更新日:2024/08/06

カークパトリックモデルとは|4段階による研修の効果測定方法を紹介

カークパトリックモデルとは|4段階による研修の効果測定方法を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

カークパトリックモデルとは、アメリカの経営学者カークパトリックによって提唱された研修の効果測定法です。当記事ではカークパトリックモデルのメリットや問題点について紹介します。これからカークパトリックモデルを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01カークパトリックモデルとは

ドナルド・カークパトリックの「4段階評価モデル」

カークパトリックモデルとは、ウィスコンシン大学の名誉教授ドナルド・ L・カークパトリックが1975年に提唱した教育の評価法をまとめたモデルのことです。4段階評価法とも呼ばれるこのカークパトリックモデルでは、教育の効果を反応、学習、行動、結果の4段階で表します。

カークパトリックモデルを活用して研修効果を測定することで、研修による受講者の満足度・理解度だけでなく、行動変容・業績の向上度までを評価し、本当に研修が社員の成長に寄与しているかを測定できるようになります。

 

02カークパトリックの4段階評価法

ドナルド・カークパトリックの「4段階評価モデル」

カークパトリックモデルは、研修の効果を4段階で評価するという考え方です。経営に資するという意味で最終段階は業績への影響、つまりはROIが合っているかで研修効果を評価するとされています。

一方で、多くの企業が第一段階の反応や第二段階の学習でしか研修効果を測定し、評価していません。この章では、カークパトリックの4段階評価法のそれぞれの段階について詳しく紹介します。

第一段階:反応

カークパトリックの第一段階は反応です。第一段階では、研修を受講者の満足度で評価します。具体的には研修終了直後のアンケートやヒアリングにより、受講者の満足度や感想から研修内容を評価します。手軽に始められる評価なので、第一段階の反応で研修効果を評価している企業が多いです。

第二段階:学習

第二段階は学習という評価法で、受講者の理解度で研修効果を評価します。具体的には、テストやレポートで受講者が研修で学んだことを理解しているかを測定します。最近では、ラーニングマネジメントシステムや問題作成が可能なアンケートシステムが活用されるようになってきているため、比較的容易に取り組むことができる効果測定方法です。

第三段階:行動

第三段階は行動という評価法で、受講者の行動変容で研修効果を評価します。受講者が研修で学んだことを実際の業務で活用できているかどうかを評価するので、研修の評価をするまでに時間がかかるという課題があります。また、行動変容を促すには現場の管理職の協力も必要となるので、より高度で手間のかかる測定方法であるといえます。そのため、この第三段階で研修効果を評価している企業はほとんどいません。

第四段階:業績

カークパトリックモデルの4段階のうち、最も高度な評価方法が「業績」です。研修にかけた費用が、実際に売上にどの程度の影響を及ぼしたのかを測定して、ROI(費用対効果)が合っているかで研修を評価するというのが第四段階です。しかし、売上は研修以外の要因も複雑に絡むため、純粋に研修効果として測定するのは不可能と言われています。


 

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03カークパトリックの各段階における効果測定方法

カークパトリックの各段階における効果測定方法は、アンケートを用いたりテストを活用したりと、さまざまな方法があります。この章では、各段階ごとに研修効果をどのように測定するかを紹介します。

第一段階:アンケート

第一段階は、受講者の満足度で研修効果を評価します。この満足度は、アンケートで簡単に集計することができます。具体的な設問項目は以下のとおりです。

質問項目 解答欄
1. 研修の満足度はいかがでしたか ・とても満足
・満足
・どちらともいえない
・やや不満
・不満
2.研修内容の難易度は適切でしたか? ・とても難しい
・難しい
・適切
・やや易しい
・易しい
3.講師の説明はわかり易かったですか? ・とても分かり易い
・分かり易い
・普通
・やや分かりにくい
・分かりにくい
4.研修内容はあなたの仕事に役立ちますか? ・とても役立つ
・役立つ
・どちらとも言えない
・あまり役立たない
・役立たない
5.研修の時間は適切でしたか? ・長い
・やや長い
・適切
・やや短い
・短い

アンケート内容はオンラインで集計できるようにしておきましょう。いまは、Googleフォームのように無料で使用できるアンケートツールもあるので、費用の負担が心配な方は無料のツールを活用してみてください。

第二段階:テスト・レポート

第二段階は、受講者が研修内容を覚えているかどうかで研修効果を評価します。具体的には、テストやレポートを活用する企業が多いです。

テストを作成する場合も、Googleフォームのような無料ツールを活用すると良いでしょう。テストの内容はChatGPTのような生成AIツールに研修テキストやスライドを読み込ませると、簡単に作成することができます。

一方で、テストよりもレポートを活用する方がおすすめです。レポートに「何を学んだのか」・「どのように業務で活かすのか」を記載してもらうことで、研修転移を促しやすくなるためです。

第三段階:アンケート・管理職へのヒアリング

第三段階は、受講者が研修で学んだことを実際に業務で活用できているかで研修効果を評価します。業務で活用しているかを評価するには、研修から時間を空けなければなりません。そのため、多くの企業では研修から3ヶ月〜半年後に、受講者に直接アンケートに答えてもらうか、管理職にヒアリングする形で研修転移が起きているかを測定しています。

管理職を巻き込むことが難しければ、まずはアンケートから始めてみましょう。こちらであれば、受講者本人に回答してもらうだけで研修効果を測定することができます。一方で、本質的には管理職を巻き込む必要性があります。研修で学んだ内容を活用する機会を与えるためには、どうしても管理職の支援が必要になるためです。

 

04カークパトリックモデルを活用するメリット

カークパトリックモデルを活用する最大のメリットは、研修のPDCAを回せるという点にあります。例えば、研修の評価を行動変容で置いた場合、行動変容に至っていない受講者が何人いるか、その理由はなぜかなどを集計することで、何を改善すれば良いかが明確になります。

さらに、評価の段階を上げていくことで、これまで良いと思っていた研修を再評価することもできます。研修満足度が高く、良い研修だと思っていたものが、実際は行動変容に繋がっていないという可能性も大いにあり得るのです。

このように、カークパトリックモデルを活用して研修を評価することで、改善点を明確にして、改善に向けての行動をとることが出来ます。

 

05カークパトリックモデルの課題と解決策

一般的には、研修の評価は行動変容で行うべきと言われています。しかし、多くの人事・研修担当者が受講者満足度やテストだけで研修を評価して終わりにしてしまっています。その理由は、管理職の巻き込みの難易度が高いからです。

難易度が高いというのをわかりやすくするために、具体的に管理職に巻き込むために行わなければいけないことを、以下にまとめてみました。

  • 1.研修で何を教えたかを管理職に伝える
  • 2.研修で学んだことを実践できる機会を作ってもらう
  • 3.実際に業務で活用できているかを確認してもらう
  • 4.できていない場合は、活用を促してもらう
  • 5.活用できているかを報告してもらう

これらを、研修受講者の数だけお願いしなければならないのです。管理職の負担も考えると、巻き込むことが心苦しく躊躇われるという人が多いのも理解できます。

ただし、この巻き込みまで踏み込めるかが、本当に意味のある研修を実施できるかの分岐点となります。管理職を巻き込むためのコツは、「現場からヒアリングして研修を設計する」ということです。管理職に「どのようなスキルを伸ばしてほしいか」・「どこに課題があるのか」をヒアリングして、研修内容を決めることで、研修で学んだことを活かす機会がないという問題は設計段階から解決することが出来ます。

 

06オンライン研修|Schoo for Business

Schoo for Business

Schoo for Businessでは、約9,000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。階層別研修やDX研修なども実施でき、さらにアセスメント機能も標準で備わっています。また、自律学習の支援ツールとしても活用いただいており、「主体的に学び、成長する人材」の育成を目的にして、ご導入いただくことが多いです。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 9,000本
※2023年3月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,500円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております

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人材育成に関するSchooの講座例

Schooでは9,000本以上の動画をすべて自社で作成します。この章では、人材育成・研修に関するSchooの講座を紹介します。研修担当者の方であれば、10日間限定でSchooの全授業をお試し視聴できるデモアカウントを発行可能ですので、気になるものがあれば、お気軽にお問い合わせください。

社員研修のあるべき姿

この授業では、社員研修の必要性や役割についてインストラクショナルデザイン(ID)を軸に学びます。研修担当者として「何のために社員研修を行うのか」「研修の役割と担当者としての立ち位置」など、研修の根本的な考え方をまず問い直すために、インストラクショナルデザイン(ID)をもとにした研修のあるべき姿について学んでいきましょう。

 
  • 熊本大学教授システム学研究センター 教授

    1959年生まれ。Ph.D.(フロリダ州立大学教授システム学専攻)。ibstpi®フェロー・元理事(2007-2015)、日本教育工学会監事・第8代会長(2017-2021)、教育システム情報学会顧問、日本教育メディア学会理事・第7期会長(2012-2015)、日本医療教授システム学会副代表理事、日本イーラーニングコンソシアム名誉会員など。主著に「学習設計マニュアル(共編著)」、「研修設計マニュアル」、「教材設計マニュアル」、「教育工学を始めよう(共訳・解説)」、「インストラクショナルデザインの原理(共監訳)」、「学習意欲をデザインする(監訳)」、「インストラクショナルデザインとテクノロジ(共監訳)」などがある。

ビジネスパーソンの『学習設計マニュアル』

この授業では、学校教育の勉強とは異なるおとなの「学び方」について学びます。社会に出てからの「学び」は、学校教育での「勉強」とは言葉は似ていますが、まったく異なる行動です。そこで、「学び方」を学ぶことによって、今の自分に適した学習を設計できるように、インストラクショナルデザイン(ID)の研究者である熊本大学・鈴木克明教授からおとなの「学び方」について学んでいきましょう。

 
  • 熊本大学教授システム学研究センター 教授

    1959年生まれ。Ph.D.(フロリダ州立大学教授システム学専攻)。ibstpi®フェロー・元理事(2007-2015)、日本教育工学会監事・第8代会長(2017-2021)、教育システム情報学会顧問、日本教育メディア学会理事・第7期会長(2012-2015)、日本医療教授システム学会副代表理事、日本イーラーニングコンソシアム名誉会員など。主著に「学習設計マニュアル(共編著)」、「研修設計マニュアル」、「教材設計マニュアル」、「教育工学を始めよう(共訳・解説)」、「インストラクショナルデザインの原理(共監訳)」、「学習意欲をデザインする(監訳)」、「インストラクショナルデザインとテクノロジ(共監訳)」などがある。

研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価

この授業では、研修の設計から実施、評価までの一連の組み立て方について学びます。研修担当者のために研修の設計・実施・評価がデザインできるように、インストラクショナルデザイン(ID)をベースにヒューマンパフォーマンスインプルーブメント(HPI)、プロジェクトマネジメント(PM)の考え方を掛け合わせたビジネスインストラクショナルデザイン(BID)を基に研修の組み立て方について、講師2名のデモンストレーション形式で学んでいきます。

 
  • サンライトヒューマンTDMC株式会社 代表取締役社長

    熊本大学大学院 教授システム学専攻 非常勤講師。製薬業界での営業、トレーニング部門を経て、起業。HPIやIDを軸とした企業内教育のコンサルティングやインストラクショナルデザイナー、インストラクターを育成する資格講座の運営を行っている。IDの実践方法を提供してきた会社は100社、4,000名を超える。 主な著書:『魔法の人材教育(改訂版)』(幻冬舎、2017年)、『ビジネスインストラクショナルデザイン』(中央経済社、2019年)

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導入実績

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Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで幅広い企業にご導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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07まとめ

今回は、カークパトリックの概要やメリット、実施時の問題点について紹介しました。 受講者が行動変容を起こし、その行動を定着させるには職場の支援が必要です。そのため、研修担当者には職場との連携を深めることで、より精度の高い研修企画を立案することが求められます。 ぜひ本記事を参考にカークパトリックを用いた効果測定を行い、更なる企業の発展へと繋げましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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