休出とは?手当が発生するケースや計算方法について解説
繁忙期などに従業員に対して休出を命じることがあるかもしれません。休出には手当が発生するケースもあるため、事前に理解しておくことが非常に大切です。本記事では、休出の2つの種類、休出で手当が発生するケースや計算方法について解説します。
- 01.休出とは?休出の2つの種類
- 02.会社の出勤命令以外でも休出になる場合がある
- 03.休出で手当が発生する3つのケース
- 04.休出で手当が発生しない3つのケース
- 05.休出手当の計算方法
- 06.まとめ
01休出とは?休出の2つの種類
休出とは、労働義務のない休日に労働することを指します。ここでは、休出の2つの種類の違いや概要について解説します。
週に1日または4週に4日の「法定休日」に出勤すること
労働基準法では、労働者に週に1日、または4週に4日の休日を与えることが義務付けられており、これらの休日のことを「法定休日」と言います。法定休日に労働を命じることは基本的に違法となるため、事前に36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが必要です。 週に1日または4週に4日の「法定休日」に出勤すると、休日手当が発生します。
会社が独自に決めた「法定外休日」に出勤すること
労働基準法で定められていない、会社が独自に決めた休日を「法定外休日」と言います。例えば、週休2日の会社で、土日が休みとされている場合、会社はいずれかを法定休日とすることができます。日曜日を法定休日とした場合、土曜日が法定外休日となります。 法定外休日に出勤した場合、休日手当は発生しませんが、週に40時間を超える労働になる場合は、その分の残業代が発生します。週40時間を超過する時間外労働に関しても、事前に36協定を締結する必要があります。
休出は基本的に拒否できない
会社が休出を命じるためには、会社と従業員の間で36協定を締結する必要があります。ただし、休出を快く受け入れない従業員もいることが考えられます。基本的に休出の拒否はできませんが、就業規則や雇用契約に、休出についてのルールを記載することで、社内で周知させることができます。
02会社の出勤命令以外でも休出になる場合がある
基本的に休出は会社の出勤命令によって行われますが、出勤命令以外でも休出になる場合があるので注意が必要です。ここでは、会社の出勤命令以外でも休出になる3つのケースについて解説します。
参加義務のある研修や社内イベント
休日に社内イベントや研修を実施することがあるかもしれませんが、参加義務がある場合は休出になります。参加義務に関して明言しなかったとしても、参加しないと減給になる、評価に影響が出る、欠勤扱いになるなどの場合は、休出扱いとなります。 任意参加の研修や社内イベントで、不参加によるペナルティなど、従業員に不利となる扱いがない場合は、休出とはなりません。
業務上出社せざるを得ない場合
会社や上司による出勤命令がなくても、業務上休日に出社せざるを得ない場合、休出扱いとなります。業務によっては繁忙期があったり、納期が近くて忙しかったりする場合があります。業務を終わらせるために、従業員が自主的に休出して作業を行うケースも考えられます。 使用者の指揮命令下に置かれている時間は、労働時間としてカウントされます。「休出命令は出していない」としても、仕事量が明らかに多く、納期がひっ迫している状況で従業員が休日に出勤すると、休出扱いとなるので注意が必要です。
持ち帰り残業も休出になる場合がある
従業員が休日に出勤しなくても、持ち帰り残業により労働を行う場合は、休出となる場合があります。上司の命令がなかったとしても、大量の仕事を与えて、週明けには終わらせるようにと命じれば、休出を命じることと変わりないと言えるでしょう。 持ち帰り残業は、従業員が自主的に行うことが多く、上司が気付かないうちにサービス残業をしているというケースも考えられます。ただし、「知らなかった」で済まされることではなく、後になってから未払い賃金の請求などで表面化することがあるため、従業員の労働量と労働時間を管理する必要があります。
03休出で手当が発生する3つのケース
休出には手当、つまり割増賃金が発生します。ここでは、休出で手当てが発生する3つのケースについて解説します。
法定休日に出勤した場合
従業員が法定休日に出勤した場合、手当として35%の割増賃金が発生します。従業員の1時間当たりの賃金をもとに割増賃金を算出します。例えば、1時間当たりの賃金が2,000円の場合、法定休日に出勤した場合は1時間当たり2,700円を手当として支給しなければなりません。 また、労働時間が深夜の場合は、さらに25%を加算して、合計60%の割増賃金が発生することになります。
法定休日に出勤して代休を取った場合
法定休日に出勤してから、その分の代休を取ることもあります。例えば、法定休日である日曜日に出勤命令が出たため、翌日の月曜を休みにする場合です。この場合は、法定休日に労働した際の賃金に、代休日の通常賃金分を控除して、手当を支給することになります。 1時間当たりの賃金が2,000円の場合、休出の1時間あたりが2,700円になるので、代休を取った場合は、1時間あたり700円が支給されることになります。
法定外休日に出勤すると残業代が発生する場合がある
休出が法定外休日の場合は、残業代が発生する場合があります。残業代が発生するのは、週に40時間以上の労働をした場合です。例えば、月曜日から金曜日まで1日8時間労働をすると、週の労働時間が40時間に達します。そこで、法定外休日である土曜日に休出を命令したとすると、その日の労働時間は残業扱いになります。 残業代としては、25%の割増賃金が発生することになります。賃金が1時間2,000円の労働者の場合、1時間当たり2,500円を残業代として支給し、深夜労働の場合はさらに25%が加算されるので、1時間当たり3,000円を支給することになります。
04休出で手当が発生しない3つのケース
休出命令を出しても、手当が発生しない場合もあります。ここでは、休出で手当てが発生しない3つのケースについて解説します。
法定外休日に出勤して週40時間を超えない場合
法定外休日に出勤した場合、週40時間を超えていなければ、手当としての割増賃金は支給されません。1時間当たりの賃金が2,000円の場合、週40時間を超えない法定外休日の休出の場合、通常の賃金である1時間当たり2,000円が支給されることになります。 週休3日制の会社の場合、2日は法定外休日になるので、週40時間を超えない範囲での休出があり得ると考えられます。
振替休日を適用した場合
振替休日を適用した場合も、休出の手当てが発生しません。振替休日とは、事前に労働日と休日を入れ替えることです。代休と混同されることがありますが、振替休日は休出の前日までに、振替日を指定して従業員に伝えなくてはならないため、後日に休日を取る代休とは異なります。 代休を取る場合は、休出の際の割増分の手当てが発生しますが、振替休日を適用する場合は、通常の労働日に労働したとみなされるため、手当は発生しません。事前に振替日を指定しないと、代休扱いとなり、休出の割増分の手当を支給しなければならなくなるので注意しましょう。
管理職が休出した場合
管理職が休出した場合も、基本的には休出手当は発生しません。ただし、ここで言う管理職とは、労働基準法が定めている「管理監督者」に該当している場合です。手当の発生しない管理職は、経営者と一体の立場にあり、出退勤の厳格な管理を受けておらず、相応の処遇を受けている従業員のことです。 役職名だけを与えて、「管理職だから休出手当は支給しない」となると、違法なので注意しましょう。実際、「名ばかり管理職」の未払い残業代が発生し、後からまとめて請求されるケースも少なくありません。
05休出手当の計算方法
最後に、休出手当の具体的な計算方法について解説します。
基礎時給を計算する
休出手当を計算するにあたって、まず従業員の「基礎賃金」を計算する必要があります。基礎賃金とは、従業員の1時間当たりの賃金のことで、月給制の場合は所定労働時間で割って基礎時給を算出します。ここでいう月給には、通勤手当や住宅手当など各種手当は含まれません。ただし、各種手当を一律で固定額として支給している場合は、月給に含めて計算します。 例えば、月給220,000円で1ヵ月の所定労働時間が170時間なら、220,000円÷170時間=1,294円が基礎賃金になります。
割増率をかける
基礎賃金に該当する割増率をかけて、1時間当たりの賃金を算出します。法定休日の休出では、35%の割増賃金が発生するため、上記の基礎賃金1,294円×1.35=1,747円が1時間当たりの賃金になることが分かります。 深夜労働には25%の割増率が加算されることや、時間外労働は25%の割増率であることを考慮して、休出が法定休日か法定外休日かによって算出方法を応用することができるでしょう。
休出の時間をかける
基礎時給を計算し、割増率をかけたら、休出の時間をかけて支給額を算出します。上記の基礎時給1,294円に割増率35%を適用すると1,747円になりますが、これに休出の時間をかけた額が、その月の休出手当支給額になると考えられます。 例えば、月に2回の法定休日出勤をして、1日8時間労働であった場合、1,747円×2日×8時間=27,952円が休出手当となります。なお、代休を取った場合は、その日の通常の賃金を控除して、休出手当の支給額を算出します。
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06まとめ
休出の2つの種類や手当が発生するケース、具体的な計算方法についてまとめました。業務によっては休出命令を出す必要も検討しなければなりませんが、36協定の締結や業務規約への記載など、ルールに従うことでトラブルを避けることができます。休出手当や残業代の支給に関しては、細かいルールが定められているため、理解を深めた上できちんと計算するようにしましょう。