更新日:2024/12/26

タレントマネジメントとは?導入のメリットや目的、効果、導入方法について

タレントマネジメントとは?導入のメリットや目的、効果、導入方法について | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

タレントマネジメントとは、ここ数年の間によく耳にするようになった人材育成の手法です。アメリカで生まれた考え方で、日本の企業でも注目を集めていますが、どのような取り組みなのか、理解していない方も多いと思います。本記事では、タレントマネジメントとその導入効果について徹底解説します。

 

01タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、従業員の持っている資質や能力を最大限活かすため、経験値などの情報を一元管理しながら、戦略的な人材配置や育成を行う人事マネジメントです。学歴や職務経歴といった形式的な情報だけでなく、ポテンシャルや資質、実績をあわせて管理することで、企業はメリットを得ることができ、人材の育成を効率的に行えます。

 

02タレントマネジメントが注目されている背景

タレントマネジメントが注目され始めた背景には、価値観の多様化や経営戦略の変化、そして労働市場の変化などがあげられます。時代の変化に対応するためには、現状の問題をしっかりと見極め、マネジメント基盤の再構築が必要不可欠です。

人口減少により大量採用や終身雇用制が難しくなっている

従来の日本では終身雇用制度や年功序列の考え方が強く根付いており、人材は企業組織の歯車であると考えられていました。そのため、人材そのものを活かすタレントマネジメントが注目されることはありませんでした。 しかし、近年急激に深刻化する少子化の影響で、労働人口が減少傾向となり、新卒大量採用や終身雇用制度が崩壊しつつあります。その打開策として、今いる人材を大切にし、適切かつ効果的な人材配置や人材育成が求められるようになっています。

ビジネス社会の急激な変化によりスピーディーな人材活用が求められている

グローバル化やデジタル化といった、ビジネス社会の急激な変化も、タレントマネジメントが注目されるきっかけとなった要因のひとつです。テクノロジーが急速に進化したことで事業もめまぐるしく変化し、正確な予測が困難となりました。 結果として、個々の能力を踏まえた適材適所な人材配置が必要となり、従業員の能力を把握し、管理する必要性が出てきたのです。

価値観の多様化

仕事に対するやりがいや、仕事の社会的意義を大切にする人が増え、個人の価値観の多様化が広まったことも、タレントマネジメントが注目を集めた要因です。一昔前の世代と比較して、プライベートを大切にするために時短勤務や地域限定、在宅勤務などフレキシブルな働き方を求め、ワークライフバランスを実現しようと考える人が増えています。

価値観の多様化

グローバル化が進む中で、企業は国内外で競争力を保つために、優秀な人材を確保し、育成することが不可欠です。国際市場での成功には、多様なバックグラウンドを持つ人材を効果的に活用することが重要であり、これを実現するためにタレントマネジメントが活用されています。企業はタレントマネジメントを通じて、世界中から最適な人材を引き付け、育成し、適切に配置することで、国際的な競争力を強化することができます。

 

03タレントマネジメントを導入する目的

タレントマネジメントの主な目的として、「人材の確保」「人材の育成」「適切な人員配置」の3つが挙げられます。タレントマネジメントの導入によって、組織は適切な人材を採用し、彼らの定着率を高めることで人材の入れ替わりや離職率を低減することが可能です。ここでは、具体的な目的について解説していきます。

人材の確保

タレントマネジメントの重要な目的の一つとして、人材の確保があります。企業が競争力を維持・向上させるためには、優秀な人材を継続的に確保し、適切に育成することが不可欠です。タレントマネジメントを導入することで、組織内の人材状況を可視化し、将来的な人材ニーズを予測することができます。その結果、人材不足を未然に防ぎ、計画的な採用や育成が可能になります。また、従業員のスキルやキャリアプランに基づく適切な育成プログラムを提供することで、離職率を抑え、優秀な人材を組織内に留めることにもつながります。これにより、組織は常に必要な人材を確保し、変化するビジネス環境に柔軟に対応できる体制を維持することができます。

人材の育成

タレントマネジメントを導入するもう一つの目的は、従業員一人ひとりの成長を促進する「人材の育成」です。組織が持続的な発展を遂げるためには、変化する市場や技術に適応できる人材を育てることが欠かせません。タレントマネジメントでは、従業員のスキルや能力、キャリア志向を可視化し、それぞれの成長に必要な教育や研修を計画的に提供することが可能です。例えば、リーダーシップの潜在能力を持つ人材には管理職候補としてのトレーニングを行い、技術職には専門スキルを深める研修を行うなど、個々の特性や目標に合わせた育成が実現します。

さらに、育成の過程でフィードバックを適切に提供することで、従業員は自己成長を実感しやすくなり、モチベーション向上にもつながります。これにより、組織内でのキャリアアップやスキルアップが進むと同時に、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下や組織全体の競争力向上にも寄与します。人材育成を計画的かつ効果的に行うことで、企業の未来を支える人材基盤を強化することが可能になります。

▼人材育成について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】人材育成とは何か|人材育成の効果をあげる3つのポイント

適切な人員配置

タレントマネジメントを導入することで、組織の中で適材適所の人員配置が可能になります。従業員一人ひとりのスキルや適性、キャリア志向を詳細に把握することで、彼らの強みを最大限に発揮できるポジションに配置することができます。これにより、業務効率が向上し、個々の従業員が高いモチベーションを持って働ける環境が整います。また、チーム全体の生産性向上や組織目標の達成にも寄与します。さらに、適切な配置は従業員のキャリア成長を支援する側面も持っており、長期的な視点での人材育成にもつながります。タレントマネジメントを通じて、組織内でのミスマッチを減らし、従業員が働きがいを感じられる職場を実現することが可能となります。

 

04タレントマネジメントを導入するメリットとは

ここまで、タレントマネジメントが注目される背景をみてきましたが、今後、導入を検討する企業が増えると予想されます。実際に、企業側からみたメリットのほか、従業員側にもどのようなメリットがあるのかに着目して、解説します。

企業側のメリット

タレントマネジメントは採用活動において、強みになったり、離職防止につなげられるなど、企業価値の向上に寄与します。ここでは、タレントマネジメントを導入した場合の企業側のメリットについて、解説します。

適材適所に従業員を配置できる

従業員個人の能力や業務経験、スキルなどをデータで一元管理するため、その能力を最大限に生かせるポストに的確に配置できます。適切な人材活用を行うと、企業全体のパフォーマンスが向上し、業績アップを期待できます。

計画的に従業員の育成計画をたてることができる

タレントマネジメントによってそれぞれのスキルが可視化されれば、個人のどこを伸ばし、どのギャップを埋めていくかという育成計画を立案し、実行できます。総合的な視点で今後の育成計画を立てられるため、効率的な人材育成を行えます。

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【関連記事】効果的な育成計画とは?人材育成書の概要と活用方法を解説

採用活動に役立つ

タレントマネジメントを用いれば、現在、どのような能力や業務経験を持った人材が不足しているかを可視化できます。自社の業務の推進のため、どのような能力やスキルを持った人材が適切なのか判断できるようになり、新しい人材を採用する際の基準が明確になります。

適正な評価のおかげで離職防止につながる

これまでの人事戦略では不透明な理由による配置転換や、経験やスキルに無関係の分野への配置人事異動がしばしば起こりました。しかし、タレントマネジメントを導入し、従業員が自身の実力を発揮できる環境におくと、適正な評価を与えられます。 従業員側もモチベーションを維持しながら、意欲的に業務に取り組むことができ、結果として優秀な人材の離職を防ぐことにつながります。

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【関連記事】人事評価制度とは?導入する目的や制度の運用を成功させるポイントを解説

戦略人事を実現する

タレントマネジメントの導入により、組織が人材を戦略的に活用し、ビジネス目標や成長戦略に合わせて人材を獲得、育成、配置することが可能となります。戦略人事を実現するためには、まず組織のビジョンや目標を明確にし、それに沿った人材戦略を策定します。次に、組織のリーダーシップを強化し、リーダーがビジョンを理解し、従業員をリードする能力を向上させます。また、将来の人材ニーズやトレンドを予測し、それに応じた人材配置や育成計画を立てます。最後に、ビジネスの成長戦略と人材戦略を連携させ、ビジネス目標達成に向けた最適な人材を確保します。これらの取り組みにより、組織は市場競争力を強化し、持続的な成長を実現することができます。

従業員側のメリット

タレントマネジメントは従業員個々の成長をサポートし、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。ここでは、タレントマネジメントを導入した場合の従業員側のメリットについて、解説します。

キャリアアップの機会を得られる

タレントマネジメントでは、従業員一人ひとりのスキルや能力、将来のキャリア目標を把握し、これに基づいて適切な職務やプロジェクトを割り当てることが行われます。これにより、従業員は自分の強みを活かせる業務に従事する機会が増え、成長が促進されます。また、企業側が従業員のキャリア目標を理解し、その実現に向けた支援を行うことで、従業員は自分のキャリアパスを明確に描くことができるようになります。結果として、キャリアアップの機会が増え、将来的には管理職や専門職といったより高いポジションへの昇進が可能となります。

業務へのモチベーションにつながる

タレントマネジメントによって、従業員は自分のスキルや貢献が正当に評価され、適切な役割を与えられていると感じることができます。自分の能力が認められ、価値ある仕事を任されることで、自己効力感が高まり、業務に対する意欲やモチベーションが向上します。また、タレントマネジメントでは、定期的なフィードバックや評価が行われ、目標達成に向けたサポートも受けられるため、成長意欲が持続します。このような環境では、従業員は主体的に業務に取り組むようになり、生産性の向上やチームへの貢献意識も高まります。

 

05タレントマネジメントの導入方法とは

実際に、タレントマネジメントの導入を検討しているものの、具体的にどのようなステップを踏んで導入すればいいのか、悩んでいる方も多いかと思います。ここからは、タレントマネジメント導入の方法について解説します。

1.現状の整理

まずは自社の人材マネジメントの現状を明らかにしてください。どのようなスキルや能力をもった従業員がどの程度いるのか整理することで、足りてない部分を補うための育成法が理解できます。また、新たな人員を採用する際、どのような観点に着目すれば良いか、おのずと見えてくるはずです。

2.タレントの把握

次に、組織内のタレント(優秀な人材)を特定し、彼らのスキル、経験、潜在能力などを把握します。これは、従業員一人ひとりのパフォーマンス評価、スキルマトリックスの作成、キャリアアスピレーションのヒアリングなどを通じて行われます。この段階では、どの人材がどのようなポジションに適しているか、将来的にどのような役割を担う可能性があるかを明確にします。

3.課題の整理

「できていること」と「できていないこと」、「タレントの能力」を明らかにしたのち、何に取り組むべきか課題を検討してください。経営戦略や企業課題をもとに、人材戦略に落とし込み、将来、会社に必要になるのはどのような人材か、業績を上げるためどのように動くべきなのか、検討します。

4.タレントマネジメントの基本設計

取り組むべき課題が決まったら、タレントマネジメントの基本設計を考えてください。どの従業員に対して、いつどのようなタイミングで、何をするのかを熟考し、制度化します。また、達成度合いを計測し、​監視するための定量的な指標であるKPIを設定することをおすすめします。

5.モニタリング

タレントマネジメントの運用が始まった後は、その効果を定期的にモニタリングすることが重要です。モニタリングでは、設定した目標に対して進捗状況を確認し、必要に応じて調整を行います。具体的には、定期的な評価やフィードバックの実施、データ分析による成果測定が行われます。この段階でのフィードバックは、制度の改善に直結します。

6.運用と見直しを行う

無事に制度が整い、運用がスタートしたら、その施策が順調に進んでいるか、組織にどのような影響を与えているかといった検証を行ってください。定期的に見直しを行いつつ、当初の計画から外れていないか、確認しながら進めてください。

 

06タレントマネジメントシステムの主な機能

タレントマネジメントは、従業員の能力や成長を効果的に管理するためのツール「タレントマネジメントシステム」の利用が効果的であるといえます。タレントマネジメントシステムの主な機能として、次のようなものが挙げられます。

  • ・スキル管理
  • ・目標管理
  • ・育成計画の管理
  • ・後継の管理

これらの機能を組み合わせたタレントマネジメントシステムは、組織が人材を戦略的に管理し、組織全体のパフォーマンスや成長を促進するのに貢献します。ここでは、それぞれについて詳しく解説していきます。

スキル管理

タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルや経験、資格などの情報を集約し、データベース化します。これにより、組織は従業員の能力や強みを把握し、適材適所の配置やプロジェクトへの適正な配属を行うことができます。また、スキルの欠如や強化が必要な領域を特定し、それに基づいたトレーニングや開発プログラムを実施することが可能です。

目標管理

従業員と管理者が個々の目標を設定し、追跡することがタレントマネジメントシステムでは可能です。従業員は自身の目標を定め、進捗状況を定期的に入力し、管理者はそれを確認・評価します。目標管理機能は、従業員のモチベーション向上や成果の可視化に役立ちます。

育成計画の管理

タレントマネジメントシステムは、従業員の成長やキャリアパスに関する情報を収集し、個別の育成計画を策定する支援をします。従業員のスキルや経験、評価結果に基づいて、適切なトレーニングや開発プログラムを提案し、実施状況を追跡します。これにより、従業員の能力向上やキャリアの発展を促進します。

後継の管理

組織が将来のリーダーシップやキーポジションに必要な人材を特定し、育成するための機能がタレントマネジメントシステムでは可能となります。後継者候補の選定基準や評価方法を設定し、候補者のパフォーマンスや成長を追跡することができるのです。また、後継者の育成プランを立案し、リーダーシップの継続性を確保します。

 

07タレントマネジメントシステムの導入方法

タレントマネジメントシステムを導入する方法として、次のステップがあります。

  • 1.目標を設定する
  • 2.タレントを整理する
  • 3.タレントを発掘する
  • 4.適性に応じてタレントを配置する
  • 5.タレントの育成
  • 6.評価制度・報酬制度を整備
  • 7.タレントを維持する

これらの手順を遵守することで、タレントマネジメントシステムを効果的に導入し、組織の人材戦略を強化することができます。ここではそれぞれの手順で実施することについて解説していきます。

1.目標を設定する

タレントマネジメントシステムの導入に際しては、まず組織の目標や戦略を明確に設定します。例えば、企業の成長戦略や業績目標、人材開発の方針などが含まれます。これに基づいて、システムがどのような機能やプロセスを備える必要があるかを決定します。

2.タレントを整理する

システムに従業員の情報を入力し、整理します。従業員の基本情報、スキルや経験、教育履歴、過去の業績などを記録し、データベース化します。これにより、組織全体の人材リソースが可視化されます。

3.タレントを発掘する

タレントマネジメントシステムを活用して、組織内に潜在するタレントを発掘します。従業員の能力やパフォーマンスを評価し、将来のリーダーシップポジションやキャリアパスに適した候補者を特定します。

4.適性に応じてタレントを配置する

システムを利用して、従業員を組織のニーズや個々の能力に応じて適切に配置します。組織のニーズや従業員の能力に応じて、プロジェクトへの配属やポジションの変更を行いましょう。タレントマネジメントシステムを活用すれば、ポジションのマッチングやプロジェクトへの配属、キャリアパスの計画などが容易となります。

5.タレントの育成

システムを活用して、従業員の育成計画を策定し、実行します。従業員のスキルや能力向上のためのトレーニングや教育プログラムを提供し、キャリアの発展を支援します。

6.評価制度・報酬制度を整備

システムを利用して、従業員のパフォーマンスを評価し、適切な報酬やインセンティブを提供します。公平で透明性のある評価制度を導入し、従業員のモチベーションを維持・向上させます。

7.タレントを維持する

システムを活用して、組織内の優秀な従業員を維持するための取り組みを行います。キャリア開発の機会や挑戦的なプロジェクトの提供、働きやすい環境の整備など、従業員の満足度を高める措置を実施します。

 

08タレントマネジメントを導入する際の注意点

タレントマネジメントの導入について解説しましたが、導入にあたってどのようなことに注意しておけばよいでしょうか。ここでは主な注意点である「システムの導入に係るコストを把握しておく」「タレントマネジメントを導入することを社内に周知する」「データ管理は厳重に行う」「管理職の教育を行う」「管理項目を厳選する」の5つを解説します。

システムの導入に係るコストを把握しておく

タレントマネジメントシステムの導入にあたって想定以上のコストがかかってしまう可能性があるため、導入前からコストについて十分に理解しておく必要があります。特に社内で内製するのではなく、外部ツールを利用する場合には数十万~数百万の費用になることもあります。また、オプション機能の追加によって多く費用がかかるため、事前に見積もりを確認しておくことが大切です。

タレントマネジメントを導入することを社内に周知する

タレントマネジメントは導入すれば自動的に運用がされて、必要な情報が集まるというものではありません。社内でタレントマネジメントの導入を事前に周知し、システムの操作方法といった実務的な知識をインプットしておいてもらうことが重要です。

タレントマネジメントシステムは組織全体で利用されることが一般的ですが、部署間での情報共有や連携が十分に行われないと、システムの効果が十分に発揮されません。例えば、ある部署での人材の育成計画が他の部署の人材配置と矛盾する場合があります。このような問題を回避するためには、システム導入前に組織全体のニーズやプロセスを理解し、適切な情報共有の仕組みを構築する必要があります。

データ管理は厳重に行う

特にクラウド型のタレントマネジメントシステムを導入するケースになりますが、インターネット上に個人データを格納することになるので、不用意に情報が漏洩してしまう可能性があります。そのため、厳重なデータ管理体制を事前に構築しておくことが大切です。

管理職の教育を行う

タレントマネジメントを効果的に導入するためには、管理職の教育が重要です。管理職は現場で直接従業員を評価し、適切な配置や育成プランの策定に関与します。そのため、タレントマネジメントの目的や手法を十分に理解し、従業員の強みや潜在能力を正確に把握するスキルが求められます。さらに、管理職が偏見のない公平な評価を行い、従業員と信頼関係を築けるようなコミュニケーション能力を持つことも必要です。適切な教育を行うことで、管理職がタレントマネジメントを最大限に活用し、組織全体の目標達成をサポートする体制を構築できます。

管理情報を最新のものにする

タレントマネジメントは従業員に関する情報の正確性が鍵となります。スキルやパフォーマンス、キャリア志向といったデータが古いままでは、適切な意思決定ができなくなる恐れがあります。そのため、管理情報を定期的に更新し、最新の状態を保つことが必要です。具体的には、定期的な評価や面談を行い、新たなスキルや目標の変化を記録することが効果的です。また、デジタルツールを活用することで情報更新の効率を高め、リアルタイムで管理することも可能です。これにより、迅速かつ適切な人材配置や育成計画が実現します。

管理項目を厳選する

タレントマネジメントで扱う情報が多すぎると、管理の負担が増え、重要なポイントが見落とされる可能性があります。そのため、管理項目を厳選することが重要です。例えば、スキルや実績、キャリア志向といった項目を中心に設定し、組織の目標達成に直結する情報に絞り込むことが効果的です。厳選された項目を集中して管理することで、管理の効率が向上し、タレントマネジメントの目的である適切な配置や育成が実現しやすくなります。また、必要に応じて項目を見直し、現状に適した内容に調整することも忘れてはなりません。

プロセスの見直しを定期的に行う

タレントマネジメントシステムの導入により、従業員の情報やデータが集約され、それを管理する必要が生じます。ですが、システムの導入により管理すべき情報が増えると、管理者の負担が増大し、対応が追いつかなくなる可能性があります。このような場合、システムの導入前に適切なトレーニングやリソースの確保、業務プロセスの見直しなどが必要となります。

 

09タレントマネジメントを活用している企業事例

海外のグローバル企業で採用されているイメージが強いタレントマネジメントですが、日本国内でも大手企業をはじめ、導入企業が年々増えつつあります。ここからはタレントマネジメントを導入に成功した各社の事例を紹介します。自社でタレントマネジメントの導入を検討される際の参考にしてください。

日産自動車

タレントマネジメントに取り組む先進企業として有名な企業が、国内大手自動車メーカーの日産自動車です。カルロス・ゴーン氏が社長に就任してから人材マネジメントに力を注いでいて、2011年に「グローバルタレントマネジメント部」という部署を創設しました。 ここでは優秀な人材を発掘するために、キャリアコーチと呼ばれる社内スカウトマンが各部署と連携し、今いる人材の中からハイポテンシャルパーソンを発掘します。特に優秀な人材については、リーダー育成専用プログラムにエントリーし、次世代幹部候補生として、さまざまな職務やポジションに配置し育成します。
参考:「日産自動車 日本タレントマネジメントの取組|日産自動車」

サイバーエージェント

インターネット広告やオンラインゲームを運営するサイバーエージェントは、2013年頃からタレントマネジメントに着目し、さまざまな人事施策を講じてきました。具体的には、従業員の才能を開花し、適材適所の人員配置を目的に、独自のサーベイシステム「GEPPO(ゲッポウ)」の開発を行いました。 また、社員の能力と事業を伸ばすための適材適所を目的とした「キャリアエージェント」を発足しました。実際に異動などの配置を行う際には、データを参照した上で、役割と期待を本人に伝え、最終的には本人の意志も含めて異動を決定します。従業員や組織の状態に合わせた人事施策の結果、組織と従業員双方にとっての適材適所が実現しています。
参考:「チャンスをつくるのが人事の仕事」サイバーエージェント式タレントマネジメントに迫る|SmartHR」

ANAホールディングス

ANAホールディングス 次に紹介するのは、全日本空輸を中心とする企業グループANAホールディングスです。社員の職種は、パイロット、CA、地上職など多岐にわたり、それぞれが異なる賃金体系を持っています。そのため、それぞれの要件に対応する改修を重ねる必要がありました。 しかし、ロジックが複雑になりすぎて、熟練の担当者以外、理解できないような運用負荷の高いシステムになっていました。そこで、人材情報を見える化するべく、タレントマネジメント機能を活用し始めました。その結果、必要なデータがすぐに割り出せるようになり、レポーティングや意思決定のスピードを格段に速めることに成功しました。
参考:「ANAグループ、従業員3万6000人を対象にタレントマネジメントシステムを構築 |ZDNet Japan」


 

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10まとめ

企業は、時代の変化に合わせた人事管理手法への転換が求められています。限られたリソースで組織として高いパフォーマンスを発揮するために、自社の従業員一人ひとりの能力を最大化させるタレントマネジメントは今後ますます注目を集めると予測できます。ぜひ、社内の人事制度として、タレントマネジメントの検討をはじめることをおすすめします。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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