公開日:2022/01/21
更新日:2024/06/21

カークパトリックとは?4段階評価法のメリットや問題点を解説

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カークパトリックモデルとは、アメリカの経営学者カークパトリックによって提唱された研修の効果測定法です。当記事ではカークパトリックモデルのメリットや問題点について紹介します。これからカークパトリックモデルを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01カークパトリックモデルとは

カークパトリックモデルとは、ウィスコンシン大学の名誉教授ドナルド・ L・カークパトリックが1975年に提唱した教育の評価法をまとめたモデルのことです。4段階評価法とも呼ばれるこのカークパトリックモデルでは、教育の効果を反応、学習、行動、結果の4段階で表します。 これにより、研修による受講者の満足度・理解度だけでなく、行動変容・業績の向上度までを評価できるため、企業にとっては費用対効果の確認にもつながります。

ドナルド・カークパトリックモデル

カークパトリックモデルが注目される理由

日本企業の教育研修部門では、人の成長はさまざまな要因が複雑に絡み合っているため、研修だけの効果を測ることは難しいと考えられてきました。そのため、実際に効果があるのか分からない研修が行われることもしばしばあるのです。 例えば、日本企業の新入社員研修は、毎年4月に必ずと言っていいほど実施されています。しかし、慣習として例年実施しているものであるため「なぜ新入社員研修を実施するのか」「どのような研修内容が効果的か」について話し合われることはほとんどありません。 なぜなら、仕事のスキルや知識のない新入社員には全員一律で、特定のスキルや知識が必要だと考えられているたえです。こうした効果が不明な研修に対しても、カークパトリックモデルを使用すれば、受講者の反応や職場での実践、実際の業績への貢献などの軸から研修の効果を測定できるようになります。 こういった背景から、実施する研修の効果をより高めるために、カークパトリックモデルが注目されているのです。

 

02カークパトリックの4段階評価法

ドナルド・カークパトリックの「4段階評価モデル」

実際にカークパトリックモデルを用いて評価を行う際には、カークパトリックモデルで定められている評価基準に沿って評価を行います。定められた評価の基準は4段階にレベル分けされており、それぞれのレベルに教育研修で得られた効果を当てはめながら、評価していきます。 ここからは、評価の基準である4段階の内訳について解説します。

第一段階:反応

ひとつ目の反応における評価指標は満足です。これは、受講者の反応を評価指標とします。具体的には研修終了直後のアンケートやヒアリングにより、受講者の満足度や感想から研修内容を評価します。すでに多くの企業で取り入れられている評価方法といえるでしょう。

第二段階:学習

ふたつ目の反応における評価指標は理解です。筆記試験やレポート等による受講者の学習到達度の評価により、受講者がどのようなことを研修から得られたか、結果を測定します。 具体的には研修レポート提出や、テストの実施などが挙げられます。最近では、ラーニングマネジメントシステムや問題作成が可能なアンケートシステムが活用されるようになってきているため、比較的容易に取り組むことができる効果測定方法です。

第三段階:行動

3つ目の行動における評価指標は実践です。受講者が研修で学んだことを職場や実際の仕事で、どのように活かして行動しているのかを測定・評価します。具体的には、研修受講後に実践期間を1か月~1年設定し、受講者や上司から実践度合いをヒアリングします。 研修運営側だけでなく職場の協力も必要となる、より高度で手間のかかる測定方法であるといえます。

第四段階:業績

カークパトリックモデルの4段階のうち最も高度な評価方法が「結果」です。研修で学んだ受講者が、企業業績にどのような影響を及ぼしたのかを測定します。 具体的には、売上高など数値化できるもので測定します。しかし売上は、研修以外のほかの要因も複雑に絡むため、純粋に研修効果として測定するのは難しいとされています。そのため、実質的なレベル4の測定を行わない企業は少なくありません。しかし、研修の結果を設定することは、費用対効果の高い研修を実施するうえで極めて重要です。どのような結果を得たいのか、そのためにはどのような行動変容が必要で、社員が身につけるべき知識やスキルは何か、逆算して研修プログラムを作ることで、企業目標に沿った、効果的な人材育成が可能になります。

 

03研修の効果測定方法

実施した研修が成功したのかどうかを知るためには、実施後の測定が欠かせません。ここからは、研修の効果測定方法として、特に有効な手法「受講者アンケートの活用」と「受講者の上司にアンケート調査やヒアリングを行う」の2つの方法を見ていきましょう。

受講者アンケートを活用する

最も一般的で簡単な方法が受講者アンケートを活用した評価です。学校教育でも取り入れられ、企業の教育研修部門でもよく実施されている方法です。研修後にアンケートを実施すれば研修の評価を受講者からすぐに得られるため、研修の見直しが容易にできる点が、受講者アンケートを活用するメリットといえます。

質問項目 解答欄
1. 研修の満足度はいかがでしたか ・とても満足
・満足
・どちらともいえない
・やや不満
・不満
2.研修内容の難易度は適切でしたか? ・とても難しい
・難しい
・適切
・やや易しい
・易しい
3.講師の説明はわかり易かったですか? ・とても分かり易い
・分かり易い
・普通
・やや分かりにくい
・分かりにくい
4.研修内容はあなたの仕事に役立ちますか? ・とても役立つ
・役立つ
・どちらとも言えない
・あまり役立たない
・役立たない
5.研修の時間は適切でしたか? ・長い
・やや長い
・適切
・やや短い
・短い

受講者の上司にアンケート調査やヒアリングを行う

ふたつ目の評価方法は、受講者の上司にアンケート調査やヒアリングを行う方法です。受講者の上司へアンケート調査やヒアリングを行うことで、受講者本人にどのような変化があったのかを確認できる点がメリットです。上司が直接評価をしなければならないため、少し手間がかかりますが、大手企業でよく採用されている評価方法です。

 

04カークパトリックモデルのメリット

カークパトリックモデルの考え方を研修に適用すれば、各研修の満足度を高めることができます。ここからは、カークパトリックモデルを導入することで企業が得られる3つのメリットについて、それぞれ詳しく紹介します。

研修の効果測定を明確にできる

カークパトリックモデルを導入することで、今まで漠然と行っていた研修に対する効果測定をより明確に数値として落とし込めるようになります。 これにより、4段階のうち1段階までの評価までしか実施できていないとすれば、2段階の評価を取り入れるためには、どうしたらいいか、実際に必要な準備や時間について話し合うことができます。

研修内容の見直しや改善に活かせる

これまで慣習的に実施してきた研修でも、受講者の満足度をアンケートで調査することで、本当に効果的な研修だったのかどうかを再確認することができます。 また、受講者から寄せられたアンケート結果をもとに研修内容の見直しや改善を行えるため、より良い研修へと結びつけられます。

教育研修の投資対効果(ROI)の測定ができる

近年、特に求められているのが教育研修の投資対効果(ROI)の測定です。世界的にSDGsやESG投資への取り組みがトレンドになっているため、人材育成についても定量的にステークホルダーへ公表する必要性が出てきました。 カートパトリックでは、研修の満足度を数値化することができるため、教育研修の投資対効果(ROI)の測定にも役立ちます。

 

05カークパトリックモデルの課題と解決策

評価レベルが高いほど、研修の学びが実践できているという評価になります。しかし、評価方法の難易度は評価レベルが上がるほど高くなります。なぜならば、研修を実施する組織以外の職種の協力が必要であったり、成果との明確なつながりが見出せなかったりするためです。ここでは、カークパトリックモデルの課題とその解決策について紹介します。

第二・三・四段階の評価の実施が困難である

カークパトリックの4段階評価法は、段階を踏んで実施されていくものと考えられています。 理想的にはレベル3「Behavior(実践)」や、レベル4「Business Results(結果)」の測定までの実施が望ましいとされています。しかし、このようなハイレベルの効果測定には、実際には評価指標の設定や、測定実施の面で困難な場合が少なくありません。 特にレベル4については、外部環境要因などのさまざまな要因が絡んでおり、教育研修の効果発現によって成し遂げられた程度を判断することは容易ではありません。解決策として、このようなハイレベルの効果測定については、経年比較や相対比較などを試行錯誤しながら取り組む必要があります。

企業業績に貢献できるとは限らない

研修内容に対して受講者の好みがアンケート結果に反映される点や、受講者の満足度が必ずしも会社業績への貢献につながらない点も課題に挙げられます。研修担当者がよく抱えるジレンマとして、受講者の研修への満足度が高かったものの、研修内容が職場での実践につながらないという点が挙げられます。その研修が廃止されることもあります。解決策として、行動に移せるような仕組みづくりをするということが挙げられます。受講者や上司に対してヒアリングなどの評価を行った結果、「業務に活用できていない」、「学んだことを実践できていない」などの課題が見つかった場合、研修を行うだけでは活用が難しいということが考えられます。その場合、MBOなどの目標設定時に業務への活用度を1つの目標として掲げるようにすることや、上司との1on1時に学びの実践のサポートを行うようにするなどの仕組みを作るようにしましょう。それによって研修の本来目的である「行動変容を起こすこと」へとつながるのです。

 

06カークパトリックを活かした研修の設計方法

ここまでカークパトリックモデルのメリットや課題について紹介しました。では、実際にカークパトリックモデルを活用した研修はどのように設計すればよいのでしょうか。ここでは「社員研修のあるべき姿」というSchooの授業を用いて紹介していきます。

  • 熊本大学教授システム学研究センター 教授

    1959年生まれ。Ph.D.(フロリダ州立大学教授システム学専攻)。ibstpi®フェロー・元理事(2007-2015)、日本教育工学会監事・第8代会長(2017-2021)、教育システム情報学会顧問、日本教育メディア学会理事・第7期会長(2012-2015)、日本医療教授システム学会副代表理事、日本イーラーニングコンソシアム名誉会員など。

研修のゴールイメージを設計する

第2段階の「学習」評価を向上させるにあたって、研修のゴールをデザインする必要があります。研修を通して、社員にどうなってもらうのか、ゴールイメージを共有することでカークパトリックモデルにおける第2段階の「学習」の効果を高めることができます。

行動変容から逆算して研修を設計する

研修を実施するに目指すべき研修効果はカークパトリックモデルにおける第3段階、「行動」であるという点です。したがって、どのような行動変容を行なって欲しいのかをベースに研修を設計する必要があります。具体的には、アウトプットとして、何ができるようになるのかを意識した研修を実施しましょう。


 

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07Schooのオンライン研修を紹介

Schoo for Businessでは、オンライン研修に使える、8,500本を超える数の幅広いジャンルの授業をご用意しており、様々なスキルやノウハウを、オンラインで学ぶことができます。授業の講師には、各業界で働くトップランナーの方々をお迎えしています。それぞれの講師自らが経験したことに基づいて授業を行うため、分かりやすく、かつ実践で活かすことができるスキルやノウハウを学ぶことができます。さらに、生放送の授業限定ですが、受講者から講師にチャットで質問することもできるため、受け身型の学習にならないという点も、Schooのオンライン学習の特徴です。

Schoo for Businessの特長

1.国内最大級7,500本以上の講座数

Schoo for Businessでは8,500本以上の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。そのため階層別の研修やコンプライアンス研修といった全社で実施する研修など会社にとって必要な研修も実施することができます。

2.オンラインで効果的に学べる

Schoo for Businessの研修動画は全てオンラインで受けることができます。4,000社以上のオンライン研修を支援させていただく中で得てきたノウハウから、効果的に学べる研修動画の作成や学び続けるための仕組みづくりを行ってきました。

3.工数をかけずに効率的に研修が実施できる

Schoo for Businessでは、管理画面からの研修設定で簡単に研修が開始できます。受講状況の管理やレポートの提出なども管理画面から行えるので、育成担当者の手間を削減することが可能です。

4.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる

Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方1

まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。

管理画面の使い方2

この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。

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研修の設計や評価方法に関しておすすめのSchooの講座

Schoo for Businessでは8,500本以上の授業から、自由に研修で使用する授業を選択し、各社に適した研修カリキュラムを組むことができます。授業には人事研修に活用できる講座を多数ご用意しておりますので、是非一度ご覧ください。

研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価

自律的組織を目指した組織開発において必要なこと

 

この授業では、研修の設計から実施、評価までの一連の組み立て方について学びます。 多くの企業では毎年、研修が実施されているかと思います。一方で、研修の実施にあたっては前任者から引き継いだことを前年踏襲して行ってしまっているなど、少し惰性になってしまっているケースも見受けられます。 その中において、研修担当者としては「自社に適したより良い研修を作っていくにはどうしたらいいのだろう」という悩みも生まれてくるかと思います。 そこで、研修担当者のために研修の設計・実施・評価がデザインできるように、インストラクショナルデザイン(ID)をベースにヒューマンパフォーマンスインプルーブメント(HPI)、プロジェクトマネジメント(PM)の考え方を掛け合わせたビジネスインストラクショナルデザイン(BID)を基に研修の組み立て方について、講師2名のデモンストレーション形式で学んでいきます。

授業名 研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価
時間 1時間50分(45分×1コマ,30分×1コマ,35分×1コマ)
学べること ・なぜ研修をするのか
・研修の出口とロードマップ
・集合研修と職場学習の設計
 

自律的組織を目指した組織開発において必要なこと

自律的組織を目指した組織開発において必要なこと

フレデリック・ラルー氏著の『ティール組織』。 この書籍は、マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現としてたちまち反響を呼びました。​​本授業では、ティール組織の3つの突破口を切り口に、オズビジョンの試行錯誤を実践的に振り返ります。 オズビジョンの事例から、何を学び、どう考え、次につなげたのか、成功と失敗の生々しさを共有します。

授業名 自律的組織を目指した組織開発において必要なこと
時間 2時間(30分×4コマ)
学べること ・ティール (成人発達理論) と組織状態の可視化
・人の成長とセルフ・マネジメント
・インテグラル理論とホールネス編
・社会心理学講義と存在目的
 

人的資本を活かした自律型組織

人的資本を活かした自律型組織

2022年に入り、「人的資本経営」という考え方が経済界において広がりをみせるようになりました。 もともとは2020年9月に『人材版伊藤レポート』が経済産業省より公表され、企業経営の中で人的資源にかわる人的資本という考え方が注目をされだしました。そして、2022年に政府としても岸田首相が「新しい資本主義」を掲げ、その中で人的投資についても言及されました。その後、2022年5月に『人材版伊藤レポート2.0』が経産省から発表され、企業が人的資本経営にシフトできるような具体案も提示され、企業の変革を後押しする動きが活発になっています。 この授業では、その「人的資本」について学ぶとともに人的資本を活かした組織づくりのために何をすべきか。人事部としての役割は何かを学んでいきます。人事部のみならず、ビジネスパーソンとして「人的資本経営」に関する理解を深められる授業となっています。

授業名 人的資本を活かした自律型組織
時間 35分(35分×1コマ)
学べること ・人的資本とは何か
・人的資本経営を進める上での課題
・人事部として行うべきこと
 

08まとめ

今回は、カークパトリックの概要やメリット、実施時の問題点について紹介しました。 受講者が行動変容を起こし、その行動を定着させるには職場の支援が必要です。そのため、研修担当者には職場との連携を深めることで、より精度の高い研修企画を立案することが求められます。 ぜひ本記事を参考にカークパトリックを用いた効果測定を行い、更なる企業の発展へと繋げましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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