公開日:2021/07/13
更新日:2023/03/27

タレントマネジメントとは?導入の目的や効果を解説

タレントマネジメントとは?導入の目的や効果を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

タレントマネジメントとは、ここ数年の間によく耳にするようになった人材育成の手法です。アメリカで生まれた考え方で、日本の企業でも注目を集めていますが、どのような取り組みなのか、理解していない方も多いと思います。本記事では、タレントマネジメントとその導入効果について徹底解説します。

 

01タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、従業員の持っている資質や能力を最大限活かすため、経験値などの情報を一元管理しながら、戦略的な人材配置や育成を行う人事マネジメントです。学歴や職務経歴といった形式的な情報だけでなく、ポテンシャルや資質、実績をあわせて管理することで、企業はメリットを得ることができ、人材の育成を効率的に行えます。

 

02タレントマネジメントが注目されている背景

タレントマネジメントが注目され始めた背景には、価値観の多様化や経営戦略の変化、そして労働市場の変化などがあげられます。時代の変化に対応するためには、現状の問題をしっかりと見極め、マネジメント基盤の再構築が必要不可欠です。

人口減少により大量採用や終身雇用制が難しくなっている

従来の日本では終身雇用制度や年功序列の考え方が強く根付いており、人材は企業組織の歯車であると考えられていました。そのため、人材そのものを活かすタレントマネジメントが注目されることはありませんでした。 しかし、近年急激に深刻化する少子化の影響で、労働人口が減少傾向となり、新卒大量採用や終身雇用制度が崩壊しつつあります。その打開策として、今いる人材を大切にし、適切かつ効果的な人材配置や人材育成が求められるようになっています。

ビジネス社会の急激な変化によりスピーディーな人材活用が求められている

グローバル化やデジタル化といった、ビジネス社会の急激な変化も、タレントマネジメントが注目されるきっかけとなった要因のひとつです。テクノロジーが急速に進化したことで事業もめまぐるしく変化し、正確な予測が困難となりました。 結果として、個々の能力を踏まえた適材適所な人材配置が必要となり、従業員の能力を把握し、管理する必要性が出てきたのです。

価値観の多様化

仕事に対するやりがいや、仕事の社会的意義を大切にする人が増え、個人の価値観の多様化が広まったことも、タレントマネジメントが注目を集めた要因です。一昔前の世代と比較して、プライベートを大切にするために時短勤務や地域限定、在宅勤務などフレキシブルな働き方を求め、ワークライフバランスを実現しようと考える人が増えています。

 

03タレントマネジメントを導入する目的

タレントマネジメントの概要を解説しましたが、何を目的として実施する企業が多いのでしょうか。ここでは主な目的である「人材の採用と定着」「人材の育成」について解説します。

人材の採用と定着

従来は新卒一括採用でポテンシャルがある人材を獲得することが主流でした。しかし、企業を取り巻く環境が素早く変化する昨今では、企業にとって必要な経験やスキルを持った人材を採用することが重要視されています。タレントマネジメントを活用して、必要な能力を持った人材を採用しやすくなったり、適材適所による人材配置が可能です。

人材の育成

少子高齢化で労働人口が不足している昨今では、優秀な人材を社内で育成することが重要です。タレントマネジメントを活用することで、社員がそれぞれ考えているキャリアビジョンを把握することができ、育成に役立てることができます。

▼人材育成について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】人材育成とは何か|人材育成の効果をあげる3つのポイント

 

04タレントマネジメントを導入するメリットとは

ここまで、タレントマネジメントが注目される背景をみてきましたが、今後、導入を検討する企業が増えると予想されます。実際に、企業側からみたメリットのほか、従業員側にもどのようなメリットがあるのかに着目して、解説します。

適材適所に従業員を配置できる

従業員個人の能力や業務経験、スキルなどをデータで一元管理するため、その能力を最大限に生かせるポストに的確に配置できます。適切な人材活用を行うと、企業全体のパフォーマンスが向上し、業績アップを期待できます。

計画的に従業員の育成計画をたてることができる

タレントマネジメントによってそれぞれのスキルが可視化されれば、個人のどこを伸ばし、どのギャップを埋めていくかという育成計画を立案し、実行できます。総合的な視点で今後の育成計画を立てられるため、効率的な人材育成を行えます。

▼育成計画について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】効果的な育成計画とは?人材育成書の概要と活用方法を解説

採用活動に役立つ

タレントマネジメントを用いれば、現在、どのような能力や業務経験を持った人材が不足しているかを可視化できます。自社の業務の推進のため、どのような能力やスキルを持った人材が適切なのか判断できるようになり、新しい人材を採用する際の基準が明確になります。

適正な評価のおかげで離職防止につながる

これまでの人事戦略では不透明な理由による配置転換や、経験やスキルに無関係の分野への配置人事異動がしばしば起こりました。しかし、タレントマネジメントを導入し、従業員が自身の実力を発揮できる環境におくと、適正な評価を与えられます。 従業員側もモチベーションを維持しながら、意欲的に業務に取り組むことができ、結果として優秀な人材の離職を防ぐことにつながります。

▼評価制度について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】人事評価制度とは?導入する目的や制度の運用を成功させるポイントを解説

 

05タレントマネジメントの導入方法とは

実際に、タレントマネジメントの導入を検討しているものの、具体的にどのようなステップを踏んで導入すればいいのか、悩んでいる方も多いかと思います。ここからは、タレントマネジメント導入の方法について解説します。

自社の人材マネジメントの現状を明らかにする

まずは自社の人材マネジメントの現状を明らかにしてください。どのようなスキルや能力をもった従業員がどの程度いるのか整理することで、足りてない部分を補うための育成法が理解できます。また、新たな人員を採用する際、どのような観点に着目すれば良いか、おのずと見えてくるはずです。

自社の経営課題と照らし合わせ課題を明らかにする

「できていること」と「できていないこと」が明らかにしたのち、何に取り組むべきか課題を検討してください。経営戦略や企業課題をもとに、人材戦略に落とし込み、将来、会社に必要になるのはどのような人材か、業績を上げるためどのように動くべきなのか、検討します。

タレントマネジメントの基本設計を考える

取り組むべき課題が決まったら、タレントマネジメントの基本設計を考えてください。どの従業員に対して、いつどのようなタイミングで、何をするのかを熟考し、制度化します。また、達成度合いを計測し、​監視するための定量的な指標であるKPIを設定することをおすすめします。

運用と見直しを行う

無事に制度が整い、運用がスタートしたら、その施策が順調に進んでいるか、組織にどのような影響を与えているかといった検証を行ってください。定期的に見直しを行いつつ、当初の計画から外れていないか、確認しながら進めてください。

 

06タレントマネジメントを導入する際の注意点

タレントマネジメントの導入について解説しましたが、導入にあたってどのようなことに注意しておけばよいでしょうか。ここでは主な注意点である「システムの導入に係るコストを把握しておく」「タレントマネジメントを導入することを社内に周知する」「データ管理は厳重に行う」3つを解説します。

システムの導入に係るコストを把握しておく

タレントマネジメントシステムの導入にあたって想定以上のコストがかかってしまう可能性があるため、導入前からコストについて十分に理解しておく必要があります。特に社内で内製するのではなく、外部ツールを利用する場合には数十万~数百万の費用になることもあります。また、オプション機能の追加によって多く費用がかかるため、事前に見積もりを確認しておくことが大切です。

タレントマネジメントを導入することを社内に周知する

タレントマネジメントは導入すれば自動的に運用がされて、必要な情報が集まるというものではありません。社内でタレントマネジメントの導入を事前に周知し、システムの操作方法といった実務的な知識をインプットしておいてもらうことが重要です。

データ管理は厳重に行う

特にクラウド型のタレントマネジメントシステムを導入するケースになりますが、インターネット上に個人データを格納することになるので、不用意に情報が漏洩してしまう可能性があります。そのため、厳重なデータ管理体制を事前に構築しておくことが大切です。

 

07タレントマネジメントを活用している企業事例

海外のグローバル企業で採用されているイメージが強いタレントマネジメントですが、日本国内でも大手企業をはじめ、導入企業が年々増えつつあります。ここからはタレントマネジメントを導入に成功した各社の事例を紹介します。自社でタレントマネジメントの導入を検討される際の参考にしてください。

日産自動車

タレントマネジメントに取り組む先進企業として有名な企業が、国内大手自動車メーカーの日産自動車です。カルロス・ゴーン氏が社長に就任してから人材マネジメントに力を注いでいて、2011年に「グローバルタレントマネジメント部」という部署を創設しました。 ここでは優秀な人材を発掘するために、キャリアコーチと呼ばれる社内スカウトマンが各部署と連携し、今いる人材の中からハイポテンシャルパーソンを発掘します。特に優秀な人材については、リーダー育成専用プログラムにエントリーし、次世代幹部候補生として、さまざまな職務やポジションに配置し育成します。
参考:「日産自動車 日本タレントマネジメントの取組|日産自動車」

サイバーエージェント

インターネット広告やオンラインゲームを運営するサイバーエージェントは、2013年頃からタレントマネジメントに着目し、さまざまな人事施策を講じてきました。具体的には、従業員の才能を開花し、適材適所の人員配置を目的に、独自のサーベイシステム「GEPPO(ゲッポウ)」の開発を行いました。 また、社員の能力と事業を伸ばすための適材適所を目的とした「キャリアエージェント」を発足しました。実際に異動などの配置を行う際には、データを参照した上で、役割と期待を本人に伝え、最終的には本人の意志も含めて異動を決定します。従業員や組織の状態に合わせた人事施策の結果、組織と従業員双方にとっての適材適所が実現しています。
参考:「チャンスをつくるのが人事の仕事」サイバーエージェント式タレントマネジメントに迫る|SmartHR」

ANAホールディングス

ANAホールディングス 次に紹介するのは、全日本空輸を中心とする企業グループANAホールディングスです。社員の職種は、パイロット、CA、地上職など多岐にわたり、それぞれが異なる賃金体系を持っています。そのため、それぞれの要件に対応する改修を重ねる必要がありました。 しかし、ロジックが複雑になりすぎて、熟練の担当者以外、理解できないような運用負荷の高いシステムになっていました。そこで、人材情報を見える化するべく、タレントマネジメント機能を活用し始めました。その結果、必要なデータがすぐに割り出せるようになり、レポーティングや意思決定のスピードを格段に速めることに成功しました。
参考:「ANAグループ、従業員3万6000人を対象にタレントマネジメントシステムを構築 |ZDNet Japan」


 

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08まとめ

企業は、時代の変化に合わせた人事管理手法への転換が求められています。限られたリソースで組織として高いパフォーマンスを発揮するために、自社の従業員一人ひとりの能力を最大化させるタレントマネジメントは今後ますます注目を集めると予測できます。ぜひ、社内の人事制度として、タレントマネジメントの検討をはじめることをおすすめします。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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