公開日:2022/11/02
更新日:2023/01/30

ADDIEモデルとは?ADDIEモデルを効果的に進めるポイントを解説

ADDIEモデルとは?ADDIEモデルを効果的に進めるポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

本記事では、教育計画のフレームワークのひとつである「ADDIEモデル」の概要やプロセス、メリット、さらには実践する上でのポイントについて、紹介します。人事や教育業務に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。研修のヒントになるはずです。

 

01ADDIEモデルとは?

ADDIEモデルとは、ビジネス分野における改善手法であるPDCAサイクルを、教育という枠組みに取り入れたフレームワークです。ADDIEモデルを活用することで、教育をより効果的かつ効率的、そして定着化するようにできます。

PDCAサイクルがPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとっているように、ADDIEモデルもAnalysis(分析)、Design(設計)、Development(開発)、Implementation(実施)、Evaluation(評価)の頭文字をとった言葉です。この5つのプロセスに沿って継続的に教材内容を組み立て実践し、見直しながらブラッシュアップしていきます。

インストラクショナルデザインとの関係性

インストラクショナルデザインとは、教育を中心とした学習の効果・効率・魅力を高めるための、アプローチ方法の総称です。教育工学者である鈴木克明教授は、インストラクショナルデザインを以下のように定義しています。

「教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して教材を作成したり、授業・研修を実施するプロセス」

▶︎参考:インストラクショナルデザイン―学びの「効果・効率・魅力」の向上を目指した技法―

このインストラクショナルデザインの中で、教育全体の計画や教材の作成、授業・研修を実施するプロセスとして示したものを「IDプロセス」(教育開発プロセス)と呼びます。そのIDプロセスの代表的なモデルのひとつが、「ADDIEモデル」です。

 

02ADDIEモデルの各プロセス

次に、ADDIEモデルの各プロセスに沿って、どのように進めていくべきかを解説していきます。具体的なステップとしては、以下の5つのプロセスに沿って進めます。

  • ・分析(Analysis)
  • ・設計(Design)
  • ・開発(Development)
  • ・実施(Implementation)
  • ・評価(Evaluation)

それでは、各プロセスについて、詳しくみていきましょう。

1.分析(Analysis)

最初のステップである分析は、研修の土台となる非常に大切なプロセスです。ここでは、現状を把握し、教育の目的や必要性を分析していきます。現状を把握する際、現場の根拠となるデータや過去の研修のアンケートから、しっかりと情報を集めましょう。また、データだけでなく現場へのヒアリングも積極的に行い、現場のニーズとズレが生じないような注意が必要です。このフェーズでしっかりと分析をすることが、ADDIEモデルを進めるうえで重要です。

2.設計(Design)

分析のフェーズで決定した内容をベースに、教育内容を設計していきます。このとき、分析結果が出たからといって、いきなり教材内容の作成に取り掛かるのではなく、研修終了後に期待する目標など全体像から設計するようにしましょう。全体像を作成したあとは、研修の内容や対象者、評価方法、事前課題、実施方法、外部講師の有無など、こまかな計画を立てていきます。

3.開発(Development )

教育内容を設計した内容を基に、教育を実施するための具体的な準備を進めていきます。具体的には、研修に必要な教材となる配布資料やワークシートなどの作成を行います。また、会場手配や講師が必要であれば講師の手配、eラーニングのシステム導入、機材の準備など、環境構築も開発フェーズの作業です。このとき、実際にワークシートに取り組んだり、講師とリハーサルを行ったりして、入念に準備を行ってください。事前のチェックにより内容がブラッシュアップされ、効果的な研修を実現できます。

4.実施(Implementation )

実施のフェーズでは、事前に準備した内容で研修を実施します。研修を実施する際は、複数人の体制で良かった点や改善点など、各自チェックしましょう。客観的な目線で情報収集することが、次回の研修に反映するうえで大切です。また、講師からのフィードバックや対象者からのダイレクトな意見を聞くためのアンケートの実施も効果的です。

5.評価(Evaluation )

最後に評価のフェーズでは、分析や設計で設定した研修の目標が達成できているかを評価します。目標の達成有無の評価としては、研修内容に対する評価と、実務への結果が反映されているかの評価の2種類があります。研修内容に対する評価は、終了直後の理解度テストやアンケート内容から把握しましょう。一方で、実務への結果が反映されているかどうかは、実務内のデータを計測する必要があるため、一定期間を空けて評価します。これらの評価結果を基に、更にADDIEモデルを回しながら、次の教育を設計していきます。

 

03ADDIEモデルのメリット

セミナーや研修などの教育を進める上で、ADDIEモデルを導入する主なメリットは、以下の2点です。

  • ・1.内容や質が教育担当者の経験に左右されない
  • ・2.継続してより良い教育を目指せる

それでは、それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。

1.内容や質が教育担当者の経験に左右されない

ひとつ目のメリットは、セミナーや研修などの教育の内容や質が、教育担当者の経験に左右されないことです。ADDIEモデルでは、検討及び実施する内容や手順がフレームワークとして、明確に示されています。そのため、教育の経験が浅く、何から着手してよいか分からないという方でも、迷わずに進めることが可能です。分析や設計の段階で、指導者や学習者の声も吸い上げるため、現場の希望に即した効果的な研修を行えるでしょう。むしろ経験だけに頼った研修を行ってしまうと、現場の希望とかけ離れた研修内容となる可能性があるため、注意が必要です。

2.継続してより良い教育を目指せる

ふたつ目のメリットは、一時的な効果に特化した教育ではなく、継続してより良い教育を目指せることです。ADDIEモデルの目的は、教育をより効果的かつ効率的、そして定着化することです。5つのステップを繰り返し行う中で、評価で得たフィードバックを基に、より満足度の高い内容へとブラッシュアップをしていきます。そのため、セミナーや研修など教育の回数を重ねるごとに、より質の高い効果的な教育を行うことが可能です。

 

04ADDIEモデルを効果的に進めるポイント

ADDIEモデルもやみくもに手順通り進めるのではなく、少しポイントを意識することでより効果的に導入できます。最後に、ADDIEモデルを導入する上で、効果的に進めるためのポイント5点について紹介します。

  • ・必要な教育であるかを再考する
  • ・教育で解決可能な範囲を設定する
  • ・現場の声をより多く取り入れる
  • ・スピーディーにサイクルを回す
  • ・継続的に見直しを行っていく

1.必要な教育であるかを再考する

まず、分析の段階で研修の目的などの検討とともに、本当に教育が必要であるのかを見極めましょう。研修やセミナーなどの教育は、あくまで手段のひとつに過ぎません。例えば、顧客のクレームの解消のため、顧客対応の質を研修で上げようとします。しかし、実際は稼働のひっ迫が原因で発生しており、人員の増加が必要であるかもしれません。また、仮に教育で解決する必要がある場合でも、集合研修やeラーニングよりもOJTが効果的な可能性もあります。このように、一度視野を広げて、計画している教育が必要であるかを再考することも大切です。

2.教育で解決可能な範囲を設定する

1点目で説明した通り、教育ですべての問題を解決できるとは限りません。そのため、解決方法として教育が必要と判断したら、セミナーや研修などの教育で、どこまで解決可能であるかの範囲を設定します。はじめに解決可能な範囲を設定しておかなければ、適切な評価や研修内容の検討が行えないでしょう。また、本来現場のフォローや環境の補強が必要であっても、教育で解決可能と判断して、対策を講じるのが遅れる可能性があります。そのため、分析の段階で教育によって解決可能な範囲を明確にして、周囲と共有しておくと良いでしょう。

3.現場の声をより多く取り入れる

研修の開発や実施をする際には、教育担当者や人事部だけでなく、現場の声をより多く取り入れることもポイントです。研修担当者のこれまでの経験や外部からの情報だけで研修を行うと、現場のニーズからずれた研修内容になる可能性が高いです。現場の課題を解決するための研修であることから、現場の声を取り入れることがより効果的な研修内容となるでしょう。また、開発段階で現場を巻き込むことで、研修終了後のフォローも期待できます。研修は実施して終了ではなく、学んだことを現場で実践して次につなげる必要があるため、周囲の理解やフォローは非常に重要です。

4.スピーディーにサイクルを回す

ADDIEモデルを活用する際には、5つのステップのサイクルをスピーディーに回すことを意識しましょう。分析や設計などに時間をかけて、完璧な計画を立てたとしても、実行する時点では状況が変わっている可能性があります。同じように、評価から次の分析、設計、実施までの期間が空く場合も、人やスキルなどが変わり、効果的な教育が行えません。そのため、1サイクルに掛ける時間だけではなく、各サイクルを回すまでの時間も含めて、期間を空けずに進めるようにしましょう。

5.継続的に見直しを行っていく

ADDIEモデルはPDCAサイクルと同様に、何度も繰り返し行うことで教育の質が高まります。そのため、継続的に教育を見直しながら、繰り返し行うことで効果が期待できます。研修の内容や方法は状況や受講者に応じて変更し、過去の研修の評価で得たフィードバックも反映させるようにしましょう。そうすることで、セミナーや研修など教育の回数を重ねたり、期間が経過したりするごとに、より質の高い効果的な教育を行うことが可能です。

 

06研修設計に役立つSchooのオンライン研修

Schoo for Businessは、国内最大級7,000本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。

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Schoo for Businessには主に3つの特長があります。

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社員研修のあるべき姿

日本の企業は人を育てることを大切にし、多くの企業で社員研修が実施されています。一方で、研修内容は前任者から引き継いだことを前年踏襲して実施しているなど、少し惰性で行ってしまっているケースも見受けられます。 ただ、コロナ禍といった突然の危機による働き方の変化をはじめ日々、社会環境(市場)が激しく変化する今となっては、従来どおりの研修だけでは社会(市場)に対応できる人材を育てるといった本来の目的を果たせなくなってきています。 また、今さら変化の激しい社会(市場)を鑑み、自社にあった研修をどう組み立てればいいのかわからないという悩みもあります。 そこで、研修担当者として「何のために社員研修を行うのか」「研修の役割と担当者としての立ち位置」など、研修の根本的な考え方をまず問い直すために、インストラクショナルデザイン(ID)をもとにした研修のあるべき姿について学んでいきましょう。

 
  • 熊本大学教授システム学研究センター 教授

    1959年生まれ。Ph.D.(フロリダ州立大学教授システム学専攻)。ibstpi®フェロー・元理事(2007-2015)、日本教育工学会監事・第8代会長(2017-2021)、教育システム情報学会顧問、日本教育メディア学会理事・第7期会長(2012-2015)、日本医療教授システム学会副代表理事、日本イーラーニングコンソシアム名誉会員など。主著に「学習設計マニュアル(共編著)」、「研修設計マニュアル」、「教材設計マニュアル」、「教育工学を始めよう(共訳・解説)」、「インストラクショナルデザインの原理(共監訳)」、「学習意欲をデザインする(監訳)」、「インストラクショナルデザインとテクノロジ(共監訳)」などがある。

社員研修のあるべき姿を無料視聴する

※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価

多くの企業では毎年、研修が実施されているかと思います。一方で、研修の実施にあたっては前任者から引き継いだことを前年踏襲して行ってしまっているなど、少し惰性になってしまっているケースも見受けられます。 その中において、研修担当者としては「自社に適したより良い研修を作っていくにはどうしたらいいのだろう」という悩みも生まれてくるかと思います。 そこで、研修担当者のために研修の設計・実施・評価がデザインできるように、インストラクショナルデザイン(ID)をベースにヒューマンパフォーマンスインプルーブメント(HPI)、プロジェクトマネジメント(PM)の考え方を掛け合わせたビジネスインストラクショナルデザイン(BID)を基に研修の組み立て方について、講師2名のデモンストレーション形式で学んでいきます。

 
  • サンライトヒューマンTDMC株式会社 代表取締役社長

    熊本大学大学院 教授システム学専攻 非常勤講師。製薬業界での営業、トレーニング部門を経て、起業。HPIやIDを軸とした企業内教育のコンサルティングやインストラクショナルデザイナー、インストラクターを育成する資格講座の運営を行っている。IDの実践方法を提供してきた会社は100社、4,000名を超える。 主な著書:『魔法の人材教育(改訂版)』(幻冬舎、2017年)、『ビジネスインストラクショナルデザイン』(中央経済社、2019年)
  • サンライトヒューマンTDMC株式会社 コンサルタント

    修士(教授システム学)/インストラクショナルデザイナー。営業、人事企画、組織開発等、人と組織の成長に関わる仕事を経て現職。ラーニングプロセスコンサルタントととしてビジネスインストラクショナルデザインを軸とした企業内教育のコンサルティングやトレーニングの運営を行っている。皆様が目指す育成像をお伺いした上で、自ら学び、行動を変えていく人と、人を支える組織の育成をご支援します!
  • サンライトヒューマンTDMC株式会社 コンサルタント

    大学卒業後は、製薬企業に就職。営業を経験したのち、営業部門の教育研修の企画に取り組む。そこでBIDと出会い、自身の企業内教育でBIDを活用し効果を実感。BIDの導入・活用支援に携わりたいと思い現在に至る。アソシエイトコンサルタントととして現場の課題に紐づく研修が設計されること、研修が研修で終わらず、現場で確実に実行することを目指し、教育研修に携わる方々の課題や悩みに寄り添う支援を行っている。

研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価を無料視聴する

※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

 

06まとめ

ADDIEモデルを活用することで、教育経験の少ない担当者でも、効果的かつ効率的な教育を行うことが可能です。ADDIEモデルの活用において、ただ繰り返し行うのではなく、ポイントを意識することで、効果を期待できます。本記事ではADDIEモデルの概要やプロセス、メリット、さらには実践するうえでのポイントについて、紹介しました。今後の自社教育の助けとなるように、本記事を参考にADDIEモデルを効果的に活用していきましょう。

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