公開日:2021/09/09
更新日:2022/09/21

リチーミングとは?導入のメリットや企業事例を紹介

リチーミングとは?導入のメリットや企業事例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

リチーミングは、組織やチームのパフォーマンスを高める点が評価されて、最近ではその重要性が注目されています。本記事では、リチーミングにおける考え方や導入のメリットを確認するとともに、リチーミングを実践するステップと実際の企業事例を紹介していきます。

 

01リチーミングとは

リチーミングとは、チームにおける問題解決と、チームの再構築のために考案されたプログラムです。現在より良い方向に変化したいと考えているチームとそのメンバーが、12のステップのなかで、目標設定とモチベーションアップを行いながら、協力体制を構築していく姿がリチーミングでは想定されています。

コーチングとの違い

コーチングは、コーチとコーチングの対象者とが対話を通して、目標達成に向けてモチベーションと能力を高めていくコミュニケーション手法をいいます。コーチングにおいての基本は、個人対個人のマンツーマン形式です。 一方、リチーミングでは、個人の目標やビジョンをチーム全体で共有しながら、ゴールに向けて協力し合い、邁進する形式を取るものです。 企業はいわば大きなひとつのチームであり、コーチングによる個人の努力だけでは生産性アップに限界があるため、リチーミングの活用によって企業全体の成長を図ることが重要といえます。

リチーミングの起源と歴史

リチーミングは、1990年代前半、フィンランドの精神科医ベン・ファーマン氏と社会心理学者タパニ・アホラ氏によって考案されました。ファーマンらは、問題を抱える子どもたちのためには、問題の原因ばかりに目を向けるのではなく、前向きに問題解決に向かっていく意識改革が必要と考えました。 もともとは、キッズプログラムとして考案されたリチーミングでしたが、失業率が2桁と大不況のさなかにあったフィンランドでは、チームワーク強化と再活性化のために取り入れる企業が登場したのです。リチーミングは、通信機器メーカーのノキアやフィンランド航空など、有力企業に相次いで採用されました。 その結果、フィンランドは劇的な経済復興を果たして、同国企業の人事担当者のあいだにリチーミングが大きく広まったのです。

リチーミングが注目を集めている背景

フィンランドがリチーミングの活用によって経済復興を果たしたあとは、スウェーデンのボルボやドイツ銀行が人材開発にリチーミングを取り入れるようになりました。導入した企業で一定の効果がみられたことから、その後はヨーロッパを中心に世界25か国で企業の研修プログラムに取り入れられています。 リチーミングがこれほどまでに注目を集める背景には、精神面と行動面の両方にフォーカスするリチーミングの特徴が潜んでいると考えられます。やる気があっても行動がなければ結果は伴いませんし、逆もまた然りです。リチーミングは心と行動の相互作用によって、個人の成長だけでなくチーム、ひいては企業全体の成長にもつながる点が高く評価されているといえます。

 

02リチーミングを導入するメリットとは

リチーミングは、チームワークの強化に重点を置いたプログラムですが、個人の能力とモチベーションの引き上げもメリットとして期待できます。ここでは、リチーミングの導入で期待できるメリットについて、チームと個人の両方の視点からみていきます。

チームワークが良好になる

リチーミングでは、チームのメンバーがこまめにコミュニケーションを交わすため、お互いの目標や状況を理解し合える可能性があります。この取り組みを経て、チーム内に信頼感と協調性が生まれて、チームワークの改善を期待できるのです。 チームワークが良好になれば、業務において相互に助け合い、支え合う姿勢が実現し、パフォーマンスと生産性の向上を見込めるはずです。

問題解決能力が養われる

リチーミングにおいては、与えられた目標と仕事をただこなすだけでは意味がありません。自ら立てた目標に向かって、自発的かつ主体的な行動計画を起こし、目標達成に向けて努力を重ねていくものです。この過程のなかで問題に直面した際には、チームのメンバーで協力し合い、問題解決への道筋を自分たちの力で辿っていくことになります。 その結果、リチーミングを行っているメンバーは、指示待ち人間を脱却して、自ら問題解決の手だてを考案し、実行できる能力を育てられるかもしれません。

主体的な行動が取れるようになる

リチーミングを通して、チーム内で協力し合い励まし合う環境が構築されれば、メンバーの一人ひとりに自信がつく可能性があります。その結果、問題志向ではなく解決志向のポジティブなアプローチや主体的な行動を取れるようになるはずです。 個人の主体性が高まることで、業務において個人が以前よりも存分に能力を発揮できるようになり、企業全体に良い相乗効果をもたらすと考えられます。

 

03リチーミングを実践するステップとは

リチーミングの考案者であるファーマン医師らは、リチーミングの実践ステップとして12のプログラムを提唱しました。ここでは、12のステップを4つの項目に分類して、それぞれのステップで行う内容と狙いについて紹介します。

理想像を思い描いてゴールを設定する

最初のリチーミングで行うのは、チームの理想像や将来像を思い描くこと、そして最終的なゴールの設定です。このステップでは、メンバーの一人ひとりが、それぞれ思い描く理想像をチーム内で共有するとともに、現時点で存在する問題を確かめ合います。 現時点の問題をチームで洗い出す作業においては、メンバーが抱えている不満や改善点について意見を出し合うことになりますが、決してメンバーの意見を否定したり、怒りを表したりしてはいけません。 あくまで、冷静かつ客観的な姿勢で、自分たちチームのありのままの姿を見つめなおしましょう。

ゴールのメリットを認識してモチベーションを高める

リチーミングにおけるゴールを設定したあとは、チームの団結力と推進力を高めるため、ゴールによるメリットを認識するなどしてモチベーションを向上させましょう。思い描いたゴールに到達することで、メンバーの一人ひとり、あるいはチーム全体にどのようなメリットが期待できるのかを認識します。 また、ゴールを目指すにあたって、現時点で自分たちがクリアしている点や有する能力を確かめ合うことで自信が生まれ、モチベーションも高まるはずです。 この過程においては、チームのメンバー同士で励まし合い、前向きな気持ちを育んでいくことが重要となります。小さなことでも現在できていることを見つけて、チーム内で共有するようにしてください。

行動や成長の記録をつける

ゴールに向けてチームメンバーの心が団結したところで、目標達成への具体的なアクションプランを計画立てて、実行していきます。アクションプランの実行中は、メンバーが起こした行動や成長の記録をつけておき、あとで確かめられるようにしましょう。 努力を重ねていくなかで、ときには失敗して壁にぶつかることもあるでしょう。このようなときでも挫けてしまわないよう、行動や成長の記録を定期的に振り返ることで、今までの軌跡や努力を実感できる、という狙いがあります。

成長をチームで祝福し認め合う

当初に立てたゴールに到達できたあと、または一定の成長が見られたあとは、チーム全体で祝福してお互いを認め合うようにしてください。その際、ゴールや成長という結果だけでなく、それまでの行動など過程も認め合うことで、次回のリチーミングへの自信やモチベーションも高まるはずです。

 

04リチーミングを導入している企業事例とは

フィンランドで開発されて、ヨーロッパを中心に広がりをみせたリチーミングですが、最近では日本国内でも導入する企業事例が出ています。ここでは、日本国内のリチーミング導入事例を3件みていきます。それぞれの企業は、どのような目的と工夫で、リチーミングを実践しているのでしょうか。

旭化成株式会社

旭化成株式会社の陸上部は、日本で初めてリチーミングを導入した組織です。旭化成がリチーミングを導入した目的は、チーム全体のポジティブな思考によって、風土の改善や業績アップを実現することにあります。 旭化成で行われたリチーミングでは、問題志向を解決志向アプローチに変えるため、「想像を描く際意見を言い合う」プロセスにおける意識共有を重要視しました。メンバーが抱えている本音や不満を正直に話し合い、どんな意見であっても否定せずに受け止める努力を重ねたといいます。 その結果、2005年に15位だったニューイヤー駅伝の成績が、06年に8位、07年には2位にまで上昇したことから、リチーミングの導入効果が明確にみられたといえるでしょう。

参考:「半年で成績10倍「楽観チーム」のつくり方|PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)」

株式会社ケー・ティー・システム

株式会社ケー・ティーシステムでは、テーマ”和”を実現するため、チームに対する再認識やモチベーション向上を目的にリチーミングを導入しました。同社では、リチーミングの重要性を認識する手段として、専門講師を招いてのリチーミング研修を実施しています。 リチーミング研修では、耳と体によるチームワーク重要性の実感を目的として、フラフープを利用したチームワーク体験演習を行っています。リチーミング研修は一日かぎりの研修会ではありますが、研修の最後には、各チームの団結が深まって、リチーミングの重要性を認識できたといいます。

参考:「リチーミング研修(前半)を終えて|株式会社ケー・ティーシステム」

三谷産業株式会社

三谷産業株式会社は、ベトナムに子会社を8社展開していますが、現地メンバーのチームワークや日本のものづくり文化への理解の欠如が課題として存在しました。この課題を解決すべく取り入れられたものが、現地の言葉を用いたリチーミング研修です。 同社のリチーミング研修においては、フラフープを用いたチームワーク体験やグループワークが実践され、研修を通してリチーミングへの理解を深めることが狙いとされました。その結果、現地メンバーのチークワークが強化されて、従業員のモチベーションが高まったといいます。

参考:「ベトナム現地企業に向けて「リチーミング」研修の提供を開始|三谷産業株式会社」

 

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05まとめ

まとめ リチーミングは、心と行動を両輪の輪として、思い描いたゴールに邁進する力を育みます。多様性が尊重されて個性が輝く現代だからこそ、リチーミングを通してチームワークの大切さを再認識することで、個性をチームで最大限活用できるようになるはずです。 まずは、リチーミング研修を人材教育に取り入れて、リチーミングの大切さを学んでみてはいかがでしょうか。

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    株式会社ZOZO 技術本部 技術戦略部 組織開発ブロック ブロック長 / 組織開発アドバイザー STANDBY 代表

    1998年に大学卒業後、味の素株式会社に入社し、営業マーケティングに従事。2006年にヤフー株式会社へ転職し、新規ビジネス開発・サービス企画のリリースを経験するかたわらで各種組織活性プロジェクトを推進。2016年に希望して人事部門に異動後、全社の人材開発・組織開発を担当。1on1ミーティングをはじめとしたピープルマネジメントツールの推進や管理職のマネジメント支援と並行して、現場の組織課題解決をサポート。2019年に個人での組織開発アドバイザリー事業と組織開発エバンジェリストとしての情報発信を開始。2020年に株式会社ZOZOテクノロジーズ(現・株式会社ZOZO)へ転職し、現在は全社およびクリエイター部門の人事企画・人材開発・組織開発に携わっている。

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