくい若手など、必要のない残業をしているケースがあるかもしれません。そうした職場は経営トップからの強い発信や、管理職が時間外労働を厳しく管理するというような取り組みで速やかに時間外労働が削減できることがあります。 前述した「ノー残業デー」や「残業許可制」などの強制的な取り組みは、このような必要のない残業を減らすための代表的な施策です。従業員の意識を変えることは、「必要な残業」と「不必要な残業」を切り分け、後者を減らすことにつながるのです。

 

本質的な改善には時間がかかる

企業が本格的に労務改善に取り組み、そこに従業員の意識改革がともなえば、ある程度の水準までは時間外労働の削減は進んでいきます。しかし残業時間の削減による競争力の低下や、従業員の収入減少の問題など、すべてをクリアした上での改善にはまだまだ時間がかかります。本質的な改善のためには企業自体のビジネスモデルのあり方や収益構造にまで改革のメスを入れる必要があるのではないでしょうか。

 

まとめ

働き方改革関連法の施行により、日本人の労働に対する意識は大きく変わりつつあります。企業は従業員の生活に十分に配慮しつつ、時間外労働の削減に取り組まなくてはなりません。自社の現状を認識し適切な施策を講じていきましょう。

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