公開日:2023/10/13
更新日:2023/10/16

自走する組織とは|求められる背景とメリット・育成の方法を解説

自走する組織とは|求められる背景とメリット・育成の方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

自走する組織とは、自分たちでやるべきことを考えて行動し、成果をあげられる組織のことをいいます。 時代の変化とともに、これまでのような上司からの指示を受けて動くトップダウン方式では対応できなくなってきており、自走する組織への変革が求められるようになってきています。 この記事では、自走する組織が重要視される背景や自走する組織の作り方などを具体的な企業事例を交えながら解説します。

 

01自走する組織とは

自走する組織とは、社員自らが課題ややるべきことを考え、自発的に動くことのできる組織のことです。これまでは上司が決定したことを部下に伝えて実行させるという、トップダウンで動く組織が一般的でした。 これに対し、自走する組織では、他者からの指示をもとに動くのではなく、自ら考え行動して成果を挙げられるようにする特徴があります。 例えば、これまでの作業のやり方では効率が悪くミスも発生しやすい場合に、チームの中で改善方法を考え、新しいやり方を試していくといったことができるチームが例として挙げられてきました。 これまでのトップダウン方式の組織であれば、改善の方法を上司が考えるか、チームで考えた方法を上司に相談して許可をとってから実行していましたが、自走する組織では自分たちで考え、実行し、さらに改善して成果につなげていきます。

 

02自走する組織が重要視される背景

自走する組織が重要視されるようになった背景には、社会環境や働き方が以前とは大きく変わってきていることがあります。詳しく解説していきましょう。

  • ・変化が激しく複雑になっているから
  • ・リモートワークなど働き方が多様化しているから

変化が激しく複雑になっているから

現代は、VUCAの時代ともいわれ、変化が大きく不確実なことが増えています。そして複雑な要素が絡み合いながら曖昧さを含んでいるため、対応が難しい状況に直面することが増えてくると予想されています。 変化が激しい現場では、ひとつひとつ上司の指示を待ってから行動しているようでは対応が遅くなり、もし上司の判断が間違っていれば取り返すのがさらに難しくなるでしょう。 こうした時代では、状況によって現場が臨機応変に考えてスピーディーに対応していくことが必要になってきています。

リモートワークなど働き方が多様化しているから

新型コロナの影響によりリモートワークが一気に普及しました。これまでは1か所に集まって業務を行っていましたが、メンバーがそれぞれ離れた状態で仕事をするようになり、これまでのトップダウンで細かく指示するマネジメントスタイルが通用しにくくなってきています。 リモートワークなど多様な働き方を進めていくには、自走する組織が有効であると考えられています。

 

03自走する組織のメリット

現代のビジネス環境では、自走する組織に変革していくことが重要だと考えられています。ここでは自走する組織のメリットをみていきましょう。

  • ・マネジメントの負担削減になる
  • ・目的やトラブルに臨機応変な対応ができる
  • ・多様な課題に取り組める

マネジメントの負担削減になる

自走する組織では、各従業員が自ら考えて行動していきます。上層部は、方向性を示しビジョンを共有する、進捗状況を確認するといった管理は必要ですが、これまでの細かい指示などの負担を大幅に減らすことができるでしょう。 細かいことは現場に任せられるようになり、上層部はより上位の課題に集中できるため、企業経営に大きなプラスとなります。

目的やトラブルに臨機応変な対応ができる

トップダウンの組織では、上層部の決定に従うことが基本であることから、指示を待つ社員が増えてしまう傾向があります。 自走する組織では、状況を判断し、対応を自分で考えて行動していくことが基本となるため、変化やトラブルに対して細かな指示を仰がず、状況に即して臨機応変に対応できるようになります。

多様な課題に取り組める

トップだけが決定し指示するこれまでの組織では、課題の設定のしかたや目標への取り組み方が偏ってしまうことがありました。自走する組織では多くのメンバーが課題解決にかかわるようになるため、違った見方やアプローチができるようになります。 その結果、多様な課題に対して取り組めるようになるメリットがあります。

 

04自走する組織の作り方

自走する組織はどのようにして作っていけばいいでしょうか。自走する組織を作るために必要なことを解説します。

  • ・理念や企業方針を浸透させる
  • ・支援型リーダーを育成する
  • ・心理的安全性を確保する

理念や企業方針を浸透させる

自走するためには、企業が掲げるミッションやビジョンを、組織内に浸透させることが重要になります。理念や企業方針といった方向性がしっかりと共有されていなければ、間違った方向に進んでしまいます。

支援型リーダーを育成する

トップダウンの組織では、上層部が決定したことができているかをチェックする管理型リーダーが必要でした。 これに対し、自走する組織では、メンバーを支援し行動を促すリーダーが求められています。メンバーに対してひとつひとつ指示をしてやらせるのではなく、メンバーそれぞれの自主性を引き出し、発言を促し行動につなげ、場合によっては協力していくことが求められるでしょう。 企業として、こうした支援型のリーダーを育成していくことが重要になります。

心理的安全性を確保する

メンバーが自発的に発言し行動できるようにするには、組織のなかで、誰に対しても自分の考えや気持ちを安心して発言できる環境がなければなりません。 企業上層部は、こうした心理的安全性を確保する体制や仕組みを作っていく必要があります。

 

05自走する組織のリーダーに求められる姿勢

自走する組織では、リーダー層のあり方が重要になります。リーダーに求められる姿勢について具体的に確認してみましょう。

  • ・内発的な動機づけをする
  • ・傾聴する
  • ・積極性を促す

内発的な動機づけをする

これまでの指示命令に従わせる管理体制から、メンバーが自発的に取り組むスタイルに変わっていくためには、メンバーが自分の内から取り組もうと思える要因が必要です。 リーダーは、メンバーそれぞれが内発的な動機が見つかるように支援していきます。

傾聴する

メンバーが自発的に取り組み行動していくようにするためには、リーダーはメンバーの話をしっかり聴き、寄り添う姿勢をみせることが重要です。 メンバーの考えを取り入れることで、チームの一員としての自覚を高めさせ、チームとしての一体感を作っていくようにします。

積極性を促す

自走する組織になるためには、メンバーが失敗を恐れず、まずはやってみる積極的な姿勢を身につけさせることが大きなポイントとなります。 失敗したときに叱責していては、萎縮して積極的な行動がなくなります。自分で考え行動する組織には失敗はつきものと考え、そのための備えをしておくよう、リーダーは常にサポートを行い、もし失敗したとしてもバックアップしていきます。

 

06自走する組織の企業事例

次に自走する組織となった企業の事例を紹介し、具体的な施策などを解説します。

  • ・株式会社メルカリ
  • ・ソニー株式会社

株式会社メルカリ

メルカリは2013年に創業した新しい会社ですが、急成長を遂げて2022年には1000人を超える従業員が働く会社となりました。 その成長には、指示を受けて動く組織ではなく自走することが重要と考え、社員の行動様式として「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューを策定しました。 この3つのバリューを浸透させるために、共通の価値観をまとめたドキュメント「Culture Doc」を作成しました。従業員の評価など様々な場面に落とし込んでいくことで従業員のマインドに強く反映されるようになり、自走化が進みました。

▶︎参照元:株式会社メルカリ「メルカリ、社員同士の「共通の価値観」をまとめた社内向けのドキュメント「Mercari Culture Doc」を公開」

ソニー株式会社

従業員のチャレンジを引き出す制度を充実させ、自らの意思で積極的に取り組む組織作りをすすめています。具体的には、「キャリアプラス」「社内FA制度」「キャリア登録」の3つの制度を導入しました。 「キャリアプラス」は社内兼業という形でプロジェクトに参画するしくみ、「社内FA制度」は一定の成果をあげた従業員には部署移動の権利を与える制度、「キャリア登録」はそれぞれのやりたい分野を明確にしマネジメント側と共有するシステムです。 多くの社員に挑戦する機会を設け、自律的にキャリアを考えて、事業に積極的に関わるように促す制度として有効に機能しています。

▶︎参照元:ソニーグループポータル「採用情報:挑戦を後押しする制度」


 

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07自走する組織を作るための施策

ここでは自走する組織を作るために実施する施策を2つ紹介します。

  • ・テーマごとにリーダーを選出する
  • ・自己啓発(SD)や研修など学べる機会の整備

テーマごとにリーダーを選出する

メンバーの積極性やリーダーシップを引き出すために、メンバーが得意な分野でリーダーの役目をしてもらうようにします。 毎回同じ人がリーダーとなっていては、新しいリーダーは育っていきません。メンバーそれぞれが得意分野をテーマとしてリーダー役をやっていき、次のリーダーとなる体験を重ねていきます。

自己啓発(SD)や研修など学べる機会の整備

自走する組織のリーダーはメンバーが業務に積極的に取り組むことを促し、新しいことにチャレンジするよう働きかけていきます。 自分に興味があるスキルを高め、知識を増やしていけるように、身につけたい知識やスキルがいつでもインプットできる環境を作っていくといいでしょう。


 

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08まとめ

変化が激しい現代社会では、かつてのようなトップダウンでは対応が難しくなってきています。また、リモートワークなど多様な働き方が普及したこともあり、自走する組織を求める声が高まっています。 そのためには、メンバーが積極的に関わる意欲を引き出し、現場で臨機応変に対応するリーダーの役割が重要になります。 これからのビジネス環境で成長を続けていくために、御社でも自走する組織への取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。 まずは、自発的に学ぶ環境を取り入れ、リーダーとしての成長を促す仕組みを取り入れて自走する人材を育成していくことをおすすめします。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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