公開日:2022/01/21
更新日:2023/02/26

カークパトリックとは?4段階評価法のメリットや問題点を解説

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カークパトリックモデルとは、アメリカの経営学者カークパトリックによって提唱された研修の効果測定法です。当記事ではカークパトリックモデルのメリットや問題点について紹介します。これからカークパトリックモデルを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01カークパトリックモデルとは

カークパトリックモデルとは、ウィスコンシン大学の名誉教授ドナルド・ L・カークパトリックが1975年に提唱した教育の評価法をまとめたモデルのことです。4段階評価法とも呼ばれるこのカークパトリックモデルでは、教育の効果を反応、学習、行動、結果の4段階で表します。 これにより、研修による受講者の満足度・理解度だけでなく、行動変容・業績の向上度までを評価できるため、企業にとっては費用対効果の確認にもつながります。

 

02カークパトリックモデルが注目される理由

日本企業の教育研修部門では、人の成長はさまざやな要因が複雑に絡み合っているため、研修だけの効果を測ることは難しいと考えられてきました。そのため、実際に効果があるのか分からない研修が行われることもしばしばあるのです。 例えば、日本企業の新入社員研修は、毎年4月に必ずと言っていいほど実施されています。しかし、慣習として例年実施しているものであるため「なぜ新入社員研修を実施するのか」「どのような研修内容が効果的か」について話し合われることはほとんどありません。 なぜなら、仕事のスキルや知識のない新入社員には全員一律で、特定のスキルや知識が必要だと考えられているたえです。こうした効果が不明な研修に対しても、カークパトリックモデルを使用すれば、受講者の反応や職場での実践、実際の業績への貢献などの軸から研修の効果を測定できるようになります。 こういった背景から、実施する研修の効果をより高めるために、カークパトリックモデルが注目されているのです。

 

03カークパトリックの4段階評価法

ドナルド・カークパトリックの「4段階評価モデル」

実際にカークパトリックモデルを用いて評価を行う際には、カークパトリックモデルで定められている評価基準に沿って評価を行います。定められた評価の基準は4段階にレベル分けされており、それぞれのレベルに教育研修で得られた効果を当てはめながら、評価していきます。 ここからは、評価の基準である4段階の内訳について解説します。

第一段階:Reaction(満足)

ひとつ目の段階は満足です。これは、受講者の反応を評価指標とします。具体的には研修終了直後のアンケートやヒアリングにより、受講者の満足度や感想から研修内容を評価します。すでに多くの企業で取り入れられている評価方法といえるでしょう。

第二段階:Learning(理解)

ふたつ目の段階は理解です。筆記試験やレポート等による受講者の学習到達度の評価により、受講者がどのようなことを研修から得られたか、結果を測定します。 具体的には研修レポート提出や、テストの実施などが挙げられます。最近では、ラーニングマネジメントシステムや問題作成が可能なアンケートシステムが活用されるようになってきているため、比較的容易に取り組むことができる効果測定方法です。

第三段階:Behavior(実践)

3つ目の段階は実践です。受講者が研修で学んだことを職場や実際の仕事で、どのように活かして行動しているのかを測定・評価します。具体的には、研修受講後に実践期間を1か月~1年設定し、受講者や上司から実践度合いをヒアリングします。 研修運営側だけでなく職場の協力も必要となる、より高度で手間のかかる測定方法であるといえます。

第四段階:Business Results(結果)

カークパトリックモデルの4段階のうち最も高度な評価方法が「結果」です。研修で学んだ受講者が、企業業績にどのような影響を及ぼしたのかを測定します。 具体的には、売上高など数値化できるもので測定します。しかし売上げは、研修以外のほかの要因も複雑に絡むため、純粋に研修効果として測定するのは難しいとされています。そのため、実質的なレベル4の測定を行わない企業は少なくありません。しかし、研修の結果を設定することは、費用対効果の高い研修を実施するうえで極めて重要です。どのような結果を得たいのか、そのためにはどのような行動変容が必要で、社員が身につけるべき知識やスキルは何か、逆算して研修プログラムを作ることで、企業目標に沿った、効果的な人材育成が可能になります。

 

04研修の効果測定方法

実施した研修が成功したのかどうかを知るためには、実施後の測定が欠かせません。ここからは、研修の効果測定方法として、特に有効な手法「受講者アンケートの活用」と「受講者の上司にアンケート調査やヒアリングを行う」の2つの方法を見ていきましょう。

受講者アンケートを活用する

最も一般的で簡単な方法が受講者アンケートを活用した評価です。学校教育でも取り入れられ、企業の教育研修部門でもよく実施されている方法です。研修後にアンケートを実施すれば研修の評価を受講者からすぐに得られるため、研修の見直しが容易にできる点が、受講者アンケートを活用するメリットといえます。

受講者の上司にアンケート調査やヒアリングを行う

ふたつ目の評価方法は、受講者の上司にアンケート調査やヒアリングを行う方法です。受講者の上司へアンケート調査やヒアリングを行うことで、受講者本人にどのような変化があったのかを確認できる点がメリットです。上司が直接評価をしなければならないため、少し手間がかかりますが、大手企業でよく採用されている評価方法です。

 

05カークパトリックモデルを導入することで得られるメリット

カークパトリックモデルの考え方を研修に適用すれば、各研修の満足度を高めることができます。ここからは、カークパトリックモデルを導入することで企業が得られる3つのメリットについて、それぞれ詳しく紹介します。

研修の効果測定を明確にできる

カークパトリックモデルを導入することで、今まで漠然と行っていた研修に対する効果測定をより明確に数値として落とし込めるようになります。 これにより、4段階のうち1段階までの評価までしか実施できていないとすれば、2段階の評価を取り入れるためには、どうしたらいいか、実際に必要な準備や時間について話し合うことができます。

研修内容の見直しや改善に活かせる

これまで慣習的に実施してきた研修でも、受講者の満足度をアンケートで調査することで、本当に効果的な研修だったのかどうかを再確認することができます。 また、受講者から寄せられたアンケート結果をもとに研修内容の見直しや改善を行えるため、より良い研修へと結びつけられます。

教育研修の投資対効果(ROI)の測定ができる

近年、特に求められているのが教育研修の投資対効果(ROI)の測定です。世界的にSDGsやESG投資への取り組みがトレンドになっているため、人材育成についても定量的にステークホルダーへ公表する必要性が出てきました。 カートパトリックでは、研修の満足度を数値化することができるため、教育研修の投資対効果(ROI)の測定にも役立ちます。

 

06カークパトリックモデルの問題点

評価レベルが高いほど、研修の学びが実践できているという評価になります。しかし、評価方法の難易度は評価レベルが上がるほど高くなります。なぜならば、研修を実施する組織以外の職種の協力が必要であったり、成果との明確なつながりが見出せなかったりするためです。ここでは、カークパトリックモデルの問題点について紹介します。

第二・三・四段階の評価の実施が困難である

カークパトリックの4段階評価法は、段階を踏んで実施されていくものと考えられています。 理想的にはレベル3「Behavior(実践)」や、レベル4「Business Results(結果)」の測定までの実施が望ましいとされています。しかし、このようなハイレベルの効果測定には、実際には評価指標の設定や、測定実施の面で困難な場合が少なくありません。 特にレベル4については、外部環境要因などのさまざまな要因が絡んでおり、教育研修の効果発現によって成し遂げられた程度を判断することは容易ではありません。そのため、このようなハイレベルの効果測定については、経年比較や相対比較などを試行錯誤しながら取り組む必要があります。

企業業績に貢献できるとは限らない

研修内容に対して受講者の好みがアンケート結果に反映される点や、受講者の満足度が必ずしも会社業績への貢献につながらない点もデメリットです。研修担当者がよく抱えるジレンマとして、受講者の研修への満足度が高かったものの、研修内容が職場での実践につながらないという点が挙げられます。その研修が廃止されることもあります。

目指すべき研修効果は行動変異

研修を実施する際に意識しておきたいのは、目指すべき研修効果はカークパトリックモデルにおける第3段階、「行動」であるという点です。 研修を実施するからには、研修を通じて学び、気づきを得て自発的に行動変容が起きる流れが理想です。 受講者の感想が「ためになる研修だった」「勉強になった」というだけでは、研修効果としてはやや薄いと言わざるを得ません。 実際に日常の業務行動が変化し、職場に良い影響をもたらすことを目指すべきなのです。


 

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07Schooのオンライン研修を紹介

Schoo for Businessでは、オンライン研修に使える、7,500本を超える数の幅広いジャンルの授業をご用意しており、様々なスキルやノウハウを、オンラインで学ぶことができます。授業の講師には、各業界で働くトップランナーの方々をお迎えしています。それぞれの講師自らが経験したことに基づいて授業を行うため、分かりやすく、かつ実践で活かすことができるスキルやノウハウを学ぶことができます。さらに、生放送の授業限定ですが、受講者から講師にチャットで質問することもできるため、受け身型の学習にならないという点も、Schooのオンライン学習の特徴です。

Schooの研修パッケージ

Schoo for Businessでは7,500本以上の授業から、自由に研修で使用する授業を選択し、各社に適した研修カリキュラムを組むことができます。また、100本以上の研修カリキュラムのテンプレートを用意しているので、これまで手間のかかっていた研修設計も、カリキュラムと対象者を選択するだけで完了することができ、研修担当者の工数を大きく削減することもできます。

階層別研修におすすめの研修パッケージ

階層別研修では、新入社員には基礎的なマナーやスキルを学んでもらい、中堅社員や管理職には部下の育成やマネジメントなどについて学んでもらうことが一般的です。ここでは、新入社員から管理職までの研修におすすめの研修パッケージを紹介します。

職種別研修におすすめの研修パッケージ

職種によって求められるスキルは様々ですが、Schooの研修パッケージを活用して職種別研修を行うことができます。Schooでは、営業職からデザイナー・エンジニアまで、幅広い職種に対応した授業を用意しているため、多様な職種に対応した研修を行うことができます。

テーマ別研修におすすめの研修パッケージ

社員それぞれの課題や改善点によって必要になってくるスキルは違います。Schooではビジネスマナーからチームビルディングまで、様々な種類の研修に対応できる研修パッケージを用意しています。

管理画面で受講者の学習状況を可視化できる

Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方1

まず、Schooビジネスプランの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。

管理画面の使い方2

この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。

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08まとめ

今回は、カークパトリックの概要やメリット、実施時の問題点について紹介しました。 受講者が行動変容を起こし、その行動を定着させるには職場の支援が必要です。そのため、研修担当者には職場との連携を深めることで、より精度の高い研修企画を立案することが求められます。 ぜひ本記事を参考にカークパトリックを用いた効果測定を行い、更なる企業の発展へと繋げましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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