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退職勧告とは?違法にならないためのポイントや具体的な進め方を解説

公開日:2021/07/13
更新日:2021/07/28
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退職勧告とは?違法にならないためのポイントや具体的な進め方を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業が従業員を解雇するには法律上のさまざまな制約があるため、退職勧告を行う場合があります。しかし、やり方を間違えると違法になる可能性もあるため、退職勧告を行う際は注意が必要です。本記事では、退職勧告が違法にならないためのポイントや具体的な進め方を解説します。

 

退職勧告とは?解雇との違い

そもそも退職勧告とは何かについて、退職勧告と解雇との違いを踏まえて解説します。

退職勧告とは従業員の同意を得て退職してもらうこと

退職勧告とは、企業側が従業員に対して退職を勧めることで、「退職勧奨」とも呼ばれます。「能力不足で業績が上がらない」「業務態度が優れない」などの問題を抱える従業員を任意退職にしたり、不況による人員削減の手段として行われる場合があります。退職勧告による退職は、従業員が同意することで成立します。

割増退職金が支払われることもある

退職勧告に応じることで、割増退職金が支払われることもあります。割増退職金とは、会社で決められた退職金計算方法で算出した退職金に、上乗せをして支払う退職金のことです。会社都合で退職を勧めることになるため、従業員の同意を得やすいよう、再就職先の斡旋や有給休暇の付与などとともに、割増退職金をメリットとして提示することがあります。 ただし、退職金制度は労働基準法により規定されているわけではないので、すべての企業が退職金を支払うわけではありません。

解雇との違いは「同意」の有無

退職勧告と解雇の大きな違いは、従業員の同意を必要とするか否かです。解雇の場合、決定権は会社にあるため、従業員の意思に関係なく退職の手続きが進められます。それに対して、退職勧告の場合は、決定権が従業員にあるため、応じることも拒否することも可能です。 従業員を解雇するには労働法による規制がさまざまあり、「解雇予告」「解雇予告手当」や合理的な解雇理由が必要になります。退職勧告で必要なのは従業員の同意だけであるため、比較的自由に行われます。

 

退職勧告が違法とみなされ無効になる場合もある

退職勧告により従業員を退職させたつもりでも、場合によっては違法とみなされ、解雇が無効になることがあります。解雇が無効になるケースについて事例とともに解説します。

退職勧告が行われる時の状況によっては無効となる

中央労働委員会が公開している「HP版調整事件解説集」によると、退職勧告は「労働者に強い圧力を加える形態で行われること」があり、退職勧告が「行われる時の状況如何によっては、無効となったり取り消すことができる」と記されています。 つまり、従業員が同意したとしても、強迫によるものとみなされたり、勘違いであったりした場合に、退職の有効性が問われることになります。
参考:HP版調整事件解説集

参考判例:昭和電線事件

これは、不注意で工事記録書を破棄してしまったり、同僚に暴言を吐いたりした従業員に対して、退職勧告を行った事例です。使用者は、従業員に退職してもらう選択肢しかないこと、退職勧告に同意しなければ解雇処分とする意思を示しました。 従業員は、解雇になることを避けるために自主退職を選びましたが、実際には解雇できるほどの理由が存在せず、そのことを知っていれば退職勧告に同意することはなかったことが裁判所に認められ、退職が無効となりました。その結果、原告を復職させることと、退職から復職までの期間分の賃金を支払うことが命じられました。

 

退職勧告が違法にならないようにするための方法

退職勧告が違法になると、企業は大きなダメージを受けることになります。ここでは、退職勧告が違法にならないようにするための方法について解説します。

従業員は退職勧告に応じる必要がないことを前提に進める

退職勧告を行うにあたって、従業員は応じる必要がないことを前提に進めることが重要なポイントになります。企業側は「退職してほしい」のが本音ですが、あくまでも決定権は従業員にあるため、強迫と感じられるような状況を作らないようにする必要があります。また、従業員に即決を迫るのではなく、考える時間を与えるようにしましょう。

退職勧告をする際の話し方に注意する

企業には、退職勧告を行う何かしらの理由があることでしょう。例えば、従業員の勤務態度が悪かったり、能力不足であったりする場合、当人の名誉を傷つけるような話し方に注意する必要があります。また、説得口調になってしまうことや、「応じなければ解雇する」の発言も相応しくありません。 従業員が退職勧告を拒否した場合は、説得を続けることがないようにしましょう。仮に従業員が説得に応じたとしても、後に裁判に発展するリスクがあり、解雇事由が存在しない場合は、退職によって受領できなかった給料をまとめて支払うよう命じられることになります。

退職を促すための配置転換や仕事の取り上げはしない

退職を促すために配置転換や仕事を取り上げると、退職に追い込むための嫌がらせをしているとみなされる場合があります。退職以外の選択肢がなくなったとして従業員が退職をすると、退職勧告が違法とみなされ、裁判により退職が無効となるため注意が必要です。 特に、業務への適性が著しく欠けている場合や、上司との相性が悪いために配置転換を行う際は、従業員への丁寧な説明などを慎重に行い、誤解を与えないようにしましょう。

高頻度・長時間に及ぶ退職勧告は違法になる場合がある

退職勧告に応じない従業員に対して、再度退職勧告を行うことは、基本的に違法ではありません。しかし、短期間のうちに何度も行うことや、長時間に及ぶ場合は、退職を強要しているとみなされることもあります。違法とみなされないためには、頻度や時間を常識的な範囲に収める必要があります。

 

退職勧告の具体的な進め方を6つのステップで解説

退職勧告の具体的な進め方を、以下の6つのステップで解説します。

退職勧告の方針や理由を社内で共有する

該当従業員の直属の上司の意見を聞くなど、退職勧告を実施する理由を確認し、社内で共有します。そうすることで、退職勧告が一個人の意向ではなく、会社の総意であることを示すことになります。従業員が応じやすいように、割増退職金の支給、転職の斡旋などを提示する場合は、具体的な内容も話し合っておく必要があります。

担当者用に退職勧告の理由を記したメモを用意する

退職勧告を実施する担当者のために、話し合いを進行する際に役立つメモを用意します。退職勧告の理由や、禁句となる表現、その他の注意点をメモしておくと役に立つでしょう。予想される反論に答えるのに役立つ情報も、書き記しておくことができます。

従業員との面談で退職をしてもらいたいという会社の意向を伝える

従業員を会議室などの個室に呼び出し面談を行い、退職をしてもらいたいという会社の意向を伝えます。その際に、退職勧告の理由を具体的にわかりやすく説明するようにします。退職勧告に至るまでの経緯を順序だてて説明すると良いでしょう。

従業員に回答の期限を与えて検討を促す

面談時に即決を迫る必要はありません。家族に相談するなど、熟考してから回答できるように十分な期限を与えるようにしましょう。その場で反論されるかもしれませんが、退職勧告の理由を伝えることに集中し、応じない場合の処置についての発言は控えるようにします。

退職の時期や処遇について話し合う

退職の条件によって同意する意思を示す場合は、退職の時期や処遇について話し合います。会社の提示と従業員の要望をすり合わせて、円満退社を目指します。会社都合の退職になるため、失業手当の受給が可能であることも伝えることができます。

退職届の提出または合意書の作成を行う

従業員が退職勧告に応じた場合、退職届の提出または合意書の作成を行います。解雇ではなく従業員が退職勧告に合意したことを証明する大切な書類になるので、必ず取得するようにしましょう。

 

従業員が退職勧告に応じない場合はどうすればいいのか

従業員が退職勧告に応じない場合、話し合いはそこで終わってしまいます。では、企業としてどう対処すればいいのでしょうか。

退職勧告に強制力はない

前述の通り、退職勧告に強制力はありません。従業員には退職勧告を拒否する権利があります。解雇する理由がない限り、退職を強要することはできないため、従業員には引き続き働いてもらうことになります。時期を見て再考を促すこともできるため、その時に備えて、再教育を施したり、もう一度チャンスを与えたりするなど、適切な対応をするようにしましょう。

「客観的に合理的な理由」があれば解雇

従業員をやみくもに解雇することは法律上できませんが、「客観的に合理的な理由」があれば、解雇も可能です。解雇に値する理由があれば、証拠をまとめたり就業規則の規定を整えたりして、解雇の手続きを進めることができるでしょう。

会社側に人員整理の必要がある場合は「整理解雇」

不況などの理由で、人員削減をせざるを得ない場合は、「整理解雇」の手続きを行うことができます。整理解雇を実施するためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

 

  • ・人員整理の必要性
  • ・解雇回避努力義務の履行
  • ・被解雇者選定の合理性
  • ・手続きの妥当性

整理解雇を行うための要件には法規定はありませんが、過去の裁判例から、上記の4要件が基準として形成されました。昨今では、4要件をすべて満たさない場合でも、総合的に考慮して整理解雇が認められるケースが出ており、「4要件」ではなく「4要素」に緩和されているという見方もあります。

 

まとめ

退職勧告の具体的な進め方や、違法にならないためのポイントをまとめました。退職勧告を強引に進めると、退職後に不法解雇であると訴えられ、裁判沙汰になるリスクがあります。従業員の合意を得ることで退職が有効になるため、企業側としては、従業員と合意が取れるような方法で手続きを進めていく努力が必要になります。

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