公開日:2021/09/09
更新日:2022/09/21

ワークシェアリングとは?その種類やメリットについて解説する

ワークシェアリングとは?その種類やメリットについて解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

業務効率化は企業の大きな課題です。現在、多くの企業がワークシェアリングを導入しており、この業務効率化を促進しています。では、ワークシェアリングとはどういう意味を持つのでしょうか。本記事では、ワークシェアリングをテーマにその種類やメリットについて解説しています。

 

01ワークシェアリングとは

ワークシェアリングとは、1人に割り振られた業務タスクを複数の人で分担し、1人に掛かる負荷を減少させる仕組みです。多くの業務を1人で行っていることは、業務効率を下げるだではなくミスなどを発生させる要因となります。それを複数の人で分担することで、生産性と精度、効率性を高めることがワークシェアリングです。

ワークシェアリングの目的

ワークシェアリングは、タスクを処理する人の労働時間を短縮するだけではなく仕事をシェアすることで新たな雇用の創出や安定をはかることが目的です。ワークシェアリングを行うことで、1つの業務に掛かる時間を短縮することが積み重なることで労働時間(特に残業時間)を短縮できます。しかし、タスクを分担することで人手を確保する必要があり、その実現には雇用の促進が必要です。

ワークシェアリングが注目される理由

ワークシェアリングは、高失業率に悩んでいた1980年代の欧州で導入が進みました。現在、日本においても働き方改革の促進が実施され残業時間の短縮や失業の増加を食い止める施策を講じる必要があります。ワークシェアリングを行うことでこうした課題を解決することを理由に、その導入促進が注目されています。

 

02ワークシェアリングの種類

厚生労働省はワークシェアリングを4つの種類に分類しています。この4つの分類は、ワークシェアリングの特徴により分類されており、その対象者によっても異なります。次に厚生労働省が定めるワークシェアリングの種類を解説していきましょう。

雇用維持型(緊急避難型)

企業における一時的な景況の悪化を乗り超え安定していくための緊急避難措置として、従業員1人あたりの所定内労働時間を短縮し、社内でより多くの雇用を維持することを指します。企業の業績悪化の一次処置として、労働者の雇用を守ることを目的として行うワークシェアリングです。

雇用維持型(中高年対策型)

中高年層の雇用を維持するためのワークシェアリングです。中高年層の従業員を対象としてして、業務のタスクを分担し1人あたりの労働時間を短縮し雇用を維持することを示しています。ターゲットとなる人材を中高年に絞り実施していくワークシェアリングで、一次的な対策として導入されます。

雇用創出型

国や企業単位で行うワークシェアリングで失業者に対して新しい就業企画を提供することが目的です。対象が失業者であることが他ワークシェアリングとは異なります。また、企業が手動で行うものとは異なり、国単位、地方自治体単位での実施も行われています。昨今、失業者の増加が問題となっていることを受け、公的機関での実施も加速している方法です。

多様就業対応型

既存で在籍している正社員を対象に短時間勤務や出勤日数の調整などの制度を導入し勤務形態の多様化を促進するワークシェアリングです。子育てや介をしている女性や高齢者にとって働きやすい環境を構築するワークシェアリングの形として展開しています。マミートラックの対策としても用いられ優秀な人材が流出することを抑制する効果もあります。

参考:厚生労働省「ワークシェアリングに関する調査研究報告書」
 

03ワークシェアリング導入のメリット

次にワークシェアリングを導入をした際の企業メリットについて解説します。ワークシェアリングを導入することで、どのようなメリットがあるかという点の理解は、自社におけるワークシェアリング導入実施有無を決める上で大きな判断材料となります。

多様な働き方による雇用の拡大

ワークシェアリングの実施は、雇用の創出にもつながることが期待されます。ワークシェアリングによって新たな仕事が生まれることで、求職者がそのポジションに就くことができます。現在、雇用されている人にとっては業務量が減少することで残業時間などを短縮させたり、作業中心となっていた中堅の社員がリーダー業務に従事しやすくなるなどの効果も期待できるでしょう。

労働時間の短縮

従業員は今まで1人で抱えていた仕事を分業することができるため労働時間を短縮することができます。今まで以上のプライベート時間を充実させ心身の疲れを緩和することで生活にゆとりを持つことも可能です。介護や育児、自己啓発など、さまざまな目的に活用することができれば、ワークライフバランスの向上にもつながり、業務への集中力を高めることにもつながります。

労働環境の改善

ワークシェアリングの最大のメリットは、仕事を複数人で分担することによる労働時間が短縮です。残業時間を削減することで、結果的に労働環境の改善につながります。その他にも業務を分担することで、一人あたりの業務自体に余裕を持たせ、余ったリソースを配分することが可能です。また、残業が減ることで人件費の削減の改善にもつながります。企業の利益を追求するためにも、労働環境の改善と合わせて検討するといいでしょう。

 

04ワークシェアリングのデメリット

次にワークシェアリングのデメリットについて解説します。メリットだけではなくデメリットも理解しておくことは、ワークシェアリングを導入する際に必要なことです。導入を推進する際には、あらかじめデメリットの対策を講じておくことができれば導入後のトラブルの多くを回避することが可能です。

収入の減少

ワークシェアリングとは、一人ひとりの労働時間を減少させることが最大のメリットです。その結果、労働時間が短くなり、労働時間に応じて支払われる給料も下がることになります。給料が下がってしまうことは、給料を重視する人にはデメリットが大きいだけではなく、生活の質を下げなければいけない可能性も増えます。給料を下げるかどうかは法令で定まっている訳ではありません。労使間で調整することが可能であるため、必ずしも給与が下がることではないこと、労働者の生活を保護しなければいけない点に注意が必要です。

生産性の低下

業務を分担したことで、必ず生産性が向上するということではありません。分担することで業務の情報連携や状況管理が必要であったり人的ミスが起きる可能性も高くなります。そうしたことを防ぐためのチェック機能の追加などにより、業務が複雑化し仕事の生産性を低下させてしまう可能性があります。

業務連携の複雑化

複数の人材で業務を行うことは、業務連携が今まで以上に増えてしまいます。進捗管理、相互間での情報連携や処理自体の連携においても複数人で行うことは今までに発生しなかった工程を追加する必要あります。こうした連携は人数が増えれば増えた分だけ必要となり、結果的に業務の複雑化を発生させる可能性を持っています。

 

05ワークシェアリング導入のポイント

最後にワークシェアリングを導入する際のポイントについて解説していきます。ワークシェアリングを導入する際には、メリット、デメリットだけではなく留意しておきたいポイントがいくつかあります。導入の際のポイントは、1つだけではなく複数を多面的に設け実施していく必要がある点に注意しておきましょう。

現状業務の整理と可視化の実施

まず行うべきなのは、現状業務の整理です。どの業務をワークシェアリングするのかを決めるには、業務において現状の整理と可視化を実施します。可視化を行うことで、業務のどの部分を対象として行うかを明らかにすることが可能になります。この工程を飛ばしてしまうと、どの業務をワークシェアリングすべきかの判断を誤ってしまう可能性があります。可視化は、工程の漏れがないように実施していきましょう。

無駄な工程の削除と生産性の向上を事前に行う

業務の可視化が完了した後には、ワークシェアリングを行う前に業務そのものの無駄を省く工程を行います。そもそもの業務を効率的に、かつシンプルにすることができればそれだけで生産性を上がることも可能です。また、無駄な工程がなくなりシンプル化することで、ワークシェアリングした後の管理負荷の軽減や業務連携の負荷を下げる効果にもつながります。

対象業務の精査と業務連携の見直し

業務整理を行った後に対象をどの業務にするかの精査し決めていきます。どの業務を対象とするかについては、工程がシンプルで且つ、工数が多いものを洗い出し確定します。どの業務を対象とするかが決まれば、業務連携の見直しも実施していきます。業務連携については、同じ業務をシェアするメンバー間、他部署や顧客との設定についても同様に見直しを行い業務が滞らないように設計する必要があります。特に顧客とのやり取りが煩雑化することは売上減少やクレームの対象となるため、慎重に見直しを行いましょう。


 

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06まとめ

本記事はワークシェアリングをテーマに導入のメリット、デメリットを始め導入のポイントについて解説しています。自社におけるワークシェアリングを通して雇用の確保を行うだけではなく、より効果の高い業務遂行ができるようにしていきましょう。

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    法政大学キャリアデザイン学部 教授

    一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数

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