公開日:2022/12/21
更新日:2023/01/27

離職率を下げる対策とは?離職の現状と企業の取り組み事例も合わせて紹介

離職率を下げる対策とは?離職の現状と企業の取り組み事例も合わせて紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

社員の離職は、企業経営に大きなダメージを与えかねません。優秀な人材の流出を防ぐためにも、離職率を下げる対策が必要です。本記事では、離職防止の対策が必要な理由から、入社しても早期に離職してしまう現状、中小企業の取り組み事例、新入・若手社員の離職率を下げるための対策までを解説します。

 

01離職防止の対策が必要な理由

少子高齢化の進行による人材不足、転職が一般的になっているともいえる状況で、社員の離職が続けば、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは、離職防止の対策が必要になる理由を以下の観点から解説します。

  • 1.企業イメージの低下による採用活動への支障
  • 2.優秀な人材の流出と既存社員の負担増
  • 3.採用・教育にかかるコストの損失

1.企業イメージの低下による採用活動への支障

離職率の高い企業というイメージが定着すると、採用活動に支障をきたします。就職活動をしている側からすると、労働時間や給与、職場の人間関係などに問題があるのではないかと憶測を呼びかねません。また、離職した社員が、SNSや口コミサイトを利用して企業への不満といったネガティブな情報を発信してしまうケースもあります。企業イメージが低下すると、それを回復させるのは難しく、採用活動に支障が出てしまう懸念があるのです。

2.優秀な人材の流出と既存社員の負担増

優秀な人材ほど、離職に対する心理的なハードルが低いといわれています。社員が離職してしまうと、業務の引継ぎなど既存社員の負担は必然的に増加します。業務量の負担から、別の社員が離職してしまうというケースも珍しいことではありません。企業が離職防止の対策を取らないままにしていると、離職の連鎖を生み、大量離職するリスクを招くことになります。

3.採用・教育にかかるコストの損失

企業は社員を採用するまでに、求人媒体の掲載費用、内定者研修費用、さらに採用担当者の人件費といったコストを負担しています。決して少ない金額ではありません。そのため、離職するとこれらのコストは回収されないまま損失となります。新たな人材を採用するとなると、追加コストが発生することになるでしょう。採用・教育にかかるコストを減らすために、企業側には離職防止の対策が求められるのです。

 

02入社しても早期に離職してしまう現状

入社後3年以内に辞めてしまう早期離職の現状について、以下の観点で解説します。

  • 年齢別の離職率差分
  • 新規学卒者における離職率の傾向

年齢別の離職率差分

令和3年における雇用動向調査によると、令和3年1年間の離職率は全体で13.9%となり、前年の14.2%から僅かに下がりました。近年の離職率の傾向を見ると、2019年以前については15~17%程度で推移しているため、直近2年は過去よりも離職率が低い状態と言えます。2020年から急激に低下していることから、コロナ禍による環境変化が影響していると考えられます。一方、この離職者を年齢別で見ていくと、20~24歳の男性で38%・女性で37%、25~29歳の男性で19.6%・女性で19.2%と、男女ともに若年層ほど離職率が高くなっているという特徴があります。日本の終身雇用崩壊とともに若い世代ほど転職に抵抗がないという価値観が反映しているとも考えられます。

▶︎参考:令和3年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

毎年3割近くの社員が3年以内で離職している

令和2年度における新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況によると、2018年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、約3割(31.2%)となりました。3年以内に離職する割合は、1995年に30%を超えてから横ばいで推移しており、約30%程度となっています。

事業所規模によって、その割合は大きく異なります。事業所規模については、規模が小さいほど離職率が高い傾向にあることが示されました。5人未満の事業所における3年後離職率は56.3%、対して1,000人以上の事業所における3年後離職率は24.7%と大きな差があります。

▶︎参考:新規学卒就職者の離職状況を公表します(令和2年度)|厚生労働省

 

03離職率を下げた中小企業の取り組み事例

企業規模が小さいほど、離職率が高い傾向にあることが明らかになりましたが、離職を下げる取り組みを行った結果、大幅に改善した中小企業の存在があります。具体的に、どのような取り組みだったのでしょうか。ここでは、実際に離職率が下がった企業2社を紹介します。詳細は、以下の通りです。

新人向けメンター制度の導入:入社後3年間の離職率10%

アシザワ・ファインテック株式会社は、微粉砕と分散に関する技術と機械を提供する企業で、社員数140人(2018年4月現在)です。入社後3年間の定着率は約90%、10年後の定着率は70%超です。離職した社員が復職した例もあります。

離職防止への取り組みは、以下の通りです。

  • ・入社後のミスマッチを防ぐ長時間面談:最終面接を時間無制限にし、社長による直接面談を実施している。
  • ・新人向けメンター制度と組織的フォロー
  • ・社長と社員による直接的コミュニケーション:年2回、社長と社員(135名)全員が1人当たり10分間の個人面接を実施している。

以上の取り組みの中で、2012年頃から始めたメンター制度において、社員の定着に効果がみられました。制度導入当初の対象「新入社員」から「入社後 2年目」まで拡大し、年齢差5歳のメンターを設置しています。月2回、メンター全員・人事部・専務でヒアリングを行い、労働環境などの改善につなげています。

▶︎参考:人材の定着を促す中小企業の取り組み|日本政策金融公庫 総合研究所

福利厚生制度の充実:離職率1〜2%

株式会社九州壹組(いちぐみ)は、美容室を運営する企業で、社員数105人(2017年7月現在)です。離職率は 1~2%、勤続30年の社員も存在します。

充実した福利厚生制度により、低い離職率をキープしています。取り組み内容は以下の通りです。

  • ・週休 2日制の採用
  • ・子育て支援企業の認定を受け、産休期間の給与について助成金を基に全額または過半を支給
  • ・売り上げ増加の恩恵を従業員に還元するシステムを構築。例えば、売り上げが100万円伸びるごとに社員および家族の誕生日休暇を設ける
  • ・タオル洗いなどの水作業による従業員の手荒れの問題を解決
  • ・在籍8年以上になると、毎日早く退勤できるショートタイム社員制度の導入

長期的な取り組みによって、社員の要望を一つひとつ確実に改善していく形で、働きやすい環境づくりを徹底しています。そのため、離職率1~2%という驚きの低水準が実現したといえます。

▶︎参考:人材の定着を促す中小企業の取り組み|日本政策金融公庫 総合研究所

 

04社員の離職率を下げるための対策

新入・若手社員の離職率を下げるための対策には、いくつかあります。その中でも重要となる対策が、以下の4つです。この対策に取り組むことで、離職防止の効果に期待がもてます。

  • 1.人事評価制度を見直す
  • 2.福利厚生を充実させる
  • 3.メンター制度を導入する
  • 4.階層別・職種別の研修を実施する

1.人事評価制度を見直す

人事評価制度を見直すことが、離職率の低下に有効です。評価基準や評価項目に不満をもち、離職するケースが考えられます。評価対象や評価項目、評価基準が適切かなど、様々な角度から検証が必要です。客観的で公平性の高い人事評価制度により、正当に評価されると、モチベーションや企業へのエンゲージメントが向上します。定期的な人事評価制度の見直しが重要です。

2.福利厚生を充実させる

福利厚生を充実させることも、離職率を下げる有効な対策といえるでしょう。社員にとって福利厚生は、賃金以外の報酬でもあります。賃金を上げることが難しいケースも少なくありません。福利厚生で、社員に配分するのも1つの方法です。その際には、法定福利と法定外福利の両面から、自社ならではの福利厚生を考える必要があります。そのためには、社員の要望を採用するなど、ニーズに合ったサービスを導入し、福利厚生を充実させましょう。

3.メンター制度を導入する

社員の悩みを把握し、離職の前兆に気づけるという点で、メンター制度の導入は離職防止につながります。部下指導にかける時間の減少などから、人間関係が希薄になりがちです。相談しづらい環境では、いつの間にか退職を決断してしまっているケースもあります。そういった事態を未然に防ぐためにも、メンター制度など、自社に合った面談・相談の仕組みづくりが重要になるのです。

4.階層別・職種別の研修を実施する

離職防止の対策として、全社員対象の集合研修はもちろん、階層別や職種別といった細やかな研修が求められます。新入社員と若手社員では、当然ながら社歴が異なるため、離職原因も様々です。新入社員は、業務内容とのミスマッチが起こりやすく、現実とのギャップを大きく感じ、離職へとつながります。対して若手社員は、成長が感じられないといった、スキルアップが課題になりやすいです。そのためには、階層別や職種別の研修を実施し、社員のニーズを満たすことができれば、離職防止につながります。

 

05離職率低下に役立つSchooのオンライン研修

Schoo for Businessは、国内最大級8,000本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。

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Schoo for Businessの特長

Schoo for Businessには主に3つの特長があります。

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離職率低下に役立つSchooの講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、離職率低下に役立つ授業を紹介いたします。

若手育成に成功している組織は何をしているか~人事のためのリモート下における人材育成のポイント

在宅勤務下の新人受け入れは、リモートでのOJTが実施されますが、コミュニケーション不足などから、最悪、早期の離職につながるなど課題が多いのが実情です。どのような工夫をすれば、新人・若手がスムーズに業務遂行でき、モチベーション維持も担保できるのでしょうか。コミュニケーション活性化やマネジメント方法の転換といった対策が必要になる中、具体的な事例を通して若手の人生育成に効く組織づくりのポイントを学んでいきます。

 
  • 株式会社ガイアックス/管理本部人事総務部長

    山口県出身。立教大学経営学部2017年卒。新卒で入社した株式会社ガイアックスで人事総務部長を務めつつ、複数のスタートアップやコミュニティでHRや新規事業立ち上げを担当。全ての人の才能が最大限発揮される社会を目指し、人々の働き方や人生選択の自由度を高めるにはどうすればよいのかを日々模索して活動中。

若手育成に成功している組織は何をしているか~人事のためのリモート下における人材育成のポイントを無料視聴する

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人事評価に”自社の基準”はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える

基準に沿って従業員を評価して生産性を上げ、その先に企業の業績アップを目指すことが目的である「人事評価制度」。終身雇用が崩壊し、働き方の多様性も広がる中で、多くの企業が従業員が納得する制度は何か、試行錯誤しているのではないでしょうか。本来であれば、各企業によってミッションやビジョンが異なり、従業員に求めるスタンスが異なってくることから企業ごとに評価制度のカラーがあってもおかしくありませんが、グレードの設計や賞与の分配といった各論ばかりに目がいきがちです。 本授業では、このような具体的な指標を設計する前に必要な、「自社ならではの評価制度」の考え方と、制度を運用していく時に意識しておきたいポイントについて学んでいきます。

 
  • 株式会社キャスター取締役CRO

    株式会社キャスター取締役CRO。(株)リクルートHRマーケティング入社。09年6月に当時5名の(株)リブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。

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テレワーク下でのラインケア - メンタルヘルスマネジメント

この授業はチームをまとめる管理職層に向けて、「テレワーク環境下」をテーマにした部下の心の健康づくりのためのマネジメント(ラインケア)のコツを解説します。 テレワーク環境下ではどんな事象が部下のメンタルダウンにつながるのかや、チャットや1on1など、オンラインで社内コミュニケーションをとる際にどのようなところをポイントとして捉えなければいけないのかを全三回に渡りお届けしていきます。 働き方が新しく変化していく今、部下の管理もこれまでの手法から時代にあった新しいやり方へと、常にアップデートし続ける必要があります。 この授業を通し、テレワーク下ならではのポイント、注意点を学び、心身ともに健全なチームづくりの実践ができるようにしていきましょう。

 
  • 株式会社カイラボ 代表取締役

    大学卒業後、(株)日本能率協会コンサルティングにて企業の業務効率化などに従事。ストレスが原因で入社2年で退職。 2011年に社会人教育のベンチャー企業でマネージャーを務める。 2012年株式会社カイラボを設立。新卒入社後3年以内で辞めた若者100人インタビューをおこない、その内容をまとめた「早期離職白書」を発行。 現在は多くの企業の若手社員定着率向上支援を行うほか、 講演、管理職・OJT担当者向け研修、採用コンサルティングなどを行っている。

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06まとめ

本記事では、離職防止の対策が必要な理由から、入社しても早期に離職してしまう現状、中小企業の取り組み事例、新入・若手社員の離職率を下げるための対策までを解説しました。毎年のように、新卒社員が早期離職し、2020年にはついに離職者が入職者を上回る事態となりました。本記事でも紹介したように、企業努力により離職率を下げている企業も多く存在します。社員の離職を防ぐためには、人事評価制度の見直し、福利厚生の充実、メンター制度の導入を検討し、積極的に階層別・職種別の研修を実施していくことが求められます。

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