公開日:2022/01/21
更新日:2022/12/20

内省とは?人材育成で取り入られる理由と実施する際の注意点について解説する

内省とは?人材育成で取り入られる理由と実施する際の注意点について解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

内省とは、「自分の考えや言動、行動について深く省みること」を意味しています。反省と似ている言葉ですが、具体的にはどのような違いがあり、人材育成の場面でどのような有効性があるのでしょうか。本記事では、内省の意味や人材育成で取り入られる理由、その実施方法について解説します。

 

01内省とは

内省とは、「自分の考えや言動、行動について深く省みること」を意味しています。内省は反省とは似ていますが、自己成長の側面では内省の方が強い意味を持ちます。内省を行うことは、従業員が自らの意思で行うことにより自己成長につなげたり、人材育成の観点での指導に役立てていきます。こうした内省は、従業員一人一人の成長に役立つ考え方として現在、大くの企業がその考え方を取り入れています。

反省との違い

内省と類似している用語に反省があります。反省とは、悪いことをしたことに対して自らの行動を省みることです。内省と反省では、その起点となる事象が異なる点に相違があります。反省においては、何かしらの悪い事象が起きたことをきっかけとするため、良い意味では使われない単語だと理解しておくとよいでしょう。

 

02内省がもたらすメリット

企業において内省を取り入れるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。従業員が行う内省について、実際に起きる影響を考慮し、企業におけるメリットについて解説していきます。自社に内省の考え方を取り入れることで、どのような効果を期待できるかを確認しその取り入れを積極的に考えていきましょう。

業務改善の促進による生産性の向上

内省を行うことでの最大のメリットは、業務に対する見直しができることです。自分自身が行っている業務やプロセスについて内省を行うことで、何を変えればより良いかを発見できることができれば、業務改善のアイデアにもつながります。このアイデアの創出により、業務やプロセスの改善を行うことで、生産性の向上が期待できるでしょう。

自立性のある人材の育成促進

自ら内省を行う人材を育てることは、自立性のある人材を育成することにつながります。内省は、人に言われるよりも自ら行うことの方が効果が高く、かつ、内容をより掘り下げた本質的なものになると言われています。内省を通して、自分の行っていることを顧みることができれば、新たな発見や気付きを持てるだけでなく、繰り返し実施することによって自律性のある人材を育成することができるでしょう。自律的、自発的な社員を育成するためにも、内省はそのプロセスにおいて欠かせないものです。

管理職のマネジメント能力の改善

内省は、一般の従業員だけに効果を発揮するものではありません。管理職が行うことで、マネジメントにおける考え方や行動についても内省することができれば、マネジメント能力の改善にもつながります。マネジメントの立場においては、メンバーの育成や働きやすさを確保するためにも様々な工夫、行動が求められるでしょう。その際、マネジメントのやり方やメンバーとの接し方など、定期的に内省の機会や、管理職を対象に定期的に実施する時間を設けることによって中長期的な組織全体のマネジメントレベルの向上も期待できます。

 

03内省を実践するポイント

内省を実施する際には、どのようなポイントがあるのでしょうか。それぞれのポイントについて解説していきます。内省は、自らが行うことが最大の効果を生むとされているため、自発的な行動を促すための工夫が必要です。内省を定期的に行うことで、より人材育成に役立っていきます。

習慣化することを仕組み化する

内省は、一度行えば完全に完了するというものではありません。内省を定期的に行う習慣を持つことができればより人材育成に役立ちます。自己成長のためには、内省を習慣化しその実施を仕組化していくことが有効です。たとえば、毎日就業後におこなったり、週末に内省を行うなど、決まった時間やサイクルで実践する仕組みを構築するといいでしょう。繰り返すことで習慣化されるため、回数を重ねるごとに改善が積み重なり、人材育成も促進されます。

感情とは切り分けて振り返る

内省においては、効果があった、無かったなどの事実を踏まえて行うことが必要です。しかし、感情をもとには正しい内省を行うことができない可能性を秘めています。内省については、感情とは切り離して行うことが一般的です。感情に左右されてしまうことで、正しい内省を行えなくなってしまうリスクがあるため、事実をもとに実施することを心掛けましょう。成功や失敗したときの感情にフォーカスするのではなく、実際に起った事実やそうなってしまった要因を事実に即して分析することで効果的な内省をすることができます。

未来的思考での振り返りをおこなう

内省は過去の事象をもとに行うものですが、その結果は未来につながると考えて実施することが重要です。内省した結果、「次回は改善しよう」「次はこういった判断もしてみよう」など、ネクストアクションをセットで記録するようにしましょう。内省によって導き出したいことは事実や要因の整理としても重要ですが、何より今後どのように活用し、次のケースで対処するかが重要です。過去を整理することに加え、未来でどうするのかはセットで考えるようにしましょう。

 

04内省を実践する際に有効なフレームワーク

次に内省を実践する際に有効なフレームワークについて解説していきます。内省はただ単純に考えても整理がしきれないことも多くあります。そこで、フレームワークを活用し効果的な思考を行い整理された結果を導いていきます。ここでご紹介する方法は、日常の業務でも役立つ方法です。ぜひ、普段から活用していきましょう。

KPT法

KPT法とは、「Keep」・「 Problem」・「 Try」の頭文字を取った「KPT(ケプト)」です。仕事やチームプロジェクトの改善スピードを高めるのに有効な手段として取り入れられています。「Keep:できていることを続ける」「Problem:問題点を見つける」「Try:改善に挑戦する」の考え方で物事を整理していきます。KPT法を使うことで、振り返るべき事、次に行う事が整理され次のアクションが明確になる効果を期待できます。

KDI法

KPT法とにていますが、やめることを決める手段として用います。「Keep:うまくいっているなどの要因から、今後も続けること」「Discard:失敗に繋がったなどの理由から、今後はやらないこと」「Add:今回の出来事から、以後新しく始めること・挑戦すること」の観点で整理していきます。大切なのは、止めることを決めて、実際にやめることです。

YWT法

YWT法とは、「日本能率協会コンサルティング」で生み出された日本独自のリフレクションフレームワークです。「Y:やったこと」「W:分かったこと」「T:次にやること」の観点で整理し、プロジェクトやタスクの振り返りに用います。実際に行ったことをもとにして行うため、できるだけ早期に行うことで効果を発揮していきます。

 

05内省の実践方法

内省の実践方法は大きく4つのステップに分かれます。次では具体的な方法について解説しているので、実施にあたって必要なこと・やり方を押さえていきましょう。

経験の整理

最初に行うのは「経験の整理」です。実際におきたこと、実施したことをもとに事実の整理を行っていきます。特に、感情面を切り離して事実を基に整理を行うことがポイントです。また、事実については推測も入らないように心掛けていき、あくまで事実として整理できることが必要になります。この事実に目を向けることが、事実の棚卸です。その後、その経験や事実のステップ分解を行っていきます。

経験のステップ分解

経験を整理した後には、その「経験に至ったステップを分解」していきます。どのような事象があり、どう考えて、どう行動したのか。このステップを事実をもとに分解し整理をしていきます。どのような環境であったのか、それに至る環境や影響がどうであったかなどについては、ステップ別の整理で行っていきます。

ステップ別の整理と精査を実施

ステップの分解の後には、「ステップ別の要因や背景などを整理」していきます。ステップ別の整理には、その事象が起きた理由や行動に至った理由などを事細かに整理していきます。大変なことですが、1つ1つの整理と精査を行うことが大切です。このプロセスを実施することに工数が掛かることで、内省は大変だと思われがちです。しかし、このプロセスを丁寧に行うことこそが内省を効果的に実施する方法になると理解し、1つ1つの事象が起きた要因や理由、それに至る行動の意味についての精査を行っていきましょう。

プロセスの再構築

ステップ別の整理と精査が実施できれば、次に行うにはどうすれば良いかという「プロセスの再構築」について吟味を行います。このプロセスの再構築については、より具体的にすることが次に活かせる秘訣です。また、内省については最初のうちは、紙面に書き上げて整理を行うことで、ステップの再構築を行いやすくする方法もあります。あくまで、体型立てて経験の整理やプロセスの再構築を行うことが必要である点を理解して実施していきましょう。


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「脳内整理」のための内省の習慣

「脳内整理」のための内省の習慣

  • 一般社団法人21世紀学び研究所 代表理事

    ハーバード大学経営大学院でMBA取得後、金融機関金庫設備の熊平製作所・取締役経営企画室長などを務めた後、日本マクドナルド創業者に師事し、新規事業開発を行う。昭和女子大学キャリアカレッジでは、ダイバシティおよび働き方改革の推進、一般社団法人21世紀学び研究所ではリフレクションの普及、一般財団法人クマヒラセキュリティ財団ではシチズンシップ教育に取り組む。Learning For All等教育NPO活動にも参画。2018年には、経済産業省の社会人基礎力に「リフレクション」を提案し、採択される。文部科学省中央教育審議委員、内閣官房教育再生実行会議高等教育ワーキンググループ委員、経済産業省『未来の教室』とEdTech研究会委員などを務める。
 

06内省を行う際の注意点

内省は複数のステップに分かれ、実際にやるとうまくできない部分もあるでしょう。内省は継続的に実施することで実施方法や内容がブラッシュアップされていきます。次では、実施する際に注意するべきことについて解説しているので、解説している内容を参考に継続的に内省を行えるようになりましょう。

完成度よりも継続を重視する

内省を実施する際は、完璧になりすぎないようにしましょう。内省では、自分で自分自身のうまくできていない部分に向き合っていくことが求められます。時には自分では目をつぶりたくなるようなこともあるでしょう。そのため、継続すること自体のハードルが高いことも事実です。また、実施方法も複雑なので、「これでいいのか」という不安がつきものです。まずは「自分自身の向き合う姿勢」にフォーカスし、「継続すること」を第一に考えていきましょう。

できるだけ複数人で実施する

内省を実施しても、要因への深堀りが浅かったり、解決策は単一的になってしまうということが見受けられます。自分一人でおこなうと視野が狭くなってしまうので、複数人で実施するようにしましょう。特に上司や先輩などにサポートしてもらうことで、自分では考えられなかった視野を得られる場合があります。なるべく有効的な内省にするためにも複数人で実施することは心がけてくださいね。

自責せず自分を客観視する

自責は悪いことに対して自分を責めることですが、内省は事象に対して振り返りを行うことです。振り返りとなると、悪いことを省みることばかりに目が向いてしまいますが、本来、内省の目的は自ら気付きを得ることです。失敗を責めることに注力するのではなく、客観的な目線で事実を捉えていきましょう。


 

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07まとめ

本記事は、内省をテーマにその意味や実施プロセスについて解説していきます。内省とは、反省とは異なり、自らが未来に向けて発展できるプロセスを考える方法です。内省を利用することで、個々人の行動を振り返り、かつ、自社の人員育成を実現することができます。内省とは、人材育成における一つの方法として着目されていますが、慣れない間の実施には時間も手間も掛かってしまいます。しかし、慣れてくれば容易にできる方法です。本記事では、その実施方法についても解説していますので、参考にして頂き自社にとって最適な方法を確立していきましょう。

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