評価者研修とは|目的やカリキュラム内容を詳しく紹介

管理職には部下を適切に評価する役割が求められますが、「基準が分からない」「主観が入る」と悩む声も。短時間で納得感ある評価を行うには、評価スキルの習得が不可欠です。本記事では、評価者研修の基本内容や忙しい管理職でも受講しやすいeラーニングの活用法を紹介します。
- 01.評価者研修とは
- 02.評価者研修の目的
- 03.評価者研修の対象者
- 04.評価者研修を導入すべき企業
- 05.評価者研修のカリキュラム内容
- 06.評価者研修の効果を高めるポイント
- 07.評価者研修|Schoo for Business
- 08.まとめ
01評価者研修とは
評価者研修とは、部下の業績や行動を適切に評価するために必要な知識やスキルを身につける研修です。主に管理職やリーダー層を対象とし、公平な視点で評価を行うための考え方や、評価基準の設定方法、フィードバックの伝え方などを学びます。
人事評価は、昇進や報酬に大きく関わる重要な業務である一方、評価のばらつきや主観の影響といった課題もあります。そのため、評価の質を高めるには、体系的な研修の受講が効果的です。
評価者研修の導入率は7割を超えている
産労総合研究所の「2016年 評価制度の運用に関する調査」によると、評価者教育を実施している企業は71.4%で、7割以上の企業が評価者向けの評価者研修を実施していることが分かります。同じ調査により被評価者の訓練を実施している企業は22.6%で、被評価者に評価制度や評価軸等の理解を促進し意識レベル向上やモチベーション向上に取り組む企業がいることが分かっています。
02評価者研修の目的
Schooの講座「評価者としての心得と評価の留意点」では、評価者研修の目的として、以下の4点が紹介されています。
- 1:人事評価を人材育成に繋げるため
- 2:公正な処遇を行うため
- 3:会社の方針や価値観を浸透させるため
- 4:社員のモチベーションを向上させるため
評価者研修には、人材育成や公正な処遇の実現、企業の価値観浸透、そして社員のモチベーション向上といった重要な目的があります。これらを理解したうえで評価を行うことで、組織全体の成長と信頼性の高い人事運用につながります。
1:人事評価を人材育成に繋げるため
評価は単なる点数付けではなく、社員の成長を促す機会でもあります。評価を通じて強みや課題を明確にすることで、本人の努力の方向性が定まり、成長意欲が高まります。適切なフィードバックを行えば、社員が自ら学び続ける姿勢を育み、結果として組織全体の力を底上げすることにもつながります。
2:公正な処遇を行うため
人事評価は、昇進や報酬といった処遇を決定する重要な判断材料です。そのため、評価者には「公正」に評価する視点が求められます。公平=全員同じではなく、それぞれの状況や成果に応じて適切に扱うことが公正です。納得感のある処遇を実現するためにも、評価者自身が基準と目的を正しく理解することが欠かせません。
3:会社の方針や価値観を浸透させるため
評価制度は、組織の価値観や行動指針を体現するツールでもあります。評価の基準に会社の方針や理念を反映させることで、評価を受ける側にもそれらの意図が伝わりやすくなります。これにより、個人と組織のベクトルが揃い、組織文化としての一体感が生まれやすくなるのです。
4:社員のモチベーションを向上させるため
評価結果は、社員のモチベーションに大きな影響を与えます。高評価であれば自信につながりますが、期待通りでない評価を受けた場合にも、納得感のある説明や建設的なフィードバックがあれば前向きに受け止めやすくなります。評価者には、結果にかかわらずモチベーションを維持・向上させる働きかけが求められます。
03評価者研修の対象者
評価者研修の対象者は、以下の通りです。
- 1:管理職
- 2:人事
- 3:経営者
- 4:被評価者
評価者研修の対象は、管理職にとどまりません。制度を設計・運用する人事や、価値観の浸透を担う経営層も重要な関係者です。
さらに、被評価者自身も制度を正しく理解することで、納得度や成長意欲が高まります。各立場が評価の目的を共有することで、より実効性のある評価運用が可能になります。
1:管理職
現場で部下の業務を直接見守る管理職は、評価者研修の主要な対象です。評価に必要な視点やフィードバックの手法を身につけることで、主観に偏らず、公正な評価が行えるようになります。また、評価を通じた育成支援にもつながり、部下との信頼関係や組織全体のパフォーマンス向上を促進します。
2:人事
評価制度の運用を担う人事部門にも、評価の意図や仕組みを深く理解する姿勢が求められます。研修を通じて現場と共通認識を持つことで、評価結果のブレを抑え、より効果的な制度運用が可能になります。評価者の支援や制度改善のためにも、一定の評価スキルと視座が不可欠です。
3:経営者
経営層は、評価制度を通じて企業の理念や方向性を組織に伝える立場にあります。制度設計だけでなく、現場の評価実態にも目を向けることで、現実に即した人事運用が可能になります。理念の浸透と制度の整合性を高めるためにも、経営者自身が評価の役割を理解しておくことが重要です。
4:被評価者
評価を受ける立場である被評価者も、制度の内容や目的を理解しておくことで、自らの行動目標を明確にできます。何が評価対象となるかを把握していれば、日々の業務への意識も変わります。評価に対する納得感やモチベーションを高めるためには、受け手側の理解も欠かせません。
04評価者研修を導入すべき企業
評価者研修を導入すべき企業には、以下の5つの特徴があります。
- 1:人事評価への不満がよく聞かれる
- 2:人事制度が機能していない
- 3:社員の目標達成率が低い
- 4:社員の離職率が高い
- 5:人事評価と育成が連動していない
人事評価への不満や制度の形骸化、目標未達の状況、評価が育成に結びついていないといった課題を抱える企業には、評価者研修の導入が有効です。まずは、評価の目的や基準を見直し、評価者のスキルを高めることで、人事制度を本来の機能へと立て直すきっかけになります。
1:人事評価への不満がよく聞かれる
企業内で「人事評価が不公平だ」「評価基準が不明確だ」といった不満が頻繁に聞かれる場合は、評価者研修の導入を検討すべきです。評価者が適切な基準やプロセスを理解していないと、評価が主観的になり、社員のモチベーション低下を招く可能性があります。研修を通じて評価基準の共有や評価スキルの向上を図ることで、不満の解消と公平性の向上が期待できます。
2:人事制度が機能していない
人事制度が存在しているにもかかわらず、期待された効果が得られていない場合も、評価者研修が効果的です。評価が適切に行われなければ、人事制度全体が形骸化してしまいます。研修によって、評価の役割や制度の意義を再認識させることで、制度の本来の目的を果たしやすくなり、企業の成長を支える基盤を強化できます。
3:社員の目標達成率が低い
社員の目標達成率が低い企業では、評価プロセスに課題がある場合があります。適切なフィードバックが行われないと、社員が自身の改善点や目標への具体的なアプローチを見失うことがあります。評価者研修を実施することで、評価者が正確で建設的なフィードバックを提供できるようになり、社員のパフォーマンス向上と目標達成を促進する効果が期待されます。
4:社員の離職率が高い
人事評価やマネジメントに対する不満は、離職の大きな要因となります。評価に対する納得感が乏しいと、働きがいの低下や不信感を生み、優秀な人材の流出につながることもあります。評価者研修を通じて、公正で納得感のある評価を行うスキルを高めれば、離職率の改善にも寄与します。
5:人事評価と育成が連動していない
人事評価が単なる点数付けや査定に終始し、社員の育成に活かされていない企業は、評価者研修の導入を検討すべきです。評価の目的は処遇の決定だけでなく、社員の成長を支援することにもあります。評価結果をフィードバックし、目標設定やスキル開発に結びつけるスキルを評価者が習得すれば、評価制度の価値が高まり、組織の生産性向上にもつながります。
05評価者研修のカリキュラム内容

評価者研修では、公正な評価を行うための原理原則や、成長を促すフィードバックの方法を体系的に学びます。 Schooの講座「人事評価 部下の評価を正しく行うポイント」では、 部下を正しく評価するための考え方や注意点、評価結果を次の成果につなげる伝え方について、2回に分けて実践的に解説しています。
第1回 | 評価者としての心得と評価の留意点 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | 評価面談の手順とポイント |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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コンサルタントマネージャー
株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン コンサルタントマネージャー <経歴>小売業 統轄エリアマネージャー(22店舗担当)人事部部長、不動産業 人事課課長、大手販社 人材開発部マネージャー<得意分野>新入社員の接客・接遇・ビジネスマナーから上層階層のマネジメントスキルまで幅広く対応。
06評価者研修の効果を高めるポイント
評価者研修の効果を高めるポイントは、以下の3つです。
- 1:被評価者にも研修を実施する
- 2:評価者同士が相談できる場を用意する
- 3:eラーニングを活用する
評価者研修の効果を高めるには、研修対象や環境づくりにも工夫が必要です。被評価者にも制度の理解を促し、評価者同士が相談しやすい場を設けることで、運用の精度が高まります。
また、忙しい管理職にはeラーニングを活用することで、継続的な学びを促進できます。
1:被評価者にも研修を実施する
評価制度の理解は評価者だけでなく、被評価者にも求められます。評価される側が評価基準や目的を正しく理解していないと、納得感や成長意欲に差が出ることがあります。被評価者向けの説明会や研修を設けることで、双方の認識をすり合わせ、制度全体の信頼性が向上します。
また、目標設定の精度も上がり、評価が育成につながる好循環を生み出します。
2:評価者同士が相談できる場を用意する
評価に迷いや不安を抱える管理職は少なくありません。評価者同士が日頃の悩みや判断基準を共有できる場を設けることで、基準のブレを減らし、組織全体の評価の質を高めることが可能になります。定期的な意見交換会やフィードバックの場があることで、経験の浅い評価者も安心して判断でき、制度の形骸化も防げます。
3:eラーニングを活用する
多忙な管理職にとって、時間や場所に縛られないeラーニングは有効な学習手段です。評価の基本からフィードバックの技術まで、実務に即した内容を短時間で学べるため、学びを日常業務に取り入れやすくなります。繰り返し視聴や復習も可能なため、知識の定着にも効果的です。集合研修と組み合わせることで、より実践的な学びが実現します。
07評価者研修|Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。管理職研修はもちろんのこと、その他の階層別研修からDX研修まで幅広いコンテンツで全てを支援できるのが強みです。
また、アーカイブされた動画を視聴する研修方式なので、忙しい管理職の方でも自身の好きな時間や場所で研修を受講できます。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
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評価者研修に関するコンテンツ一覧
研修内容 | 時間 |
パフォーマンスをアップする「ポジティブフィードバック」 | 2時間 |
人事評価 部下の評価を正しく行うポイント | 40分 |
コーチング 目標設定のための4ステップ | 50分 |
目標設定と管理への基礎理解 | 1時間30分 |
耳の痛い話の受け止め方 - コーチャビリティ | 40分 |
人事評価に”自社の基準”はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える | 1時間 |
学習と業績目標のすり合わせ方 | 23分 |
08まとめ
本記事では、評価者研修の目的や対象、導入すべき企業の特徴、研修内容の具体例、効果を高めるための工夫について解説しました。評価は単なる査定ではなく、人材育成や組織の成長を支える重要な要素です。公正で納得感のある評価を実現するために、評価者自身のスキルと意識の向上が求められます。まずは研修を通して、評価の本質を見直すことから始めましょう。
▶︎参考:人事評価ガイド
▶︎参考:人事評価ガイド《評価者・調整者の手続編》