インセンティブ制度とは?導入のメリットや注意点を解説する
営業部を中心に展開しているインセンティブ制度は、従業員のやる気を生む制度です。本記事では、従業員のやる気を引き出すインセンティブ制度について、導入のメリットや注意点を解説します。どのようなメリットを生みだすか確認し、自社に導入していきましょう。
- 01.インセンティブ制度とは
- 02.インセンティブの種類
- 03.インセンティブ制度導入のメリット
- 04.インセンティブ制度導入の注意点
- 05.インセンティブ制度導入時のポイント
- 06.まとめ
01インセンティブ制度とは
インセンティブとは、仕事に対して一定の成果を出した場合に、賃金(報奨金)を上乗せしてくれる制度です。インセンティブ報酬は、報奨金の扱いとなり厳密には賃金ではありません。通常、基本給とは別に支給され区別されます。インセンティブは、会社の目標達成など会社へ貢献したことへの一時金としての側面があることで、賃金としては考えにくい性質を持っています。
歩合制度との違い
歩合制度とは、目標をクリアすることに報酬が発生する仕組みのことです。キャンペーンの開催時に1件の制約で1万円の歩合などのように利用されます。インセンティブと同じように一過性の報酬として扱われますが、短期間で評価を行う場合やスポットのイベントに使う制度である点がインセンティブとは異なります。
02インセンティブの種類
インセンティブ制度にも種類があります。次に、インセンティブの種類について解説していきますので、どの種類が最も自社に取り入れやすいかを見極めていきましょう。インセンティブの種類と特徴を比較することで、それぞれの特徴の理解を促進していきます。
報奨金として給与に上乗せをする場合
報奨金の内容は、自社で決めることができます。また、報奨金の種類についても自社で自由に決めれます。最も主流なのが、報奨金として給与支給時に付与する方法です。インセンティブの種類の中では、目標達成を行た際に一時金として報酬を支払う場合、目標達成後に基本給を1%アップするなどのパターンもあります。給与に上乗せすることが、従業員にとっては最も分かりやすいインセンティブの形です。
表彰制度として副賞を贈与する場合
金銭ではなく、会社に貢献した社員に対して表彰とギフト券や景品といった副賞を送る方法があります。月間MVPや年間MVPの表彰制度などの場で用いられることが主流な種類です。事務職などは営業と違い実績の数字が見えにくい特徴があるものの、全従業員を対象にできるメリットがあります。多くの企業が、創立記念日や年末に年間の表彰者を発表するなどして採用しています。
昇進昇格に反映する場合
インセンティブを昇進に反映させる方法のことで、年功序列型が多いわが国では、まだまだ採用されていませんが、欧米を中心に展開をしている制度です。国内ではなじみがないこともあり導入企業は少ないとされており、今後、展開することが想定されます。
賞与に組み込む場合
インセンティブにあたるお金をボーナスに組み入れる方法で、「変動賞与制」ともいわれます。基本となる賞与とは別に、業績に応じた報酬が加わり賞与として支給します。企業によっては、変動賞与制のみを設けている企業もあり頑張り次第で賞与額が大きくも少なくもなる場合がある点を理解しておきましょう。
03インセンティブ制度導入のメリット
次にインセンティブ制度を導入することで起きる企業メリットについて解説していきます。インセンティブ制度を導入することで、企業にはどのような変化がおきるのでしょうか。実際にインセンティブ制度を導入する前に自社が求めるメリットが含まれているかの確認を行うことが必要です。
従業員のやる気を引き出す
インセンティブ制度の導入は、報酬という目に見える形で結果がかえってきます。そのため、従業員には分かり易い指標であり、わかりやすい報酬である両側面からもやる気を引き出す点がメリットです。高いモチベーションがある社員が増えれば、相互間での刺激ともなり、より一層のやる気を生むことにつながります。その反面、インセンティブ制度が要因であったモチベーションはインセンティブ制度が終われば下がってしまう可能性がある点に注意しましょう。
努力次第で給与がアップする
頑張り次第で、給与が大幅にアップする可能性があります。これは、従業員側のメリットです。普通に勤務をしていても、大幅な給与アップは望めません。しかし、インセンティブ制度があれば給与の大幅なアップに期待をもつことができます。給与がアップすることは、大きなモチベーションを生むことつながります。やる気を刺激することで、インセンティブ報酬を受取ることができる成果に結びつくことが可能です。また、インセンティブ報酬を受取ることができるということは、市場に対しての成果をあげている結果でもあるため、企業にとっては売上増加などのメリットにも結びつく期待を持てます。
従業員間の競争意識を生みだす
インセンティブ制度を導入している際には、多くの場合、対象メンバーの進捗度合などをグラフなどで示して見えるかをおこないます。この見えるかにより、競争意識がより一層芽生え、切磋琢磨して目標達成を行う風土が作られます。競争意識は、継続性が短い感情です。また、強すぎる競争力はトラブルの原因にもなるため注意しておきましょう。
企業成長に期待できる
インセンティブ制度の達成者がいることは、売上の拡大などの目標達成ができている従業員が存在していることです。これは、企業にとっては売上が上がるなどの効果が出てる証明であり、企業成長がはかれる可能性を示しています。これに加え、従業員の行動様式が変わり営業力がアップすることは、企業の信頼性もアップするなどの相乗効果をもたらしていくと理解しましょう。
04インセンティブ制度導入の注意点
次に、インセンティブ制度導入の注意点について解説していきます。インセンティブ制度には多くのメリットがありますが、その反対にある注意点について対応できるかどうかで、制度導入時や導入後のトラブルの多くを解決することが可能になります。
内発的動機が失われる可能性がある
インセンティブ制度は、外発的動機の要因です。インセンティブ制度のみを繰り返し実施すると、自分の内面から成長したいと考える内発的動機が起きる要因を疎外してしまう可能性があります。この疎外により内発的動機が失われることにもつながります。インセンティブ制度については、継続して行えない場合もある点を踏まえると内発的動機付けとなる意識付けを同時に行う必要性があると考えておきましょう。
達成しない時には不満が募る
インセンティブ制度の目標を達成しなかった場合には、不満が残る可能性があります。未達成までの間に、自分ができるだけの努力を行った場合には特に悔しい思いと制度自体を批判する考え方が生まれやすくなります。このように達成しなかった場合の不満は、自分自身に対してと制度に対してとの両方が想定されますが、誰も達成できなかった場合には制度そのものに対しての不満や募る可能性も考えられるでしょう。こうした事態を避けるためには、そこに至るプロセスを重要視し、問題点の整理や解決方法の指導、期末などに行われる評価制度を適用する必要があります。
組織力の低下が起きる可能性がある
インセンティブ制度は個人だけで実施する訳ではありません。内容に応じてチーム単位での取り組みを実施する場面があります。こうした際に、一人だけ個人ノルマを達成しないことが原因で、チームの目標をクリアできない時には、人間関係に溝ができる可能性が高くなることに注意が必要です。こうした事象は、組織全体のコミュニケーション力を低下させると同時に組織力そのものを低下させる要因になりえると理解しておきましょう。
05インセンティブ制度導入時のポイント
最後に、インセンティブ制度導入時のポイントについて解説していきます。メリットの多いインセンティブ制度を導入する際には、どのようなポイントをおさえておけばいいのでしょうか。次に、インセンティブ制度をスムーズに導入する際にさえておきたいポイントについての理解を深めていきまそう。
目先の成果だけに固執しない
インセンティブ制度については、インセンティブ報酬に関して興味が高くなりがちです。しかし、インセンティブ報酬は一時的なものであるためインセンティブ制度を実施した結果として何を実現したいかを考えておく必要があります。新規顧客の開拓による販路の拡大とマーケット分析など単純に目標をクリアするだけではなく目標達成後の先に何を期待しているかについてを意識することが大事です。
限定社員だけの恩恵にしない
インセンティブ制度、インセンティブ報酬の対象を営業部だけなどのように限定しないこともポイントの1つです。営業と事務部門では日々行っている業務が異なります。そのため、新規顧客開拓と言っても事務部門が圧倒的に不利になります。こうした場合には、条件の緩和やインセンティブ報酬の内容を変更し全従業員が参加できる形式としておきましょう。自部門が家族や友人を紹介する数も集まれば大きな利益になることを理解し、積極的に参加できる仕組み作りを行ってう必要があります。
公平な評価ルール化の構築を行う
インセンティブ制度には公平な評価が必要です。あらかじめ評価基準や評価ルールを策定し公表し周知しておきましょう。周知をしておくことで、従業員は評価基準を正しく把握し目標を設定することができます。そうすることで、より目標達成に向けた計画の立案や実行がしやすくなり、組織全体での目標達成を実現することが可能です。
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06まとめ
本記事では、インセンティブ制度について企業におけるメリットや注意点について解説しています。従業員のモチベーションを高めるインセンティブ制度について、自社内におけるメリットを最大限に活かし企業としての目標達成を実現していきましょう。
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立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。その後、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げ、2020年「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し代表と塾長を務める。