公開日:2021/07/13
更新日:2022/09/22

給与台帳とはどのような書類?賃金台帳との違い・書き方・保存期間などについても解説

給与台帳とはどのような書類?賃金台帳との違い・書き方・保存期間などについても解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

会社の労務管理をするうえで給料関係の書類と言えば「給与台帳」です。しかし、給与台帳と賃金台帳や給与明細との違いがわからなかったり、ひな形の準備方法について詳しく知りたい作成担当者のために、この記事でわかりやすく解説します。 給与台帳と間違われやすい賃金台帳との違い、作成や保存に関する法律、エクセルのひな形はもちろん、便利な自動入力のツールなども含めて説明します。

 

01給与台帳とは?

給与台帳とは、給与計算に関係する情報が記入されている書類です。よりわかりやすく言うと、給与に関する情報以外は書かれていない、シンプルな内容の書類のことを指します。企業の給与関係の書類と言えば、給与台帳や賃金台帳です。 給与台帳の作成にあたって、対象者は従業員すべてです。正社員やパートやアルバイトスタッフも含まれます。

給与台帳は企業が任意で作成する書類

給与台帳は、企業が任意で作成する書類です。必ず作成しなければならないと勘違いされがちな書類ですが、給与台帳を作成するかどうかは、各々の企業が自由に決められるということです。

給与台帳の作成は法律でも規定されていない

給与関係の書類である給与台帳は各企業が任意で作成を決める書類なので、当然、法律で作成について規定されているということもありません。 給与台帳とは反対に、作成や保存することが義務付けられている給与関係の書類もあります。その書類が「賃金台帳」です。一般的に給与台帳より賃金台帳の方が知られていて、賃金台帳は法で記入や保存が定められています。 付け加えると、賃金台帳、従業員名簿、出勤簿は、3つを合わせて法定三帳簿と呼ばれています。法廷三帳簿は、人事や労務担当者などなら知っている用語かもしれません。

給与台帳の保存期間

給与台帳の保存期間は、労働基準法で規定されている賃金台帳とは異なり、企業によって異なります。3年間のところもあれば、10年間をめどに処分する、これまでの何十年間分も給与台帳を保存している企業もあるということです。 給与台帳は、そもそも作成自体も任意で記入項目も労働基準法で定められている書類ではないため、保存する期間も企業が自由に決められます。

給与台帳はパートやアルバイトの分も作成が必要?

先述したように、給与台帳は労働基準法で定められた給料関係の書類ではありませんので、パートやアルバイトスタッフの分の作成に関しても、各々の企業が自由に決められます。 正社員の分を作成しているからパートやアルバイトスタッフの分もきちんと作成している、という企業もあれば、正社員分しか給与台帳を作成していないという企業もあります。

 

02賃金台帳の作成や保存は法で定められている。

このように「給与台帳」は、企業の経営陣の考え方で作成や保存がされる給与関係の書類ですが、記入項目がよく似ている「賃金台帳」は、給与台帳と異なり作成や保存について法で定められています。作成や保存期間などがどのように規定されているのか、具体的に解説します。

賃金台帳は作成と保存の義務がある

賃金台帳は労働基準法第109条で記入、保存が規定されています。これにより、企業は労働者名簿や労災補償などと同じく、賃金台帳の書類を5年間保存しなければいけません。労働基準法 施行規則 第56条によると、「給与台帳の保存期間の計算についての起算日」は以下です。

  • ・労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日
  • ・賃金台帳については、最後の記入をした日
  • ・雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日
  • ・災害補償に関する書類については、災害補償を終つた日
  • ・賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日

 

賃金台帳台帳の保存は2020年の民法改正により5年間に

賃金台帳の記録の保存期間は、2020年4月に行われた民法改正により3年間から5年間へと変更されました。 これにより、賃金台帳の記録が保存されている期間内であれば、企業は従業員や元従業員から未払いの残業代請求などがあった際などに、賃金台帳の記録を基に対応することになります。

 

03給与台帳と賃金台帳・給与明細との違いは?

続いて、給与台帳と混同されやすい帳簿や書類について、解説します。給与台帳と同じだと思われたり、よく似ているために間違われやすい書類は、「賃金台帳」「給与明細」の2つです。 賃金台帳の記録や保存の義務については先述しましたが、「賃金台帳」と「給与明細」の2つの書類は、給料台帳と同じく給料関係の書類でありながら、給与台帳とは明確な違いがあります。この機会に把握しておきましょう。

給与台帳と賃金台帳の違い

給与台帳と特に間違われやすい書類が「賃金台帳」です。給与台帳と賃金台帳は、記入内容がとても似通っているため、混同されやすい書類です。 しかし、実際は給与台帳よりも賃金台帳の方が記入するべき内容が多いです。給与台帳はわずか8つほどの項目のみです。この点を知っておくと、給与台帳と賃金台帳を間違えてしまう事態を避けられるでしょう。

給与台帳と給与明細の違い

給与台帳と給与明細との違いについても、しっかりと確認しておきましょう。給与台帳と給与明細も、とても似ている給与関係の書類ではありますが、給与に関してより詳しく記入されているのが、給与台帳です。 給与明細にも労働日数、労働時間、各控除と金額などが記載されていますが、給与台帳に記載されている性別、賃金計算期間などの項目は見あたりません。このように、給与内容についてより詳しく記載されている書類が給与台帳なので、2つの違いを把握しておきましょう。

 

04給与台帳は給与明細で代替できる?

結論から言うと、給与台帳は給与明細では代替えできません。給料明細の内容では、給料台帳として不十分だからです。給与台帳には、先述したように性別や賃金、賞与、各手当の計算期間を書く項目がありますが、給与明細にはそれらの項目が記載されていないからです。 給与明細には給与台帳と同様に氏名、労働日数、各控除の金額などの詳細も記入されていますが、やはり給与台帳にするには項目がいくつか不足しています。 企業で発行する給与明細が給与台帳に代替えできれば、労務や人事担当者も楽ですが、それぞれ給料関係とは言え別の書類だということを、知っておいてください。

 

05給与台帳と賃金台帳の両方の作成は必要?

給与台帳と賃金台帳の両方の作成についても、解説します。どちらか一方だけの作成で良いのか、どちらか一方ならどちらの作成を優先するべきなのか、悩む企業もあるので、参考にしてください。

給与台帳と賃金台帳はどちらか1つ

給与台帳と賃金台帳は、2つを作成することが最も良いのですが、給与台帳にしても賃金台帳にしても、作成の手間や時間を考えて給与台帳と賃金台帳のどちらかだけを作成する企業が一般的です。割合で言えば、賃金台帳しか作成、保存していないという企業が多いです。

賃金台帳を作成する企業が多い

給与台帳と賃金台帳の作成においては、「賃金台帳」のみを作成する企業が圧倒的に多いと説明しましたが、その理由は、賃金台帳の方が給与台帳よりも記入項目が多く、給与台帳の内容をカバーしていることにあります。

給与台帳の保存期間

給与台帳の保存期間は、労働基準法で規定されている賃金台帳とは異なり、企業によって異なります。3年間のところもあれば、10年間をめどに処分する、これまでの何十年間分も給与台帳を保存している企業もあるということです。 給与台帳は、そもそも作成自体も任意で記入項目も労働基準法で定められている書類ではないため、保存する期間も企業が自由に決められます。企業の経営陣の考え方で保存期間を定められる給与関係の書類です。給与台帳の保存期間を考える際の参考にしてください。

 

06給与台帳に記載する内容とは?

給与台帳には、いったいどのようなことを書くのでしょうか。給与台帳に書く項目は8つあります。具体的な内容、金額はもちろん、使える書式(ひな形)についても、しっかりと確認しましょう。

給与台帳に書く項目

給与台帳には、8つの内容を記入します。各項目の記載の順番も、おおむね決まっています。具体的な項目と記載の順番は、以下です。

  • ・従業員の氏名
  • ・性別
  • ・賃金、賞与、各手当の計算期間
  • ・労働日数
  • ・労働時間
  • ・時間外労働時間数
  • ・基本給や各手当の種類と金額
  • ・各種控除と金額

 

給与台帳の書式(ひな形)

給与台帳には、決まった書式(ひな形)がないため、企業側で独自に作成しても何ら問題はありません。給与台帳には、記入項目8つが記入します。 給与台帳のサイズも、A4サイズの横長、A4サイズのエクセルl形式など、自由です。給与台帳を作成した後は、各種項目と金額を1つずつ埋めていきましょう。

給与台帳のひな型はエクセルのテンプレート利用も

給与台帳に適したテンプレート、初心者でも書きやすいテンプレートなどは、インターネットで検索するとすぐに見つかります。無料のものもたくさんありますので、これらを利用すると、テンプレート作成の手間がかからないので、大変便利です。 具体的な書式は、縦長のA4やエクセル形式などです。どのテンプレートも内容に大きな差はないので、企業の担当者が作成しやすいものを選び、ダウンロードをしましょう。

給与台帳の作成が楽にできるツールも

インターネットで探せる給与台帳ツールは様々ありますが、特におすすめなのが、各項目の数字を入力すると、自動で計算して入力が完了するタイプのツールです。給与明細から給与台帳を作成できる機能などもあるので、大変便利です。 給与台帳に関する便利なツールは、労務や人事担当者などの負担も減らせるので、活用する企業も多くあります。給与台帳作成にあまり時間がかけられない企業は、このようなツールの活用を検討するのも良いでしょう。 給与台帳の作成ツールの利用料金は、初月お試し無料だったり、月額1,000円ほどだったりと様々です。数あるツールの中から、給与台帳作成担当者が実際に使ってみて、使い勝手の良いものを選ぶのがおすすめです。


 

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07まとめ

給与台帳の意味、間違えやすい賃金台帳や給与明細との違い、実際の作成方法、テンプレートの活用などについても解説しました。給与台帳の保存期間、代替えできるのかなどについても、参考にしてください。

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    株式会社壺中天 代表取締役

    立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。その後、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げ、2020年「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し代表と塾長を務める。

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