hrテックとは?導入するメリットや具体的な事例をご紹介!
少子高齢化による人材不足やコロナウイルスの世界的大流行による働き方の急変などによって企業は今までの働き方を変えざるを得ない状況に追い込まれつつあります。そんな中で「hrテック」を活用し時代に合わせて働き方を改革していっている企業が増えています。本記事では、hrテックとは一体どういったものなのか、導入することでどういったメリットがあるかなどを具体的な事例も交えて解説していきます。
- 01.HRテックとは
- 02.HRテックで用いられる技術
- 03.なぜHRテックが近年注目されているのか
- 04.HRテックにはどんな種類がある?
- 05.HRテックを企業が導入することによるメリット
- 06.HRテックを導入するための手順
- 07.HRテックを導入している企業の事例を種類別に紹介
- 08.まとめ
01HRテックとは
HRテックとは「Human Resources(HR)」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語であり、採用管理や勤怠管理、社員教育などの人事業務全般をAIを始めとする様々なテクノロジーを活用して効率化・自動化するサービスの総称を指します。 その種類は多岐に渡っており現在ではHRテックによって代替できない業務はないのではないか、と言われているほどです。
02HRテックで用いられる技術
HRテックに必要不可欠な技術は「AI」「ビッグデータ」「クラウド」の大きく3つが挙げられます。ここではそれぞれについて解説していくのでぜひ参考にしてみてくださいね。
AI
AI(人工知能)を活用したHRテックは、私たちの業務に深く浸透しています。例えば、人材配置において、どの部署にどのようなスキルを持った人材を配置するべきなのか、最適なデータをAIで分析し、組織全体の業務効率化を改善するために活用されています。また、採用において、会社が定めた人材像に対してAIが判断することで、主観的な判断が排除され、適切な採用活動がおこなえるようになるのです。
ビックデータ
AIと並んで活用されるのがビッグデータです。AIは社員の適性を判断するためのテクノロジーですが、判断の材料となる個人のパーソナル情報全体を指すのがビッグデータです。ビッグデータが多量であればあるほど、AIの予測精度は高まります。
クラウド
クラウドとは、インターネットに接続できる場所であればどこでも利用できるシステムです。これまで、データなどはサーバー上で管理されていました。ですが、クラウドの普及により、自社でサーバールームを設ける必要がなくなったり、テレワークなどでもデータにアクセスできるようになったのです。そのため、クラウドの普及により、働き方に制限がなくなりました。
03なぜHRテックが近年注目されているのか
そんなHRテックですがなぜ近年になってここまで注目されているのでしょうか? 3つの代表的な理由をご紹介します。
テクノロジーの進化
HRテックが注目されている理由の中で最も大きいのがテクノロジーの進化です。ここ数年の技術革新の進歩には目を見張るものがあり、私たちの生活は劇的に変化を遂げています。中でもAIやクラウド技術の発展は企業の働き方を大きく変えるほどです。 人間では判断の難しかった事でもAIが膨大な過去のデータから最適な改善案を瞬時に導き出したり、クラウドサービスの活用によってどこにいても、どの端末からでも会社の情報にアクセスすることが可能になってきています。 そういったテクノロジーを活用することで、業務の効率化や企業の生産性の増加を可能にするHRテックが注目されているのは当然の流れと言えるでしょう。
リモートワークの普及
働き方の多様性という観点から前々からその必要性が叫ばれていたリモートワークですが、世界的なコロナウイルス感染症の流行によりその普及が半ば義務付けられるようになってきました。 しかし、今まで同じ場所に大人数が集って働くことが当たり前だった企業には、リモートワークを導入することは容易ではありません。 そんな中でもHRテックを活用することで出勤している状態とほぼ変わらず社内コミュニケーションを取ることや遠隔での社員の勤怠管理も可能となるので、リモートワークの普及を進める上でHRテックは欠かすことのできないツールとなっています。
政府による後押し
HRテックの普及には政府による後押しも強く影響しています。 大変便利な技術なのですが無料で使えるものはそこまで多くなく中小企業にとっては痛い出費になることも多いのでなかなか導入に踏み切れないケースも多かったようです。 しかし、政府がHRテックなどのIT技術の活用を推進しており「IT導入補助金」と呼ばれる制度を導入し、企業に対して補助金を交付しているのです。これらを利用することで中小企業でもHRテックの導入が可能となりその普及が加速していきました。
04HRテックにはどんな種類がある?
前述したようにHRテックで代替できない業務はないと言われているほどですが具体的にはHRテックにはどのような種類があるのでしょうか。 ここでは5つご紹介します。
採用管理を目的としたHRテック
HRテックの中でも代表的なものが「採用管理」システムです。 採用管理業務は非常に細かい業務に細分化されており、その中には求職者との面接の日程調整や履歴書などの個人情報の管理、面接や面談の評価管理、内定後の連絡などとても手間がかかってしまう業務が多く含まれています。 採用管理システムを活用することで採用に関する全ての情報が一元的に集約され、履歴書の管理から面接時の評価などを瞬時に閲覧することが可能になります。 求職者とのやり取りもシステム内で完結できるものが多く、採用管理システムを導入することで採用活動のリードタイムが大幅に短縮することが可能になります。 採用活動そのものが効率化、最適化することで企業はより良い人材を確保しやすくなっていると言えるでしょう。
勤怠管理を目的としたHRテック
社員の勤怠管理においてもその多くの業務をHRテックがサポートしています。従業員が自らオンライン上で勤怠を登録することはもちろんですが、それらの情報を管理者が一元で閲覧することが可能なのでリモートワークをする上では欠かせないツールとなっています。 また、多くのツールにはワークフローに関する機能も搭載されておりオンライン上で複数人の承認が、スピーディかつ容易になることで生産性の向上にもつながっています。
社員教育を目的としたHRテック
意外な分野かもしれませんが社員教育に関する業務にもHRテックが活用されていることをご存知でしょうか? 社員教育といえば会議室に人を集めて講師を招いてセミナーを開いたり、外部のセミナーに参加するなどの方法が一般的でしたが時間の調整や研修場所への移動などを考慮するとあまり積極的に行われていない企業がほとんどでした。 しかしHRテックの活用によってオンライン上で質の高い研修がいつでも、どこでも受講することが可能になりました。更には社員研修のデータなども数値として一元的に管理されるようになったため、社員の熟練度の把握などにも有効的に活用されて社員教育の促進にも繋がっています。
労務管理を目的としたHRテック
労務管理といえば多種多様な手続きを行う必要がある上に社会保険や給与計算などミスの許されない業務が多いためかなり負担の多い業務の代表格でした。 しかし、この領域にHRテックを活用することでオンライン上で各種書類の申請や承諾を行えるようになることはもちろん、抜け漏れなく正確な処理が可能になるため労務管理に携わる業務工数を大幅に削減することが可能となります。
社内コミュニケーションを目的としたHRテック
これまで社内のコミュニケーションは対面でのミーティングが一般的であり、部署間のやりとりは社内便や電話、メールでのやり取りが主流でした。ですが、HRテックの発展により、Web会議ツールが普及し、場所を選ばずにミーティングが実施できるようになりました。また、通常のコミュニケーションをチャットにすることで、メールでの煩雑なやり取りではなく、気軽にコミュニケーションを取れる環境が可能となっています。
福利厚生を目的としたHRテック
これまでは会社から従業員に報酬を贈ることが一般的でしたが、HRテックの発達によって、ピアボーナスと呼ばれる従業員同士で報酬を贈り合える仕組みができました。アプリ上で感謝や評価のメッセージを添えてポイントを贈り合えるため、従業員のエンゲージメントやモチベーションの向上につながっています。
人事評価を目的としたHRテック
最後に紹介するのが人事評価を目的としたHRテックの活用です。 人事評価といえば公平な評価を下すことが非常に難しい業務であり定性的になりがちで社員間で不満の出やすい業務でもあります。 しかし、HRテックを活用すれば事前に設定した目標や成果が数値として可視化されるため定量的に判断ができるので公正な評価が可能になります。人事評価が公平に行われると社員のモチベーションも高まり生産性の向上にもつながります。
05HRテックを企業が導入することによるメリット
AIやクラウドサービスを用いることでさまざまな業務を代替してくれるHRテックですが企業が導入するにあたって具体的にはどういったメリットがあるのでしょうか。 4つの代表的なメリットについてまとめていますのでご自分の会社で課題に感じている点が当てはまればぜひHRテックの導入を検討してみましょう。
業務の効率化
まずはなんと言っても「業務の効率化」が挙げられます。 前述したように採用管理や勤怠管理、労務管理などの業務は非常に工数がかかり関係者にとって負担の大きい業務と言えます。 今まで人の手で行っていたこれらの業務が全てオンライン上で、かつリアルタイムで処理することが可能になるため工数の削減による業務の効率化は計り知れません。
生産性の向上
HRテックの活用によって業務が効率化されていくとその分の工数を本来行うべき生産性の高い業務に充てることができます。 採用管理などのバックオフィス系の業務から生産性の高い業務に十分な時間を当てることができれば、営業活動や経営戦略の策定などに当てる工数が増えるため、企業の売りげ向上にもつながります。
ヒューマンエラーの削減
ヒューマンエラーの削減もHRテック活用による大きなメリットと言えるでしょう。 業務が人の手で行われる以上、どうしてもミスはつきものですがシステムにはその心配がありません。 どんなに複雑な計算や処理であっても瞬時に正確な対応をしてくれるためヒューマンエラーは大幅に削減されることになります。 また、過去の経験やAIによる判断でより最適な判断を下してくれるためミスが減るのはもちろんですが行動の最適化にもつながります。
定量的な評価が可能
人事評価の業務においてHRテックを活用することがメリットになることは前述の通りですが、営業活動や事業戦略の策定などにおいても定量的な評価が可能になることは大きなメリットになります。 HRテックを活用することで数字や過去のデータといった明確な根拠に基づいた判断基準が生まれるため、営業活動の効率化はもちろん、より高度な意思決定が可能になることは間違いないでしょう。
06HRテックを導入するための手順
HRテックの導入には様々なメリットがありますが導入する手順を間違えてしまうと、うまく活用することができず却って工数が増えてしまったり、コストだけが嵩むことになりかねません。 以下で導入するまでの手順を解説しますので正しい手順で導入を進めていきましょう。
日々の業務を棚卸しする
まず行わなくてはいけないことが業務の棚卸しです。HRテックは便利なサービスですが導入すれば自動的に業務の効率につながるというものではありません。 現在行っている業務を詳細に棚卸しし、何を改善することで最も業務効率の改善につながるかを考える必要があります。 ここで棚卸しに抜け漏れがあると実際に導入した後になって初めて「あれ、この業務ってこのサービスで代替できないんだけど・・・」となってしまい余計な業務が増えてしまうなんてことにもなってしまいます。 ですのでどんな些細な業務であれ全て棚卸しする必要があるのでその業務に関わる従業員全員で抜け漏れがないかを確認しましょう。
HRテックで代替できる業務を精査する
棚卸しが終わったら業務のどの部分をHRテックで代替できるかを精査する必要があります。優先順位としては「工数」と「ヒューマンエラーのリスク」の観点から検討しましょう。 代替したとしても大した工数の削減につながらないようであればHRテックを導入するメリットは少なくなってしまいます。工数の削減は生産性の向上にもつながるので工数が特にかかっている業務は優先的に検討する必要があります。 また、ヒューマンエラーが発生した際にリスクの大きい業務をHRテックで代替することで万が一のリスクに備えることができます。「ミスしてしまったらどうしよう」という従業員の心理的な負担も軽減できます。
最適なソリューションを検討する
業務の棚卸しを行った後に精査し、本当に必要かどうかを判断して初めて最適なソリューションの検討を始めてください。 ここで気をつけないといけないのが「このサービス便利そうだし使ってみよう!」とソリューションありきで始まってしまうことは絶対にNGだということです。 しっかりと検討せずにHRテックを導入してもその性能を活かし切れないどころか却って業務を煩雑にしてしまうケースも少なくありません。それを避けるためにも業務の棚卸しと精査はとても重要です。 HRテックには同じ分野をカバーできるサービスが複数個ありますので企業規模や柔軟に対応できるかどうか、カスタマーサポートが充実しているかなどの観点から選ぶと良いでしょう。
07HRテックを導入している企業の事例を種類別に紹介
最後にHRテックを実際に導入しうまく活用できている事例を3つご紹介します。 以下の事例を参考にして自分の企業に導入した際も活用できるかどうか検討してみてください。
株式会社セプテーニ・ホールディングス
採用後の人材のミスマッチに悩む企業が多い中でセプテーニ・ホールディングスでは過去の膨大な人事データを人材採用に活かし人材採用を最適化、業務の効率化を図っています。 応募者に事前に入力してもらう経歴や行動履歴情報などのデータと選考の過程で得られる周囲からの他者評価(360度評価)を基に入社後にどれぐらい活躍できる人材なのかをAI予測に基づいて分析し最適な採用活動を行っています。 これにより採用担当が選考マネジメントに費やす時間は従来の10分の1にもなったようで業務効率化への貢献度はとても大きいようです。
ソニーマーケティング株式会社
ソニーマーケティングではHRテックを活用することで最適な社員教育を実現しています。 研修や講座によって学びを得たとしてもそれが分散されていてはあまりに役に立たないと考え、先輩社員の学びから得た具体的な助言を蓄積し役に立つ経験として社員に還元することを重視しています。 その結果は具体的な事例として現れており、若手社員が先輩の助言によって学んだマーケティングの基礎的なフレームワークを用いることで販売目標の160%を達成したようです。また、コロナ禍によるリモート研修もHRテックをうまく活用し効果的に実施されています。
KDDI株式会社
KDDIでは人事部門領域でHRテックを活用することで攻めの人事を実践しています。 HRテックの一つであるRPA (Robotic Process Automation)を導入したことで証明書の発行業務に関する工数が削減され年間で3,000時間もの削減になったようです。他にも人事異動に関する業務を自動化し業務工数の8割削減を可能にしました。 工数削減のおかげで従業員が単調な業務から解放されアクティブな業務に時間を割くことができるようになり、攻めの人事活動に繋がっているようです。
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