労働組合とは?役割やメリット、作り方について詳しく解説

労働組合とは労働者が主体となり結成する組織で、従業員の代表として会社側と労働条件の改善を目的としたさまざまな交渉にあたります。当記事では労働組合の概要と従業員と会社、双方にとってのメリットについて解説します。
- 01.労働組合とは
- 02.労働三権と労働組合法
- 03.企業に禁止されている労働組合への行為
- 04.労働組合があることのメリット
- 05.労働組合の作り方
- 06.労働組合に関する相談窓口
- 07.まとめ
01労働組合とは
厚生労働省のホームページによると労働組合とは、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体」と定義されています。労働者が団結して、雇用の維持や労働条件の改善についての交渉を行う組織で、労働組合に加入している労働者は組合員と呼ばれます。
労働組合の役割
労働組合は、組合員の声を集約して会社に伝え、職場の風通しを良くする役割を担います。賃金や労働時間などの労働条件を話し合いで改善し、不当解雇やリストラを防ぐことで雇用の安定を図ります。また、公正な評価制度や経営情報の透明性向上にも寄与します。倒産やトラブル時の支援、他社との情報交換、共済制度の活用などを通じて、働く人を多面的に支える存在です。
- 組合員の不満・苦情などを会社側に伝えやすくし、職場の風通しを良くする。
- 職場のルールや賃金・労働時間などを話し合いで決められるようにし、労働条件を改善する。
- 不当な解雇や安易なリストラなどをなくし、雇用を安定させる。
- 働きぶりが公正に評価され、納得して働ける職場環境に改善する。
- 経営に関する情報を入りやすくし、透明性を増す。
- 倒産や企業売却などの時に力になる。
- 労使関係づくりや組合運営のアドバイスを受けられるようにする。
- 万が一、会社側とトラブルになった時、全面的にバックアップする。
- 同業他社の状況や労働条件などについて、情報交換ができるようにする。
- スケールメリットを活かした各種共済制度などの利用を可能にする。
労働組合の種類
日本における労働組合は日本労働組合総連合会によると、以下の4つの種類があります。
- 企業別組合
- 産業別組合
- ナショナルセンター
- TUC(国際労働組合総連合)
ここでは、上記について詳しく解説していきます。
▶︎参考:労働組合ができることって?|連合について 日本労働組合総連合会
企業別組合
企業別組合(単位組合)は、同一企業に所属する労働者が結集してつくる組合です。職種や部署に関係なく、1つの会社を単位に組織され、賃金・労働時間・安全衛生など 企業の実態に即した労使交渉を行う役割 を担います。日本では長年の雇用慣行と結びつき、民間部門の労働組合の大部分がこの形式を採用しているのが特徴です。企業内の具体的課題に対応しやすい一方、企業ごとの対応力に依存しやすいという側面もあります。
産業別組合
産業別組合は、同じ産業や業種に属する複数の企業別組合や労働者が横断的に結集して構成される組合組織です。企業の枠を超えて 同一業界全体の労働条件や政策課題に取り組む力を高める役割 を持ちます。日本では単位組合を構成員として、産別組織が業界共通の賃金水準や労働条件の改善を目指す仕組みとして機能しています。
ナショナルセンター
ナショナルセンターは、全国規模で複数の産業別組合などを束ねる 中央組織 です。企業別組合・産業別組合の上部団体として、政府や他の社会勢力との交渉・協議に臨むほか、労働政策や労働環境改善のための戦略的な活動を展開します。日本では「連合(日本労働組合総連合会)」が代表的であり、全国の労働組合を一体的に推進し、産業や地域を超えた労働者の課題解決に取り組む役割を果たしています。
ITCU(国際労働組合総連合)
TUC(Trades Union Congress)は英国の労働組合全国センターであり、国内の多数の労働組合を傘下に持つ中央組織です。また、労働運動の枠を国境を超えて展開する場合、「国際労働組合総連合(International Trade Union Confederation: ITUC)」が世界最大の国際的労働組合連合体として機能します。ITUC は多数の国の労働組合ナショナルセンターを加盟団体として組織し、 国際労働者の権利擁護や労働条件改善のための国際協力 を行っています。
02労働三権と労働組合法
労働組合は、日本国憲法第28条と労働組合法によりその存在と権利を保障されています。労働三権とは「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」と呼ばれる3つの権利です。これを補完する形で「労働組合法」が定められ、詳細を規定することで労働組合の存在を労働者の権利として保障しています。
▶︎参考:働く人の権利とは?|連合について 日本労働組合総連合会
労働三権
労働三権とは、働く人が不利な立場に置かれないよう憲法で保障された基本的な権利です。労働者が組合をつくり連帯する権利、使用者と対等に話し合う権利、要求を実現するために行動する権利から成り、健全な労使関係を支える基盤となっています。これら労働三権の詳細について解説します。
団結権
団結権とは、労働者が自由に労働組合を結成できるとする権利です。個々の労働者が個別に会社と交渉しようとしても、立場が弱いためうまくいかない場合が多いといえます。また会社側も個別に対応していては時間をとられ、本来の業務に支障が出てしまいます。労働者の代表として労働組合が窓口になり会社と交渉することは、双方にとってのメリットとなります。
団体交渉権
団体交渉権とは労働条件をはじめ、さまざまな事項に対し会社側と交渉ができる権利です。労働組合は組合員の代表として、会社と対等の立場で交渉ができます。団体交渉を申し入れた場合、会社は正当な理由なくこれを拒むことはできません。
団体行動権
団体行動権とは、労働条件や労働環境の改善が交渉により進展しないときに、一斉に業務を放棄して争議行動を起こすことができるとされる権利です。いわゆる「ストライキ権」と呼ばれるもので、交渉により問題が解決できない場合、このように強硬な姿勢をとることができるとされています。
労働組合法
労働組合法は日本国憲法第28条に定められた労働三権を、具体的に保障するために定められた法律です。労働組合法は労働者と会社側が取り決めた約束を、「労働協約」として書面で締結する権利を認めています。また会社が労働組合や組合員に対し不利益な扱いをすることを、「不当労働行為」と定義し禁止しています。
03企業に禁止されている労働組合への行為
労働組合法では労働組合や組合員に対し、組合活動を理由に不利益な扱いを行うことを禁止しています。その不利益な扱いとは以下の4点に定義され「不当労働行為」と呼ばれます。労使紛争において労働組合または組合員が、会社から不当労働行為を受けたときは、第三者機関である「労働委員会」に救済を申し立てることができます。
組合員であることを理由にした不利益な扱い
労働組合法では、労働組合の結成や加入を理由に解雇や降格、減給、嫌がらせといった不利益な扱いを禁止しています。また不利益な扱いだけではなく、組合員と非組合員の待遇に差をつけることも禁止しています。
団体交渉の拒否
会社には団体交渉には誠実に応じなくてはならないという義務があります。よって、労働組合からの団体交渉の申し入れについて、正当な理由なくこれを拒否することはできないと規定されています。
運営に対する支配・介入
労働組合法では、会社側が労働組合の運営に対し、支配・介入することも禁止しています。 具体的には従業員に対し組合への加入を妨害したり、脱退を促したりする行為を禁止しています。また、会社が組合の運営に対し資金の援助をするといった利益供与も禁止しています。
報復的な不利益な扱い
労働組合や組合員が、労働委員会に不当労働行為の申し立てをしたことや、証拠を提示したことを理由に、労働組合や組合員個人に報復的な不利益な扱いを行うことを禁止しています。このように労働組合法では不当労働行為を定義することで、会社と労働組合が対等な立場で交渉できる権利を保障しています。
04労働組合があることのメリット
労働組合は労働者の権利を守る組織として、労働者側のメリットが強調されます。しかし、労働組合があることは会社側にとってもメリットがあります。双方それぞれの立場からのメリットについて検証していきます。
従業員側のメリット
労働組合があることは会社側と対等な立場で交渉できることが、従業員にとって最大のメリットです。具体的には以下の3点に集約されます。
会社に対し要望を上げやすくなる
労働組合があることで会社側に要望を上げやすくなります。賃金や労働時間といった労働条件の改善をはじめ、職場のルールや人事制度などが労働者にとって、より良いものになるように会社に意見できます。また就業規則を改定する際、会社は労働組合に意見を聞かなければならないとされ、労働者にとって不利な規則の改定を、牽制できるようになっています。
不利益な扱いに対抗できる
会社都合による労働者への不利益な扱いに対抗したり、起こさせないように牽制できるのも労働組合が存在するメリットです。会社は労働組合があることで、不当な解雇やリストラ、減給など労働者にとって不利益な扱いを、一方的に行うことができなくなります。やむを得ず労働者にとって不利益な施策をとらなければならない場合でも、労働組合が会社側と交渉することで、双方が納得できる妥協点を探ることができます。
相談窓口として機能する
労働組合は組合員の相談窓口として機能します。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントといったトラブルがある場合、被害者である組合員は労働組合を通じて会社に申し立てをすることで改善を要求できます。労働組合を通じて主張することで、会社側に誠実な対応を促すことができます。
会社側のメリット
労働組合の存在は従業員のみならず会社にも大きなメリットをもたらします。会社側が得られるメリットは下記の3点が挙げられます。
職場の問題を把握できる
労働組合があることで、会社が職場で起きているハラスメントなどの個別の問題を把握でき、コンプライアンスの強化を図れる点がメリットといえます。また労働組合を通じて問題点を把握できることは、個別のトラブル解決だけではなく、長時間労働やサービス残業といった構造的な問題の解決につながり、健全な企業風土の醸成にも役立ちます。
従業員の生の声が集めやすい
従業員の率直な意見が集めやすくなることも、労働組合がもたらす会社へのメリットです。労働組合が職場集会やアンケートで集めた「従業員の生の声」を会社が吸い上げることにより、従業員が必要としている福利厚生や、不満に感じている制度の問題点を直接把握できます。「従業員の生の声」は会社をより良くしていくための貴重な材料であるといえます。
信頼関係の向上
労働者が会社に対し改善してほしいと思う点を明確に把握して、改善の取り組みを会社と労働組合が連携して行うことは、双方の信頼関係の向上につながります。労働組合を通じて上がってきた従業員の要望に対し、会社が真摯に向き合うことで双方の良好な関係が構築されていくのです。
05労働組合の作り方
労働組合は、一定の条件を満たせば、企業の許可を得ることなく労働者自身の意思で結成できます。組合員は労働者であることが原則で、使用者の関与を排した自主性・民主性が求められます。実際の立ち上げでは、仲間集めから規約作成、役員選出、結成届の提出といった段階を踏み、活動基盤を整えていきます。ここでは、労働組合を作る条件と基本的な流れについて解説します。
労働組合を作る条件
労働組合として認められるためには、いくつかの基本条件があります。第一に、使用者ではなく労働者が主体となって組織することが必要です。会社の意向や関与を受けた団体は労働組合とは認められません。第二に、加入・運営が強制されない労働者の自主的な団体であることが求められます。第三に、活動の主な目的が賃金・労働時間・職場環境など労働条件の維持・改善であることです。これらを満たすことで、法律上の労働組合として保護を受けられます。
労働組合を作る流れ
労働組合の作り方は、まず趣旨に賛同する仲間を募り、結成準備会で目的や規約案を整理することから始まります。その後、結成大会で正式に組合を立ち上げ、会社へ結成通告を行います。続いて団体交渉を通じて労働条件を話し合い、合意内容を労働協約として締結するまでの一連の流れが重要です。これらの基本的な進め方について解説します。
組合員の募集
労働組合づくりの第一歩は、組合の趣旨に賛同する仲間を募ることです。労働組合は労働者が主体となる団体であり、最低2人以上いれば結成できます。募集にあたっては、賃金や労働時間、職場環境など、共通の課題や改善したい点を丁寧に共有し、「一人では難しくても、集まれば声を届けられる」意義を伝えることが重要です。会社の承認は不要で、自由に活動できる点も正しく理解してもらうことで、不安を和らげながら賛同者を増やしていきます。
結成準備会
一定数の賛同者が集まったら、結成準備会を立ち上げます。ここでは、組合の目的や活動方針、加入条件、役員体制、会費など、運営の基本事項を話し合います。また、民主的で自主的な組織とするために、組合規約(規則)の原案づくりも重要な役割です。準備会は正式な組合ではありませんが、結成後の運営を円滑に進めるための土台となります。外部の労働組合や相談窓口から助言を受けるのも有効です。
結成大会
結成大会は、労働組合が正式に発足する重要な場です。大会では、組合規約の承認、組合名の決定、役員の選出、活動方針の確認などを行います。参加者の合意に基づいて意思決定を行うことで、「労働者の自主的・民主的な団体」であることが明確になります。大会の議事内容は記録として残しておくことが望ましく、今後の団体交渉や活動の根拠資料にもなります。この結成大会をもって、労働組合は法的に保護される存在となります。
結成通告
労働組合が結成されたら、会社に対して「労働組合を結成したこと」を文書で通告します。これは法律上の義務ではありませんが、団体交渉を行うために必要な重要なステップです。通告書には、組合名、代表者、連絡先、組合結成日などを明記します。会社の承認は不要であり、通告を理由に不利益な扱いを受けることは禁止されています。結成通告によって、会社との正式な労使関係がスタートします。
団体交渉
結成通告後、労働組合は会社に対して団体交渉を申し入れることができます。団体交渉では、賃金、労働時間、休暇、職場環境など、労働条件に関する事項を話し合います。会社は正当な理由なく団体交渉を拒否できません。交渉では、組合員の意見を整理し、具体的な要求として伝えることが重要です。一方的な対立ではなく、合意形成を目指す姿勢が、継続的な労使関係づくりにつながります。
労働協約の締結
団体交渉で合意に至った内容は、労働協約として文書にまとめ、会社と労働組合が締結します。労働協約は、就業規則よりも優先される法的効力を持ち、組合員の労働条件を守る重要なルールとなります。賃金や労働時間だけでなく、協議ルールや情報開示の方法などを定めることも可能です。協約を締結することで、話し合いの成果が明文化され、安定した労使関係の基盤が築かれます。
06労働組合に関する相談窓口
労働組合に関する相談窓口としては、日本労働組合総連合会(連合)や全労連(全国労働組合総連合)が代表的です。どちらも、労働組合の結成や運営、労働条件の改善、労使トラブルなどについて相談を受け付け、専門的な助言や支援を行っています。労働者が安心して権利を守るために活用できる相談先について解説します。
日本労働組合総連合会
日本労働組合総連合会(連合)は、働く人の労働問題全般について無料・秘密厳守の労働相談サービスを提供しています。賃金・労働時間・解雇・ハラスメントなどの悩みを専門相談員に相談できます。各都道府県の地方連合会でも窓口があり、労働組合づくりや交渉支援の助言も受けられます。相談は働く人全般を対象にしている点が特徴です。
▶︎参考:日本労働組合総連合会|労働相談
各都道府県の労働委員会
全国労働組合総連合(全労連)も、働く人の労働相談窓口を設けています。労働条件・解雇・差別・未払い賃金などの職場の問題について無料相談が可能です。全労連は全国の労働組合ネットワークを通じて、組合加入の相談や交渉支援にも対応しており、働く人の権利擁護を幅広く支援します。
▶︎参考:全国労働組合総連合(全労連)
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07まとめ
会社をより良くしていくためには、労働組合を通じ従業員の意見や考えを把握し、それを会社運営に反映していくことが重要です。労働組合への対応は時間や労力を要し企業にとってデメリットと感じる面もあるかもしれません。ですが、それ以上に大きなメリットをもたらすものでもあります。交渉に際しては真摯に向き合い、相互の信頼関係を構築していくことが重要であるといえます。