更新日:2025/10/07

データサイエンティストを育成する方法とは?必要なスキル・育成ステップ・おすすめ講座まで徹底解説

データサイエンティストを育成する方法とは?必要なスキル・育成ステップ・おすすめ講座まで徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業にとって、データサイエンティストの育成は喫緊の課題です。膨大なデータを活用し、戦略立案や業務改善に貢献できる人材は希少で、採用による確保だけでは限界があります。本記事では、データサイエンティストに求められるスキルや役割、効果的な育成ステップ、そして学習カリキュラムのポイントまで、初心者にも分かりやすく解説します。社内での育成を検討している企業担当者はもちろん、キャリアとして目指す個人にも役立つ内容です。

 

01データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に不可欠な専門家です。データに基づいた企業の意思決定を支援する役割を担います。また一口にデータサイエンティストと言っても、どの業務領域をメインで取り扱うかによって役割が変わります。ここでは、データサイエンティストの仕事内容と役割を解説します。

データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストは、膨大なデータを収集・分析し、そこから得られる示唆をもとに企業の意思決定を支援する役割を担います。具体的には、ビジネス課題の抽出から始まり、関連するデータの整備・加工・解析を行い、統計的手法や機械学習モデルを活用して予測や傾向の可視化を実施します。

またその業務は単なる分析にとどまらず、得られた結果を経営層や現場部門にわかりやすく伝え、戦略立案や業務改善に貢献する点がポイントです。たとえば、顧客の行動傾向からマーケティング施策を提案したり、需要予測により在庫管理を最適化したりするなど、企業の競争力強化を支える中核的な存在といえます。

データサイエンティストに求められる役割(ロール)

データサイエンティストは、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進におけるデータ活用の中核を担います。経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定める「デジタルスキル標準」では、データサイエンティストの役割はデータの分析に留まらず、戦略策定からデータ活用の浸透まで多岐にわたるとされています。

具体的には、以下の3つのロール(役割)が期待されています。

  • ・データビジネスストラテジスト: 事業戦略に沿ったデータ活用戦略を立案し、ビジネス変革や新規事業創出を主導します。
  • ・データサイエンスプロフェッショナル: データの処理・解析を通じて、業務変革やビジネス創出に繋がる有益な知見を導出します。
  • ・データエンジニア: 効果的なデータ分析環境の設計・実装・運用を担い、データ活用の基盤を構築・維持することでビジネス変革を実現します。
 

02なぜデータサイエンティストの育成が重要なのか

環境変化の大きな現代においてビジネス競争力を高めるには、DX化は避けては通れない最も重要なテーマの1つです。そして、DX推進における中核的役割を担うデータサイエンティストの確保は、DX化の成否を左右する要素の1つと言えるでしょう。

このような環境を背景に、データサイエンティストの需要は増加しています。その一方、経験豊富な専門家が慢性的に不足しており、これはDX推進の大きなボトルネックとなっています。実際に、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査では、2023年度にDX推進人材の「量」が「大幅に不足」と答えた日本企業が過半数を超え、特にデータサイエンティストの不足感が顕著です。

このように外部からの人材確保が困難な現状において、企業がDXを継続的に推進し、市場での優位性を確立するには、体系的な社内育成プログラムによるデータサイエンティストの計画的な育成が極めて重要となります。

▶︎参考リンク:DX動向2024-深刻化するDXを推進する人材不足と課題

 

03データサイエンティストに求められるスキル・学習カリキュラム

データサイエンティストには、多岐にわたるスキルと専門知識が求められます。ここでは経済産業省「デジタルスキル標準」から抜粋して、ビジネス視点を持つ「データビジネスストラテジスト」、高度な分析力を備える「データサイエンスプロフェッショナル」、そして技術基盤を支える「データエンジニア」、それぞれに必要なスキルや学習内容を解説します。

▶︎参考リンク:デジタルスキル標準|経済産業省

データビジネスストラテジスト

データビジネスストラテジストは、データを活用した事業戦略の実現や事業変革の推進を担います。そのため、幅広いデータサイエンティスト関連スキルの中でも特に、データを理解してどのように活用するのかの設計や、ビジネス面での戦略性、分析スキルなどを特に必要とします。

データビジネスストラテジストについて、特に学ぶべきスキルは以下の通りです。代表スキルはデータ・AI活用戦略、データ・AI活用業務の設計・事業実装・評価です。学習は、着想・デザイン、課題定義、アプローチ設計、分析評価、事業への実装、プロジェクトマネジメントが中心となります。

カテゴリー サブカテゴリ― スキル項目 重要度
ビジネス変革戦略・マネジメント・システムビジネス戦略策定・実行b
ビジネス変革戦略・マネジメント・システムプロジェクトマネジメントb
ビジネス変革ビジネスモデル・プロセスビジネス調査b
ビジネス変革ビジネスモデル・プロセスビジネスモデル設計b
ビジネス変革ビジネスモデル・プロセスビジネスアナリシスb
ビジネス変革ビジネスモデル・プロセス検証(ビジネス視点)b
ビジネス変革デザイン顧客・ユーザー理解b
ビジネス変革デザイン価値発見・定義b
ビジネス変革デザイン検証(顧客・ユーザー視点)b
データ活用データ・AIの戦略的活用データ理解・活用a
データ活用データ・AIの戦略的活用データ・AI活用戦略a
データ活用データ・AIの戦略的活用データ・AI活用業務の設計・事業実装・評価a
テクノロジーソフトウェア開発チーム開発b
セキュリティセキュリティマネジメントプライバシー保護b

データサイエンスプロフェッショナル

データサイエンスプロフェッショナルは、高度なデータの処理・解析を行い、新規事業創出や業務改善につながる知見を導き出す専門家です。そのため、AI・データサイエンスの深い専門知識と、先端技術の検証能力、データを扱う上でのリスク管理の力が求められます。

データサイエンスプロフェッショナルについて、特に学ぶべきスキルは以下の通りです。代表スキルは数理統計・多変量解析・データ可視化、機械学習・深層学習です。学習は、統計学、線形代数などの基礎数学に加え、予測、データ加工、可視化、そして機械学習・深層学習や自然言語処理などの応用技術を深めます。

カテゴリー サブカテゴリ― スキル項目 重要度
ビジネス変革デザイン検証(顧客・ユーザー視点)b
データ活用データ・AIの戦略的活用データ理解・活用b
データ活用データ・AIの戦略的活用データ・AI活用業務の設計・事業実装・評価b
データ活用AI・データサイエンス数理統計・多変量解析・データ可視化a
データ活用AI・データサイエンス機械学習・深層学習a
テクノロジーソフトウェア開発コンピュータサイエンスb
テクノロジーソフトウェア開発チーム開発b
セキュリティセキュリティマネジメントプライバシー保護b

データエンジニア

データエンジニアは、技術を用いてデータ分析環境を設計・実装・運用し、業務変革や新規ビジネス創出に貢献します。データ利活用の基盤領域を担うため、データ活用に対する知見のみならず、バックエンドシステム開発・クラウドインフラ活用といったソフトウェアエンジニアと同等の技術力も必要です。

データエンジニアについて、特に学ぶべきスキルは以下の通りです。代表スキルはデータ活用基盤設計、データ活用基盤実装・運用です。学習は、システム環境構築、データ収集・構造設計、データ蓄積・加工技術、SQLを含むプログラミング、MLOpsなどのAIシステム運用技術に重点を置きます。

カテゴリー サブカテゴリ― スキル項目 重要度
ビジネス変革戦略・マネジメント・システムシステムズエンジニアリングb
ビジネス変革戦略・マネジメント・システムエンタープライズアーキテクチャb
データ活用データ・AIの戦略的活用データ理解・活用b
データ活用データエンジニアリングデータ活用基盤設計a
データ活用データエンジニアリングデータ活用基盤実装・運用a
テクノロジーソフトウェア開発コンピュータサイエンスb
テクノロジーソフトウェア開発チーム開発b
テクノロジーソフトウェア開発ソフトウェア設計手法b
テクノロジーソフトウェア開発ソフトウェア開発プロセスb
テクノロジーソフトウェア開発バックエンドシステム開発b
テクノロジーソフトウェア開発クラウドインフラ活用b
テクノロジーデジタルテクノロジーその他先端技術b
セキュリティセキュリティマネジメントインシデント対応と事業継続b
セキュリティセキュリティマネジメントプライバシー保護b
セキュリティセキュリティ技術セキュア設計・開発・構築b

 

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04データサイエンティスト育成におすすめの講座

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。階層別研修からDX研修、部署別の研修まで幅広いコンテンツで全てを支援できるのが強みです。

ここではデータサイエンティストの育成に役立つSchooのおすすめ講座をご紹介します。講座ごとに学べる内容や特徴を解説していますので、参考にしてみてください。

DS検定(データサイエンティスト検定)対策講座

DS検定(データサイエンティスト検定)対策講座

この講座は、主にDS検定の受験を考えている方や、データサイエンティストを目指す方、既に業務でデータ分析を活用している方、そして学生や学び直しをする社会人を対象としています。活用シーンとしては、データサイエンスやデータ分析に関する知識・スキルを客観的に評価するDS検定の資格試験対策が挙げられ、データサイエンス分野の専門知識や技術力の指標確認、さらには実務への応用を目指すことができます。

この講座を通じて身につくスキルは、データサイエンス・データ分析に関する幅広い知識であり、具体的にはDS検定合格に必要なデータリテラシー、ビジネス力、数学・統計基礎、データサイエンス力、データエンジニアリング力といった多岐にわたる能力を習得できます。

 
  • アガルートアカデミー講師/エーアイアカデミー代表取締役兼講師

    2014年にグルメ動画アプリの会社を共同創業し、約3年間Webエンジニア兼機械学習エンジニアとして活動。その後、2016年に株式会社エーアイアカデミーを創業し、AIやPythonを学べるオンライン学習サービス「AI Academy」やデータサイエンティスト育成ブートキャンプ「AI Academy Bootcamp」を運営。2023年9月よりアガルートグループに参画し、データサイエンスの講師を務める。現在は生成AI研修やコンサルティング等の業務を行う。「scikit-learn データ分析 実装ハンドブック」を共著にて出版。

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※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

データ分析センスが身につく統計超入門

データ分析センスが身につく統計超入門

本講座は、データ社会で賢く生きたいと願う方、ビッグデータや人工知能の活用に関心がある方、そして特に統計や数学に苦手意識がある方を対象としています。データ分析の基礎を理解し、データサイエンスへの第一歩を踏み出すこと、そしてデータを用いた意思決定能力を向上させることが主な活用シーンとなります。

この講座を修了することで、統計の基本、データサイエンスの「基本の基本」といった基礎知識に加え、データ分析センスを身につけることができます。具体的には、データを代表する値と散らばり方、度数分布表とヒストグラム、時系列データ・二元データの扱い方、確率の考え方、推測統計と標本調査といった重要な概念の理解を深めることが可能です。

 
  • 株式会社数学アカデミー代表取締役。医学部受験数学マンツーマン指導Focus代表講師。早稲田大学理工学部在学中より、小学生から難関大学受験の数学まで幅広く指導。現在は数学の意義・価値を伝える活動を精力的に展開し、ビジネス数学検定・統計検定の講座やコラム執筆も担当。著書に『もう一度解いてみる入試数学』(すばる舎)。ビジネス数学検定1級AAA資格保有。

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※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

Python超入門【2023年版】

Python超入門【2023年版】

この講座は、プログラミングの経験がない初心者や文系ビジネスパーソンを対象としています。Pythonに興味はあるものの、環境構築や概念理解でつまづきやすい方にも適しています。プログラミングの考え方や基本を学び、業務の効率化・自動化を実現するスキルを習得することができます。

具体的には、Pythonの基礎的な文法、変数・引数・ライブラリの理解、Google Colaboratoryを用いた開発方法、PowerPoint報告書を自動生成する方法など、実務に直結するスキルが身につきます。

 
  • データ解析界隈の開発エンジニア。東京工業大学社会理工学研究科修士課程修了。R言語Shinyライブラリに関する著書『RとShinyで作るWebアプリケーション』や『Pythonと実データで遊んで学ぶ データ分析講座』を出版。AIや機械学習の実践的な知識普及に尽力している。

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※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

データ前処理 ビジネスデータを分析にかける前のチェックリスト

データ前処理 ビジネスデータを分析にかける前のチェックリスト

この講座は、社内データを分析しながら戦略を立てる方や、データを武器にした意思決定を行う方に適しています。分析前のデータ加工処理を正しく理解し実践することで、分析精度の向上を図る内容です。欠損値や外れ値の処理、データ前処理ステップの実演を通じて、実践的なデータ加工能力を身につけることができます。

 
  • IBM Research リサーチソフトウェアエンジニア。ペンシルベニア州立大学でデータサイエンスを専攻。シリコンバレーのIBM Researchにて機械学習・確率的最適化・フェデレーテッドラーニングなどの研究開発を担当。著書に『現場のプロが伝える前処理技術』『Federated Learning』など。

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05データサイエンティストの育成を成功させるためのポイント

データサイエンティストの育成を効果的に進めるには、実務に直結した内容での学習設計と、習得状況を確認できる評価とフィードバックが欠かせません。ここでは、育成を成功に導くために重要なポイントを具体的に紹介します。

実務に即した内容設計

データサイエンティスト育成の成功には、実務に即した体系的な内容設計が不可欠です。ただ理論を学ぶだけでは不十分であり、研修後に学びを実務に転用することを踏まえたプログラムになっているかを確認しましょう。また、研修などを単発で設計するだけではなく、実務への接続やその後の業務アサインも含めて、育成の全体像を自社のDX推進の一部として設計できると良いでしょう。

これにより、学習者は「理解した」知識を「業務で使える」実践力へと転換させることができ、企業が求めるデータ活用の成果に直結する能力を育成できます。

段階的なスキル評価とフィードバック

育成プログラムでは、段階的なスキル評価と個別フィードバックが成功の鍵を握ります。定期的なテストや、データ分析レポートの作成・提出とその評価を通じて、受講者の理解度や課題解決能力を客観的に測定します。

これにより、具体的な強みと弱みを明確にし、個別のフィードバックを提供することで、継続的なスキル向上と成長を支援します。このプロセスは、DXで成果を上げる企業が人材育成に積極的に取り組む上での、実践と連動した育成の要となります。

 

06まとめ

データサイエンティストは、企業の意思決定や業務改善を支える不可欠な存在です。しかし専門人材の不足が続く中、自社での育成は今後のDX推進において極めて重要となります。役割やスキルセットを理解したうえで、実務に直結した育成プログラムと段階的な評価制度を構築することが成功の鍵です。

今回紹介した講座なども活用し、戦略的に人材育成に取り組むことで、データドリブンな組織づくりを加速させましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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