公開日:2021/09/09
更新日:2022/09/08

留職とは?留職プログラムを導入するメリット・デメリットや事例を紹介

留職とは?留職プログラムを導入するメリット・デメリットや事例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、一定期間職場を離れ、海外で働いてもらう「留職」に注目が集まっています。さまざまなメリットがある一方、あまり浸透されてない制度でもあるため、躊躇している担当者も少なくないでしょう。本記事では、留職について詳しく紹介します。実施検討時にぜひご活用ください。

 

01留職とは

「留職」とは、「留学」からきた造語で、企業に所属する人材が、現在の組織をいったん離れて、グローバル感覚を養うため、一定期間、新興国などの海外で働くことをいいます。 現地のNPOやNGOに所属し、本業のスキルを使って現地の人々とともに社会課題の解決に挑むことで、開発途上国が抱える社会的課題の解決に貢献できるのです。また、企業側にも、グローバル人材の育成、新興国市場の開拓、組織の活性化といったメリットがあります。

留学との違いとは

「留学」とは、何かを学ぶために海外へ行くことで、学ぶ内容は、英語などの語学や音楽、料理、スポーツなど、人によってさまざまです。 留学期間も人それぞれで、学生ビザにより学位を取得する「正規留学」や、ワーキングホリデーや観光ビザを利用して数週間から数か月ほど現地で学ぶ「短期留学」などがあります。

 

02留職が注目されるようになった背景

留職が注目されるようになった背景には、日本を取り巻く少子高齢化の問題があります。少子高齢化により、今後、労働人口が著しく減少すると予測されている中で、企業の海外進出は近代日本ビジネスの大きな課題となってきました。 また、海外進出時には、新興国市場のチェックが必要不可欠です。新興国では、これからの市場の拡大などといった伸びしろが大きいと予測される国が数多く存在します。実際に新興国市場に進出する際に、留職をした人材の経験や知識などは貴重な情報になります。 このようなグローバル化に向けた取り組みが、近年留職が注目されるようになった大きな要素のひとつです。

 

03留職プログラムを導入することで得られるメリットとは

留職には多くのメリットがありますが、特に大きなメリットとしては「社員のレベルが上がる」「現地への見識が上がる」「社内に新しい風を吹かせられる」の3つが挙げられます。それぞれの内容を詳しく解説いたします。

新興国というタフな環境下でグローバル感覚が身につく

留職では現地社会に入り込み、取り巻く環境や社会課題に正面から向き合いながら働くことになります。言葉や文化の壁もあるなかで、いかに自発的に行動し、経験を生かせるかが問われることになるため、自然とグローバル感覚を身につけることができます。

コミュニケーションやリーダーシップ能力がアップする

異国の地で、現地の人と日々コミュニケーションを取り合いながら、業務を遂行する環境は、社員の自発性や、コミュニケーション能力といった、リーダーシップに必要なスキルの向上に役立ちます。 日本にいるときと比べて言語も習慣も違う海外では、これまで培ってきたスキルの自発的な活用が欠かせません。あえて厳しい環境に身を置いて経験を積むことで、グローバル感覚を養うとともに積極性が身に付くため、ビジネスパーソンとしての成長につながります。

新興国の社会課題の解決に直結する仕事でやりがいを感じられる

新興国の社会課題に対して真剣に向き合い、解決へと導くことは、社会の役に立っていると実感することができるため、大きなやりがいの創出につながります。 自らの仕事が目の前の人々の幸せにつながることを実感できることは、留職に参加する最大のメリットと言えるでしょう。

留職から戻った社員から影響を受け社内が活性化する

留職により、これまで以上に広い視野を手に入れた人材が企業に戻ることは、職場で働く他の社員にとっても大きな刺激となるでしょう。 リーダー力を身につけた留職参加者の言葉には強い説得力が生まれ、これまで諦めていた多くの課題に再挑戦するきっかけを生み出します。また、新たなプロジェクトを発足する際にも、その成功率を高めるために、さまざまなアイデアやヒントを与えてくれるでしょう。 留職経験者に触発された別社員がさらに自身の業務に邁進することで、成功体験が新しい成功体験を生み出すといった好循環が作り出され、社内の活性化が加速していきます。

 

04留職プログラムを導入する流れ

さまざまなメリットがある留職ですが、ここでプログラムの導入にあたって必要な手順を解説します。

プログラムの概要設計

まずはプログラムの導入に向けて概要を設計します。 そのためには、プログラムを導入する目的を明確にし、派遣期間などを検討します。また、派遣者の募集や選定方法、応募を促進させるための方法を話し合いのもと決定します。

派遣者の募集・選定

社内で留職プログラムへの募集を行い、応募した候補者の中から派遣する社員を選抜します。面談を通して本人の意欲やスキルなどの適正を把握し、今回の留職プログラムの目的に合っているかを判断します。 留職は仕事の一環として実施するものであるため、派遣先での活動目標等の設定が必要です。そして、その達成のためには語学力やスキルが必要となってくるため、候補者を入念に見極める必要があります。

派遣先とのマッチング

派遣者のスキルやこれまでの経験をもとに、企業もしくは外部が持つ派遣先の国や地域、団体を選定します。そして、適正や目的に合う派遣先が見つかったら現地を訪問して業務内容や安全面の確認を行い、候補者が派遣後スムーズに仕事に取り組めるような準備を行います。

事前研修

派遣前の準備として、派遣者に留職の目的を伝えたり、現地での目標を設定します。一般的には現地での課題解決を目標として設定することが多いようです。課題解決に向けたワークプランの策定や派遣先と事前にディスカッションなどを行い、現地で働くイメージを具体化させていきます。

現地での業務

派遣者が現地に赴いたら留職の開始です。事前準備で策定したワークプランをもとに現地で業務を行い、課題解決に向けて派遣先団体の一員としてともに業務に取り組みます。 派遣先のメンバーとコミュニケーションをとりながら親交を深めつつ、現地でのノウハウを学んでもらいます。

事後研修

現地業務を終え、帰国した派遣者に対して再度研修を行います。内容としては、現地での活動の振り返り、学んだ内容から本業へどのように活かすかといったことを発表して共有します。 プログラムを設計した社員は、派遣者が当初の目的どおりの成長が見られるかを評価することも大切です。

フォローアップ

プログラム終了後も派遣者に対して、学びと振り返りの機会を提供します。加えて、参加者の成長が見られるか、といったプログラムの効果検証も行います。プログラムに効果があったのかを確認することで、今後の留職プログラムの設計に役立てられるでしょう。

 

05留職プログラムの導入で注意すべき点

ここまで、留職のメリットについて触れてきました。留職にはさまざまな良点がある一方で、少なからずデメリットも存在します。実施後、後悔することがないように、導入するうえで把握しておくべき注意点についても見ていきましょう。

留職プログラムの導入に多くのコストがかかる

留職を導入するにあたり、企業のニーズに合わせてプログラム設計が必要なケースが多いものです。 留職の目的に合わせてどの国のどの地域のどの団体に留職するか、期間はどのくらいに設定するか、社員をどのような基準で選抜するかなど、独自のプログラムを設計して実施するには、それなりのコストがかかります。

留職する優秀な人材の代わりが必要となる

当然ながら、社外へ人材を送り出すことで、一定期間社内の優秀な人材は減ります。また、代わりとなる人材も配置しなければならないことから、制度として取り入れるのであれば、参加できる条件を綿密に設定したり、組織運営などの見直しを行わなければなりません。

留職から戻ってきたあとのフォローが必要となる

留職は、ただ行くだけでは意味がありません。帰国後、現地でどのような活動を行って何を学んだか、どんな経験をしたのかなどを振り返る機会を設け、本業に活かせそうなことや気付きなどを抽出して報告書などにまとめます。 留職をしただけで終わってしまうことのないように、定期的に留職経験者を集めてイベントを開催したり、派遣先で築いた人脈や経験を本業に活かせているかを調査したりと、派遣者が留職の効果を継続できるようなフォロー体制を整えましょう。

 

06留職を導入している企業事例

新興国での社会課題解決を通じて人材育成を目指す留職ですが、国内ではどのような企業が導入しているのでしょうか。ここからは、現在留職を導入している企業の導入事例をご紹介します。自社で留職制度を採用する際の検討材料にしてみてはいかがでしょうか。

パナソニック株式会社

日本で最初に留職プログラムを実施したのが、パナソニック株式会社です。留職者は、社内のソーシャルシステムデザインを手がける社員1名で、2012年2月から3月の1か月間、ベトナム中部の都市ダナンに拠点を置く現地NGOで留職を行いました。 「東南アジアで、環境分野の新しい取り組みを行っている団体に貢献したい」というパナソニックの想いと、「この商品のさらなる改善を模索したい」というNGO団体のニーズをつなぐため、留職が決定。1か月の取り組みを通して、低コストで生産可能な製品デザインを設計し、それに基づいた試作品を制作するというミッションを達成することができました。

参考:「パナソニック株式会社の留職プロジェクトリスト|CROSS FIELFDS」

株式会社日立製作所

株式会社日立ハイテクノロジーズからカンボジアのプノンペンに派遣された当時28歳の留職者は、グローバルビジネスリーダーへ成長したいという目標を掲げ、「主体性」「リーダーシップ力」「グローバル社会におけるコミュニケーション力」の3つを手に入れるために留職へ参加しました。 当初は、言語が全く理解し合えない相手とのコミュニケーションの取り方に苦戦しつつも、会話の機会を増やしたり、試作品などを提示したりして、相手のニーズを探るなどの工夫を重ね、互いの理解を深めることに力を注ぎました。 この努力によって当初の目標を達成するとともに、「相手にとってのベストに寄り添うことが重要である」といった学びを得ることができたそうです。

参考:「株式会社日立製作所の留職プロジェクトリスト|CROSS FIELFDS」

株式会社ベネッセコーポレーション

株式会社ベネッセコーポレーションからインドネシアのジャカルタとマカッサルに派遣された留職者は、幼児教育の活性化におおよそ5か月間かけて取り組むこととなりました。 現地において最初にぶつかった壁は、情報量の圧倒的な差です。 別部署により調達された情報をもとに定量的な分析などを行っていた日本での業務とは異なり、留職では全ての情報を自分自身の手と足で集める必要がありました。 右も左も分からない土地で自発的に行動しなければならない。 それは決して簡単なことではなく、留職中に多くの苦労をしたといいます。 しかし、この経験があったからこそ、自分の力で集めた情報でなければ解決できない問題もあることに気付けたと振り返っています。

参考:「株式会社ベネッセコーポレーションの留職プロジェクトリスト|CROSS FIELFDS」

 

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07まとめ

本記事では、留職プログラムのメリット・デメリットや実際の導入事例についてご紹介してきました。 グローバル化が目まぐるしく進む現代社会において、企業の海外進出は必須の課題となっています。海外に進出するだけでなく、その後も先頭に立ち続ける企業であるためには、リーダーシップの育成が必要不可欠です。 新興国で現地団体と協力しながら社会貢献活動に取り組む体験は、留職者自身にも、企業全体にも刺激や可能性を与えるため、留職プログラムは今後多くの企業に注目されることとなるでしょう。

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